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夜に降る#シロクマ文芸部[夜に振るペンライト]

夜に降る星の瞬きを見上げながら、私は自宅へ続く坂道を一人登っていた。時計を見ると午前零時を過ぎていた。ほろ酔いの頬に夜風が心地良い。しんと静まり返った住宅街の上にはオリオン座が宝石箱をひっくり返したように煌めいている。
こんな夜更けに空を見上げるのは何年ぶりだろう。わたしにだけ降り注ぐ星屑に今日のご褒美だと感じながらーー、

「TAIkI  TAJIRI47都道府県ツアー この街にも呼びます。日時は10月29日午後6時、九品院お寺でします」
こうきっぱり告げたのは
通称びん子ちゃんの敏子さん
田尻大喜のライブなら日本中どこでも駆けつける、推しの中の推しである。
私たちおばちゃん五人組はそんな無鉄砲な(失礼しました)びん子ちゃんを支える十勇士のように集まった仲間だ。
「赤字になったらどうするの?」
びんちゃんはまたもきっぱり
「私が責任持ちます」
私は思わず『男前やわあ~』と言いかけたが
「そんなことさせられない、
とにかく頑張って券売りましょうよ」
元来のんびり屋のおば様達、
券の売れ行きなんて直ぐに忘れてはしゃいでいたが、開演一週間前になって
「まだ50枚位しか出てないみたいよ」
皆の顔に焦りの色が、
「ヤバイ!ヤバイ!成り振り構わずアタックしましょ」
慣れない券売りに心折れながらもなんとか目標に近づいた。
いよいよ開演当日、寺でのコンサートは始めての経験だ。
御堂いっぱいに椅子が並べられ神々しい仏像の前での演奏となる。機材が運ばれ、床からはスモークが這う、音響機器、ライトアップ、ドキドキしながら見守った。
夕刻になり続々と客が集まり始めた。もう既にびん子ちゃんも私たち十勇士もテンション爆上がりしていた。
こちらの和尚様は手慣れたもので、車の誘導からスポットライト担当と八面六臂のご活躍、のんびり十勇士は、またもテキパキ和尚様にはしゃいでいた。
ここまで来ればしめたもの、
仏様に手を合わせ大喜君に運命はバトンタッチされた。
アベマリアから始まりバラードやピアソラのリベルタンゴ、中島みゆきの糸、ジャズ、ありとあらゆるジャンルをこなす
凄い、素晴らしいの連続でした。

仏様の下からスモーク神秘的


ファイナルはサントリーホールBlue Rose

会場はひとつになった。
ここで登場したのが推しボス
キャサリン様、ジュリアナのお立ち台で振るジュリ扇を手に練り歩き、会場は歓喜の渦。
「流石です!キャサリン様」
推しと決めたら命がけ、ここまでするのが究極の推し、
アンコールでは葉加瀬太郎さんと共演した曲、情熱大陸を演奏してくれた。
帰り際、皆が笑顔で
「楽しかった、またコンサートお願いね!」
びん子ちゃんも泣きそう
よく頑張ったね!
のんびり十勇士が振ったペンライトの光は、今日は5本だけだったけど、この灯りがいずれ50本に100本に大喜君の目指す武道館をいっぱいにする日まで
変わらず応援するからね
身体に気をつけて頑張るんだよ~。
打ち上げ、楽しかったね。
推しっていいもんだ。
ここで一句
冬星や宵の奏でのペンライト

失礼いたしました。🙇




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