あやまらなくていい。
私は謝られるのが嫌いです。と言うより苦手です。謝られると、むしろ罪悪感を感じるから。
特に仕事において謝罪する原因、その多くは悪気無く起こしてしまった失敗。でも、失敗に対して自らの意思で謝れる人って、もうその段階で心を痛めていて、反省している。だから、もう謝らなくて良いよ、と思うのだ。
反省しているのが部下であれば、繰り返さない方法を一緒に考えるのが私の仕事であって、反省して心を痛めている部下を叱責して、やる気を失くさせるのは私の仕事じゃない。
そもそも謝る相手は私じゃなくて、ご迷惑をお掛けしたお相手。時には代わりに謝ったり一緒に謝ったりすることもあるけれど、それは私の職責だから、当たり前のことである。日常最前線で戦ってくれているスタッフよりも私の報酬が高いのは、こういう時に「上の奴に謝らせたぜー」って優越感に浸りたい輩の為の管理職だからだ。奴らの多くは謝る相手が変われば納得する。往々にしてそんなものだ。
無論、油断や考えの甘さからのミスで、そのミスに対して反省を感じなければ注意をする。注意されても反省しない人間は成長もしないから、そのように低く評価する。形式的に謝って来たとしても、反省していないなら意味ないし、それは態度や雰囲気で伝わって来るものだ。
そんなわけで、私は「私に謝らなくて良いから、反省して改善しよう」と伝えるようにしている。
話は変わって、芸能人の謝罪会見。
謝罪会見自体は昔からあると言えばあるのだが、ここ最近異様に多い。頻繁に何かしらの問題で、誰かしらが謝っている。…が、いつも思う。一体誰に謝ってんの、これ?と。
不倫であれ事故であれ薬物であれ、基本的にはそこに関係する当事者間の問題だと思う。後は強いて言えばファンに対して、期待を裏切ったという意味での謝罪は必要だろう。それはファンクラブのサイトなり会報なりで謝れば良い。わざわざ会見を開いて記者を集めて、不特定多数のファンでも無い大衆に向けて謝罪をする…。全然意味がわからない。
なのに、今じゃ“会見しない=悪”みたいな状態になっている。会見させて、質問浴びせて、一言一句上手く対応しないと叩かれる。あれは一体何の儀式なんだろうか。
大衆向けのメディアの大半は、ジャーナリズムを大義名分にしているだけの営利企業でしかない。だから、野次馬が騒いでくれそうなネタならなんだって良いのだ。
そして社会や私生活にストレスを抱えた空腹の野次馬達が、メディアの蒔いた餌にガツガツと群がる。自分達がただ踊らされている野次馬であることに気が付けず、自分達の正義を信じて無責任な発言を書き込む。匿名というフィルターに隠れながら、言葉の暴力という手榴弾を無自覚に放り投げる。そこに加害者意識は皆無だ。それがイジメと同じ精神性からの行動であるなんて、思いもしない。言われたところで、認めやしないよね。
ネットの進化によって、特に不倫のような情報は、昔より簡単に得られるようになっているのだろう。だからメディアは簡単に生贄を見つけられるのだ。そして赤の他人が相手なら、高が知れた報酬の為に、軽々に売ってしまう愚か者達。その人の人生が今後どうなるかなど、想像もしないのだろう。
この国は法治国家だから、その行為に違法性があれば法的に罰せられる。違法性が無いのなら、それはあくまで当事者間の問題でしか無い。しかしながら、この野次馬達にはそんな道理は関係無いのだ。法的に問題が無いとしても、自分達の枠から外れた者は、容赦せず社会的に抹殺する。メディアと野次馬が輪になって集団リンチを行う。野次馬が興味を持つ内は、他の餌に興味が移らぬ内は、あれやこれやと火に油を注ぎ続ける。地獄のマイムマイムだ。法で裁けないなら我々の手で!とでも思っているのだろうか。
本当にくだらない、下衆な祭だ。本来なら、大衆に謝る必要すら無いのに。
また話は変わります。
ここまでの話とは完全に矛盾するけれど、子供に対しては謝ることの大切さを教えます。
「自分に悪気が無かったとしても、相手が嫌がることをしたなら謝らなきゃダメだよ」
そんなふうに教える。
一見矛盾しているようだけど、たぶんそれは“謝ることの意味や大切さ”を教えているのだろうと自分では思っている。子供は何も知らない。だから、小さい内に謝ることを教えてあげないと、謝ることの意味や大切さを教えてあげないと、きっと謝れない大人になってしまうから。誰かを傷付けても謝れない大人にしまうから、教えるのだと思う。
謝らなくて良い、というのは私個人の想いです。謝れる素直さは大切。逆に、自己顕示欲だかなんだかの為に、人に謝罪を強制するのは愚か者でしかない。
謝るという行為には、それくらい深くて重い意味があるから、私はあまり謝られるのが好きじゃないし、苦手なんだと思う。罪悪感を感じて、お腹ピーピーになるからね。
関係ないけど、サンドウィッチマンの『謝罪会見』のネタ好き。
………、以上。
