サンプル 邪道勇者 以降はマガジン参照
前書き
この物語はおひねり制だ。金のない奴は読むんじゃない。
美人に興奮(男女問わず)し、その対価として金貨を投げられる紳士だけ読むといい。無論、作品の「悪意」だけは保証しよう。
少なくとも、人類史史上、過去未来現在において「並ぶもの無し」と、断言できる出来なのは確かだ。他にいるなら連れて来い!!!
簡易あらすじ
仕事に精を出しただけなのだが、平たく言えばサツには嫌われ衛兵に物を投げられ若い女に手を出そうとするとエルフ耳の青髪娘にゴミを見る目で見られる物語だ。
分かり易いだろう?
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人妻に手を出す。他に何がある?
世界を救うなどというのは、当然の事だが利益を求める組織都合だ。純粋にそんな妄言を信じる奴がいるなら頭の病気を心配しろ。
無論有料だ、金は貰う。
黄金色のお菓子も用意せずにやれ「悪辣なゴブリンを殺してくれ」だの「エルフの知性は脅威だから殺すべきだ」などと言われたところで、それが私の懐事情に影響する部分がどこにある?
当然、金、女、そして名声の為にこそ、喚く異生物を殺す価値がある。
私に言わせれば、金にならない殺しなど遊びだ••••••大義の為だとか世界の平和だとかほざく暇があるなら金を寄越せ。相手が人間でもエルフでもゴブリンでもドワーフでも、何なら神でも仏でも魔性だろうと皆殺しにしてやる!! 大体が世界が平和になってしまうと、私は指名手配犯で死刑だろう。
その自覚はある。安心しろ!!
とはいえ、そこはそれ。自覚した上で紛争に介入し、殺しで利益を得るのが私には都合が良いというのは確かなようだ••••••200年前の大戦争から人間は非人間種族を奴隷として活用してきたが、そういう意味では見た目だけでも、人間として生まれてきたのは朗報と言えた。
中身は全く別物らしいが、安心しろ!! 人間は表面だけしか決して見ない。
実際、エルフにも良い女は沢山いるので絹の如きスカートの触り心地から始まり、太ももを味わい蜜を拭う。それら男なら歓迎すべき経験のない人間種族の男というのがどれだけ多いことか!! 思うに、人間がどうのほざく前に、雄として使命を果たした方が良いんじゃないか?
この200年の間に幾度となく連中は反旗を翻してきたが、恐らくは私のように女を愛する勇猛果敢な殺人鬼の手によって人類は勝利を掴み取り続け、今日の体制があるわけだ。理解したか? 無論、連中から吸い上げた文明力資金力人材力により、私が今いる大江戸絢爛魔界と呼ばれる木造建築物溢れる南の町には港には船が並び商店街には和気藹々とした歓声に溢れ、その一方で貧困街••••••今まさに私がいる場所なのだが、においてはひったくりが横行しエルフの女に夜中に刺され(かけたが何とか鼻骨に拳をプレゼントした)盗品の売買に精を出す不埒なエリンジェットというゴブリンには値切り交渉を打ち切った。
勘違いされる前に言うが、私は女性差別に興味はない。むしろ、どこでも同じだ。わかりやすく表に出る差別に女が多いだけで、実際男奴隷は非常に多い。そういう連中を好き好んで飼うのはむしろ「女性の権利解放団体」の責任者だったり「高潔な政治理念により体制を変える」と言い張る政治家だったりするのだから、彼らが如何に若い少年少女に乗っかるのが好きかを実際に見せてやりたいものだ。
どこでも「同じ」だ。権威があれば、許されると思い込む。
そんなものだ。生憎私に権威などあった試しがないので何が楽しいのかは知らないが••••••楽しいと言えばむしろ、そういう連中を強盗のついでに助けたりすると、連中は好き好んで私の犯罪を手伝い嬉々として人間を殺し出す。不思議な事に私が「同じ人間だ」と、何度も教えても誰も信じようとしないが••••••中には失礼な輩もいて「貴方は、人間社会に混じった邪悪、我々に味方する悪魔だ」などと小娘のくせに言い放った。
失礼な女だ。たかが悪魔と一緒にしないで貰いたい。
私は己の利益の為なら人類社会の未来だろうと、星を救う聖剣だって売り飛ばす。
それがたまたま奴らの利益に変わるだけだが、しかし人間と違い連中は純朴過ぎるので「扱い易さ」から重宝した。
案外、次は連中の為に戦争をするかもな。
夢も希望も無い話だが問題ない───私に言わせればそれらは金で買うものであり実際に挑めば誰も支援しない。実体験だ保証しよう。問題なのは、あるかのように見せかけだけ用意し宣伝とか要領の良さで広める能力であって、事の本質などどうでもいい!!
