【成長戦略レポート】タワーセミコンダクター(TSEM)― 過去最高収益・過去最高益 ― AIデータセンターの「光配線」を握る成長株
AIデータセンター向け光接続で急成長するイスラエル発のアナログ半導体ファウンドリ。2026年8月4日発表の第2四半期決算は、売上高・粗利益・営業利益・純利益のいずれもが過去最高を記録しました。日本(富山・新潟)への30億ドル投資拡大も発表され、株価は12ヶ月で570%近く上昇しています。市場規模・政策・コスト構造の3つの軸から整理してみました。
■ 足元の数字(2026年8月時点) ・26年Q2 売上高(確定実績):4.60億ドル(過去最高、前年比+24%) ・26年Q2 純利益(確定実績):0.91億ドル(前年比+95%、純利益率20%) ・26年Q3 会社ガイダンス:売上高5.20億ドル(会社記録見込み、前年比+31%) ・シリコンフォトニクス 年間換算売上高:6.8億ドル(26年Q2時点、Q4に10億ドル突破目標) ・日本(富山・新潟)投資拡大:約30億ドル(うちMETI補助金最大10億ドル、2026年7月14日発表) ・株価 12ヶ月騰落率:+569.83%
01|市場規模:AIデータセンターの「光配線」というボトルネック市場
タワーセミコンダクターの成長シナリオは、AIクラスターが必要とするのは先端ロジック半導体だけではなく、加速器・スイッチ・メモリ間でデータを移動させる「光接続」も不可欠だという、あまり目立たないボトルネック市場への集中に根ざしています。
2026年8月4日発表の第2四半期決算によれば、AIデータセンター需要を追い風にシリコンフォトニクス事業は年間換算売上高で6.8億ドル規模に達しました。会社側は2026年第4四半期に年間換算10億ドルの水準を超え、2027年も大幅な成長が続くとの見通しを示しています。エルワンガーCEOは、2028年の長期財務目標を売上高36億ドル・純利益12億ドルへ上方修正したことも明らかにしました。
02|政策:METI支援による日本(富山・新潟)への30億ドル投資
2026年7月14日、タワーセミコンダクターは日本政府の支援のもと、300mmシリコンフォトニクス・SiGe・先端パッケージング能力の「デュアルトラック」拡大を発表しました。投資規模は約30億ドル(約6,000億円)で、うち日本政府の補助金は最大10億ドル(約1,600億円)に達します。新潟県妙高市の荒井施設(旧Fab 6)を300mmシリコンフォトニクス・先端パッケージング向けに転用し、富山県魚津市のFab 7の300mm生産能力も最大化する計画で、2027年第4四半期の完全生産体制を目指します。
03|コスト構造:過去最高収益・過去最高益を更新
2026年8月4日発表の第2四半期決算は、売上高4.60億ドル(+24%、過去最高)、粗利益1.38億ドル(+72%、過去最高、粗利益率30%)、営業利益0.90億ドル(2.3倍、非経常項目除き過去最高)、純利益0.91億ドル(+95%、純利益率20%)と、極めて力強い内容となりました。調整後EPSは0.88ドルで、市場予想の0.77ドルを上回っています。
会社側は2026年第3四半期の売上高を5.20億ドル(会社記録見込み、前年比+31%)と見込んでおり、2026年を通じて四半期ごとの増収・マージン改善を目指す方針を継続しています。
04|事業別動向:シリコンフォトニクスの急拡大と、300mm RF SOI事業の減収
成長を牽引するシリコンフォトニクスの一方、300mm RF SOI(シリコン・オン・インシュレータ)製品は、製造移行と生産統合の影響で前年比14%の減収となりました。ただしエルワンガーCEOは、プレミアムスマートフォン向けで設計受注(デザインウィン)の勢いを確保しており、2027年半ばまでに300mm RF SOIのウェハースタート数が26年第2四半期出荷水準の3倍になる見通しだと説明しています。パワーマネジメント事業は前年比で増収、イメージセンサー事業では半導体・EVバッテリー検査用の高解像度マシンビジョンセンサー需要が増加しています。
05|リスク要因
①インジウムリン(InP)原材料の供給制約:統合レーザー・変調器のランプアップに影響しうる懸念材料 ②ファブ稼働率のばらつき:SiPho・SiGeの認証プロセス継続中 ③需要集中リスク:シリコンフォトニクス事業は少数の大口顧客への集中度が高い ④補助金の条件・コベナンツによる不確実性:会社側も注意喚起 ⑤急騰後の株価調整リスク:12ヶ月で570%近い上昇、テクニカル的に買われ過ぎのシグナルも ⑥300mm RF SOI事業の減収:26年Q2は前年比14%減、回復は2027年半ば以降の見通し
━━━━━━━━━━━━━━ 06|総括 ━━━━━━━━━━━━━━
タワーセミコンダクターの成長ストーリーは、AIデータセンターの「光配線」という目立たないが不可欠な市場で、シリコンフォトニクス事業を軸に驚異的な成長を遂げている点に集約されます。2026年8月4日発表の決算で過去最高収益・過去最高益を確認し、2028年の売上高目標も36億ドルへ上方修正するなど、成長ストーリーは実績によって裏付けられつつあります。一方で株価は既に12ヶ月で570%近い急騰を遂げており、期待の織り込み度合いや、300mm RF SOI事業の減収、ファブ稼働率のばらつきといった足元の制約要因も踏まえたバランスの取れた評価が必要です。
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※本レポートは公開情報の整理・分析を目的として作成したものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は2026年8月時点の公開情報(2026年8月4日発表の第2四半期決算を含む)に基づいており、今後の決算・市場動向により変動します。投資判断は必ずご自身の責任において行ってください。

