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🧵 昔から大切にしているもののはなし

滅多に使わないけれど、ずっと大切にしていたいもの。
今日は、そんな少し遠くて、でも今も心に近い“もの”についてのお話です。


🌸 母の手しごとと、お手玉のこと


私の母はとても器用な人です。
料理、裁縫、編み物、園芸、さらにはDIYまで、本当に何でも
こなしてしまいます。
そして、何をするにも早いのです。
小さいころから、そんな母がよく手作りのものを作ってくれました。

その中でも、特に大切にしているものがあります。
──お手玉です。

洋裁で余った生地を使って、幼いころの私の小さな手にちょうど合うように作ってくれたお手玉。
中にはあずきと金ボタンが入っていて、飛んだときに「しゃんしゃん」と
可愛い音が鳴るようになっています。

🎀手直し


そのお手玉をもらってから、もう何十年もたちました。
あるとき、ふと思い立って、そのお手玉の写真を母に送りました。

「あー」「えー、まだ持ってたの?」
驚いた声が返ってきました。

「中身、替えてる?あずきって、そのままだと虫が湧くのよ」

「えっ~!!😨どうすればいいの?」

「捨てるか、中身を替えるしかないわね」

「……」

「もー。(笑)今度、持っていらっしゃい。やってあげる」

そう言ってくれたので、古いお手玉と新しい小豆を持って
実家へ行きました。

──そして、一月ほどたったころ。
母からきれいに洗われ、中身をとりかえたお手玉が届きました。
ふっくらと生き返ったようで、しかも三個ほど新しいお手玉まで
増えていました。

「新しいの、足してくれたんだね。ありがとう」

「三個だけ、あずきじゃない詰め物を使ってみたの。今は、虫が湧かない
プラスチック素材があるって聞いたから。でもやっぱり、小豆の方がいいのよね……。重さとか、手に持った感じが全然違うの」

📦 お手玉と私

私にとって、母のお手玉は、単なるおもちゃというより、ぬいぐるみの
ような存在だったのかもしれません。
はっきりとは覚えていないけれど、最初に作ってもらったのは、
たぶん幼稚園のころ。
そのあと何度か新しくなって──
今、手元にあるのが、そのお手玉です。

学生のときには、勉強しながらよく手に握っていました。
何か考え事をしているときや、悩んでいるときにも、いつの間にかお手玉を転がしたり、握ったりしていたものです。

安定剤みたいなものだったのでしょうか。持っていると、不思議と
落ち着いたのを覚えています。

今はもう、そんなふうに触ることもなくなってしまって──

…なんて思いながら、お手玉をそっと、大事な物をしまってある箱に
入れました。

ほんの小さな音が、しゃんしゃんと鳴きました。



最後までおつきあいいただきありがとうございます。☺️
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