「欲しいデータ」のウラ側
何も起きていない状況では、「データを集める」という行動にはつながらないでしょう。あるデータを積極的に集めたいということは、その事象が起きていて、予想以上に増えてきている、あるいは想定外の状況になっているからではないでしょうか。
副反応相談センターからの「たらい回し」
テレビのニュース番組で、新型コロナワクチン接種後の副反応疑いで問い合わせをしたら、たらい回しにされたという事例が紹介されていました。Vol.6で取り上げた著名人のご家族の実例です。
接種した日に40℃の熱が出て、2日後に副反応相談センターに問い合わせをしたけれど「よくあること」と言われた。その翌日に、近所の病院に問い合わせると、かかりつけ医、ワクチンを接種している病院などにたらい回し。再び副反応相談センターに問い合わせると、また「よくあること」と言われた。ずっと熱が下がらず、皮膚がはれ上がってきてしまったので、救急車で搬送され緊急入院。
症状などについては、Vol.6で取り上げています。
副反応相談センターは、ちゃんと機能しているのでしょうか。番組では、「副反応相談センターに連絡したら、たらい回しにされた」という事例を取り上げたのに、番組内でコメントを求められた医師は「心配な症状が出たら、副反応相談センターがあるので、そこに相談してください」と言っていて、何の解決にもなっていませんでした。
東京都福祉保健局のサイトを見ると、副反応の相談については下記のように書かれています。
多くは2~3日でおさまりますが、接種後に気になる症状があったら、かかりつけ医に相談しましょう。
接種後に副反応の症状が見られる場合、看護師、保健師等に相談のできるコールセンターを設置しています。
まずは、かかりつけ医に相談するように書かれています。相談センターは、何を教えてくれるところなのでしょうか。かかりつけ医を持たない人は、接種後に何か症状が出たら、どこへ行けばいいのでしょうか。
副反応疑いの報告義務
もう1つ問題となっているのが、副反応疑いの報告です。医師から厚労省へ、報告があがっていない例があるようです。医療機関からの報告は、どのようにして行われているのでしょうか。厚労省のサイトには、下記のように書かれています。
厚労省サイト ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 健康 > 感染症情報 > 新型コロナウイルス感染症について > 新型コロナワクチンについて > 新型コロナワクチンの接種を行う医療機関へのお知らせ > 医師等の皆さまへ~新型コロナワクチンの副反応疑い報告のお願い~
報告の対象となる症状の発生を知った、医師又は医療機関の開設者は、予防接種法第12条に基づき、報告しなければならないこととされています。
※ 接種会場から医療機関に患者を搬送した場合など、複数の医師・医療機関が症状の発生を知った場合も、接種の状況や経過などの情報を可能な範囲でまとめて、いずれかの医師等から、必ず報告するようお願いいたします。
「いずれかの医師」という書き方だと、「誰かが報告するだろう」と思って報告しない医師もいるのではないでしょうか。ここでも、相談のたらい回しと同じようなことが起きる可能性があると思います。
ちなみに、予防接種法には下記のように書かれています。
予防接種法
(定期の予防接種等を受けたことによるものと疑われる症状の報告)
第十二条 病院若しくは診療所の開設者又は医師は、定期の予防接種等を受けた者が、当該定期の予防接種等を受けたことによるものと疑われる症状として厚生労働省令で定めるものを呈していることを知ったときは、その旨を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告しなければならない。
2 厚生労働大臣は、前項の規定による報告があったときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、その内容を当該定期の予防接種等を行った市町村長又は都道府県知事に通知するものとする。
その報告は、市町村長や都道府県知事に通知された後、どのように処理されるのでしょうか。私たちには、どのように公開されるのでしょうか。県や市からの報告は、まだ見たことがありません。
さらに気になるのが、報告の基準です。
報告の基準
報告の対象となる症状は次の通りです。
○アナフィラキシー(ワクチンとの関連によらず、接種後4時間以内に発生した場合が報告の対象です。)
○医師が予防接種との関連性が高いと認める症状であって、以下に該当するもの(予防接種との関連性が高いと医師が認める期間に発生した場合が報告の対象です。)
・入院治療を必要とするもの
・死亡、身体の機能の障害に至るもの
・死亡若しくは身体の機能の障害に至るおそれのあるもの
「医師が認める」という書き方では、曖昧です。これでは、医師が認めなかったら、報告しなくてもよいことになるのではないでしょうか。
この下に、さらに続いています。
ワクチン接種との因果関係が示されていない症状も含め、幅広く評価を行うため、当面の間、以下の症状について、報告を積極的にご検討ください。
けいれん、ギラン・バレ症候群、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、血小板減少性紫斑病、血管炎、無菌性髄膜炎、脳炎・脳症、関節炎、脊髄炎、心筋炎、顔面神経麻痺、血管迷走神経反射(失神を伴うもの)
上記については、積極的に報告してほしいと言っています。ということは、これらが想定外に増えているということなのではないでしょうか。心筋炎は、海外の事例で若者からの報告が増えていると言われています。
アメリカCDC(疾病対策予防センター)のサイトに、下記のような報告があります。
Myocarditis and pericarditis after COVID-19 vaccination are rare. As of June 14, 2021, VAERS has received 511 reports of myocarditis or pericarditis among people ages 30 and younger who received COVID-19 vaccine. Most cases have been reported after mRNA COVID-19 vaccination (Pfizer-BioNTech or Moderna), particularly in male adolescents and young adults.
