予防のワクチンで逆に重症化!2016年フィリピンの事例は子どもが多数死亡
2016年、フィリピンではデング熱を予防するワクチンの大規模キャンペーンが実施され、約80万人の子どもがフランス・サノフィ社の新しいワクチンを接種しました。接種されたのは、世界初のデング熱を予防するワクチン「Dengvaxia 」。ところが1年半後に、このキャンペーンは突然中止となりました。日本ではほとんど報じられていませんが、フィリピンで起きたことは、今起きていること、これから起きるかもしれないことにつながると思ったので掘り起こしました。
サノフィ社の「Dengvaxia」
サノフィ社のワクチンについては、厚労省のサイトにも資料がありました。
サノフィパスツール ワクチン開発状況
厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会
研究開発及び生産流通部会発表資料 2014年1月30日 於 厚生労働省

このワクチンは、2015年にメキシコで最初に承認されました。
2015年12月9日(現地時間)付のリリース
世界初のデングワクチンDengvaxia ®、メキシコで承認
サノフィ最高経営責任者(CEO)のオリビエ・ブランディクールは、「サノフィが20年前、各国の保健当局、世界的な公衆衛生機関や科学界と共にデングワクチンの開発に着手した際、この世界的な公衆衛生上のニ
ーズに対応できる革新的なワクチンを生み出すという目標を立てました。
サノフィ社は、このワクチンを開発するのに20年も費やし、2歳から16歳までの35,000人以上の子どもを対象とした3件の臨床試験の結果(長期追跡中間解析と統合有効性解析)は、The New England Journal of Medicine(NEJM)に発表されました。
Efficacy and Long-Term Safety of a Dengue Vaccine in Regions of Endemic Disease 2015年9月
以下、複数のサイトからの情報を参考に、フィリピンで起きたことをまとめました。
そして2016年4月、フィリピンでもDengvaxia が発売されます。フィリピンでは、年末までに100万人の子どもたちに接種することを目指して学校などでの集団予防接種プログラムを開始。
アメリカでは、50年以上デング熱を研究してきたウイルス学者Scott Halstead氏が、臨床試験における安全性に関するデータを見て、問題があることに気づいていました。彼は、「抗体依存性増強作用」(ADE)の可能性があると指摘。過去にデングウイルスに感染したことのない人がワクチン接種を受けた場合、その後デングウイルスに感染すると重症化するリスクが増加する可能性があると、科学雑誌に論説を書いたり、フィリピン政府に対してこの問題について警告するビデオも作成しました。同じ頃、フィリピンの臨床疫学者や小児科医などもこのワクチンのリスクについて、当時の保健長官Janette Garin氏に書簡を送っています。
Dr. Halsteadの論文 29 March 2016
Protective and immunological behavior of chimeric yellow fever dengue vaccine
これに対し、フィリピン政府に近い専門家たちは、「Dengvaxiaに関する誤報に加担した医師たちは、ワクチンで防げたはずのデング熱によるあらゆる死亡の責任を負うことになるだろう」と言って忠告に耳を傾けなかったそうです。サノフィ社も、反論の論文を出しました。
日本でも、コロナワクチンやHPVワクチンに関して同じことが起きています。リスクについて発信する医師や専門家がいても、政府関係者は「デマ」だといって聞く耳を持ちません。このあたりは、どこの国でも同じなのだと思いました。
フィリピンで接種を開始してから1年半後の2017年11月、サノフィ社がこれまで「誤った情報」とされてきたことのすべてを確認し、「過去にデングウイルスに感染したことがない人には、ワクチン接種を推奨すべきではない」という声明を発表。その後すぐに、フィリピンでのデング熱ワクチン接種キャンペーンは停止されました。
サノフィ社は、デングウイルスの感染歴がある人には効果があることを強調していますが、リスクについては、Scott Halstead氏らが言っていたことが正しかったのです。
このことは、フィリピン全土に大きな影響を及ぼし、抗議活動が勃発。この時点で、ワクチン接種により少なくとも10人の子どもが死亡したという報告が入りました。そして、フィリピン議会は、ワクチンの購入と予防接種キャンペーンに関する調査を開始。
その後、フィリピンでは2019年2月にDengvaxiaの販売、輸入、頒布を禁止しました。2019年8月にはデング熱の全国的な流行を宣言する一方、Dengvaxiaについては、使用禁止の方針を堅持。2019年1月1日から7月20日までに、662人がデング熱により死亡していても、それは変わりませんでした。
ワクチン接種後に死亡した子どもたちについては、ニュース番組でも報じています(下記はRumbleの動画)。字幕はありませんが、子どもを失った親たち思いは伝わりました。
被害者(死亡)が何人なのか知りたかったのですが、14人、62人、165人など、記事によってかなり違っています。接種後に死亡したというだけではカウントされないなど、認定基準が関係しているのかもしれません。下記は検察庁(PAO)の記事(2021年12月7日付)ですが、Dengvaxiaを接種した165人の遺体を解剖したと書かれていました。
Acosta said that as of Dec. 11, 2020, the PAO forensics team has autopsied 165 remains of persons who received doses of Dengvaxia.
