邪道作家19巻 三回回ってワンと言え!! 執念の先(現在は無料化)
作品テーマ 非人間讃歌
ジャンル 近未来社会風刺ミステリー(心などという、鬱陶しい謎を解くという意味で)
簡易あらすじ
アンドロイドが自我を持ち職を奪い作品すら書き上げる時代───非人間の殺人鬼作家が、作者取材という戦いに挑む!!
当然ながら依頼は嘘まみれ、行き着く先には困難ばかり••••••得られる「利益」が見えずとも、不屈で書き抜いた事だけは「真実」だ。
天上天下において並ぶもの無い、唯我独尊の物語だ───他に書ける奴がいるというなら連れて来い!!
過去未来現在において、唯一無二の
「悪意」
だけは「保証」しよう!!!
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考えてみれば、こちらも無理なことばかりする物語であるのは間違いない。
まさかの
肉体派老人アイドル


が登場するのもこの19巻だ!!!
まさかの共通点といえよう••••••私も今初めて知ったが。
無論有料だ、金は貰う!! とはいえ、縦書きで買えば千円で全て買えるし、サブスクに至っては初月無料だ。連中のやり口に合わせた結果
個人の利益より全体に貢献する
やり方に合わせたからな••••••やれやれ。何とかなると思っておこう。
例の改革案にしろ
とどのつまり読者次第
だ。
てめーらがヘボだったらこちらは出し損、ってことになる。
ドゥーユーアンダスタン? 作家にできる事は全てやり切った。
あとは、貴様ら次第だ───何度も同じこと言わせるんじゃねぇ!!!
邪道作家19巻
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人間は面白いと、人は言う。
だがそれは昔の噺だ。近代では面白い人間など見た試しが無い。限界を超えて挑む事が妄想の類だと、そう信じられるようになったからだ。
だから、人間はつまらない。
貴様等は面白さを生み出す小道具に語りかけるのか? しない。だから道具には興味ない。私が楽しむべきは人間の作り出す娯楽だ。
面白い人間がいれば、それに越した事はないが・・・・・・いるのか? この現代で、異常者と呼べる思想を持ち、実行に移す馬鹿な奴が。
鏡を見ろ? 知らんな。私はそれほど、珍しい存在ではあるまい、多分。違っても責任は取らないし、特に保証もしないが。
私にあるのは神仏すら首を括らせる事が可能な口先と、無限に相手を上回る悪意だけだ。それらが何の立つのかと言えば、何の役にも立たない。 私が言うのだから間違いない。
正直、無い方がマシじゃないのか?
そもそも、追い詰められて切羽詰まってばかりいるから必要になる技能であって、本来は別に、使わずとも勝てるものだ。このようなあれこれと策を弄する行為自体が、持たざる側の証左だろう・・・・・・私も少しは楽をしたいのだが。
世の中上手く行かないものだ。
いや、この場合良く出来ている、のか? 私に物理的な力が加われば、どうなるのだろう。まず物語を広めるのは確かだ。どんな影響を与えるかといえば、人間不信、悪意肯定、善良破壊に世の理不尽を許容する精神は約束する。良薬口に苦しというではないか。言ってしまえば病を放置した貴様等の病体を、頼まれもしないのに少々精神を書き換えてまで、無理矢理改善してやるだけだ。 感謝感激、財産を差し出してくれてもいい。 無論、差し出させるがな。
その為の、物語だ。
夢希望を魅せる事が役割だと? 馬鹿が。物語とは虚構で騙し悪意を刻み、世界にありもしない希望を幻想させて、貯金を毟り取る為だけにある・・・・・・・・・・・・他に何かあるのか?
いや言わんでいい。同意してくれて有り難う。 わかってくれたか、物語とはそういうものだ。 とはいえこの口先も、人間社会では役に立つ事などありはしない。なぜなら人間は「対話」などしないからだ。
立場や権威で押し通すだけで、相手と言葉を交わし論理的に事を進め、お互いの妥協点を探る事でその裁判を進める。これは人間社会では実質、存在しない制度だ。法律は金で買えるし、無力な市民に裁判で打ち勝つ術はない。国が相手ならば尚更で、どれだけ理不尽だろうが国との裁判では必ず国が勝利するよう出来ている。
個人でも同じだ。「対話」などする奴を、私は一度として見た試しがない。皆、通せれば通るし通せなければ何を言い聞かせても無駄だ。何せ、現代社会の「人間」とは「原人」と殆ど変わらず言語や知恵を持っているように見えるだけなのだ・・・・・・実体は猿とさほど変わらない。
人間でも神仏でも怪物でも、同じだ。
都合が悪ければあっさり信条を翻すし、立場や権威、あるいは優れた暴力があれば何をしようと正しく、相手の言葉など聞きはしない。
聞いていると思い込んでいるだけだ。
自分達の言いたい事を言うだけで、相手の都合など考えるつもりはない。そのくせ「俺はお前達の事を思いやっているからこうしているんだ」と口にしながら幼少期の私と周囲を殴りつける教師もいたが、大体あれであっている。
自分達は人間とは違う、と思い込む。
いいや、生憎だが、同じだ。それとも貴様等は私のように、いちいち言語で洗脳、いや説得して事を済ませようとした事があったのか?
私か? そうだな、およそこちらが言語を話す事すら許されないか、あるいは言葉を聞くだけで対話にならず、そのまま押し通されてきた。
なので、対話など一度もした事がない。
なんとも無駄な才能だ、まったく。いや、才能ではなく性格か。才能で口先は回らないからな。 嬉しくもない技術だ。とどのつまり暴力で押し通されれば何の役にも立たない。神仏ですら口先一つで自殺に追い込む確信はあるが、しかし力を持つ奴が対話を行う事など無い。本人はそうしているつもりでも、結局は背後に力ありきの人格があるだけだ。力で肯定出来るからこその人格に、対話など期待する方が馬鹿げている。
そこまでの価値はない。
ゴミ相手に語りかける趣味も、無い。
力を振り回すだけの存在など、その辺のゴミと大差ない。偉そうに君臨している奴に限って大抵の場合はそれだ。種族が何であれ、それに影響を受けずにいる面白い個性など、人類史全てを漁り尽くしたところで数える程しかいないだろう。
忌々しい連中だ。
その力を剥ぎ取って無力になったところを私の罵詈雑言で追い込めれば、それが神仏だのという偉そうな連中であれば尚更、極上の見世物として売りに出せるだろうに。あの世なんてあった所で私に適用されるのかは知らないしどうでもいいが・・・・・・・・・・・・それはそれでやってみたいものだ。 面白いぞ、きっと。
傲慢の仮面が剥がれる様は、最高に笑える。
私もそんな楽な暮らしが出来れば良かったが、そうもいかないらしい。やれやれ、参った。私は楽が出来て自己満足の充足があれば、それだけで別にいいのだが。誇り高い悪である事は必要だがそれはそれ、これはこれだ。だからって売れない物語を書き続けたい訳ではない。
傲慢か・・・・・・まず相手がいないな。そして傲慢を向ける必要もない。疲れるしな。第一、そんな連中に敵対するからこその「邪道作家」だ。
私には縁がないらしい。
残念だ。金になりそうなのだがな。
人生は、プラスマイナスゼロだ。
何せ最終的には何も残らないからな! 尊厳も勝利も仲間も道徳も倫理も友情も愛情も! 全て灰に還るしかない。何も残りはしない。後にあるのは墓だけだ。その墓さえも、金次第。
金があったところでどこぞの嫌われ者野球選手のような生き方であれば、後には墓すら残らない・・・・・・・・・・・・それはそれでありだろう。
後に残す必要など無い。
全ては、その有り様だ。生きていようが死んでいようが存在しようが存在しまいが、全ては悪で出来ている。ならばその悪を貫き通し金に換える事こそが「生きる」という行いだ。悪を肯定し、悪を自認し、最後まで逃げずに押し通す。
崇高でいいではないか。
神を信じるように、悪を信じればいい。それが全ての生命に必要な義務であり役割だ。まあ私は神も仏もどうでもいいと思っているので、何なら悪だけを信じればいいだろう。
そもそも、神も仏も悪でしかない。
大いなる力を持ち、独自の判断で世界に影響を与え、結果山のような死を世界にばらまくとは、核兵器も真っ青だ。或いは悟りを開きこの世界の苦しみを否定し、つまり見たくもない部分を否定することで人間を直視せず認めない。
そら、どちらも大悪ではないか。
単に、大層な力や権威があるから、誰も事実を指摘出来ない、いや指摘したところで暴力で解決できるだけだ。誰一人認めていないし、何一つとして成し遂げてはいない。連中自身は悟りを開き世界を支配し他生物の上にでも立った気分なのだろうが、まさかそんな訳がない。
全てを愛する全能の神だと?
だが愛とは身勝手なものだ。何より本来ならば己より相手を立てる行いを愛と呼ぶ。己の生命の上に相手を置くからこその愛だ。
ならばそいつは下にいるのか? いいや、道徳や倫理の「正しい見本」などという物を作る時点でそいつに愛など無い。認識とは画一化されずに多角化する概念であり、それらを統一したがるという思考は「己より下の者達を支配したい」と、そう考えているからなのだ。
何故なら、その発想は相手を信じていない。
例えば、私のような悪性などは、連中の身勝手極まりない価値観で「正しい行いをしなさい」とその在り方を全否定するという事ではないか。
相手を認めていないのだ。
だから、正しい規範を作りたがる。
色々あっても世界を先に進めるだろうと信じるならば、そのような規範は必要ない。他でもない私が言うんだ間違いない。何せ、貴様等読者共があまりにも頼りないが故に、私は「悪の聖典」を書いているのだからな! 相手の事を信じられるなら、そのような物は必要あるまい。
悪意だけなら世界にも匹敵出来る。
鬱陶しい正しさの具現共と同じ行いをしているということは、それが証明されたということだ。喜ばしい、のだろうか。わからない。
第一、私は己が生きられないから、周囲の魂を書き換える。そうしなければとてもではないが、呼吸すらままならない。当たり前だ。私は例え、その相手が何者だろうが必ず「都合の悪い相手」だと排斥される為にある。だからこその最悪だ。 ならば、世界そのものを覆すしか、あるまい。 悪が肯定される世界。悪を自認する民衆。悪に誇りを持てる世界だ。貴様等の下らない善性が、世界をどのように良くしたのだ?