COVID-19ワクチン接種後の心筋炎および心膜炎は、まれです。2021年6月14日の時点で、VAERSは、COVID-19ワクチンを接種した30歳以下の人々の間で心筋炎または心膜炎の511件の報告を受けています。ほとんどの症例は、mRNA COVID-19ワクチン接種(ファイザー-BioNTechまたはModerna)の後に、特に青年期の男性と若年成人で報告されています。
VAERS(Vaccine Adverse Event Reporting System)は、アメリカのCDCが運営しているワクチン副作用レポートです。心筋炎について、詳しくは下記のページを見るように書いてあります。
Since April 2021, there have been increased reports to the Vaccine Adverse Event Reporting System (VAERS) of cases of inflammation of the heart—called myocarditis and pericarditis—happening after mRNA COVID-19 vaccination (Pfizer-BioNTech and Moderna) in the United States.
These reports are rare, given the number of vaccine doses administered, and have been reported after mRNA COVID-19 vaccination (Pfizer-BioNTech and Moderna), particularly in adolescents and young adults.
・Mostly in male adolescents and young adults age 16 years or older
・More often after getting the second dose of one of these two COVID-19
vaccines than after the first dose
・Typically within several days after COVID-19 vaccination
Patients can usually return to their normal daily activities after their symptoms improve, and they should speak with their doctor about return to exercise or sports.
ポイントをまとめると、
・2021年4月以降、米国でmRNA COVID-19ワクチン接種(Pfizer-BioNTechおよびModerna)後に発生した、心筋炎および心膜炎と呼ばれる心臓の炎症の症例に関して、VAERSへの報告が増えている。
・ワクチンの投与回数を考えるとまれである。
(米国では1億6500万人以上がCOVID-19ワクチンを少なくとも1回接種)
・主に青年期の男性と16歳以上の若年成人において報告されている。
・患者は通常、症状が改善した後、通常の日常生活に戻ることができる。運動やスポーツへの復帰については、医師に相談する必要がある。
ということです。
VAERSへの報告があった数なので、本当に「稀」といえるかはわかりません。スポーツを頑張っている若者にとっては、慎重に考える必要があるかもしれません。
顔面麻痺や失神などは、Vol.4とVol.18で取り上げています。
予防接種健康被害救済制度
さきほどの番組では、治療費救済制度についての「たらい回し」も取り上げていました。ワクチン接種後に腕の痺れが残り、病院で副反応と診断。3週間たっても腕の痺れが残っているので、健康被害の救済制度が使えるかどうか問い合わせてみたそうです。
東京都(副反応相談センター)「住んでいる区に問い合わせて」→新宿区役所「担当部署はないので答えられない」→厚労省「申請の受付は新宿区」→新宿区役所(複数の部署をたらい回し)→やっとわかる部署がみつかるが、申請しても給付までに1年かかることもあると言われる
これでは、諦めてしまう人もでてくるでしょうと、取材された方は話していました。
厚労省のサイトには、救済制度について下記のように書かれています。
厚労省サイト ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 健康 > 感染症・予防接種情報 > 予防接種情報 > 予防接種健>健康被害救済について>予防接種健康被害救済制度
予防接種法に基づく予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは、市町村により給付が行われます。申請に必要となる手続き等については、予防接種を受けられた市町村にご相談ください。(厚生労働大臣の認定にあたっては、第三者により構成される疾病・障害認定審査会により、因果関係に係る審査が行われます。)

この流れでは、本当に1年ぐらいかかるかもしれません。
救済制度については、リーフレットも公開されています。
リーフレット「ご存じですか?予防接種後健康被害救済制度」

「ワクチン接種による健康被害と認められた場合に給付をします」と書かれているので、1年待っても認められなければ、給付はされないということです。
ここ数日、大臣が複数のテレビ番組に出演して「積極的に接種してください」と言っています。そもそも、接種はお願いするものではないはずです。
厚労省のサイトにも、「予防接種を受ける方には、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、自らの意志で接種を受けていただいています」と書かれています。
テレビ出演して接種をお願いするより、接種した後のフォロー体制を整えることの方が重要ではないでしょうか。たとえ稀であったとしても、重篤な副反応が起きて、たらい回しにされた人がいるのです。