なに、問題ない。自分で言うのも何だが私には文章力がある。この執筆能力を活かせば実態が何であろうが人々の理想の勇者を描き、数々の犯罪証拠を隠しながらも民衆に宣伝することが可能だろう。
ありもしなくていいのだ。実際には気に食わない砦の主人を夜中に門番を殺しゴブリンの群れが入るように仕向けたりもしたが、良いとこだけ抜き出せば「卑劣極まる連中の刃に倒れた上官の意志を継ぎ、人類の未来の為に私は戦う」とすれば栄誉栄達はお手のものだ。
ちなみにそれで将軍の座を手に入れた。勿論、一度二度では難しかったが、何でも経験と実績だ。このジャック・フォックスの手に掛かれば聖人だろうと犯罪者に仕立て上げるし、神仏だろうとお尋ね者へと変貌する。
任せておけ。金次第で貴様らも昇進させよう。
依頼料は金貨50、いや70枚か美人二人だ。無論、人種には拘らない。
ああ、ただしゴブリンは不潔だと困るぞ。風呂にだけは入っておけ!!
安心しろ••••••貴様らが何の種族だろうと、安心と信頼のフォックス社にかかれば人間だろうと王族だろうと皆殺しだ。政治事情には一切囚われず、どんな依頼でも引き受ける。
特に王族の誘拐は得意だ。相手が人間でも任せておけ!!!
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無論、金にならない訳がなかった───法を守りさえしなければ。
エルフだのドワーフだのが何匹いようが関係ない。要は売り飛ばせる女が増えて、窃盗に加担させる男の数が増えるだけだ。何にしろ法律というものは政府を気取る利権集団の都合であって、あちらも犯罪者なのだから守る必要は別段あるまい。
超大陸だか何だか知らんが北に金持ちがいて西に異民族••••••主にエルフが美人でそれ以外に抱ける女がいるかは謎という地域があり、南は知っての通り犯罪者連中の巣窟で栄えていると思えばいい。
東は? あちらはあちらで、人間サイドの犯罪集団の巣窟だ。具体的に言うなら、リィン・ウィン・ツォンのような麻婆豆腐発祥の地から無機質極まる無表情美人が多くいて、汚い戦い方に長けている。思うに、連中は不感症か痛覚が存在しない。でなければ床上手なのは技術だけだ。ああいう女と一夜を共にしたことは幾度でもあるが、しかし満足に達したかと言えば甚だ疑問だ。
何せ、三回に二回は刺されるからな。
その点、エルフ女は素直だ。つい最近小間使い、というか子供の立場を利用しての犯罪行為への加担のために猫耳小娘を雇ったのだが、差別主義には強く反対するが犯罪への抵抗は一切無い。曰く「自分達を虐げる害獣の気持ちなんて知らない」とのことだ。
私も人間なのだが、やれやれ。何度言っても信じない。
無論、非人間である自覚はある••••••何せ、それを利用して戦いに勝ち抜き、将軍の座まで駆けたのだ。具体的には他の出世頭を何人、あるいは何十人、どころか、軍単位で見殺しにしたりしたかもしれないが••••••証拠は地下深くの墓の中だ。
エルフも人間もドワーフも人間も、政府関係者から貴族の夫まで殺して娘を頂いたりもしたが、一応人間側と言えなくもなくもない。そうは思ったもののどうもこの小娘は聡過ぎるようで、私を「利用出来る猛獣」の如き扱いをすれば故郷の復讐に使えると気付いたらしい。
賢明な判断だ。賢明すぎて、逆につまらないが。
やはりというか、もっと賢明さを失う民衆の嘆きの方が見応えがあるものだ。私の体験談で言えば会社の計画に穴を開けた挙句、好き放題利益だけを強奪して安全な場所から酒でも飲みながら眺めるのが正しい。大体が金なんぞ人間の作り出してる紙であって、一時のスリルに比べれば安いものだ。
死なない、と連中は思ってるらしい。常に死にかける私には、縁遠い感性だ。
さて、そんな南の街で、それも貧困街で何をするか? 当然、売春宿の見回りに、賭博方面の管理運営。果ては店の警備料の回収から敵対組織への啓発など様々だ。一番多いのは人間かエルフかドワーフかという差別問題の喧嘩、ではなく売春街で未払いの酔っ払いだの賭博に興じたが金は無かったと抜かす不届き者への制裁だ。