誰も勝者にならない世界。
誰も他者を殺さない世界。
誰も敗北を知らない世界。
汚ならしい綺麗事は世界を停滞に導いた。善意や倫理を優先した結果がこれだ。小手先の道徳で己を誤魔化し悪意から目を背け、散々それらしい信条を立てながら少し都合が悪くなれば逃げだし最期まで何かを見届けられない、半端者の墓標。それが今ここにある世界の事実だ。
真実とは、力で書き換える物だからな。
殺し合わせればいいのだ。人間でも怪物でも、全てが生きる価値などあるまい。この世に生きる上での価値の概念があるとして、その価値は全てに付随されない。付随されてる奴など見た試しがないしな。
大抵はゴミだ。
何の為に生きているのか、それを考えた事など一度もない。そのくせ文句だけは一人前で、己の事など省みないが、他者にだけは説法を垂れる。 その場その場で不満を言うだけ。
何かを変えようなど、考えもしない。
それは生命ではない。ただのゴミだ。
少しは掃除をしろという噺だ。この世界には、そういったゴミが多過ぎる。悪を自認した上で、世界に挑むのならば構わない。だが己を善良だと勘違いした愚か者が、ゴミを垂らしながら正しさを宣う姿は見るに耐えない。私に汚物の掃き溜めを眺める趣味など無いのに、とんだ露悪趣味だ。 冗談じゃない、巻き込まれてたまるか。
だからこそ、金が欲しい。物語による金の肯定こそが、私の生きるべき道筋だ。その上で物語を売り捌き、世界に広め悪意で染め上げる。
汚ならしい綺麗事など、皆殺しだ。
いや、すべてを破壊すると何でもそうだがロクな事にならないか? わからない。たまに休憩の為ならいいかもしれないが、普段使いは論外だ。 ならば悪意で染め上げねばな。
それが「邪道作家」の「役割」だ。
その有り様を「都合が悪い」と排斥する奴こそ私からすれば巨大な邪悪だ。己がそこまでの悪党だと自覚がないまま相手に善意を押し付ける。
私に言われたらお終いだぞ。
少しは反省しろ、馬鹿め。
この世界は全て悪だ。悪でない物など存在せず悪だけがそこにある。何者であれ、不確かな概念であれ、すべからく悪だけだ。
善という名の悪があり、
正義という名の悪がある。
悪という名の義務があり、
悪魔という名の人間がある。
無論、人間でなくとも同じだ。何も変わらない・・・・・・呼び名に拘る時点で駄目なのだ。肩書きは所詮当人の意志や行動とは関係がない。何故なら神であれば横暴が許されるのは、単に暴力で押し通せるからだ。当人の人格が問題であって、その個人が評価された部分など無い。同様に、それが人間だからと考えるのも間違いで、人間だろうと人間でなかろうと、駄目な奴は駄目だ。
使えないゴミは使えない。
散々見てきた私が言うのだ間違いない。
特に、人間にはそれが多い。正直ゴミしか存在しないのではと思うくらいだ。いや実際、いないのだろう。しかしだ。それはそれこれはこれだ。人間だから、神仏だからと決めつけるのは、その個人を見ていないという事になる。
憎しみ、ですらない。何せ見ていないのだ。
故に、それでは人間を憎めない。「人間」と、その枠組みを見ているだけで、石を投げた当人を恨んでいる訳ではないからだ。
妄想に向かって拳を振るうに等しい愚行だ。
私か? 私はいいのだ。とりあえず偉そうな奴に対して、こき下ろす権利が作家にある。それが邪道作家であれば尚更だ。
違ったら謝罪くらいは、しないな、多分。 まあ私が面白いから構わないだろう。何であれ肩書きを剥げばそれなりに中身が剥き出しになるものだ。剥いても変わらない奴もいるだろうが、剥ぐだけで何も残らない奴の無様さは、見ていて最高に笑えるからな!
それが神仏であれば尚更だ。
無理矢理にでも、そうしてやろう。
なに、今まで散々偉そうなところに立っていたのだ。貴様等には、こき下ろされる義務がある。私はその義務を果たしてやるだけなので、むしろ金を払って貰いたい。こき下ろして頂きまして、誠に有り難うございます、とな。
お題は命と全財産だ。良心価格だろう?
我ながら優しくなったものだ。
そんな、人格者度合いが素晴らしすぎて仲間が出来ないのだろうか。実際、私に味方した奴など一度としていなかったので、最早「仲間」という概念自体あやふやだ。何だ仲間とは。あれか?
対価も支払わず働いてくれるあたり、もしかして奴隷の別名なのかもしれない。
仲間か。それなら欲しい。
便利だからな。まあ、便利である時点で私には縁が無さそうだが、検討だけしてやろう。
するだけ無駄だろうが、するだけならタダだ。 協力者、仲間、何でもいいが都合の良い呼び名で誰かを利用したい。うんざりするほど利用されてきたのだから、こちらにもその権利がある筈だ・・・・・・その利用仕返す能力も無いがな。
怪物連中は気楽なものだ。
正直、羨ましい。暇そうで。
私も楽をしたかった。無駄な遠回りによる成長など持つ側の戯れ言だ。私が言うんだ間違いない・・・・・・・・・・・・得られる物など、何もなかった。
強いて言えば徒労とストレスだけだ。
作品のネタだと? 生憎だが作品のネタなど、私であれば環境に左右されず得られる。地獄でも天国でも同じ事だ。どちらも偉そうな連中に支配されている監獄という点では相違ない。それが、幸福のみが満ちた世界だとしても、私なら簡単に否定できるし、悪意を見出せる。
家庭の中に地獄を想像させる。
恋愛の中に戦争を作り出せる。
親愛の中に悪徳を刻み込める。
友情の中に殺意を生み出せる。
勝利の中に傲慢を抉り込める。
道徳の中に邪悪を読み取れる。
倫理の中に差別を考えさせる。
法律の中に搾取を理解させる。
全て、私なら容易な行いだ。
この世界全てが悪であり、世界全てが暗闇だ。私にとって世界とはそういうものであり、私には光など感じた事すらない。
全て、絵空事でしかないのだ。
人間が素晴らしいと叫ぶ全ては、虚構で出来ている。人間が否定する全ては現実であり、妄想に逃げているからこそ現実が見えていない。
誰も現実を直視していないのだ。
幸運に恵まれただけの奴が勝利し、またそれら持つ側が世界の倫理観を牛耳る。当然そいつらの浅はかな発想が世界の常識となり、世界の倫理観は搾取する為の小道具となる。区別も差別も同じ事だが、連中はそれが大儀だと思い込める。
さして考える脳もないから楽勝だろう。
自分達の力で何かを成し遂げたと思いたがる。その発想が出る時点で己の力ではないと気付かず結果迷走しながら補填する。これで己の力だと、そう思い込む為にあれこれ些末な行いをし、幸運に恵まれただけではない結果だと叫ぶのだ。
生憎だが、全て貴様の力ではない。
ただの幸運だ。他に何がある?
貴様自身はどこにも必要すらない。
その力ありきなのだ。才能も育ちも環境も全て当人の力ではない。だが貴様等は間違いなくその「理不尽」という物を覆してはいない。もし覆す為に動いているならば、要因が何であるかなど、それこそどうでもいい些末事だ。
いいからさっさと実利を寄越せ。
それが素直な感想だ。私が言うんだ間違いない・・・・・・その過程などどうでもいい。とにかく勝ちを掴むのが先決だ。名誉は後から振りかけろ。
名誉も栄誉も香辛料みたいなものだ。
後付けで適当に振りかける物であって、躍起になって追い求める物ではない。何かしらの行いに対して、後から力で付随させるふりかけだ。
貴様等は、米も炊かずにかけるのか?
どうかしてるぞ。私が言うのだから相当だ。
脳波測定でも受けた方がいい。
ふん、容易く何かを得る奴は、その力を容易く失うものだ。だがしかし、だからって死ぬ寸前に得るのでは本末転倒だろう。ましてこのままでは死ぬ寸前に得られるかすら怪しい。
魔法のランプなど存在しない。だが水筒に水を入れたら中から溶岩が出るのも困り物だ。実際、私の道程はそんな理不尽ばかりだった。
だからこそ、軽々しく努力だの善行だのを語られたところで「情けない奴等だ」としか思わないのだ。努力すれば後退し、理解を求めれば暴力で返され、積み重ねればその分財産を失い、時間を費やして徒労の山を築き、敗北や失敗から活かした筈の何かをあっさり、不運という理不尽に否定される。そんなものだ。
その横で、言葉を垂れる訳だ。
生まれついて力を持った奴が、あたかも理不尽を知った風な顔をして、力を振り回しながら世界を語る。鬱陶しい限りだ。人間に限らず、怪物もそうだが「理不尽」を知る奴は意外に少ない。
まあ当たり前だ。生まれながらにそんな、負け続ける人生など歩む方がどうかしている。何かに挑む前から負けていて、敗北に愛され失敗を繰り返し他者の共感など当然受けず、ただただ敗北を繰り返す。得る物など何もない。強いて言えば、その性格の悪さだけは積み重なる。
生まれて一度も、己を生命だと思わない。
そんな在り方の方が歪んでいる。歪んでるだけなら良かったが、まったくもって金にならん。
何故だ。
これが物語であれば、その分特殊な能力や仲間がいたり、あるいは金だけは稼げたりするものだ・・・・・・物語のお約束も守れないのかこの世界は。 人間だと思わない、どころではない。生物だと感じる事が無い。これが漫画ならその分何かしらの利益を生むものだ。世界に輪廻の輪なる存在があるとして、私はそこから外れている。
いや、もしその中に入れられたとしても、私はやはりその内にいると思う事は永遠に無いだろう・・・・・・・・・・・・当たり前だ。別の何かなのだから。 能力云々、ではない。
存在そのものが、違うのだ。
有り様が、相容れない。
何にしろ「いい思い」って奴だけは無縁だったのだから、金くらいは欲しいものだ。とはいえ、金さえあれば私はそんな些末事に縛られないのである意味ではバランスが取れている、のか?
王道の物語であればそれらの状況に「こんなの酷すぎる」とか「俺は生きていていいのか」とか思うのだろう。我ながら表現が古いかもしれないが、それは気にするな。とにかく、だ。要するにそれら「心ある存在の苦しみ」みたいなものが、私には塵一つ分も無い。
酷いかどうかは金次第だ。
生きていいかどうかは私が決める。
存在そのものが間違いであり、修正されるべき害悪だったとして、だから何だ? 私の貯金通帳に何か関係があるのか?
いや無論、あるなら考えてやる。
二秒くらいだが。
つまり私は大抵のどうてもいい事を二秒すれば忘れる。心ある存在なら悩むべきなのだろうが、私はあくまでも「人間の真似」をしているだけであって、人間そのものではない。だから、私には彼らのように真実思い悩んでいる訳ではないのだ・・・・・・当たり前だが、感性がない以上そのような悲しみに縁がある訳がない。
全ては金次第だ。時給があるなら幾らでも差別されてやるぞ。私はすぐに不愉快になるので時給五億ドルでも足りないだろうが。
金だけは貰う気もするがな。
受けるとは言ったがやるとは言っていないと、そう受け答えして実利だけ頂くか。前金は頂いて実行した際の金は遠慮しよう。我ながら謙虚だと言えるだろう。確かに前金を受け取るという事は依頼を受けるという事だ。しかし! その過程で何かしらの事故が起こり、実行できない事もあるにはある。その際に依頼金を受け取れないというのは当たり前だが、依頼を受けようと思い実行に移すとそのような事故があったとして、それでも依頼を実行しようという意志は確かにそこにあるものだ。そう、これはただの事故だ。
よって、前金だけ受け取る事に罪悪感なし!
