#毎週ショートショートnote りんご右折注意
鳥居くぐる…、
「なんだ、この看板?」
東大(とうた)は古びたアーケード街の隅っこにある赤い鳥居を文字通りくぐってみた。
「シャッター商店街を抜けたら廃屋の迷路だな」
地方の町に行けば見られる、朽ち果てた商店の棚にはケロヨンの人形が淋しく揺れていた。しばらく歩いていくと
『おじぎ稲荷こちら』と書かれていた。東大は、鳥居が有って稲荷とくれば稲荷神社、ここは神社につながっているのだろうと考えた。
『おじぎってなんだ?』ますます知りたくなった、板塀を抜けると張り紙があり
『りんご右折』と書かれていた。
りんご右折?はて、ここは行くしかないか、
しかし行けども、行けども『りんご右折』の場所に戻ってくる。東大はパニックに陥り、引き返すことばかり考えているとさっきのおじぎ稲荷が頭をもたげ「こっち!」とニヤリと笑った。
すると遠くに裸電球の明かりが見えた。東大は走りより、「出口を教えてくれ」とさけんだ。そこは祭りの夜店によくあるりんご飴屋だった。
婆さんは言った、
「とんでもない、あたしゃ客が来るのを百年も待っていたんだ、こんどはあんたがここの店番だよ、次の客が来るまで待つんだね」
そう言って消えてしまった。
何年経ったであろうか…、
この場所も再開発で解体屋が入り取り壊すことになった。
「おやっさーん、気味悪い絵が通路に落ちてましたがどうします?」
「まずそうなりんご飴の絵なんかすてちまえ」
「うぃーす」

終わり