逆に、差別問題は恐ろしく少ない。
連中の組織も、ここにはあるからな。
エルフ連中は売春街を仕切りつつ違法魔術の独占に走ったし、ドワーフはといえば禁止されている古代技術の再発見に余念がない。おかげで政府には禁じられているものの有効な武器が安く買える。私自身も当然その恩恵を受けているし、魔術だのは知らないが武器弾薬に関しては軍より多い。
禁止魔術は知らん。私に知力ステータスがあるとでも? だから小娘を雇ったのだ••••••名前すら知らないが、適当に犬千代(たまたま見かけた歴史書に載っていた名前だ)と呼び捨てたところ、本人はそれを気に入ったようだ。
青い髪に猫の耳、スタイルは小娘らしく、会った時は布しか着てなかったが、今は稼ぎが良いからそれなりに良さそうな革製のサバイバルジャケットと硬いスボンを着ているので、お洒落よりも実用性が好みらしい。
私の知る限り、切れ味の良いナイフを懐に入れて、スボンに小銃を幾つか隠し持つお洒落など存在しない。余談だが、声を掛けた人間の男は下の方を切り取られた。その後、訴えると言い出した男は行方を知らない。
ここはそういう街だ。覚えておけ、この辺りでは人間の法律は存在しない。
それこそ歴史の面で言えば人間は勝利を収め、世界の覇者になった筈だ。しかし、依然として権力者というのは自分の事しか考えない愚か者の集団なので、統治下にあると言い張る地域はこんなもの。未だかつて数多くの歴史書を読んだが、政府に「平等な社会」とやらを提供された歴史を私は知らない。
なので、平常運転だと言えるだろう。無論、平時から世界はこんなものという意味だが。
「おい、これからどうするんだ」
青い眼に青い髪で睨みつけられるとギョッとするのは最初だけだ。私はもう慣れているが、慣れないのはこいつの反応だろう。というのも、ガキというのは何であれすぐにキレる———それが妥当な判断であっても。
この前など「お前の貧相な身体では無理だ」と真実を告げてやっただけなのだが、あろうことかナイフを突きつけ「捌いてやろうか?」と魚料理の職人もかくやな、熟練の腕を見せつけた。
なので、ここは慎重に応対しよう。
それだけでも金を払って欲しかったが。
「まだだ。中華連中の支払い徴収代行が残っている」
連中は東の方でそのような国を名乗り始めた。それが何の意味があるのかは知らんが焼き飯だの餃子だの飯が美味い事だけは確かだ。
無論、毒物に関しても多かった。
「あいつらの仕事なんて受けるのかよ」
と、やる気は無さそうに犬千代は言い放つ。身体全体で「やってらんねー」とでも言いたげだが、小娘のくせに文句の多い奴だ。大体がそのナイフ、一体幾らしたと思っている。
あれも中華製だ。塗っている毒もな。
「報酬は良い。流石アヘンをばら撒いているだけはある」
私はいつも通りの革ジャンに軍用ズボンだ。全身真っ黒でセンスは無い。それより実用性だけが肝要であり、具体的に言うと血が流せる。
防弾性、防刃性、共に最高峰だ。
異性を口説くのにもこの格好で行かなければならないのが悲しいが、また背後から刺されたくは無いからな。実際、お楽しみの最中ほど無防備だと噂が立てば、頼みもしない美人から声が掛かるものだ。
「薬物ねぇ••••••俺は賛同しないな」
「そうか?」
真っ当な感性だ。それでは早死にするぞ。
いつも言っているのだが、根がお嬢様なのかどうも垢抜けない。
「この辺では、いや、どの時代においても••••••政治資金は裏金で解決するもので成功者は薬物を好むものだ。その程度の常識に馴れなければ、人間への復讐なんぞ夢物語で終わってしまうぞ」
無論、私は別に、失敗しても構わないが。
小娘の復讐など、金にならないしな。
「わぁってるよ」
杜撰な話し方は板に付いてる。ナイフ裁きも同様だ。ただ、感性だけは違うらしい———これも育ちの違いだろうか?