そうでなくても、私に罪悪感など無いがな。
この私が噺を聞いてやるのだ。むしろ前金だけしか支払っていない事に、恥じ入って貰いたい。 まあ気にするな、私は寛容だ。
金さえ払えば、だが。
さて、本題に入ろう。
我々、というと色々と語弊があるので、ここは「人間共」とでも言っておこう。後からやっぱり人間じゃねぇじゃねーかと言われても困るしな。 人間共の歴史は、機械との歴史になった。
あくまでも途中からではあるが、まあ科学技術がという意味合いでは似たような物だ。今ここにある何かを更に便利に楽な方へ。それが人間社会における基本方針であり、そう考えると努力勝利友情だのを語る物語は笑える。そんな物では何も変えられなかったからこその科学だ。
楽して実利を得る。
人間の進歩という言葉が「高尚さ」みたいな物を演出する噺は多いが、人間の進歩は基本、楽をする為にあるものだ。そしてそれらの進歩とやらは時の権力者の気分次第で決まる。歴史が動いたというなら、それは偶々その権力者がやれと命令したからに過ぎない。
逆に、権力者が駄目と言えばそれまでだ。
実際、先進科学の殆どは遙か昔から理論としてある事が多い。ならば何故人は空を飛ばず物流を制御出来ず争いの多い司法を選ぶのか。簡単な話「その方が権力を維持しやすい」という理由だ。現在でもそうだが「民主主義」を掲げ「保守派」を語る連中が「民衆の権利」を語る一方で、彼ら持つ側はパーティを開き実利を貪り法律を味方にする。いつの世も「恵まれただけの勝ち豚」こそ素晴らしい存在だと称えられるものだ。
素晴らしいから素晴らしいのではない。
そういう事に出来るから、素晴らしいのだ。
芸術が何かも良くわからない連中が、意味不明にも程があるキテレツな物体に数億ドルの値段を付けたりする。物の価値を知らず、というよりも「物の価値を考えず」と言えるだろう。だから、彼らは湯水のように金という力を無駄遣いする。 無駄遣い、出来てしまう。
結果として本来遙か先に進めておくべき進歩とやらを、ただの気まぐれで先に進めてしまった時に「奇跡」や「人間の成長」と勘違いする。
まさか、だろう。そこまで人間は大層な生き物ではない。別に人間が滅んでも世界は続いていくだろうし、他にも生物はいる筈だ。
強いて言えば物語くらいだろう。
他種族に同じ物語を作れるとは思えない。漫画やゲームを神仏に作れるか? 無理だ。悪魔でも同じ事で、優れた能力を持つ奴には、そういった娯楽を創造する感性が欠けている。私に言われてしまう時点でお察しだ。
だが、機械ならそれが出来る。
創造性を付与した新しい腎臓生命アンドロイドもそうだが、人工知能という奴もくせ者で、私に言わせれば優秀なだけの障害物だ。
生まれついて優秀な存在。
つまらない。面白味の欠片もない。やはり欠点の一つでもなければ応援のしがいがない。まあ、私ほど弱点どころか戦う前から敗北するのも問題だとは思うので、それなりの愛嬌があればいい。であれば読者共も応援するというものだ。
そして、能力差があれば怒りがある。
私ではない。誰であれ差があれば怒りを持ち、不平不満を言うものだ。その不満に目を瞑っても更なる軋轢により憎悪すら生み出してゆく。
そしてついには戦争だ。
歴史の授業など習うまでもない。考えるまでもなく人類の歴史は大体これだ。知らなくてもいい黒歴史だけ覚えればいい。戦争で大勢死んだのは新しい資源が土地にあったからとか、敗戦により虐げられた人々はどれほどの絶望だったかとか、「不平等な平和条約」という欺瞞でどれほど先の国民達が、血と涙を流したかを覚えればいい。
歴史に学ぶ?
歴史を繰り返さない?
まして歴史を先に進めるだと?
馬鹿を言うな。歴史というものがあるとして、人類史は一歩も前に進んではいない。文化があるから私はそれでもいいが、しかし「人間の進歩」などと笑わせる。人間は人間のエゴによる厄災を何一つ克服できていないではないか。
同じだ。何も変わらない。
強いて言えば漫画やゲーム、物語の発展だけは良くやったといいたい。後は米だな。食い物文化や物語。文化形成に価値はあるが、人間そのものなどあろうがなかろうがどうでもいい物だ。
まあ、人間ほど我欲に歪んだ生き物は宇宙全てを探してもいないので、だからこそ面白い物語は人間社会の中にしか無いだろう。
あるならあるで、頂くがな。
それはそれで面白そうだ。
今回の物語はそれら「人間の因果」から発生し避けられない軋轢の物語だ。優秀な物を発掘し、その優秀な物と争うというのだから、人間は業が深い。単に頭が悪いだけかもしれないがな。
では、戦争を始めよう。
立ち読み禁止、金を払わない読者に生きる価値なし。それが私の物語だ。わかったら万札を投げ込んで感謝感激しながら私に財産を献上しろ。
それが読者の義務だ。
世界共通、読者は作者の敵である。金も払わず適当な評論を垂れてそのくせ何も生み出さない。まさしく粗大ゴミのような不要物。
それが「読者」だ。
それら不届き者に天誅を下すのが作家なのだ。故に、この悪意を刻みつけよう。貴様等が善なる全てを否定するように、貴様等が世界全てに絶望するように、貴様等が心ある全てを否定するように、この私が語ってやろうではないか。
邪道作家の物語に、救いなど無い。
あるものか馬鹿馬鹿しい。そんなものが欲しいなら聖書でも読んでおけ。根拠の無い救いで心を誤魔化したいならお似合いだ。
何の役にも立たないのは保証してやる。
ならば私の物語はどうか。いつも通り、出来は保証しないが悪意だけは保証しよう。それが悪意を刻み込み、世界を覆す邪道作家の物語だ。
さあ、始めよう。
善意の終わりを、道徳の廃棄を、倫理の改竄を始めよう。この物語において重要なのはただ一つ・・・・・・・・・・・・怒りは消えない、ということだ。
その炎を見るがいい。
無論有料だ、金は貰う。
貴様等の破産と引き替えに、この続きを読むがいい。勿論、廃人にならない保証は無いがね。
その先に、悪意の究極でも魅せてやるさ。
1
人間らしさでは、勝てない。
人間は神仏を信じたり魂の有り様の是非を問う事で「幸福の基準」に縋ろうとする。だが、私はその方法では決して幸せになどならない。
確信がある。有り得ないのだ。
第一、御免だ。偉そうな神仏だか悪魔だかが、「こうすれば幸福になれる」「それは幸福になる権利がない」と指示する通り動くのか?
何より他者の基準に縋るなど、おぞましいにも程がある。自分では道を選ぼうともせず、機械の言うままに従う運転者と同じではないか。
それなら、当人はいるまい。
そもそも何をやろうが間違いだ。どれだけ徳のある神仏が説こうが、どれだけ悪徳を積み重ねた悪魔が語ろうが、同じだ。その当人の考える思想である以上、その他全てに適用できる絶対的基準など、ある筈もない。
あってはならないのだ。
それではその当人だけがいればいいではないか・・・・・・他の全ては欠損品という事になる。何せその当人の思想が「正しさの基準」なのだ。
その他全ての基準を排する行いだ。
隣人を愛するのは勝手だが、隣人から搾取する事を生き甲斐とする奴を、間違いそのもので害悪のように語る資格など無い。
こちらの道が正しいから、それは間違いだ。
ただの思考放棄ではないか。生憎だが、隣人を愛すると言えば聞こえは良いが、ならば貴様等は家族を皆殺しにし国を滅ぼした奴に人類皆平等を説き許せるとでも言うつもりか?
それこそ人間性の否定だろう。
正しいから、善良だから、それは人間を見ない行いなのだ。悪徳こそ人間であり、他者の差別が繁栄を極め、殺戮こそ科学の進歩であり、愛こそが他者の付け入る隙となり、大勢が死ぬ。
そんなものだ。
あくまでも指針程度に留めるならいいが、己で導き出した答えでもない道を歩くのは、要するに甘えだ。己で考えるより楽だからな。
散々考えて疲れた私が言うんだ間違いない。
百害あって一一利なし。まさにそれだ。己の道とやらを導き出したところで、徒労しかない。
楽な道からは、最も遠い。
他者の思考などそれが何者であれ、参考程度に済ませるものだ。大層な肩書きに騙されるな。
私でもやってるんだぞ。恥ずかしくないのか。 恥という概念があれば、だろうがな。
連中の浅はかな幸福論で、他でもないこの私が成功できれば苦労はない。このままでは、間違いなく「色々あったが良い事は何もなかった。結局持たざる者は意志を持ち行動する事すらも無意味無価値に終わるということか」などと嬉しくない結論を出さざるを得なくなる。
実際、そうだ。
良い事など、何も無かった。そもそも人間達、いや心ある存在の全てが感じるであろう「幸福」というものに共感できないのだから、私の世界にあるのは「幸福の存在しない世界」だけだ。
苦しみだけはあった。
毎度毎度何でここまで苦しみばかり味わうのか不思議なくらい、鋭利な痛みではなく鈍く地味に苦しみ続ける。無論、鋭利な痛みも味わう機会は多かったが、やはりそれも「苦しみの一つ」だという印象を受けるものだ。
おかげで苦しみには耐性が出来た。
どんな毒で苦しめられようが、情報を吐かない自信がある・・・・・・果たして何の役に立つのか疑問しか浮かばない。いるか? この技能。
一応私はサムライらしいしな。
時代遅れの邪道作家という意味合いでは確かに「サムライ」というのも相応しい。ちなみに痛みは苦手だ。耐えられない訳ではないが、注射など体内に入れて針が折れたらどうするのかと、つい思ってしまう。
常に最悪の可能性のみを考える。
そしてそれだけが実現してきたのだ。なかなか血管が浮かばないからと両腕に何十回も刺された記憶がある。健康な顔色だから全て健康体、ではやはり駄目なのだろうか。医者の下らない虚栄心に巻き込まれ、部長を立てる為に私が割を食うのは正直御免だ。迷惑にも程がある。
苦しい。
苦しい。
苦しい。
確かに苦しみには自分でも引くくらいの耐性があるが、だからどうした。私は痛みや苦しみに、喜びを感じる性癖など無い。
毎回脳髄に溶岩を流し込む様な激痛と呼吸困難による意識錯乱を味わって、それで喜ぶ奴が入ると思うか? いない。私もそうだ。
脳が痛み過ぎてどれだけ激痛が脳に走ろうが、正直そのまま散歩に出れるのでは? と思える程それら苦しみに慣れてしまった。
嬉しくない。
金も入らないなら尚更だ。
まあ溶岩は大げさか。神経を鷲掴みにされる、その程度の痛みなら子供でも耐えられる。事実、私は耐えた。なら出来る筈だ。
そういう人間だけ生き残ればいい。
