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地方自治法改正案について、地方紙はなぜ独自の取材をしないのか?

地方自治法改正案について調べていたら、同じ見出し・同じ内容の記事ばかりでてきました。独自の取材を「しない」のか、独自の取材を「させてもらえない」のかわかりませんが、地方自治体にとって非常に重要な改正なのに、地方紙はこのような発信の仕方でよいのでしょうか。

地方自治法改正案の概要

地方自治法改正案の概要について検索したら、下記のような状態でした。


中身も同じなのは、共同通信が配信している情報を元にした記事だからだと思います。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/303438

時事通信ニュースは、少し長めの記事でした。


非常時、国が自治体に必要な指示=自治法改正案の概要判明
2024-01-17 20:46 時事通信ニュース

重大な災害や感染症などで非常事態に陥った場合の国・地方の関係を示した地方自治法改正案の概要が17日、分かった。個別の法律が想定しないことが起こり、国民の安全確保が必要になった場合、自治法を根拠に、国が自治体の事務処理について必要な指示をできるようにするのが柱。迅速に対応する狙いがある。
 政府は26日召集の通常国会に改正案を提出する方針だ。
 第33次地方制度調査会(首相の諮問機関)は昨年末、新型コロナウイルスの流行やデジタル化を踏まえた国・地方関係の在り方について答申。コロナ対応は個別法で手当てされたが、地制調は非常時のルールを、国・地方関係の基本的事項を示した自治法で定めるよう提案した。
 現行の自治法では国から地方に「是正の指示」「是正の要求」ができるが、自治体の事務処理に法令違反がなければ行えない。そこで答申は、非常時の国の指示権を定めることを要請。総務省は同法改正を含め検討していた。
 非常時の対応を平時と明確に区分するため、現行の国・地方関係の章とは別に新たな章を設け、特例的に規定する。国が指示する際は、事態が全国規模または局所的でも被害が甚大な場合など、規模や状況を考慮して判断。発動には閣議決定を必要とし、一定のハードルを設ける。
 自治体間の職員応援・派遣に関する国の役割も自治法で明確化し、国による応援の要求や指示、派遣のあっせんなどを可能にする。 

https://sp.m.jiji.com/article/show/3144877

地方紙は通信社から記事の配信を受けることで、その地域以外のニュースも掲載できるので、各地方紙が全く同じ内容の記事を公開することはあり得ます。けれども、地方自治法改正は、地方自治体にとって非常に重要な問題です。それなのに、配信された記事をそのまま公開するだけでよいのでしょうか。

一方、朝日新聞や読売新聞は、1月17日付では記事が見当たりません。

朝日新聞は有料記事になっているので途中までしか読めませんが、2023年12月21日付で取り上げていたようです。

読売新聞も2023年12月22日付でありましたが、今は会員限定記事になっていました。



地方制度調査会

地方制度調査会については、2023年12月21日に出された答申が公開されていました。

【参考資料】第33次地方制度調査会委員名簿(令和5年12月15日現在)

ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申(令和5年12月21日

26ページあるので、その中からほんの一部を引用します。

第4 大規模な災害、感染症のまん延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応
1 問題の所在
新型コロナ対応に関しては、内閣官房「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議」が取りまとめた「新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に向けた中長期的な課題について」等において、様々な課題の整理が行われている。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000918277.pdf

「大規模な災害、感染症のまん延」の「等」が、どこまで含むのか気になります。

新型インフル特措法に基づいて使用制限を要請する施設の範囲や、営業時間の短縮を要請する時間帯について、国と都道府県との間で考え方の相違によって調整が難航した事例もあり、一体となって対応できる仕組みの必要性が指摘されている。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000918277.pdf


同時に、新型コロナ対応に際しては、国が、現行制度で認められている地方公共団体に対する技術的助言・勧告等以外にも、新型コロナに対する基本的な対応方針の検討や、ワクチンの確保・配分や水際対策など、直接措置を講じる上で、地方公共団体から必要な情報の提供を受け、また、地方公共団体との間で十分なコミュニケーションを図る必要性が認識された。国民の安全に重大な影響を及ぼす事態においては、国が、初動対応の基本的な方針や、国際的な要請等を踏まえた対応を採るための方針を示すことが必要な場面が想定されるが、このような基本的な方針の策定等の実効性を担保するためには、地方公共団体等から適切な情報提供が行われる必要がある。こうした必要性を踏まえ、国による事態対処に関する基本的な方針の検討や、国が直接講じる措置、あるいは、地方公共団体に対する助言や指示を適切に行うことができるよう、国から地方公共団体に対して、これらの目的で資料や意見の提出を求めることができるようにすべきである。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000918277.pdf


このような場合は、地方公共団体の事務処理が違法等でなくても、地方公共団体において国民の生命、身体又は財産の保護のために必要な措置が的確かつ迅速に実施されることを確保するために、国が地方公共団体に対し、地方自治法の規定を直接の根拠として、必要な指示を行うことができるようにすべきである。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000918277.pdf

国の取組は「国民のため」だという前提で話が進んでいますが、営業時間短縮などの要請やワクチン接種について効果や安全性の検証をしないで「国民のため」だと言えるのでしょうか。

この改正は、憲法を改正して「緊急事態条項」を設けようとしていることや、WHOが決めた対策を押しつけてくるかもしれないパンデミック条約やIHR改正に通じるものがあるように感じました。

地方自治体はそれぞれ状況が異なるので、それぞれに適したやり方があるはずです。

例えば、Xでも下記の記事が注目されていましたが、大きな震災を経験している神戸の方たちでも、能登半島の場合は必要な支援に大きな違いあると感じたのです。この記事には、被災地以外の人たちも考えておかなければならない、非常に重要なことが書かれています。例えば、救援物資の飲料水が集まりすぎて体育館の床が陥没してしまったのですが、珠洲市役所は職員数が少なく、マスコミ対応をする職員がいなかったことも一因だったようです。

150万人が暮らす神戸と、人口が神戸市の約1/100の珠洲市では状況が大きく違います。神戸では、1つの小学校に3千人以上の避難者が押し寄せた地区もあったそうです。一方、珠洲市では90カ所ほどの避難所があり、小規模だと10人以下のところもあるとのこと。

神戸市公式noteの記事には、現地へ派遣された職員の報告から、神戸市のやり方を押し付けず、被災者に寄り添い、被災地の本当のニーズを汲み取って支援活動を行うことが大切だと理解したと書かれています。

非常時に、「十分なコミュニケーションをとりながら」適切な方法を国が指示することなどできるのでしょうか。「押しつけ」になってしまっては、「国民のため」にはならないでしょう。

共同通信の記事には、下記のように書かれています。

自治体側は「指示が乱発されれば地方の自主性を損なう」と懸念しており、政府は内容を伝え、理解を求める見通しだ。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/303438

このような懸念があるのに、あの記事だけで関心を持ってもらうことはできるのでしょうか。

もっと多くの人が関心を持たなければ、知らないうちに重要なことが次々と決められてしまうでしょう。

緊急事態条項については、この動画(サンテレビ 約9分)が参考になります。

パンデミック条約に関する記事は、こちらにまとめてあります。