【別冊】『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』感想(Z世代にとってのアニメ映画と映画館)
私はこーへです。
皆さん。『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』もう観ましたか?イラストレーター・ナガノ氏が描く、X(旧:Twitter)発の漫画作品『ちいかわ』待望の初映画化。ということで、総作画監督にも名を連ね、万全の体制でちいかわというIPのハンドルを自身で握りながら、完璧に世界観を99分持続させた原作にも負けず劣らずの素晴らしい作品であったことをまずここで言っておきたいと思います。

まずその大きな要因としてトクマルシューゴ監修の劇半があったと思います。「ひとりごつ」から『ちいかわ』と並走している中で、今回は冒険譚として映画としてのスケールの大きさ、劇場版としてのワクワク感をオーケストラを加えたり、陽気な島の音楽を打楽器を加えることによって担保していたと思います。そして、なによりも僕としては筆ペンのなんともいえない輪郭線に太さがあるキャラクターたちが大画面でスクリーンに映っていることにデジタルやCGが多用される映画の中で特異な、どこかアナログなあたたかみを感じました。
こんな感じで最初はもちろん映画ちいかわの感想を素朴に話しています。その中で”映画”としてみたときの違和感や『劇場版 鬼滅の刃』以降のビジュアル・セリフ両面での説明過多な、分かりやすさを何よりも重要視する演出を感じたシーンについて言及したり、逆に原作以上に深みを増していたラストの人魚のひみつパートの凄み、寓話としての完成度について話は及んでいます。
そしてなによりも、ド!ド!ド!名曲のOPの「くつずれ」とED「机さする」について話さないといけません。ハチワレ役の声優:田中誠人とちいかわ役の声優:青木遥がそれぞれ歌唱を担当し、ナガノ氏が作詞を担当しています。ナガノ氏の作詞のセンスは恐ろしい。ちいかわが大冒険をした後に、”机さする”という生活の機微にフォーカスを当てる歌詞。「くつずれ」ではタイトルバックも相まってこれから画面で巻き起こるちいかわのネバーギブアップ!が想起され、「机さする」ではSNSで話題になっている通りのままならない誰もが心にわだかまりを残すラストの余韻を邪魔することなく、しかし爽快に優しい歌声で劇場を満たしてくれます。
覚えてても 忘れそうでさ
書いとこ こわいから
”書いておこう”ではなく”書いとこ”と話し言葉にする所や、”ひとりごつ”・”くつずれ”・”さする”といったひらがなを用いたキャッチコピー能力は『ちいかわ』という作品の本質でしょう。そのひらがなを用いたキャッチコピーの祖である糸井重里的なものとの共通点や違いについても話しています。糸井重里が連日ちいかわの話題をしてるのもそりゃ納得という。
あらためて知るおもしろさ。
— 糸井 重里 (@itoi_shigesato) July 29, 2026
映画『ちいかわ』が従来のアニメ大作と異なるポイント 異例の製作体制でやってきたこと、やらなかったこと #エキスパートトピ(武井保之)#Yahooニュースhttps://t.co/jGogdKJUyL
そこから話は僕ら世代の映画館とアニメ映画との関係性についての話になりました(THE SIGN PODCASTの「映画的」回の感想も兼ねて)
誇張して言うならば、平成一桁生まれの子供にとって、映画館とはアニメの劇場版を観るために行く場所だったということです。そして、ポケモンの映画を筆頭に特典(僕で言えばジラーチとか伝説のポケモン)をもらうために、そもそも親に「この映画観たい!」とねだっていたという事実です。もちろん『ハリー・ポッター』など実写映画も観に行ってはいますが。
映画館とアニメ・特典商法との蜜月は今騒がれているよりもずっと前から僕らと共にあり、そしてそれは今なんならシネフィル的作品の方こそポスターが配られるように全面化していったということになります。【打合せ】乃木坂46と『東京の生活史』(橋本愛と映画:GEO→上京→テアトル新宿)回では、大学以降の二人の映画館遍歴について話していたように思いますが、今回は我々の幼少期の街の映画館からシネコンへと移っていく映画館遍歴について話しています。
現在(いま)を知る。
結局、「愛」と「青春」と「正義」しか大事なことなんてないことを知る。
そのためにも映画ちいかわ、是非鑑賞してみてください。
おすすめです。
【別冊】『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』感想(アニメ映画と映画館の歴史)(音声95分)
ここから先は
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