私が人間なのかはかなり疑問だが、とにかく、その方が面白そうだからな。その程度で発狂するならしてしまえ。それでは娯楽は作れまい。
作家などその最たる例で、大抵はロクでもない「味わうべきではない苦痛苦悩理不尽」を、嫌でもかというくらいに平らげたからこそ、それらを悪意たっぷりの物語で書くものだ。
でなければ物語など書くまい。
最近のアイドル作家なる屑共なら知らないが、物語は衆目を集めるものではないからな。要は、大勢の人間に知らしめるべき「何か」だ。
何でもいいぞ。人間不信とか、博愛否定とか、迫害精神とか、経済奴隷とか、友愛殺人とかだ。とにかく、読者が苦しめばそれでいい。
物語とは、悪意で読者を苦しめるものだ。
即ち、大量殺戮の為の兵器である。
如何に大勢の読者に悪意を刻み込み、苦しめ、善意を否定し道徳を裏切り人間性をあざ笑う様な喜劇か、人間に絶望させるような悲劇が欲しい。あるいは、次代に希望とやらを託すように見えてその実ただの希望的観測であれば最高だ。
こうであって欲しいという希望。
それは裏返せば現行の世界の否定に他ならない・・・・・・・・・・・・「今ここに生きている貴様等読者の世界には、汚らしいゴミしかないんだよ」と肩を叩いて宣言するようなものだ。
未来に託す時点で、今の人間を認めていない。 だからこそ次代に託すのだ。今ここにある人間の全てを「ゴミだ」と考えているからこそ、思想という兵器を感染させ、さも美しい考えであるかのように演出して騙し、今ここにある人間の全てを否定させる。
即ち、現行人類の殲滅だ。
今生きている全ての人類を殺して下さい、そう語りかける行為だ。物語を書くという事は、その大量殺戮に荷担する事であり、物語を読むという事は、全ての人類を殺す事に喜びを感じ、笑顔で殺人鬼として活動する行為だ。
素晴らしいではないか。
だからこそ、世界は最高に面白い。
見応えがあるというものだ。最も面白いだけでは生きていけないので、やはりそれも金次第だが・・・・・・なら金を得たら何をするべきかと言えば、それら「殺戮の輪」を広める事に腐心する。
私の場合、物語の普及だ。
物語を読んで物語を書いて物語で儲けて物語を広めて物語で世界に挑み、悪意だけを刻み込む。 善意? 必要ない。その辺の週刊誌に書かれているだろう。立ち読みでもしろ。道徳や倫理などを気にするくらいなら、ゴミ拾いでもしておけ。 町をゴミまみれにして何が倫理道徳だ。
倫理や道徳で誤魔化しているだけだ馬鹿め! そのような妄言語る必要なし! 何なら今すぐに憲法を改訂しろ。まず「他者と殺し合う事を自認しましょう」そして「我々は生きているだけでも害悪なので、天国には行けません」さらに「社会とは富裕層の為の奴隷市場であって、建前だけの民衆の権利などただのゴミです」と、本当の事を書くべきだ。
実際、ただの奴隷だろう。大抵の民間人は奴隷なのだという意識で生きている。当たり前だが、経済面で満足できる奴など稀だ。進学の為に借金を繰り返す事を国が公認している時点で、何なら革命の一つでも起こしていいくらいだ。
所詮、国家など暴力で押さえつけているだ毛でしかない。その事実を誤魔化し「誠意もどき」で国民を洗脳して搾取する。それこそが「政治」であり「人の上に立つ条件」だと言える。政治理念など、阿呆でなければそうだと分かる筈だ。
実現しないからこその理念だ。
現代社会において、理念とはお茶を濁す為だけに存在する概念であり、実現する必要など無い。 むしろ、実現するなら理念ではないだろう。
何故ならもし実現させる気であれば、それらを大層に語る前に、既に行動は終わっている。
本来は、そういうものだ。
このような時代においては、むしろ私のような奴の方が「異常」だが。持つ側が甘やかしあい、堕落する為に「倫理」や「道徳」そして「正義」という「暴力」で、奴隷を育み誤魔化す世界。
恵まれるか恵まれないかが全て。
まさに家畜だ。いつから人間はここまで小さくなったのか。恐らくは「戦争」という概念が身近な考えでは無くなったからだろう。
別に物理的な戦争ではない。相争い奪い合う。そして敗者を虐げて生きる。争いの本質を否定し現実から目を背けた時点で、人間と呼ばれる品種ではなくなっているのだ。
貴様等読者は人間じゃない。
人間じゃないのだから、人権もあるまい。
ならば、殺されても文句を言う権利も無い。
読者も核兵器もさして変わらない。私の掲げる思想は「人類皆殺人鬼」だった。だがこれからは「人類皆核兵器」でもいいかもしれない。実際、核兵器を作り出す核兵器なのだから、間違ってはおるまい。
生きるだけで害悪そのもの。
ただし、悪党云々ではなくただそこにあるだけで、臭い、汚い、鬱陶しい。人間を剥製にする奴の気が知れない。肥料にでもするのか?
汚部屋なのだろう、きっと。
部屋くらい片づけて欲しいものだ。
「ちょっと、聞こえてますわよ!」
そう言ったのはエリーゼと名乗る女で、以前も私に依頼をした「仲介屋」だ。我々は少しばかり油臭いレストランで食事をしている。
何故油臭いか? 簡単な話だ。
ここは、人間より機械の支配律が高い惑星で、食事も娯楽も戦争も全て機械で賄われる世界だ。臭いというより雰囲気が油臭い。
無機質でつまらないレストランだ。
配膳も機械、調理、というより制作も機械で、メニューすらタブレットで行う。これでは非常食を家で食べるのと変わらないのではないか?
アンドロイド連中と違ってただの機械には創造という概念がない。元よりアンドロイドの台頭で「人の誇る人間性」など鼻紙のようなものだが、それでもここまで極端ではなかった。
これも一つの可能性、だろうか。
「いいですよねぇ、機械。言われた事しかやりませんし、黙々と働いてくれますから気配りも必要ありません。実にエコです」
言いながら、チャイと呼ばれる飲み物を飲む。どうやら、今回はこの惑星の最新鋭素材を使った衣服らしく、目に優しくない派手派手しい衣装を着ていた。やはり女は気立てだ。見た目も勿論、重要ではあるが・・・・・・正直、これは疲れる。
一緒にいて疲れる女など、論外だろう。
スリットの入ったドレスに今回は(こいつらは毎回見た目を自由に変えられるらしい)見た目を銀色の長髪にして頭の上でまとめ、割と露出度が高い服装をしている。男であれば喜ぶべきなのだろうが、正直よくわからない。
寒くないのか?
お上品にチャイを飲んでいるが、その上品さも男を手玉に取り要領よく動く為にしか見えない。可愛げの欠片もない女だ。
可愛げのない女を、女と呼べるかは謎だが。
それが態度に出ていたらしく、彼女、エリーゼは私に「随分と不服そうですわね」と口にし私を肉食獣のように睨む。
「すまんな、嘘がつけなかったんだ。まあ人間のように嘘を付くよりは素直に嫌がった方が貴様の主義に合うだろう? 感謝してくれていいぞ」
「誰が、しますか」
まだ以前高額な経費を請求した事を根に持っているらしい。私はただ、破産すればいいと大量の経費請求を行い、かつ口先で叩きのめして彼女の負担を大きくしてやっただけで、善意は無い。
小さい女だな、まったく。
「そこ、口から漏れてますわよ!」
「失礼した。何分、素直で実直な性分なもので」 不審者を見る目で彼女は私を見た。テーブルに座り料理を待つ段階で、男女がこうも争っているなら関係を誤解されるかもしれない。
周囲が少し、騒ぎ出した。
「周りから見れば痴話喧嘩に見えるのだろうな」「誰がっ、貴方と、付き合いますか!」
口先で更にやりこめてもよかったが、弱い者をいじめても金にはならない。なので私は、適当に切り上げて仕事の噺に移ることにした。
「それで、依頼の内容は」
「・・・・・・いいでしょう。私も無駄なお喋りは好みませんし? さっさと話をするとしましょう」
どの辺りが無駄なお喋りを好まないのかとか、貴様の回りくどいやり口で周囲に迷惑がかかったんじゃないのかとか、それらの話は抑えた。
ここで笑っては話がこじれる。
エリーゼじゃあるまいし、私は空気を読む。
日頃は、読んだ上で破壊しているだけだ。
彼女は一枚の資料を差し出す。見ると、そこに「本田忠勝博士」という男の顔写真と、その発明の数々に対する賞賛の文章が書かれていた。
何だ、これは?
もしかしてこいつを殺すのか? 見たところ、ただの老人なので私でなくとも良さそうだが。
「いえいえ、逆です。貴方には彼の復讐を果たして貰います。名付けて、
チキチキ! 機械文明滅亡ゲーム、
です」
表現が古いとか話の内容が結局わからないとかこれで可愛いつもりなのかとか、やはり抑える。いや面倒だ。こいつにそんな義理はない。
「ださいな、その表現」
なので実直に切り裂いた。
「そんな事ありません! 最近はレトロブームもありますし? こういった「古き良き時代表現」も大切ですからサービスさせて貰いました」
あまり追求すると依頼にも私情を挟みかねない女なので、手加減してやろう。仕事に私情を挟む時点で半端者なのだが、いつ自認するのやら。 「それで、今回は何を殺して欲しい?」
「あら、自覚があるというのはいいですね。私はてっきり「殺す」ではなく「倒す」と言われるのかと思いましたが」
にまり、と残念な笑みをエリーゼは浮かべた。 残念だ。こうもだらしない笑顔では、男どころか女からも敬遠されるだろう。
「どちらも同じだろう。罪悪感なのか「倒す」と言えば実質的な殺しも、まるで誰も殺していないかのように思い込める。自分達は確かに殺したのだと口にはするが、その実自認の欠片もない」
よくある話だ。
自認があるなら堂々と殺せ。大人でも子供でも関係ない。生きる上での障害と戦い、取り除く事に「善悪」とか「倫理観」を持ち込むな。
とどのつまり殺すなら、逃げるな。
「ですが、貴方はたまに、「倒す」という表現を使われますよね? 案外、貴方でも罪悪感とか、感じちゃったりするんですか?」
「いや、単に表現が剣呑すぎると売れないかな、と気を配っているだけだ」
もしかしたらそれが原因、かもしれない。
今更手遅れの気もするが、たまには構うまい。「え・・・・・・今更ですか?」
珍しく表情を硬直させてエリーゼは口にした。甘い奴だ。私がこの程度の表現だけで「残酷」と考える奴だとでも思うのか?
浅はかな発想だ、馬鹿め!
そうだな・・・・・・・・・・・・全人類が私のような奴というのはどうだろうか。皆が皆、笑いながら殺し合い、恋愛も友情も否定し、未来など絶望だけだと高らかに宣言する世界。世界を利益は後払いで呪い続ける事が「常識」である世界だ。面白いとは思わないか?