2019年2月27日には、司法省の委員会と検察当局は127ページの決議案を発表し、当時の保健長官Janette Garin氏らの起訴を開始。被告には、サノフィ社の関係者や食品医薬品局なども加えられています。食品医薬品局が加えられたのは、まだ臨床試験が終わっていないDengvaxiaを承認したからです。
2017年11月と2018年4月に完了する予定だった試験があるのに、サノフィ社は2015年1月にDengvaxiaの登録申請を提出。食品医薬品局は2015年12月に、Dengvaxiaの販売を承認したとのこと。
臨床試験が完了していないというのは、コロナワクチンもそうでした。

特例承認した時点で、臨床試験は完了していませんでした。Q&Aには安全性に関して「厳格な評価が行われた」と書いてありますが、審査報告書には下記のように書かれています。

「本剤の長期データを含む日本人の安全性について、製造販売承認時までに得られる情報は限定的であり(7.R.3 参照)、本剤接種後の SARS-CoV-2 感染時に、疾患増強が理論上引き起こされる可能性もある
ことから(3.R.3 参照)」「また、本剤の臨床試験で十分な安全性情報が得られていない、COVID-19 の重症化リスクが高いと考えられる基礎疾患を有する者」とありますが、接種前にこのことをしっかりと説明している医師はいたのでしょうか。
フィリピンの話に戻します。
2019年の記事では、報告された死亡例がワクチン接種と因果関係があるという臨床的証拠はまだないと書かれています。
上記の記事(2020年2月21日付)でも、「科学は、Dengvaxiaと関連のある死亡例はないことを何度も証明しています」とJanette Garin氏は述べたとあり、因果関係の証明は難しいようです。
訴訟は、死亡に関することだけでなく、不正や汚職など、いろいろ絡んでいます。
フィリピンでの惨事からわかる重要なことは、20年かけて開発したワクチンでも、安全性について問題があったということです。それがADEと関連していることは、コロナワクチンにもつながります。
コロナワクチンとADE
コロナワクチンのADEについて、前述のウイルス学者Scott Halstead氏は、下記の論文を出しています。
12 August 2020
要旨には、コロナワクチンについて下記のように書かれています。
Live virus challenge of animals given SARS or MERS vaccines resulted in vaccine hypersensitivity reactions (VAH), similar to those in humans given inactivated measles or respiratory syncytial virus vaccines. Safe and effective COVID-19 vaccines must avoid VAH.
SARS または MERS ワクチンを投与された動物に生ウイルス暴露を行うと、VAHが引き起こされた。だから、 安全で効果的な COVID-19 ワクチンは VAH を回避する必要がある、とのこと。
VAHとは、ADEのうちの1つと説明されています。ADEについては、厚労省のQ&Aにも説明があります。

抗体依存性感染増強(ADE)とは、ウイルスの感染やワクチンの接種によって体内にできた抗体が、ウイルスの感染や症状をむしろ促進してしまうという現象です。
新型コロナワクチンを接種した方で、ADEが起こり重症化してしまったという報告は、臨床試験でも実用化後でも、現時点において確認されていません。
何度も書いていますが、「現時点」がいつなのか書かれていないことが問題ですし、情報が更新されていません。
Scott Halstead氏の論文に戻ります。
On inspection, ADE is not 1 but 2 vaccine-related immunopathological phenomena: intrinsic ADE (iADE) and vaccine hypersensitivity (VAH). iADE describes interactions between microbial pathogen IgG antibody immune complexes that attach to Fc receptors to initiate infection but also enhance replication of the microbe by suppressing innate cellular defenses [4, 5]. VAH was first described in humans in the early 1960s, after formalin-inactivated measles vaccines were introduced in the United States and Europe. Within months, large numbers of vaccinated children developed a severe breakthrough disease, called atypical measles [6].
ADE にはワクチンに関連した免疫病理学的現象が2つあり、iADE とVAH だと説明しています。
VAHはホルマリン不活化麻疹ワクチンが米国と欧州で導入された後の1960年代初頭に初めてヒトで報告された現象で、 ワクチン接種を受けた多数の子どもたちが数か月以内に、非定型麻疹と呼ばれる重度の突発性疾患を発症したとのこと。
Given the magnitude of the repertoire of COVID-19 problems and the need for an effective vaccine, the full force of worldwide investigative resources should be directed at unraveling the pathogenesis of VAH.