私は別に、生まれた時からこうだったが。
対して、この小娘は違った。具体的に言えば貴族令嬢らしい淑やかな性格だったのだが、私がこの町で生き抜くならとエリート教育を施した結果として、今の人格があるわけだ••••••我ながら教育の才能もあったとは。
一ヶ月80万でいい。お子さんを預けてくれれば、数ヶ月で名の売れた悪党だ。
とはいえ、その必要は無いだろう。悪党の秘訣は独占するものであって、売り物ではない。第一、商売相手が増えたら困る。なので我々は東の国、主に毒物と料理に詳しい連中とも馴れ合いはしない。連中がどれだけ残忍か知っていればその気分にはならないだろう。と言うのも、生きたまま生皮を履く程度でなく脳味噌を直接にいじるのだ。
どうなるのか? 想像するのはやめておけ。
針を逐一差し込み「えっえっ」とか変な奇声を上げつつ拷問を受ける姿など、別に思い描いても嬉しくあるまい。それより、売春街の繁盛ぶりの方が賢明な読者には人気がある。教師や医者、時には鞭を用意するあらゆる中華美人は評判が高いので「過ぎ去った思春期」を「豊満な肉体」で再現して欲しければ東へ行け。
そこに、楽園がある筈だ。
無論、代金は安くない。生半可な金額では前払いにはならないので、無くなっては困る「何か」を売る羽目になる。具体的には庶民の年収程度は欲しい。それくらいの金があるなら、あちらでもお楽しみは続くだろう。
「それで、どうすんだよ」
「急かすな。我々はまず、繋ぎ人と会わなければ交渉できない」
要するに仲介人みたいなもので、あちらとこちらの通訳の代弁及び、報酬などでも橋渡し役を務める奴らだ。とはいえ、報酬をピンハネした輩がどうなるかといえば当然ながら時に切り落とされ、時に生きたまま火葬されるとだけ言っておく。
歩を進めて我々は南の街の中でもさらに物騒な地域へと足を運ぶ。この辺には魔性と呼ばれる鬼だの何だのという生き物も発生し、気まぐれに人間を襲うのも特徴だ••••••慣れているので片手間に斬り殺し、焼いて食った事もある。
なかなか、美味かったぞ!!
鬼というのは赤い肌にツノまで生えているので見た目はアレだが、やはりゲテモノほど食えば美味いらしい。私は頻繁に連中の肉を食うので、知らぬ間に影響を受けでもしたのか割と頑丈になってしまった。
ちなみに、犬千代はというと、「死んでもゴメンだ。お前みたいな化け物と一緒にするな」とキレられた。やれやれ、何がいけないというのか。
「おい、そろそろだぞ」
「わかってる」
我々は大概らしいが、向こうは向こうで相当だ。何せ、鬼を使役しエルフドワーフどころか、人間の政治家に神の一部まで眷属らしい。
そこまでの悪党は中々いない。どんな世界であれ、恐れられる奴はいるものだ。
それが英雄ではなくともな───我々は待ち合わせていた浮浪者に見せかけている繋ぎ人の中華人と交渉し、大きな屋敷に案内された。
いやこの場合、魔物の潜む城だった。
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女は嘘をつく。当然だろう。
とはいえ、先ほどまで罵詈雑言の嵐だった小娘が、まるで貴族の令嬢のように丁寧な、というか猫を被って一人一人名前を覚えているのか挨拶をする姿は「異様」としか言いようのない光景だ。
東の国の中華人も、悪い気はしないのか鼻の下を伸ばしている。
犯罪者であれ、小娘の愛想に弱いのは同様らしい••••••その小娘が小銃とナイフを隠し持ち、挙句下の方を何度も切り落とすような輩とは思わないのだろうが、手法としては割とよくあるやり口とも言えた。
油断を誘い、背後から刺すのは常道だ。無論、ここの管理人であるチン氏は枯れ木のように折り曲がった肉体ではあるが、その眼光は鋭く60年を生きた老体だとは思えぬ程に禍々しい雰囲気を出していた。
まるで、折れ曲がった背の魔物のようだ。
向こうの装飾なのか金と赤の入り混じった派手な服装をしており、血が混じってもおかしくなさそうな上品な色で飾っている。だが派手なのに単純な作りで、どうも無駄な装飾は嫌いらしい。私の刀は東洋風に装飾して貰ったのだが、その辺の趣味は違った。
どうも、一族の誇りがあるようだ。私の刀は彼らの文化とは違うので、斬りやすさを重視した切り捨て御免の細くしなやかな人斬り包丁。当然毒も塗りたかったが、やはり大物を切り殺す快感が欲しいのだから毒を借りるのは主義に反する。