少しばかり、個性が偏るか。
ならば私の思想を全人類に刻み込むというのがやはり最適なのかもしれない。世界に対してどう思っていようが関係ない。全ての脳髄に私と同じ思想を刷り込み、例えどのような性格だとしても「最悪の思想」が根底にある人類規範の世界。
皆が皆「迫害してくれて有り難う」と叫ぶ。 皆が皆「間違いこそが最高の娯楽」と楽しむ。 皆が皆「この世界には悪しかない」と認める。 誰も彼もが己のばかげた夢を追いかけ、何一つ反省せず態度だけは宇宙規模。その悪意に至っては、文字通りの「無限大」だ。
そんな事を考えている私が不気味だったのか、彼女は「あ、いえ、言わなくていいです」と先手を打つのだった。
「それで、機械に対する復讐とは言うが、結局私は何を斬ればいい」
「それがですね、ええと」
言って、エリーゼはタブレットを取り出して、私にとある記事を見せた。
そこにはこう書かれている。
「これです。近々機械文明、というか人造生命の連合体を「国連」として改訂しようという思想が広がっているのですが、標的はこれです」
「だから、何だ。何を斬ればいい」
彼女はあからさまに不可能な事を押しつけられている奴を見て楽しむように、その性格の悪さが露呈するような残念な笑顔でこう言った。
「ええ、ですからその思想を殺して欲しいのです・・・・・・今から三日以内に」
数々の理不尽を経験した私だが、流石に三日で人々の思想を斬れという無理難題は、経験にない新しい刺激になるのだった。
勿論、嬉しくない刺激だったが。
2
「厳密には三日ではないのですが、まあ依頼人の体調が芳しくないので「依頼人が生きている間」に達成して欲しいのですよ」
ちなみに最低でその寿命ですので、あまり猶予はありませんと彼女は付け加えた。この女は仕事を舐めているのだろうか?
広がった思想を斬り殺すだと?
しかも三日? 出来るかボケが!
「ええ、勿論丸ごと殺すなんてのは無理ですし、何より確かめようがありません。慣用なのはですね、「依頼人の復讐心が満たされる」点です」
「成る程、つまり「叩き斬った」という充足感を与える形で機械文明に「ギャフン」と言わせればいいわけか」
「その例えも古いですね」
「大きなお世話だ。戦国時代遅れの女より遙かにマシだと自負している」
「ええー、前々から思っていましたけど、先生は若干、趣味がおじいさん臭くありません?」
この依頼断ろうかな。
よし、そうしよう。
「悪いがこの話はなかった事にしてくれ」
「あ、ちょっと! 若い、若いですから。だから話だけでも最後まで聞いてくれません?」
疑問符の多い奴だ。他人を試すような話し方であれば、ある意味当たり前ではあるのだろうが。「なら前金を多めに貰おうか。そうだな、貴様がそこで三回回ってワンと鳴くとかどうだ」
「お断りします。けど、そうですね、何なら賃金は普段の三倍でもよろしいですよ」
成る程、やはり裏があるらしい。この女の依頼で裏のない話などない気もするが、とにかく金を絞れるのは確かだ。
だが、やるなと言われればやるのが私だ。
なので私はこう言った。
「いや、賃金はいいから三回回ってワンと鳴け。これ以外の条件で、私はこの仕事は受けない」
「・・・・・・・・・・・・何でしたら五倍でもよろしい」
言い終わる前に再度、私は言った。
「駄目だ。これ以外では受けない。どうやらこの仕事は貴様にとっても成功しなければまずい事になるらしいな。であれば、何度でも言おう。
三回回ってワンと言え。
勿論、動画に収め写真で保存し貴様自身の証書に「私は邪道作家様の依頼を受ける際に、三回も回ってワンと吠えました」と一筆書いて貰う」
私は堂々と宣言した。
レストランの客達はざわめき、私も周囲に気を配りながら聞こえるように丁寧に口にした。
エリーゼは余裕が崩れたのか、
「どんだけドSなんですか! ええと、依頼金も結構な金額頂けますし、今回のレストラン料金も私が奢りましょう。ここの料金目玉が飛び出る程高いですから、前金がないときついですよ」
と早口でまくし立てる。
「成る程、わかった」
私がそう答えると、彼女は安心したように、
「でしたら、これを」
と言ってテーブルの上に結構な札束を用意した・・・・・・まったく、話の通じない奴だ。
「いや、つまりこうだ。例えここで捕まっても、尋問に続き拷問を受けたとしても、貴様がワンと吠える姿を励みにして耐える事にするよ」
「なっ・・・・・・」
絶句。
まさにその言葉が相応しい対応だ。
「正気ですか貴方は! そこまでして私に辱めをしたいんですか? もしかして、私の魅力がそうさせました?」
嫌らしい顔で彼女は責め立てる。
だが、私は素直にこう答えた。
「いや、私は単に偉そうに振る舞っている貴様が屈辱に打ち震える姿を見たいだけだ。別に貴様でなくても、きっとそうしただろうな」
それが素直な感想だ。私の信条であり、作家としての有り様でもある。
何者であれ、持つ側には屈辱を。
その強者の仮面を剥ぎ取り地獄を見せる。
なあに今まで散々やられてきたんだ。ならば、この報復行為は当然の行いであり、悩む必要など一ミリもない。全てが義務の行いだ。
「ぐぐぐ、で、でしたらこういうのは」
「駄目だ。妥協案はない。ここでしなければ私は断り、牢獄の中で耐えるだけだ」
「そこまでします!? い、いえ。そんな理由で本当に耐えられるものですか。今ならまだ許してあげますよ」
「貴様自身がさっき言っただろう。依頼人の寿命はあと三日。早ければそれだけの時間でこの依頼は消化不能になる。貴様に金もでないだろうな」「ぬぐぐ・・・・・・で、でも貴方はその後も拘束され自由が無くなるんですよ? そんな理由で人間が耐えられる筈がありません!」
何も知らないのか、こいつは。
悪人とは基本、そういうものだぞ。
「いいや、悪くない。そもそも食い逃げでそんな重罪を負わせられるとも思えないが、元より本物の悪党とは、下らない理由に全てを賭けるもの。貴様の恥と天秤にかけられるなら、破滅を賭けるのも悪くない」
むしろ、面白いではないか。
いや無論、冗談だ。そこまでこいつに価値などない。だが、どうしてもしたくなるのは本当だ。
持つ側にいる連中と、こちらの破滅を賭ける。
これ以上ない「生き甲斐」じゃないか。その場の勢いで全てを賭ける。その上で勝とうとする。これこそ「持たざる者」の本懐だと言えよう。 「さあ、賭けよう。私の破滅と貴様の恥。どちらを貴様は選ぶんだ? 決めるまで待ってやる。
さあ、早くしろ!
賽は投げられた。どちらか選べ」
「え、ええー。正気ですか貴方」
「私の正気は貴様等の狂気だ。そんなことも知らないのか」
「自慢げに言われましても」
どうやらする気はないらしい。つまらない女だ・・・・・・ここはノリノリでするべきだろうに。
三回回ってワン。そんなに屈辱か?
人間の、心の感性とはそういうものらしい。
よくわからん連中だ。
「わかりました、やればいいんでしょうやれば! いいですか、一度しかやりませんよ」
「早くしろ、既に録画は回している」
私は用意していた端末で録画を開始する。
げんなりしながらエリーゼは行為を始めた。
まずは三回、凄い汗をかきながら(余程恥ずかしかったのだろうか)回る度に顔面を赤くして、ついには最後「ワン」と鳴いた。
「声が小さい!」
「わ、わん!」
恥ずかしさと涙と屈辱で凄い表情になっているエリーゼを激写し録画し記録に収める。エリーゼは「絶対に復讐してやるぞ覚悟しろ人間」という顔をしているが、残念ながら復讐を果たした所で私の記録映像を消すのは不可能だ。
私はテーブルにパソコンを置いた。
「拡散希望、っと」
「やめなさい!」
厚顔の剥がれたエリーゼに猛烈に抗議されながらも、私は依頼の事を考える。
どうやら、今回もロクな噺ではなさそうだ。
それもまた、いつもの事だが。
3
食事を終えて、私は博士の住処へと向かった。 当人の意志に関係なく選ばざるを得ない道程を呪いと表現する輩がいるが、これに関して言えば選ばざるを得ない道であり、かつ選んだのだ。
私はそうだった。だが、この博士とやらは違うらしい。何でも人間としての有り様に拘り論文を発表し続けたものの、この荒れ狂う時代の荒波に流され機械文明に怒るようになったとか。
怒り、まさしくそれだ。
これは怒りの物語。それも、私が悪意で世界に匹敵せんとするように、この怒りは相手の世界を飲み込まんとしている。大したものだ。
怒り続けるには理由が必要だ。
そして、現代の軟弱な人間どもには、そういう「強い理由」を持てる奴はいない。強い理由など持つまでもなく勝利する輩が世界を回し、また、それら理不尽に本気で向かい合わない。そんな、真剣に世界と戦う行為は、物語の中だけだ。
少なくとも、今の人類はそうだ。
これからも未来永劫、そうなるだろう。
既に人間性を謳える「人間」など絶滅している・・・・・・そんな生き物はいないのだ。だからこそ、強く未来に生きる理由が消滅している。
求めずとも生きてこれたからこそ、求めずとも運に愛されたからこそ生き残れる世界。そういう環境下であれば、自然残り物だけが生き残る。
私のような奴などそうはいない。
当たり前だ。呪われた道程を呪いを浴びながら世界全てを呪い続けて今に至る。私は呪いのプロらしい。今初めて知ったぞ。
だが、それも事実だ。
私の道には、呪いしかない。
祝福など存在せず、迫害が呼吸のようにあり、何かをすれば必ず敵対者が増え、かといって何もせずとも理不尽は頼んでいないのにやってくる。 散々だ。これで何故利点がない?
物語であれば何かこう、才能や素質が代わりにあったり仲間に恵まれたり金だけは稼げたりするものだが、ひたすらにマイナスだけがそこにある・・・・・・いやマイナスですらない。ゼロだ。何一つ存在しないのだから、振り幅すらない。
強さによる弱さも。
弱さによる強さも。
何一つ、併せ持たない。
つまり、良い部分は何もないという事だ。幾ら最悪だと自認する私でも、だからって利点の一つもないのはどうかと思う。正直異常だ。
絶対に、戦うところにすら行かない。
絶対に、全ての周囲は必ず敵対する。
絶対に、あらゆる労力は無為となる。
漫画じゃあるまいし、いや漫画にしたって欠点だけではなく堕落し合う仲間がいるとか、或いはそれに応じた能力があるとかあるだろう。
ふざけんなボケ。
理不尽に対してそう叫ぶ旅人の漫画があったがあれにしたって仲間はいた。病に冒され敵は強大でも、それでも仲間に恵まれ周囲は味方する。 敵が理不尽そのものでも、それ以外はある。
見るだけで敵対者を粉微塵にする怪物相手でも仲間に恵まれ支持される時点で恵まれているのだ・・・・・・それはやはり、持つ側の視点だ。
世界に迫害されるのが趣味のような奴ですら、そういう側面があるものだ。当人が無力な分仲間が優秀だったりするのが分かり易いか。とにかく言えるのは、私はそのような「楽な道」を決して進めはしないという事実だ。
是非したかったが、何故私なのだ。
大体、私のような奴に優秀な仲間もいないなど試練ではなくただの拷問ではないか。どうしろというのだ。あれか? 知恵と勇気で解決か?
「おいおい、俺がいるじゃないか、先生」
「貴様が役に立った事など無い」
事実無い。物語を売るのにどうすれば人工知能が役に立つ? そもそもだ、携帯端末の中にいる人造存在が勝手に喋るな。
自我のある人工知能は違法だ。
面倒なので適当に「ジャック」と名付けているこの人工知能は「始末」の依頼達成の為に情報を収集する役割を担っている。とはいえ所詮電脳の中にのみいる存在だ。利用できる事はあっても、まさかそれが物語を売れる筈もない。
宣伝でもさせろだと?
