【開催レポート】第1回ヨリアイ「働く若者の夜編」を開催しました
「ヨリアイ」企画チームです。
今年の6月から立ち上げの準備を進めてきた対話の場「ヨリアイ」ですが、先日、記念すべき第1回目となる「働く若者の夜編」を開催しました。
当日の様子を、私たち事務局が感じたことや、あの日生まれた対話の様子を交えながら、レポートとしてお届けしたいと思います。
悪天候のなか、手探りで始まった最初の場
開催日となった6/24の夜は、あいにく梅雨の曇天。
近隣の地域では洪水警報が発表されるかもしれないという非常に不安定な天気で、正直なところ、事務局としても無事に人が集まってくれるだろうかと手探りの不安を抱えていました。

しかし、その不安は良い意味で裏切られることになります。
私たちの予想を大きく超える、たくさんの方々が会場へと足を運んでくれたのです。
事前申し込みをしてくれていた方だけでなく、事務局が把握していなかった「初めまして」の方々が、お友達や知り合いを誘って次々と来てくれました。さらに、この6月に豊前市に着任したばかりの新しい地域おこし協力隊の彼も参加してくれました。


参加してくれた一人ひとりが、本当にこの場を求めていたのか、どういう気持ちで来てくれたのか、その内面までは分かりません。
それでも、あの悪天候のなかで、お互いに声を掛け合いながらこれだけ多くの顔ぶれが集まってくれたという事実そのものが、事務局としてはただただ純粋に嬉しく、どこか感慨深いものがありました。

今回の会場:多目的交流施設「ZigZag」
記念すべき最初の会場となったのは、八屋の商店街通りにある「多目的交流施設 ZigZag(ジグザグ)」。
ここは元印刷工場だった建物をリノベーションして作られた場所で、コワーキングスペースや多目的ホールを備えた、まちと人をつなぐ拠点として2023年にオープンしました。
この空間に、当日は豊前市内外から約15名の若い世代が集まってくれました。
議論ではなく「対話」を。自分の言葉で話すということ
夜19時、ヨリアイがスタートしました。
最初に私たちからお伝えしたのは、一般的な会議などで行われる「議論(ディベート)」と、今回の「対話」の違いについてです。

物事を批判的に検証し、より精緻で間違いのない形にブラッシュアップしていく議論は、現代社会を支えるために不可欠なものです。しかし、今の私たちに必要なのはそれだけではなく、お互いの日常や価値観を分かち合う「対話」の要素でもある、という話をしました。
どこかで聞いたような正論や、外からインプットしただけの一般論をスマートに話す必要は一切ありません。何か一つの結論を出したり、正解を導き出したりすることが目的の場でもないからです。
うまく話せなくても構いません。何よりも大切にしたかったのは、自分自身の言葉、自分自身の理解や感情、あるいは日常の価値観で話をしてもらうこと。そんな約束を共有して、いよいよ本編のトークが始まりました。

コインの裏表のような、この街の「心地よさ」と「不便なところ」
グループトークでは3つの問いを用意したのですが、対話を進めるうちに、この街の「良いところ」と「不便なところ」が、実は全く同じひとつの事象の裏表のようにつながっていることが見えてきて、非常に興味深いなと感じました。
たとえば、ある参加者の方が「隣の90歳のおばあちゃんが、家族みたいにものすごく面倒を見てくれる。人情味があって、人と繋がりやすい街だ」と日頃の実感を語ってくれました。
しかしその一方で、その温かな繋がりは、角度を変えれば「地元すぎて、どこに行っても知り合いに会いすぎる」という気恥ずかしさにもなります。「ちょっと品のない格好をしているときに会うと恥ずかしい」「車の中で大熱唱しているのを見られないかいつもハラハラする」というリアルな本音には、会場全体からどっと笑いが起きていました。

他にも、チェーン店に行きたくて隣町の中津まで車を出しがちであることや、夜のタクシーが少なくて飲みに行くのが大変なこと、そして「出会いの場が圧倒的に少ない」という切実な声も飛び出しました。
これらは一見すると地方のマイナス面かもしれません。ですが、参加者の一人が言った「でも、こういう不便なところも含めて、全部この街の個性であり、良さなんだと思う」という言葉に、多くの方が深く頷いていたのが印象的でした。


ジビエ、お庭友達、隠れた海。それぞれの日常の風景
後半は、参加者のみなさん一人ひとりに、今日感じたことやこの街への想いを1分程度で自由にスピーチしてもらいました。
北九州から移住してきた女性が、隣の80歳のおばあちゃんと言葉を交わし、植物の根っこを引き抜いて交換したり種をシェアしたりする時間に、何にも変えがたい幸福感を感じていると語ってくれたり。
この街に住んで1年半の男性が、好きなジビエの話題から地元のディープな場所を教えてもらい、自分の足でまだ知らない良いところを見つけていきたいと語ってくれたり。
地元出身のフォトグラファーの方は、「みんな山ばかり言うけれど、漁港の夕日が沈む海の景色が本当に綺麗。落ち込んだ時は海辺を散歩して、パンを持って行って本を読む。そんな落ち着く隠れたスポットがある」と教えてくれたり。
お祭りで繋がる人間関係や、地域の子どもたちの素直さなど、それぞれの胸にある「この街での暮らしの風景」が、そのまま共有されていく時間になりました。

だれかの意見が、自分ごとに。
あっという間の2時間でした。最後にみんなで集合写真を撮影し、第1回のヨリアイは幕を閉じました。
「地域活性化」という大きくて難しい言葉を使わなくても、誰かの「ここが好き」「ここが不便」「こういう暮らしをしている」という生の声にじっと耳を傾けているうちに、「あ、自分もそういうところあるな」とか「この街にそんな一面があったんだ」と、いつのまにか自分のこととして響き始める。
大きな主語で地域の未来を語るよりも、目の前の誰かの言葉が、自分の心に繋がっていく。ヨリアイという場を開いてみて、そんな変化の兆しを肌で感じられたことが、事務局にとっての大きな収穫でした。
ご参加いただいた皆様、足元の悪い中、本当にありがとうございました。
ヨリアイはこれから、子育て世代、学生、シニア世代など、様々なセクターに分けて全6回、同じように本音を集めていきます。そして6回目以降は、そこで出てきたみんなの「問い」を持ち寄り、世代をごちゃ混ぜにした大きな対話の場へと進んでいく予定です。
これからの活動も、そっと見守っていただけたら幸いです。

