バンビーノ いぇすんどぅる。
シャボン玉が流れてきて眼の前で消えた。
少し離れたところで小さな子供が何人かでシャボン玉を飛ばしでいるのがオレとビーノのところまで流れてきたみたいだ。
昔よく遊んだよねえ。
昔って言うのはどの昔だ。
どの、って、施設でも二人で遊んだし、ケイがジニのおじいちゃんんち来た時も、ジアンとジュノとかみんなで遊んだこともあったよ?
そうか。そんなこともあったか。
もうひとごとみたいにさあ。
いいところだな。
村までビーノの母親に迎えに来てもらって、ついでに買い物に行くという母親にヨメはついていき、ビーノと二人でぼんやりと広場で暇をつぶしている。
でしょー、お祭りのときはねえ、この広場がひとでいっぱいになるの、こんな小さな村のどこにこんなにたくさんの人がいたのって思うんだよねえ。
どうなんだ。体の調子は。
うーん、まあまあかなあ。お酒そんなに飲まなくなったかも。あのね、あそこのパブで歌わないかって誘われてるの。今検討中かなあ。ケイは?どうしてるの?歌ってる?
レッスンに来いって先生がうるさいから仕事の合間に行くようにしてる。
先生、引退しなかったんだ?
ああー、麻痺が残ったのは左脚だけだから続けるってよ。
ふうん、元気なんでしょ?
すげーよ、下手なことしたら杖で脚叩くんだぜ。
ふふふ。元気そうでよかった。で、レッスンだけ?
今のとこな。
オレたちのことはもう終わったことなんだろう、事務所からなんの連絡もない。それに、自分を売り込んで行く気力みたいなものがオレの中には残ってない。ビーノが眠ってる間に起こったことがオレからすべてを抜き取っていったみたいだ。
ジニとジュノの合同葬儀にマネージャーのひっそりとした葬儀。新作として発売するはずだったのを追悼アルバムとして売り出したこと。次々と差し出されるマイク。あの場所に戻るなんてごめんだ。
このあたりで観光したい場所なんてあるの?僕も最初連れてってもらったけど、昔のお城とかお姉さま興味あるの?おっきい街で買い物とかしたいんじゃないの?
オメーの顔見に来たんだよ。大事な大事な推しの顔とやらをよ。
僕の顔〜?
ビーノはそう言って自分の頬を掴んだ。
こんな顔のどこがいいのかなあ。
知らね。
ねえねえ!見て見て、こんなにかわいいの!
噂をすれば、
ビーノの母親と買い物に行ってたヨメが戻ってきて、シャボン玉の子どもたちと写真を撮ってる。なんか袋を山のように抱えてやがる。
ちょっと、荷物持ってよぉ、うまくこの子たちと写真撮れないわ。
へいへい。何をこんなに買い込んだ?
雑貨屋さん全部買い占めたくなるくらいかわいいの。それにいい色のセーターがあったから、おばあちゃんとあんたと私の分買っちゃった。見てみてこの色。いいでしょう?
広げたセーターの上にふんわりとシャボン玉がおりた。