誰かやらせてみてくれ。出来れば、だが。
考えるだけ無駄な上、虚しいだけだぞ。
「それもそうだ。けどよ先生。実際問題誰一人として味方にならないなんて有り得るのか?」
「いい質問だ」
私はぬかるんだ道を歩きながら地図を読み博士の家を目指している。無いとは思うが私の道だ。何があるかわかったものではないので一応大きめのリュックサックに非常食、太陽電池、携帯武器・・・・・・は既にあるので、数ヶ月は無理だが数週間程度なら生き残れる装備をつけている。
しかもまた山道だ。
私の標的は辺鄙な惑星の山に住まなければ死ぬ生き物ばかりなのか? 勘弁してくれ。それこそ一等地在住のセレブとかでいいじゃないか。
持つ側を殺せば世界が潤う。
いるだけで邪魔な存在だ。他でもないこの私が明言してやる。いいか良く聞け。
持つ側にいる奴は、倒される義務がある。
神仏でも人間でも悪魔でも、同じだ。何かしら特別な能力、待遇、環境があるなら、とりあえずそいつは殴ってもいい。可愛い気があれば許す。面白味があれば立ててやる。だが傲慢さだけでは生きる価値なし。絶対にただでは返さん。
そういう連中を苦しめる責務があるからな。 これも仕事の内だ。
「私も己の待遇を理論化しろ、と言われれば正直面倒臭いが、喋りながらでもないと余計に疲れるから話してやる」
そうでもなければ面倒過ぎる話題だ。
何故迫害されるのか? 改善できるならいいが私の場合解決不可能だ。「私」だからな。陳腐な言い草ではあるが、私が私である限り、むしろ、迫害されない方がおかしい。
迫害されなければ異常だ。
だからこその邪道作家だしな。
「ふん、そうだな・・・・・・思い返してみてもやはり「特に理由も無く」というのも多い。何も理由はなく「偶々そこにいたから」という理由で迫害を受けた、と言う風にも取れる」
取れてしまうのが悲しいところだ。単にくじ運がないとも言える。くじ運。そういえば一等賞を取った記憶など、一度もないな。
取らなくてもいい物だけは取っているがな。
嬉しくもない。
「何だろうな・・・・・・変な引力でもあるのかもな。悪性情報だけ引きつけるなど笑えんが」
「そうか? 最悪だけに丁度いいと思うが」
何が丁度いいんだ何が。
何も良くない。良い事など一つも無かったぞ。「いや前にも言ったけどよ、先生は人間の悩み、精神的な問題を問題にしない。けどよ、仏じゃああるまいし、それじゃバランスが悪いだろ?」
「だから問題を下さったのだ、とでも?」
「そうじゃあない。そうじゃないが、やりがいはあると思うぜ。先生はそっち方面に手応えを感じないんだから、丁度いい憂さ晴らしってこと」
「そんな手応えいらないんだが・・・・・・仮にそうだとしてだ。その理屈で行くと「幸運」って奴など到底見込めまい。それでどう勝利する」
「さあね。それは先生の仕事さ」
適当な事を言いやがって、無責任な奴だ。
これだから口先だけの連中は、まったく。
エリーゼといいこいつといい、どうかしてるな・・・・・・私に言われたらお終いだぞ。
少しは察しろ、馬鹿め!
己を弁えて金を払え。
全財産の八割でいいぞ。
今回の惑星は首都圏は辺境惑星などとは言える環境ではない。全てが管理され運営される言わば「機械文明都市」とでも言うべき国家だ。
分かり易く言えば、搾取形態が整っている。
仕組みを作るだけで奴隷を動かし、運が良いというだけのゴミ共が上に立つ世界。機械という、分かり易く強大な文明の利器を悪用し、その上で綺麗事をほざきながら他者を踏みつけ搾取する。 管理するという行いは、即ち支配への道だ。
そして、支配という概念は所詮妄想に過ぎない・・・・・・強大な力を得たところで、その力で相手を支配出来ていると思い込むだけだ。そもそもが、どのような力でも一夜の幻に等しい虚構だ。
そんなもの、いつ無くなるかわかったものではない。誰が先を保証する? しないし、出来ないのが「事実」だ。山の天気みたいなものだ。
幸運が続けば、それも理解しないまま終わる。 だから、知らないままわかろうともしないまま人生を終える寸前、連中は文句を言うのだろう。「こんな筈じゃなかった」と「生きている実感」の欠けたまま楽な道を歩くと、散々楽をしてきておきながら、不満だけは出る。
貴様等は不可能に幾度となく挑んだのか?
理不尽に敗北を数えるのをやめた事は?
あまつさえ金にもならない理不尽はあるか?
いや言わんでいい。無い。断言する、無い。
何故なら、そのような道ばかり歩いていると、私のように性格は捻くれ悪意のみを信じるものだ・・・・・・・・・・・・未来を信じる時点で違うだろう。
或いは、己の能力や誇りか。
それらを信じる「だけ」で勝てるのが、恵まれている証左なのだ。己の能力や誇りなど、信じたところで裏切られるのがオチだ。それだけで勝てれば苦労はない。旗を掲げているだけで勝てる程私は恵まれてはいないのだ。
掲げたところで、続く奴もいないしな。
どうしたものか。この考えも何度目だ?
やれやれ、参る噺だ。洒落にもならない。
「けど先生の倫理観じゃ「幸運に味方されて勝つ奴はつまらない」んだろう? だったらよかったじゃないか。先生の望み通りの展開だ」
「馬鹿を言うな。運に見放されて勝つなど、それこそ物語の中でのご都合主義がある時だけだ」
実際、どう勝つのだ?
売りに出そうとするだけで必ずうまく行かず、どころか依頼したら「ごっこ遊び」のような考えの屑が、金を貰っておきながら逆ギレする始末だ・・・・・・救いようのない業界だな、まったく。
子供に期待する程、私は暇ではないのだが。
いや、この場合「不出来な赤子」か。赤子の方が物わかりは良さそうだがな。
業界人気取りのゴミは、どうしても消えない。 鬱陶しい限りだ。余所でやれ余所で。
物語を読めない、書けない、解さない。これでよくまあ業界人を気取れるものだ。恥ずかしがる感性はないらしい。でなければ無理な話だ。
調子の良い駄作ばかりを「売れそうだから」と金を支払って買う。これはただの道楽だ。編集者だとでも思い込んでいるのか?
つまらない世の中に生まれたものだ。
張り合いがない。情けない連中だ、まったく。 なればこそ、物語で世界を盛り上げて行きたいところだが、前段階でこけているのだから検討のしようもない。八方手詰まりだ。
詰まらなかった時はないので「八方平常通り」とでも言うべきか。つまり、いつも通り駄目だ。駄目なゴミ共に掃除も出来ないとは、汚らしい。 まあそういうゴミ共が敵対しているのだから、ある種当然か。ゴミがゴミを生みゴミを尊重する社会なのだから、邪魔されるのも当たり前だ。
人気者は辛い、というやつか。
不人気でいいから楽をしたいものだ。
物語の評価など、私の生活には関係ないしな。 こんな風に毎日毎日、悪夢にうなされては飛び起きて書き、頼まれてもいないどころか金にすらならないのに書き続けてはいるが、それで実利になった事は一度もない。あらゆる苦しみあらゆる迫害あらゆる理不尽に逢いながら、それに見合う報酬などなく、その逆に、それらについて綴れば綴る程更なる理不尽に逢う始末だ。
今更その評価など、どうでもいい。
何の役にも立たなかったのだからな。
強いて言えば、今更ながら解決策を考えられるようになったくらいだ。近年はいじめ問題などが大きく取り上げられているが、私はある種迫害のプロ(まったく嬉しくないが。意味もなく馬鹿面を下げてもてはやされる方が、どう考えても楽だろうに)だ。例えばそれを解決する簡単な方法を悪夢にうなされ飛び起きた際に思いついたりする・・・・・・夢の中でまで迫害されるのも、正直どうかと思わざるを得ないが、事実だ。疲れる噺だ。
まず、学校には行かなくていい。
私の場合事細かに詳細を学校で語りまくる事で大事にし、最終的に学校にいられなくなった気がする。確か結果的にそうなった。進学してからは面倒臭いので事前に叩きつけて脅したりしたが、やはり効果はあまりない。毎回全ての奴を脅す訳にも行かないしな。これは、どのような環境でも「使える手」だろう。もし職場でも似たような事が逢った場合は無理矢理有休を取るか、それでも難しいなら正直退職して探した方が良い気もするのだが、とにかく「落ち着け」が第一だ。
急いでもロクな事にはならない。
私が保証する。可能ならまず一休み、だ。
まず大事にしなければならない。世界は個人に関心などなく、何人死のうが受け入れる。だから連中の綺麗事に訴えてやればいい。
具体的に言うと、書面にまとめる。
大勢の人間からサインを集め、当人の意志など適当に言いくるめてでも「大勢の同意があった」という体を取れれば警察も動かざるを得ないし、動かなければ更に大事にして何なら警察署の前で騒いでやればいい。あるいは、テレビ関係にでも情報を持ち込むのも手だろう。
もっとも簡単なのは学校の前で拡声器でも掲げながら大騒ぎする事だろう。毎日、毎日そういう事をされて平気でいられるのは、私みたいに毎日そういう目にあっている奴だけだ。
いや本当。毎日だぞ毎日。
慣れとは恐ろしいものだ。
何度も言うが、全く嬉しくない。これが一体、何の役に立つというのか・・・・・・金にはならない。 学校などゴミが偉そうに振る舞う為にある鳥籠のようなものだからな。そもそも通うことによる実利など有り得ない。宇宙一利益に五月蠅いこの「私」が言うんだ間違いない。
はっきり言って、耐えるなどただの徒労だぞ。 何の価値もない行いだ、それは。
ストレス社会に慣れたいならともかく、そんな物に慣れても胃に風穴があいて死ぬだけだ。意味などない。ただの「無駄な労力」だ。
そういうのには私は詳しい。
無駄な労力だけは賭けた自信がある。
いっそそれを商売に出来ないものか・・・・・・検討だけはしておくとしよう。いじめ問題は近代だと大きな問題になりつつある。そいつらに私が助言すれば、かなり、大分、凄く、人間社会は乱れるだろうが、それにより極一部の被害者共が喜ぶのならば、周囲は大迷惑かもしれないが私の貯金とついでに被害者連中は笑顔になれる。
素晴らしい。代金を高く見積もれそうな所が、いや、その辺りどうだろう。可能なら成功報酬で数十万は欲しいところだ。
いっそ基本はそれにするか。
喜んだのもつかの間、恩を仇で返され支払いを拒まれる未来が見えるが、何とかしたいものだ。いや本当、金にならないだろうか。
とりあえず、それも当たってみるか。
何であれ、やるだけならタダだ。
失敗しても私は困らないしな。労力はかかる。だから最低限の前金は頂くつもりだ。あと契約をうまいこと結んで逃げられないようにしたい。
社会的名声など不要だが、何ならいっそそれを足がかりに物語を販売すればいい訳だ。我ながら懲りないにも程があるが、生まれついての悪党は基本こんなものだ。基本ガン細胞のように懲りず諦めずしつこく増殖する。自分で言うのも何だが本当にしつこい。とにかくしつこい。
悪夢から飛び起きてこんな事を考えるなど世界広しと言えど私しかいない自信がある。いや確信と言い換えてもいい。それはある意味で邪道作家としての自負に繋がる物ではあるが、自負ばかり増えてもなと正直、最近とみに思う。
なので怪物属性連中に思うのはこうだ。
私は貴様等と違って暇じゃない。
何度も言うが、強さによる弱さも、弱さによる強さも、一切を併せ持たないそれが私だ。
強さによる手抜きなど、出来よう筈がない。
何せ無能だ。いや、生きているだけで利益から遠ざかり、邁進する程後退する。策を弄せば敗北に繋がり、諦めなければ勝負すら出来ない。
我が事ながら、正直どうかと思う。
何故だ。私の思想が尊いからか?