論文では、新型コロナワクチンについて「世界中の調査リソースの総力をVAHの病因解明に向けるべきである」と締めくくっています。
Scott Halstead氏は2021年9月にも、ADEに関する論文を出しています。
2021 Sep 9
Key Points
Human and veterinary vaccines may sensitize to enhanced breakthrough virus infections.
At least two mechanisms of sensitization, antibody-dependent enhancement and vaccine-associated hypersensitivity, are identified.
Vaccine safety requires studies designed to identify and avoid virus vaccine-enhanced disease.
キーポイントの中で、「ワクチンの安全性を確保するには、ワクチンによって増強される疾患を特定し、回避するように設計された研究が必要」だと言っています。
さらに本文で、ADEやVAHのメカニズムの多くはまだ解明されていないとも言っています。
つまり、デング熱や新型コロナウイルス感染症などの新しいワクチンには「予防するために接種したのに、逆に重症化してしまう可能性がある」ということです。
20年かけて開発したワクチンでも起きたのですから、たとえ基礎研究はしていたとしても、1年や100日という短期間の臨床試験では確認できないでしょう。ですから、短期間で実用化され、承認されたワクチンには何が起きるかわからないのです。それなのに、なぜ政府は300日で実用化されたコロナワクチンを「安全」だと言い切るのでしょうか。
そして、国民の約8割がワクチンを接種したのであれば、コロナ感染して重症化した人に対しては、ワクチンによるADEの可能性を検証をするべきではないのでしょうか。
サノフィ社のDengvaxiaに代わる武田薬品のQDENGA
新たなデング熱予防のワクチンとして、武田薬品のワクチンが各国で承認されつつあります。
新型コロナウイルス感染症向けワクチンは、米政府によるワープスピード作戦などのおかげでパンデミック(世界的大流行)の発生からわずか1年で実用化されたが、ワクチンの開発には通常なら10年近い歳月がかかるともいわれている。実際、武田薬品工業が開発してきたデング熱ワクチン「TAK-003」は約10年の開発期間を経て、ようやくグローバルワクチンとしての実用化が見えてきた。
こちらは開発期間10年。サノフィ社のワクチンと違って、感染経験の有無を問わず使えるそうです。
武田薬品のTAK-003は、4つある全てのタイプのデングウイルスに有効な「4価ワクチン」だ。このため、接種をすると全てのデングウイルスに対する免疫を獲得でき、感染経験の有無に関係なく使うことができる。現在承認されているワクチンは、接種前に検査で抗体の有無を調べる必要があるが、TAK-003は検査なしで誰でも利用できるようになりそうだ。
「なぜ開発に10年もの時間がかかったのか」。ウェバーCEOは27日の説明会でこの問いに対して、デングウイルスが4つのタイプから成る複雑なウイルスで、感染後に重症化する例があるという難しい感染症であることに加えて、4年半の時間をかけて臨床試験を行ったことを挙げた。「開発期間の半分は、長期の安全性と有効性のデータを得るために試験を行っていたということを理解してほしい」
「開発期間の半分は、長期の安全性と有効性のデータを得るために試験を行っていた」と言っていますが、コロナワクチン以降は、なぜ短期間の臨床試験でも承認されるようになったのでしょうか。
QDENGA® ▼(4価弱毒生デング熱ワクチン)のインドネシアにおける承認取得について (2022年8月23日)
QDENGA®▼(4価弱毒生デング熱ワクチン)の欧州連合における承認取得について(2022年12月8日)
QDENGA ®▼(4価弱毒生デング熱ワクチン)のブラジルにおける承認取得について (2023年3月14日)
米国におけるデング熱ワクチン候補(TAK-003)の生物学的製剤承認申請の自主的取り下げについて(2023年7月12日)
アメリカでは申請を取り下げています。
このワクチンについても、前述のScott Halstead氏は2021年9月の論文で、試験のデータから見えるリスクに触れていました。
日本で今、起きていること
フィリピンの事例を見ると、日本と同じようなことが起きていますが、予防するために接種したワクチンで、健康だった人が死亡したり、病気になったりすることに対してはっきりと「No!」と言っている点が違っていると思います。
国が勧めるから「安全」とは限らないことや、リスクに関する医師たちの発信は「デマ」と決めつけずに耳を傾けるべきだということは、フィリピンの事例からもわかります。
フィリピンの事例から、コロナワクチンやHPVワクチンなどについても、「デマ」や「陰謀論」という言葉に惑わされずに、自分で調べて「事実」を見極めることが大切だと思います。
