北野に小さな占いサロンを開いて、もうすぐ一年➖1章
私がこの北野に占いサロンを開いて、来月で一年になる。
振り返ってみれば、あっという間だったような気もするし、
ずいぶん長い時間をここで過ごしてきたような気もする。
開店したばかりの頃、私の頭の中にあったのは、
「本当にお客様、来てくれるのかな……」
そんな心配ばかりだった。
ホームページも作った。
Instagramも始めた。
公式LINEも整えた。
お店専用の電話まで契約した。
準備だけは、ちゃんとしたつもりだった。
ところが――
新しく契約した電話が鳴るたびに、
「もしかして予約?」
なんて少し期待して出てみると、
かかってくるのは「集客しませんか?」「広告を出しませんか?」という営業電話ばかり(笑)
電話が鳴って喜んで、
出てみてガッカリする。
そんなことを何度繰り返しただろう。
「大丈夫かな、このお店……」
正直、不安になった。

それでも、嬉しいこともたくさんあった。
お店を開く前から私のリーディングを受けてくださっていたお客様から、開店祝いのお花をいただいた。


友人からは、びっくりするほど立派な大きな蘭の鉢植えが届いた。
殺風景だった新しいお店に花が増えていくたびに、
「ああ、応援してくれている人がいるんだな」
そう思えて、本当に嬉しかった。
私のお店は、神戸・北野の異人館通りに面している。
しかも、お店の正面はほとんど全面ガラス張り。
だから、お店の中に座っていると、通りを歩く人たちの姿がよく見える。
北野は観光地だから、本当にいろんな人が通る。
旗を持った添乗員さんらしき人が先頭を歩き、
その後ろを大勢のツアー客がぞろぞろとついていく。
そんな光景も日常になった。
「この人たち、どこから来たんだろう?」
「今日は海外からのお客様が多いな」
「楽しそうだなぁ」
そんなことを思いながら、ガラス越しに人々を眺める。
考えてみれば、
「座って、お客様が来るのを待つこと」も仕事のひとつである私にとって、
いつの間にか、この“毎日の人間ウォッチング”が習慣になっていた。
ただ、私は最初から、よくある「占いの館」や「占い部屋」のようなお店にはしたくなかった。
占い師が何人も並んでいて、
大きな看板に「占い」と書かれていて、
そんな場所ではなく、
北野の街の片隅に、
ひっそりと佇んでいる小さな癒しの空間。
何かに疲れた人や、
誰にも言えないことを抱えた人が、
ふと見つけて扉を開けてくれるような場所。
そんなお店にしたかった。
だから、あえて派手な宣伝も控えていた。
もちろん、その結果――
一般のお客様は、なかなか増えなかった(笑)
それでも、以前から来てくださっていた常連のお客様たちが、ずっと支えてくださった。
今思えば、開店当初の私は、
ものすごく大きな経営理念があったわけでもなかった。
ただ、
「私でも、人の心に寄り添うことができるのかな」
「占いというものを通して、誰かの心を少しでも軽くすることができるのかな」
そんな気持ちだった。
そして、何となく導かれるように、
私はこの北野に小さなサロンを開いた。
お店のドアには、可愛いベル🔔を付けた。
誰かが扉を開けたら、
すぐに分かるように。
チリン――。
その音が鳴るたびに、
今でも私は反射的に入口を見る。
「こんにちは」
そう言って誰かを迎えることから、
このお店での出会いは始まる。
そんな毎日を過ごしながら、半年ほど経った頃。
私はようやく気がついた。
いや、正確には、
ずっと薄々気づいていた現実を認めざるを得なくなった。
「……これじゃ、いかん(笑)」
癒しの空間を作りたい。
宣伝ばかりのお店にはしたくない。
ご縁のある人が自然に来てくれればいい。
そんな私の理想は確かに大切だった。
だけど――
実際の経営が成り立っていない‼️
という、ものすごく現実的な問題が目の前にあった(笑)
お店を続けていくためには、
「想い」だけではどうにもならないこともある。
家賃もかかる。
光熱費もかかる。
広告費も必要になる。
そして何より、
この場所の存在を知ってもらわなければ、
どれだけ心を込めてお店を作っても、
必要としている人に見つけてもらうことすらできない。
そこから私は、少しずつ考え方を変えていった。
公式LINEから直接予約を取れるように、仕組みを作り直した。
Instagramにも広告を入れ始めた。
そして、占いだけではなく、
もっと気軽にお店へ入ってもらえるきっかけを作りたいと思い、
一般のお客様にも手に取っていただける天然石のアクセサリーを販売することにした。
「ひっそりと佇む癒しの空間」でありたい。
その気持ちは、今も変わっていない。
でも、ひっそりしすぎて、
誰にも見つけてもらえなかったら意味がない(笑)
そんな当たり前のことを、
私は半年かけて学んだのだった。


次回へ続く......