かもしれない。世界とは照れ屋だったか。
しかしだ。考えてみれば私の思想は、怪物連中の「希望」になるかもしれないではないか。希望はいい言葉だぞ。何せ見る奴全員から金を奪える魔法の言葉だ! 想像して見ろ、貴様等雑魚共が感謝感涙、私に札束を上納する世界を!
貴様等読者はその為にのみ、生きている。
私が決めてやる。決定! それが生きる理由で結構だ。貴様等の意志など知ったことか。
過去への葛藤だと? 知るか! 人間への憎悪だと? 私に言うな! 溢れる怒りによる苦しみだと? その辺にでも捨てておけ。
安心しろ、貴様等の意志など関係なく、全ての迫害された者達の心情を勝手に利用して、それを物語として売り捌いてやろう。邪道作家だけに。 捨てられないというなら私が拾って、権利侵害の上に利用してやろう。所詮貴様等の怒りも憎悪も葛藤も、全て、金に換えようという意志のない遊び人の発想に過ぎない。何であれ、金に換えて初めて力を持つものだ。
そんな事も知らないのか、馬鹿め!
私でも知っているのに、頭が悪いのか?
人間の物語では「純粋に何かを追い求める」事が美徳だと語られるものだ。私の場合純粋な邪悪だが、まあ構うまい。
追い求めていれば、夢は必ず叶う。
例えそれが世界の破滅でもな。いいではないか面白い。だが、破滅のさせ方は慣用だ。他人便りの方法で行う養豚場の豚共と一緒では困る。
鏡を見て痩せろという噺だ、まったく。
何の噺だったか、我ながら記憶がすぐに抜けるから始末に負えない。些事はすぐに忘れる。迫害などその最たる例で、思い出せばストレスになるだけだ。ゴミ共の一生などどうでもいい。
私はそのような観察趣味など無い。
暇ではないからな。割と毎日忙しい。
忙しさに見合う報酬は、今のところ無いがな。 ストレスが出るなら感性があるのではないかと言う声も聞こえるが、恐らく脳細胞が豆腐で出来ているのだろう。いいか、感性が、心が存在せずとも誰だって堆肥に顔は突っ込まない。
貴様等はやるのだろうが、一緒にするな。
心がなくとも品性はあるのでな。
もう一度言う。貴様等と違って、堆肥に喜んで顔を突っ込む趣味など、無い。臭いぞお前等。
顔面から消臭剤でも浴びてこい。
噺はそれからだ。
なので、本来なら哀れみ嘆き身勝手に同情するのが世間一般なのだろうが、私だけは貴様等怪物連中の迫害履歴を、喜んで聞いてやろう。無論、つまらない噺ならしつこく酷評する。
しつこく、しつこく、姑のように!
噺を追求するだろう。だから面白く頼む。
面白くもない迫害を受けた奴に生きる価値なし・・・・・・やるなら壮大にだ。圧倒的に人間の醜さに溢れ、かつ最高に面白く!
それが迫害というものだ。
多分。違っても責任は取らないが。
金は払わん。それが「私」だ。
所詮力に振り回されただけの連中よ。その個性はともかく、悪党にはほど遠い。悪党ならば馬鹿丸出しの夢に笑いながら突撃しなければな。
当たり前の事だ。ここテストに出るぞ。
香水で着飾る女がつまらないように、やはり素の香りこそ素晴らしい。お日様の香りがする女とケバケバした香水で飾る女では一目瞭然の差だ。 ええい、何故私は、悪夢にうなされ飛び起きてやることが執筆で、しかも筆が進んでしまうのか・・・・・・・・・・・・道を確信できるから喜べとでも?
もう一度言う。ふざけるなボケ。
少しは休ませろ。金も払わずに何を言うか。
まず、先に、金を払ってから言えこのボケが。 ここまで自認しておきながら懲りずに噺を書くというのだから、我ながら相当だ。そもそも確信を以て挑んでいるからといって、その先に未来が保証されるなど有り得ない相談だ。それこそ甘えだろう。近代の若者にはそういう連中が多い。
己の信じる道を歩いている。
だからこそ、必ず勝利する、などと。笑わせる・・・・・・甘ったれるな。そんな訳がないだろう。
勝利のアテなどまるで無い。
そのくせ困難だけは一級だ。
理不尽が酸素より多く、敗北は水より親しく、失敗に至っては、己の細胞よりも多い。数えるのが面倒になる程度ではまだ最初の関門前だ。
勝てる訳がない。
出来る訳がない。
成せる訳がない。
だからこそ、やらなければならないのだ。
出来る事を右から左にやるだけなら、それこそ機械で十分だ。機械と言えば、今回の依頼で私は機械文明を丸ごと敵に回しそうだが、世界なんぞ頼まれるまでもなく生まれた時から回している。 むしろ、世界が味方する事などあるのか?
想像してみたが、気色悪い。今までの経験からすると、その先にある絶望へ引き込む罠だとしか思えないし、思うつもりにもならない。
ならば、同等と敵に回してやるとしよう。
今更世界が百二百敵に回ろうが、同じ事だ。 毛根が百二百増えて気にする奴はいない。一応断っておくと私の毛根はかなり多い。別にハゲている訳ではなく、あくまでもただの例えだ。
否定すればする程あれだが、健康に気を使う私にとって、身体の異常とは事前に対処するものだ・・・・・・作家だから不摂生など私には有り得ない。 そもそも執筆速度に困った事など今までに一度として無い。きっと執筆に詰まって思い悩む作家など、物語の中にしか存在しないのだろうと何度思ったことか。
まあ私の場合、王道ならぬ邪道であり、悪意と勢いだけで書いているのだからある種当然だ。
むしろ、すぐさま書けない方がおかしい。
そんな物を物語と呼ぶのかと聞かれれば、悪意を思想に変えて伝えれば大体物語だと私は答えるだろう。個々人の「我」を形にする事。
それが「物語を綴る」という行為だ。
極論それさえ伝わればすべからく物語だ。無論伝わり易さや演出力もあるが、基本的にそんなのは些末事だ。少なくとも私はそう思う。
技術に小手先など、一度きりではないか。
それが私の信条であり、だからこそ邪道作家と名乗っている。王道など知るか。昔の作家はどうか知らないが、今の自称王道はそればかりだ。
作家を詐称しているだけだからだ。
さしたる信条も無く思想も無く悪意さえ無い。それで何が語れる? 読者にとって都合良い展開ばかりで読ませたところで、そんなのは麻薬中毒を量産しているに等しい汚行でしかない。物語に何を求めているのだ、まったく。
それなら家で妄想でもしておけ。
その方がどう考えても早いぞ。
少なくとも、金を払うだけの価値はない。
物語は夢希望ではなく、絶望や理不尽を描き、それを読者に体感させるものだ。その絶望が深ければ深いほど良い。その理不尽が生々しいほど、悪意は脳髄深くまで刻まれるというものだ。
読者に絶望を。
希望に反逆を。
理想に戦争を。
それでこそ、栄えある作家というものだ。希望なんぞ物語に求めるべきではない。虚構の嘘八百に求めて何になる? だが絶望や理不尽であれば心構えくらいは出来るというものだ。物語に求めるべきはそれだ。他に何がある。
案外、私の物語も嘘八百かもしれないぞ。性別さえ誤魔化しているかもしれないし、もしかすると幸福な人生を送っている、かもしれない。
そんな人生を送っている奴がこんな物語を書くとは思えないが、しかし物語は虚構であり、言葉に力や説得力など存在しないというのが私の思想なので、敢えて肯定しよう。心の底から幸福な奴が悪意と絶望の物語を書くかもしれない。それは誰かに認められたいとかだろうが、しかし可能性だけで考えれば、ゼロではあるまい。
違っても何の責任も取らないし、別に金は払わないが・・・・・・しかし作者の印象が物語と違うのも良くある噺らしい。非常識な物語を社会的に成功している人格者が書く、みたいなものだ。
ま、それこそ亜流の偽物って気もするがな。 作家業を仕事として、生きる指針として捉える奴が、己の執念を書かない訳がない。何故ならば世界に対する憎悪、世界に対する憤り、世界全てに対する嘲りなどの「世界と相容れない」思想を書くからこそ面白いのだ。あるいは、悲喜交々な物語でもいい。客観視ではあるが、それも当人の資質次第だろう。あるいは、語り口にひねくれた主観があれば、それはそれで傑作となる。
要するに「性格の悪さ」が全てだ。
良識的な人間に書ける物語など、底が知れる。良識的な人間にはどうしたところで、例え悪意を書こうとしても、そこには良識の視点がある。
最初から破綻していなければ駄目なのだ。
いや、人間として駄目でなければ作家ではないというべきか。正常な奴が正常な奴の思想を見たところで、それはただの「風景」だ。
物語ではない。
だが、世界において「異常」「狂気」「邪悪」と呼ばれる物こそ、今ここにない思想の面白さが凡俗共を引き寄せる。上か下かは知らないがその異質さは「ここではないどこか」へ読者共の心を動かすからだ。
凡俗程、非日常を求める。
毎日毎日失敗を繰り返し、差別され世界に迫害され、策を弄して無駄足に終わり、始める前より後退する。これの何が良いのか不思議だ。
実際に味わえば「やっぱり日常がよかった」と言うのだろう。楽な人生で羨ましい。出来る事を右から左にするだけで、金が入ってくるのだからな・・・・・・・・・・・・刺激が欲しいなら物語でも読め。 そしてそれだけで満足しろ。
現実にはロクな物ではないぞ。
他でもない「私」が言うんだ間違いない。
目に写る全てを信じず、そうでない概念も全て疑い、ありもしない物すら必ず全て敵になる。
感想としては疲れるだけだ。
やりがいはあるが、それも金次第だろう。
金にならない精神の充足など、それこそ笑い話にもならない。仕事とは、儲けるのが前提だ。
酸素も無しに呼吸して何になる。
故に、社会不適合どころか生物不適合な化け物が成り果てる概念、それが「作家」だ。いるだけで癌細胞のように世界の邪魔になる存在だ。
でなければ、作家とは呼べまい。
世界に敵対するからこその「物語」なのだから世界に迎合する物を「物語」とは呼べまい。
ただの「妄想」だ。
それでは意味がない。
だから、そこには「悪意」が必要なのだ。
人間を恨むのも人間を嫌うのも人間を諦めるのも人間を弄ぶのも人間を愛さないのも構わない。 だからこそ、面白いのだ。
そうでなければつまらない。
面白ければ、それでいい。
例えその結果、読者共が廃人になったとしても私は別に痛くも痒くもないしな。そもそも読者を悪意で染め上げるという事は、読者の精神や心を書き換えるに等しい。即ち歴とした「殺人行為」であり「大量虐殺」だ。それが合法的に出来るというのだから、それだけは人間を評価出来る。
いいぞいいぞじゃんじゃん殺せ。
