ロゴはデザインではなく、設計だ|第四話 なぜ、オムロン、村田製作所の m は丸いのか
第四話
なぜ、オムロン、村田製作所の m は丸いのか
R は、大文字だった。
責任は、曖昧にしない。
逃げ道を作らない。
その覚悟が、形になっていた。
では、m はどうか。
オムロン。
村田製作所。
どちらのロゴにもある m は、角がない。
丸い。
やわらかい。


技術の世界を考えると、少し意外にも思える。
技術は、厳密で、冷たくて、直線的だ。
数値は嘘をつかない。
規格は妥協を許さない。
それでも、m は丸い。
m は、**ものづくり(manufacturing)**の m。
**現場(manufacturing site)**の m。
そして、**人(man)**の m でもある。
現場は、理屈だけでは回らない。
人が触り、人が組み、人が判断する。
そこには、ばらつきも、迷いも、失敗もある。
角ばった設計だけでは、吸収できないものがある。
丸い m は、余白だ。
遊びだ。
現場が呼吸できるスペースだ。
オムロンの制御機器も、
村田の電子部品も、
「理論上は正しい」だけでは終わらない。
実装され、量産され、
長く使われることを前提にしている。
だから、少し丸くする。
詰め切らない。
現場が調整できる余地を残す。
京都の企業らしさも、ここにある。
尖らない。
ぶつからない。
時間をかけて、すり合わせる。
主張は控えめだが、芯は太い。
だから、角を立てる必要がない。
R が、責任を背負う文字なら、
m は、受け止める文字だ。
厳しさと、やさしさ。
直線と、曲線。
その両方を持って、はじめて技術は社会に根づく。
丸い m は、甘さではない。
現場と人を信じるという、強さだ。
ロゴは、やっぱり飾りじゃない。
企業が、どこで踏ん張り、どこで受け止めるのか。
その設計図が、文字の形に滲み出ている。
次回(第五話)は、最終話
なぜ、ソニーのロゴはすべて大文字なのか
です。
谷中万世(やなかまんせい)
通称 やなまん
