不登校初期に必要なのは、動かすことではなく関わりを引く勇気
子どもが学校に行かなくなったとき、親はこう思います。
「何とかして学校に行けるようにしなきゃ」
「学校に行けない理由をみつけなきゃ」
「このままでいいわけがない」
でも、不登校の初期にいる子どもにとって、親のその“焦り”こそが、いちばん苦しい刺激になることがあります。
親は前を向かせようとしている。
子どもを立ち直らせようとしている。
でも子どもは、もう立つことすらできないところまで来ている。
そんなときに必要なのは、子どもの背中を押すことでも、無理やり学校へ行かせることでも、励ますことでもありません。
必要なのは、「子どもを動かそうとする関わり」をいったん止めることです。
不登校の初期、子どもはすでに限界にいる
子どもが不登校になったとき、親に必要なのは「動かそうとする関わり」ではなく、「関わりを引くこと」です。
なぜなら、不登校の初期段階にいる子どもは、すでに心も体も限界に近い状態だからです。
そこに、
「学校」
「生活リズム」
「勉強」
「将来」
といった親の価値観を押し付けると、子どもは前に進むどころか、逆に動けなくなってしまいます。
励ましのつもりが、追い詰めていることもある
多くの親がやってしまいがちなのが、励ましの声かけです。
・学校に行けば楽しいんじゃない?
・今日は休んで、また明日元気になったら行こう
・このままで大丈夫なの?
これらは一見やさしく聞こえますが、子どもにとっては
「学校に行けない自分はダメなんだ」
「早く行けるようにならなきゃいけない」
というプレッシャーになってしまいます。
励ましの声かけは、元気な人に向けて初めて成立します。
限界にいる子どもには、やさしさではなく重荷になることがあります。
親が動けば動くほど、子どもは苦しくなる
私自身もそうでした。
我が子が不登校になったとき、
「どうしたら学校に行くのか」
「学校で何かあったのではないか」
「どうして朝起きられないのか」
そればかりを考えていました。
私にとって学校は、行かなければならない場所でした。
なんとかして学校へ行かせようと、
「学校に行こうよ」
「朝起きられないなら、夜もっと早く寝て頑張ろうよ」
そんな声かけを続けた結果、我が子の生活リズムは整うどころか、昼夜逆転になってしまったのです。
私が頑張って声かけをすればするほど、我が子を苦しめてしまいました。
「見守る」と「放置」は、全く違う
よく聞くのが、「子どもを見守りましょう」という言葉です。
でも、「それって放置じゃないの?」と不安になる方もいらっしゃいます。
結論から言うと、見守ると放置は、全く違います。
放置とは、
・子どもの状態に関心を向けない
・困っていても気づこうとしない
・何でも子ども任せにしてしまう
見守るとは、
・子どもの状態をよく観察している
・安心できる距離でそばにいる
・必要なときには、すぐ手を出せる状態にある
見守ることは、一見何もしないように見えますが、実はとってもエネルギーを使うことなんです。
価値観を押し付けないために、やめてほしい3つのこと
では、親の価値観を押し付けないとは、具体的にどういうことなのでしょうか。
それは
「学校の話をしない」
「何かをさせようとしない」
「将来を見通そうとしない」
この3つを、意識してやめることです。
学校に行かない状態は、「問題」ではなく「状態」です。
状態は、整えば変わります。
でも、外から無理やり動かそうとすると、こじれてしまいます。
親の役割は、学校に戻すことではない
親にできることは、子どもを学校に戻すことではありません。
子どもが「自分で考えられる状態」まで回復するのを邪魔しないことです。
これは、簡単ではありません。
親は常に不安だし、正直、とっても苦しいです。
同じ学校の制服を着ている子どもを見ると、胸がしめつけられるし、涙が出る。
そんな日もあります。(私は何度もありました)
それでも、親の価値観を一度横に置いて、「この子は今、休む必要がある」
そう受け止められたとき、子どもは少しずつ安心を取り戻していくことができるんです。
不登校は、親の関わり方が試される出来事
不登校は、簡単に解決する出来事ではありません。
親の関わりを、
いったん引く。
余計なものを外す。
動かそうとすることをやめる。
それが、子どもが回復していく、現実的なスタートになります。
見守るとは、子どもを信じて、待って、そばにいること。
放置とは、見ないこと、感じないこと、逃げること。
この違いを知るだけで、親の関わり方は大きく変わります。
最後に
不登校の関わりで、「正解を選び続けられる親」はいません。
情報を集めれば集めるほど、揺れます。
自信がなくて迷います。
不安でいっぱいになって涙が出る日もあります。
それでも大丈夫です。
大切なのは、子どもをどうにかしようとし続けないこと。
そして、自分の不安だけで動かないこと。
もし今日、
学校の話をしなかったなら
将来の心配を飲み込めたなら
余計な一言を止められたなら
それはもう立派な「支援」です。
足さなくていい。
急がなくていい。
焦らなくていい。
関わりを引いた分だけ、子どもは息ができます。
不登校は、失敗ではありません。
立て直すための、大事な時間です。
親の「こうあるべき」という価値観を一度横に置けたとき、子どもはようやく自分の力を取り戻し始めます。
親がそれを信じられるかどうか。
そこから、回復が始まっていきますよ。
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