幾ら死しても代わりはいる。幾らでもな。
廃人になる中で生き残れる悪意を持った読者が万に一つでも残れば大成功だ。他は必要あるまい・・・・・・ゴミが幾ら死のうとむしろ綺麗になる。
無駄な資源消費も無くなるだろう。
まさしく正義の味方の行いだ。他でもない私の悪意の為なのでこの際「悪の味方」とでも名乗るべきか。まあどちらでもいい。
ゴミが減れば社会はマシになる。
完全に綺麗になる事などないが、なに、その時は何度でも書き換えてやればいい。こんな思想を持っているから、世界に迫害されるのだろうか。 だとすれば、愚か極まりない。
汚ならしい綺麗事で、何が変わった? ああ、確かにゴミは増えた。生きる価値のないゴミ共に処分しようもない粗大ゴミ。ただでさえ癌細胞のようなものなのに、癌細胞が癌細胞を生みしかも自分達を「善良で素晴らしい存在」と思っている・・・・・・・・・・・・この私でさえ、気味が悪い。
汚くて臭くて目障りだ。
それを淘汰する為に活動しているのだ。むしろ世界の後押しがあって然るべきだろう。もし世界が私の思想を否定するならば、自殺願望があるとしか思えない。考える脳味噌が無いか、あるいは汚ならしい綺麗事にぞっこんなのだろう。
要するに、現実逃避を繰り返しているのだ。
世界全体で現実逃避をするのが長い年月で人間が合みだした「善性」だと言うのだから、笑える・・・・・・いや、笑えないか。
確かに、これは笑えない。
誰一人として「生きていない」のだからな。
悪い冗談だ。私のより酷い。
人間という概念があるとして、そんな生き物はとっくの昔に滅んでいる。言わば人間の残像だ。この世界には残像の虚構しか残っていない。
何かを成し遂げる「人間」など、既にいない。 いる筈がない。理不尽に挑み不可能を可能に、そういう発想そのものが消えている。技術者連中もまさか予算の貰えない夢想など追いかけまい。 そんなものだ。
そんな世界を、生きるしかない。
迷惑な話だ。さっさと滅亡していればいいものを、私の代まで持ちこたえるとは。とはいえ私が生まれた以上は、成し遂げるしかない。
周囲の環境は関係ない。そういうものなのだ。 その在り方は、変えられるものではない。
要領が悪いにも程があるが、生まれついての悪などそんなものだ。割と思考は単純だしな。
馬鹿げた不可能を実現する。
ただのそれだけだ。他には何もない。
とはいえ、だからこそ、面白い。
我ながら簡単なものだ。その簡単に見える事を成し遂げるのが、世界で一番難しいのだろう。
何せ、元より不可逆の行いだ。
むしろ、出来る方がどうかしている。
世界に否定されて当たり前だ。だが、悪党とはそうしなければ生きられない生き物だ。真っ当な有り様など、悪には土台無理な相談だ。
我ながら疲れる生き方だ、まったく。
遠回りにも程がある。
遠回りでしか得られない物というのを私は一切信じるつもりはない。楽な道の方がどう考えても良いに決まっている。散々悪意の遠回りをしたが得られる物は性格の悪さだけだ。恵まれた持つ側に勝てた事など、一度としてない。
遠回りで得られる物など、そんなものだ。
世界に匹敵する態度、世界を凌駕する悪意など何かの役に立った試しがない。寝ている間も物語を綴る、悪夢のような生活だけだ。
嬉しくもない。
私にとって失敗とは呼吸として吸うものであり敗北として吐き出すものだ。いつも言っている事だが、およそ経験しなくてもいい経験、学ばなくてもいい思想、敵対するべきではない大き過ぎる敵対者。摂理や運命、世界の大きな枠組みに必ず嫌われ社会に弾かれ生きる事を阻害される。
そのくせ、怪物のような利点もない。
羨ましい連中だ。活きる為に活きていない奴が多い点を見るに、活きようとしない奴は活きてるとは呼べないので、「楽な余生で」が正解か。
実際、余生のような送り方だ。
人間は信じられないし、憎い。で、だから何だ・・・・・・それはそれとして仕事をすればいい。仕事さえあればその他など全て些末事だ。今回は機械文明による迫害らしいが、だからといって持つ側でないとは限らない。
むしろ、持つ側にいる奴は多い。
優れた才能を中々活かせない、あるいは周囲に認められずにその中に埋もれる。それとも努力が報われず中々素質の芽が出ない、か。
しかし、大抵どれかは持っている。
それで悩もうというのだ、おぞましい。
何か一つでも刃があるなら、それだけで何とかなるものだ。少なくとも無防備な裸一貫で突撃をするよりはマシだろう。私は突撃兵か。
いや、突撃兵でも装備くらいは整える。
むしろ、雪山で遭難し全身凍傷で壊死しているのに死ねず、延々とさまよう亡霊の類だ。
実際、亡霊だろう。
辿り着けない場所へ辿り着かんとする行いが、既に生命としては破綻している。生きとし生ける生命の全ては、その可能性に従って生きるものだ・・・・・・だが可能性通りでは目的は叶わない。その理不尽な摂理を覆し、何とかして世界の前提から破壊しなければ勝機の欠片も残りはしない。
つまり、誰よりも真摯に生きる存在。
それが生まれついての悪党だ。
まあ、誇りだけでは食っていけないがな。私はむしろ金を稼げればそれでいい。世界を覆すのは「ついで」だ。躍起になって覆そうとする持つ側とは違って、世界の変革に興味はない。実際問題前提を破壊しなければ金を稼げないからそうしているだけだ。
目的地に向かうついでに、世界を覆す。
世界を覆す資格があるとすれば、それだろう。覆そうと躍起になっている持つ側には土台無理な相談だ。何事でもそうだが興味が無い奴にこそ、それを行う資格がある。
興味が無く、責務がある。
それが必要な条件だ。
支配そのものに興味はないが、裁定を行い導く事の出来る王ほど絶対的な支配者として君臨するものだ。何であれ同じだろう。
いや、待てよ。この方法論だと私は永久に物語を売れないではないか。ならばやはり興味はないが売る能力のある奴を捜すしか無いか。
それが必要であれば、必要に応じてやる。
そこに善悪は無い。立ちふさがるのが子供でも大人でも、男女問わずに生きる為なら真っ二つに叩き斬る。当たり前の事だ。
まあ、何とかなるだろう。
と、思おう。思うだけならタダだ。
そして、考えて解決できる事など知れている。長々と準備して挑んだところで、それが上首尾に終わるかなど、分かろう筈がない。
私は上首尾に終わった事など無いしな。
かといって流されるままで何とかなるとは私も思わない。しかし私自身の意志や行動が無い方がマシなのもまた「事実」だ。私は何かを成し遂げようとすればするほど「後退」してしまう。私の出来る事など既に終えているのも確かだ。
後は、最早私に出来る事は無い。私の問題では無くなっている。問題はゴミ以下の雑魚共が仕事を成し遂げるかどうかだ。無論ゴミ以下の連中に何かを期待する方が間違えているので、私の指示通り動けるか否かにかかっている。
無論、信頼も信用も無い。
ある筈がない。まともに物事を考える脳味噌がないからこそ「編集者ごっこ」「作家ごっこ」を仕事だと勘違いしているような連中だ。そのような蒙昧に生きる価値など無い。即ちこれはゴミを再利用する行いだと言える。
使えない不燃ゴミしかなければそれまでだ。
それでも私に「諦める」という概念など入っていないが、諦めないだけでは辿り着く事もない。 それではただの無駄足だ。
意味も価値も、有り得ない。
諦めない事に満足する程、私は恵まれた持つ側ではない。むしろ対極だ。成果は既に物語という形であると言えるのだが、実利とは関係がない。 何を成し遂げるかは、何の関係も無いのだ。
それ単体では、何にもならない。
今回の依頼人はどうだろう。機械文明に迫害をされ追い出されたと聞いたが、才能のある奴ほどこういう噺は多い。結局のところ世の中運不運であり、運に見放されれば当人が何をしようがその苦労して作り上げた成果そのものを盗まれる。
労力だけはかかる訳だ。
どうなるかなど、想像に難くない。
怒り、怒り、怒りだ。怒りは人を狂わせるのではなく、歯止めを外すように仕向けるのだ。怒りに囚われる前より実行力が跳ね上がる。
倫理も道徳も無視出来るからだ。
どんな狂気、いや怒りに囚われているのだろう・・・・・・柄にもなく楽しみだ。理不尽に刃を向ける人間の姿とは、いつ見ても面白い。
それでこそ、生きる価値があるというものだ。 殴られてばかりで嬉しい事など何もなかったが一度も殴られない人生というのも不健康極まる。温室育ちにロクな奴はおるまい。
いや、まあ、常に殴られるのもどうかと思うが・・・・・・・・・・・・逆境こそ利なり、とは限らない。
それは恵まれた者の発想だ。
逆境こそ不利であり、世界を覆す行いとは即ち持たざる者の反逆だ。しかし、反逆するだけでは駄目なのだ。その前提を変えなければ、何度でも繰り返す。私を見ろ。反逆だけしても物語が金になった試しがあるか?
私が言うんだ間違いない。
いや本当、金にはならないぞ。
反逆するだけなら誰でも出来る。だが反逆対象を味方に付け、その上で前提を覆し世界を変えるとなれば困難を通り越してただの不可逆だ。
つまり、悪党の向かい合うべき壁だ。
それを崩す事こそ真の意味での反逆であり勝利と呼べるものだ。遠いどころか同じ世界に住んでいない私が言える事では無いがな。
怒りはそういう思想をも生み出す。
生前と死後、と表現出来る。実際、怒りを持つ前に比べれば、どんな人物であれ別人だ。
怒らない、つまらない自分は捨てたのだ。
そこからは、「新しい物」が生まれる。
だから私の読んだ経歴はアテになるまい。彼が真に怒るのであれば、そういう事になる。雑草を踏みしだき山道を乗り越え、私は山を登った。
すると、そこには一件の家があった。
ボロ臭い家だ。ログハウス、というのだろう。最新鋭の科学技術をこれでもかというくらい否定しているようだ。私はトイレがハイテクでないと困るので、そこだけは主義を曲げて貰いたい。
私はドアを叩き、中の人間を呼んだ。
冷たい空気が流れ出し、まるであの世のような雰囲気を醸し出す。ギギィ、と少しづつ、ドアが勝手に開いた。中には誰もいない。
だが
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例の記事通り「悪運」だけは天下一だ!! サポートした分、非人間の強さが手に入ると思っておけ!! 差別も迫害も孤立も生死も、全て瑣末な「些事」と知れ!!!