だが、彼の目線が冷たいのはそれが理由ではあるまい••••••どんな場所でも冒険者が「初めてのお使い」を受けるように、私も彼らの依頼を以前に受けた。内容はというと「隣町の領主を始末しろ」という、真っ当極まる簡単な依頼だったのだが、それを派手にやり過ぎたらしい。
何せ、衛兵含め五十七人も殺したからな。
結果、街の警備は強化され彼らの仕事はやり難くなったという訳だ。ミスターチンはともかく下っ端に対する愛想は犬千代がしてくれたが、完全に友好的にとは行かないだろう。
やれやれ、何が悪いというのか。ちゃんと領主は殺しただろうに••••••こんな迷路みたいな城にまでわざわざ出向いてやったのだ。それだけでも感謝してほしい。
「そこの」
と、チン氏は声を響かせた。以前ソプラノ歌手から強奪する依頼を受けたが、その声と比べてもチン氏は響く。何か仕掛けでもあるのか、聞けば聞くほど犯罪に対して罪悪感が消えると評判だ。
最も、私には最初から無かったが。
「小娘は大丈夫なのか」
と端的に彼は言った。今回の顔見せは初めてなのだ。私自身はともかくナイフ術を仕込んだ犬千代はだからこそ愛想をばら撒き「使えるかどうか」の面接と言える。
最も、経歴など詐称すれば良さそうなものだが••••••生憎と、表社会ならともかく裏社会においてそれは通用しない。徹底的に調べ上げるから、ではなくそんなことせずとも「気配」で大体分かってしまう。
殺し慣れた雰囲気、とでもいうべきか。
ちなみに、私は入るや否や「貴様は化け物だ。自覚はあるな?」と、割と失礼な事を言われた。面接とはいえ言って良い事と悪い事があると思わないか?
全く、誰が化け物か。その程度に思わないで頂きたい。余談だが私は邪道作家シリーズという書籍を執筆しており、むしろ文学情緒溢れる殺し屋と言えよう。
最も、作品の大半は「有害図書」として大陸中で指名手配になったが••••••連中の感性は古いらしい。
なので、私はこう言った。
「問題ない。そちらとは違って、寿命で死ぬ心配も無いしな」
失礼な、とかなんて恐ろしいことを、とか周囲の部下共が喚いたものの、別段我々は友達になりに来た訳ではないのだ。あくまで仕事であり、馴れ合いではない。
「そうか」
とだけチン氏は答える。相変わらず無駄のない御仁だ。
「であれば、問題ない。次の仕事を依頼したい」
「誰を殺すんだ?」
手っ取り早く、私は聞く。破壊・殺人・強盗・強奪・誘拐・窃盗・あるいは国家の転覆に加担とかであって、政治家を斬ることはあれど民衆の解放のためだとかで、我々が仕事をすることは恐らく無い。
多分、未来永劫無いだろう。
であれば、回りくどいやり口に意味はあるまい。さっさと本題に入るべきであってそれ以外は回り道だ。思うに、遠回りが近道だとかいう戯言をほざいてる暇があるならさっさと金を払って殺せばいい。
「いや、今回の依頼は殺人ではない。誘拐だ、ジャック」
「そりゃ、有難い」
誘拐依頼は相場が高い。具体的に言うと殺人は高くても二千万だが、誘拐なら八千は下らない。というのも、貴人の誘拐には政治まで絡む事が多くて、組織が大金を払わざるを得ないのだ。
なので、大歓迎と言えた。思うに、むやみやたらと人を殺すのは反対だ。殺しては身代金が取れないからな───何であれ、使える資源は使うべきだ。衛兵を何人も殺した私がいうことでは無いかもしれないが、しかし人間の命はそれなりに使い道がある資源であって、意義もなく使い捨てるのは資源の無駄だ。
であれば、活用して然るべきだろう。
「それで、誘拐する相手は誰だ?」
「人ではない、ジャック」
人ではない。猿か? いいや、猿を誘拐するのに彼が私を呼び出すとは思えない。というより、やかましい猿の回収に行くなら私よりむくつけき中華人共が棍棒での気絶に追い込み、その上で檻にぶち込むだろう。私ではない。
「面白いな、人でなけりゃなんなんだ、博士」
「神だ、ジャック。我々は神を誘拐しなければならない」
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例の記事通り「悪運」だけは天下一だ!! サポートした分、非人間の強さが手に入ると思っておけ!!
差別も迫害も孤立も生死も、全て瑣末な「些事」と知れ!!!