発達凸凹の子が片づけられない本当の理由。叱る前に知ってほしい、脳の負担と家庭でできる支援
どうして片づけられないの?
毎日目に入る散らかった部屋に、ため息が出たり、イライラしていませんか?
まず知ってほしいことは、片づけは「気合」や「根性」で出来ることではないということです。
発達凸凹のある子にとって片づけは、
・考えることが多すぎる
・不安が強くなりやすい
・脳のエネルギーを大量に使う
とても負荷の高い課題です。
うまくいかないのは当然で、親の声かけやしつけが足りないわけではないんですよ。
発達凸凹の子が片づけられない理由
理由①「片づけ」という言葉が抽象的
私たち大人にとって「片づける」ということは、深く考えなくてもできる一連の作業です。
床に散らばっている物を見渡す
種類ごとに分ける
置き場所を思い出す
元の場所に戻す
ですが、発達凸凹のある子、特にASDやADHDの特性をもつ子にとって、この一連の流れは同時処理が多すぎる作業なんです。
「片づけて」と言われた瞬間、
片づけるってどうするの?
どこから始めればいいの?
どこまでやれば終わりなの?
が分からず、脳が止まってしまいます。
その結果、動けない・固まる・他のことを始める、という行動になってしまいます。
理由② 視覚情報が多すぎると、思考がフリーズする
発達凸凹の子は、視覚情報の取捨選択が苦手なことがあります。
床に物がたくさんある状態は、
大人以上に情報過多です。
あれも目に入る
これも気になる
音や声も同時に入ってくる
結果として、
「片づけを始める前に疲れてしまう」状態になります。
これは意欲の問題ではなく、
脳の処理容量の問題です。
理由③ 遂行機能(やり切る力)が弱い
計画を立てる
途中で修正する
最後までやり切る
このような「遂行機能」が弱いことがあります。
片づけを始めたとしても、
途中で別のおもちゃを見つける
他の刺激に注意が移る
その結果、途中で終わってしまうのです。
理由④ 「正解」が分からない不安
「正しくやれているかどうか」が分からない状態を、とても不安に感じる子もいます。
これはここで合っている?
勝手に動かしていい?
こんなところに置いて叱られない?
こうした不安があると、最初から動かない方を選ぶことも少なくありません。
理由⑤ 片づけ=嫌な記憶になっている
何度も叱られたり、片づけのたびに親子で揉めていると、
「片づけ=怒られる」「失敗する」
という記憶が強化されます。
その結果、片づけそのものに強いストレス反応が出るようになってしまいます。
親がやってはいけない関わり
良かれと思ってやっているママの関わりが、子どもの片づけをより難しくしていることが多いこともあります。
やってはいけない関わり①
「なんでできないの?」と理由を聞く
発達凸凹の子は、
自分がなぜできないのかを言語化できないことがほとんどです。
理由を聞かれること自体がプレッシャーになり、
黙る
ふざける
反発する
という形で出てしまいます。
やってはいけない関わり②
「全部片づけてから…」と言っていませんか?
片づけが終わる見通しが立たない状態での「全部」は、子どもにとって絶望的です。
途中で投げ出してしまうか、最初から手をつけない選択になりやすくなります。
やってはいけない関わり③
親の基準で勝手に直す。
子どもなりに片づけたあと、
向きが違う
これはココじゃない
キレイじゃない
と親が直してしまうと、
「どうせちゃんと出来ない」「やっても意味がない」
という学習につながってしまいます。
やってはいけない関わり④
できていないところだけを見る。
発達凸凹の子は、もともと失敗体験が積み重なりやすいです。
ここができていない
まだ終わっていない
できていないところばかりを指摘されると、取り組む意欲そのものが下がってしまうんです。
やってはいけない関わり⑤
片づけを「しつけ」や「態度」の問題にする。
「やる気がない」
「だらしない」
こういう見方は、NGです。
片づけは、
発達段階と環境調整の問題です。
ここを取り違えると、親子関係だけが消耗していきます。
だからこそ、叱る・急かす・正そうとする前に、環境と関わり方を整えるサポートが必要になります。
片づけが「できる・できない」という視点で評価するのではなく、「どうすれば脳の負担が減るか」という視点に切り替えることが大切なんです。
親にできる具体的なサポート
対策① 「片づけ」を極限まで分解する
「片づけて」という言葉は使いません。
一文一動作が基本です。
例えば…
