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財務省解体デモの他、襲撃事件も発生した2025年3月14日の財務省前では、何が起きていたのか(前編)

襲撃事件が発生した財務省前

「立花孝志、切られたんだって」

2025年3月14日、筆者は財務省解体デモを取材するため霞が関にいた。潮見坂に陣取っていた「財務省解体デモ」集団を一通り確認した後、黒川氏のグループを確認しようと桜田通り側に向かったところ(この日財務省前に集結していた集団は複数あり、それぞれ場所が分かれていた)人がほとんど見当たらず、道路を挟んで外務省側に停車していたNHK党の選挙カー(立花孝志氏が財務省前にいたのは、千葉県知事選の一環でもあった)の周辺に大量に人が集まっていたのを不審に思い向かったところ、何者かを乗せたパトカーが発車するのを目撃した。その際に耳にしたのが冒頭の言葉であった。

筆者が到着する直前、立花孝志氏は小型のナタで襲撃されており、パトカーの後部座席に座っていたのは襲撃犯であった。

写真を後から確認したところ、左端に負傷した立花氏が写り込んでいた
筆者の到着と同時に出発したパトカー

財務省前のデモは短期間で急速に規模が拡大し、その周辺では、あくまで立花氏への憎悪ではあるが殺人未遂も発生した。この日の財務省前では、一体何が起こっていたのだろうか。

複数の主催者が存在する財務省前デモ

数ヶ月で急激に規模が拡大し、あまり背景が説明されないまま「財務省前のデモが盛り上がっている」情報だけが大手メディアで報道されているため、単一の団体が財務省解体デモを行っている印象を持っている人が多いかもしれないが、実は財務省前でデモを行っている主催者は複数存在する。それぞれの主催や参加者は排他的ではなく、別主催者のデモにも参加しているのが現状だ。各々の詳細や活動時期は別の記事に譲ることとして、ここではその概要を記載したい。

池戸万作氏の「元祖!財務省前デモ」

冒頭デモの前々日、3月12日に激しい雨の中行われていたのが、池戸万作氏(経済評論家)による「元祖!財務省前デモ」である。池戸氏は積極財政派であり、このデモもその主張に沿って展開されている。池戸氏のデモは2023年9月26日に実施された「インボイス増税&消費税増税反対 財務省前デモ」を初回とし、2025年3月12日のデモは第12回とされている。
2024年の末から財務省前でデモを行う団体が他にも出てきたため、今年に入ってから池戸氏は「元祖!財務省前デモ」と呼称するようになった。

「風の吹くまま市民団体」による財務省解体デモ

池戸氏が「元祖!」と明言していることが示す通り、2024年の末から財務省前でデモを行う団体が発生し、X上の注目を集めることとなった。それが「風の吹くまま市民団体」による財務省解体デモであり、その初回は2024年12月27日に行われ、告知の投稿は1.4万ものRPを記録した。投稿を見たところ主催はれいわ新選組を支持しており、ワクチンについては反対の立場である。デモでの旭日旗やヘイトは禁止であることを明言しており、本来は陰謀論アカウント(何も考えずに排外主義投稿を行っていることが多い)と相性が悪いはずだが、

ワクチンに対しては反対の立場だったことや「財務省解体」という言葉が効果的だったのか陰謀論アカウントにも拡散されてしまい、これが筆者の観察用TLにも流れてくることとなった。当初の参加者は100人程度の規模だったが、こうした界隈のアカウントが繰り返し大量のRPを稼ぎ、さらに著名YouTuberの紹介もあって認知が広まり、様々な団体や個人が参加するようになっていった。

3月14日のデモ(この日は東京だけでなく全国各地で財務省解体デモが行われていた)の主催者を数名確認してみると、いずれも「風の吹くまま市民団体」のデモに刺激されて主催しているようであった。
※この団体は所属制度を設けているわけではないようで、一つの団体が全て取り仕切っているというよりは、刺激された個人が各々主催しているイメージに近い。恐らく、全てを取り仕切るまでのリソースは、風の吹くまま市民団体にはないのではないだろうか。

また、現実離れした陰謀論を主張しているかはともかく、主催にはワクチンに対して反対の意思を表明しているアカウントが多く、反ワクチンインフルエンサーの投稿を引用していることもあった(例えば東京の主催者は、三橋貴明氏の経済塾に所属しながらワクチンにも反対していた)。このような各個人が持つ多重性が、2025年に入ってから、それまで反ワクチンデモに向かっていた人々をも財務省解体デモに向かわせているのだろう。

財務省・厚労省等解体デモ・集会が反WHO集会の主催陣によって予定されている

財務省批判自体は陰謀論とは言えず、このような界隈に馴染んでいないと、どのような属性の人々や主張が混ざってくるかは分からないものだ。財務省解体デモが持つこの性質から、「これまで反ワクチンや陰謀論では取り込めなかった、一般の人にも勢力を広げるチャンス」とばかりに昨年反WHO集会・デモを行っていた面々が盛り上がっており(以下記事を参考)、