「床にあるブロックを、青い箱に入れてね」
「次は、本を3冊だけ本棚に戻すよ」
このように”何をどこに”をはっきりと伝えましょう。
対策② 収納は“きれい”より“戻せる”を最優先
フタ付きの入れ物
細かい分類
見た目のキレイさ重視
これは、発達凸凹の子には難易度が高すぎます。
投げ入れOK
大まかな分類
写真や色で視覚化
「散らからない収納」ではなく、「戻せる収納」を目指します。
対策③ 親が8割やってもいい
発達凸凹の子にとって、片づけは発達途中の課題です。
親が仕組みを整える
子どもは一部だけ参加する
それで十分なんですよ。
対策④ タイミングを選ぶ
疲れているとき、遊びの途中、気持ちが切り替えられていないとき。
このタイミングでの片づけは、ほぼ失敗します。
対策⑤ 「できた」ではなく「取り組めたこと」を評価する
床に出ているものが全部片づいたか、ではなく
一緒に始められた
1分取り組めた
ここを評価してください。
対策⑥ 完璧を目指さない
毎日キレイな部屋を目指す必要はありません。
今日は昨日よりマシ
ココだけ片づいた
それで十分です。
対策⑦ 片づけを「可視化」して終わりを見せる
発達凸凹の子にとって、片づけがつらい理由の一つは、どこまでやれば終わりなのかが分からないことです。
そこで有効なのが、片づけの進み具合を目で見て分かるようにする「可視化」です。
<シールを使う場合のポイント>
シールは、ごほうびではありません。
やった事実を確認するための記録として使います。
おすすめは、
作業を細かく区切る
1ステップ終わるごとに1枚貼る
例えば…
ブロックを箱に入れた → シール1枚
本を棚に戻した → シール1枚
全部終わらなくても、やった分だけ貼ってOKです。
<注意点>
できなかった日は貼らなくていい
ごほうびと結びつけない
親が管理しすぎない
シールを貼ることが「評価」になってしまうと、不安や拒否につながりやすくなります。
<シールが合わない子には>
チェック表に✓をつける
マグネットを動かす
タイマーで「ここまでで終了」と時間を決める
どれも共通しているのは、終わりが見えることとできた・できないを評価したり、責めたりしないことです。
可視化が合わなければ、無理に続ける必要はありません。
お子さんのタイプに合わせてくださいね。
悪循環パターン
家庭でよく見られるのが、次の流れです。
部屋が散らかる
親が不安・焦りを感じる
子どもに強い言い方をしてしまう(早くして!・なんでできないの!)
子どもが固まる・反発する
さらに片づかなくなる
この流れが続くと、片づけの問題はいつの間にか親子関係の問題にすり替わってしまいます。
流れを止めるタイミング
それは、親の気持ちが不安や焦りを感じたタイミングです。
また散らかってる…
何回言えばいいの
この心の動きが出た時点で、すでに悪循環は始まっています。
子どもへの強い声かけが出てしまうと、その後はほぼ自動的に4、5へ進んでしまいます。
だから、ママが声に出す前に止めることが重要です。
どうやって止めるのか
難しいことはしません。
次のどれか一つで十分です。
その場を一度離れる
深呼吸を一回する
「今は片づけをさせる時間じゃない」と決める
目的は、「子どもを動かすこと」ではなく、ママ自身の感情を静めることです。
流れを止めた後、何をするのか
流れを止めたあとは、すぐに片づけを再開しなくて構いません。
まずやるのは、立て直すことです。
今日はここまでで終わりにする
明日、短い時間で一緒にやる
親が先に片づけ始める
片づけは後回しで大丈夫です。
ママも子どもも感情が落ち着いた状態でないと、どんな支援も入りませんよ。
それでもできない日は、何もしなくていい
ここまで読んで、「分かってはいるけど、できない日もある」そう感じた方もいると思います。
それでいいんです。
親が疲れ切っている日
子どもの調子が明らかに悪い日
すでに親子で何度もぶつかった日
そんな日は、片づけをしないという選択が、いちばんの支援になることもあります。
部屋が片づくことより、親子の関係が壊れないことの方が、ずっとずっと大切です。
片づけは、しつけではありません。
今日できなかったとしても、問題ないんです。
声を荒げなかった。
怒らなかった。
今日はそれだけで十分です。
また余裕のある日に、短い時間で、ひとつだけ。
その積み重ねが、「できない」を「少しできる」に変えていきますよ。
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