今年4月29日には財務省・厚労省等解体 第4次国民運動 パレードデモ 国民大集会」が予定されている。登壇者は、ウォッチャーにとっては馴染の面々である。

頑張れ日本!全国行動委員会の「財務省・外務省解体デモ」

れいわ支持の主催者が出てきたので「また左翼か」と言う人が出そうだが、このような運動では、左右の区分はあまり有効ではない。大抵は悪役と見なされる集団が仮定され、それに対して左派も右派も批判・攻撃を行うのが常である。
従って保守系団体も同様のデモを行い、両者が同じデモや集会に参加することもある(そして、運動を進めるうちに思想の細部の違いが明らかになり微妙な空気となる)。

「頑張れ日本!」は、チャンネル桜社長の水島氏が幹事長を務める政治団体であり、もちろん保守系の団体である。2月28日にはこの「頑張れ日本!」主催の財務省(+外務省)前デモが行われ、その名称は「超党派国民集会『媚中・反トランプの岩屋外相は即刻辞任を!』『ディープステートの手先 反日財務省解体!』」であった。保守系団体だけに外務省も批判対象となっている。この先の運動としては、3月21日にも「超党派国民集会『無能グローバリズム政権 石破内閣打倒!財務省・外務省解体!』」が予定されている。そして、水島氏は4月29日の「財務省・厚労省等解体デモ・集会」に登壇予定であり、全てをまとめると「財務省・厚労省・外務省は全て解体すべき」ということになる。

新生民権党の「財務省前デモ」

大規模反ワクチンデモ会場に少人数で相対し、「反ワクチンデモこそがロシアの工作に乗せられている」と街宣することで(ウォッチャーの間では)有名な新生民権党も財務省前デモを主催している。新生民権党の場合、「自由のための世界同時デモ」として行われているのが特徴である。

塚口氏については、財務省解体デモを取り上げたAbema Primeで目にした方もいるかもしれない。塚口氏の主張には賛同しないが、陰謀論界隈では珍しく慎重に話せる人物である。また、元々は風の吹くまま市民団体のデモに参加していたものの、改憲派であることでパージされてしまい、自らデモを主催することにした、とのことだ。塚口氏は現在、「財務省解体デモこそがロシアの情報工作である」という立場を取っている。

ラエリアン・ムーブメントの「財務省解体デモ」

ある年代以上の人であれば、「90年代後半、人間のクローンを作成したと発表して物議を醸した団体」と言えば通じるだろうか。この団体はフランス発祥だが、実は創設者のラエルは日本在住であり、日本支部は公式発表で6,000人と世界でも有数の規模となっている(※実数はかなり異なっているだろうが、世界でも有数の規模なのは確かだ)。ラエリアン・ムーブメントは以前から反ワクチンデモに参加していたが、3月に入り財務省前デモ(名称は他と同じく「財務省解体デモ」)を行うようになっている
筆者として少し寂しいのは、「地球外から飛来したエロヒムが、遺伝子操作によって人類を作った」という宇宙人信仰が中心のラエリアンが、反ワクチン運動や財務省解体運動に熱心に参加するようになり、宇宙人活動が疎かになっているように思えることだ。
宇宙人への情熱が反ワクチンや財務省解体に負けているように見えるが、本当にそれで良いのだろうか。オカルト好きとしては、やはり宇宙人を呼ぶために(ラエリアン・ムーブメントはET大使館の建設プロジェクトを進めていることになっている)100万人を集めるくらいの気概を見せてもらいたいものだ。新型コロナ禍で盛り上がってきたような運動に相乗りしているようではいけない。むしろそれらを宇宙人ムーブメントに取り込み、「宇宙人で勝つ」姿を見せてほしい。

政治団体Q:財務省解体デモに反発

この名前に馴染みのない読者は多いと思うが、この政治団体は黒川敦彦氏が立ち上げた団体であり、最近はこの団体として活動していることが多い。

黒川氏は「財務省解体デモを煽っているのは、ユダヤ資本家たちである可能性が極めて高い」「財務省解体デモは間違ったことを言っている」と主張しており、財務省解体デモの参加者からは強い反発を受けている。そしてここにNHK党・立花孝志氏がやってくることになっており、その立花氏のことも財務省解体デモの支持者は歓迎していなかった。そして、黒川氏についても現在はNHK党を離れ、立花氏の批判や千葉県知事選での「逆二馬力選挙」をやるなどその関係は微妙だ。つまり互いを受け入れていない3グループが近い場所で睨み合うこととなっていたため、財務省前が混沌に包まれることを予想してはいた。

財務省前で街宣する黒川氏。黒川氏も千葉県知事選の候補者である。

混沌としていた財務省前

冒頭の話に戻ろう。立花氏が襲撃された現場は騒然としており、筆者もこのまま取材を続けるかどうかについて考え始めていた。そこに、対岸から思わぬ言葉が飛んできたのだった。

「いい加減にしろよ◯ソ◯ソ野郎!恥を知れお前ら!コラ!おい、配信者おい!!◯ン◯!◯ン◯!◯ン◯!(筆者注:それぞれ排泄物、男性器、女性器を示す単語です)今日はただじゃおかねぇぞ!!」

(後編に続く)


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