小説「隠れ里春秋」note14 江戸時代の単位(尺貫法)① 長さ
小説の中にもよく出てきますが、長さの単位が現在とは違います。しかし、今でもその単位は大工さんや建築の世界では出てきます。
現代使っている長さや重さの単位はメートル法、長さをm、重さをgで表示します。江戸時代までは長さの単位は尺(しゃく)、重さを貫(かん)で表示していました。
さて、小説でよく出て来るのは”間(けん)”という言葉です。これはどのくらいかというと約1.82m(およそ感覚的に2m)です。尺に直すと6尺になります。江戸時代まではなぜか六進法的な数え方が多いです。
間と言うのは、文字通り「あいだ」という意味で、柱から柱の間という意味になります。下の画像を見て貰うとよく分かりますが、日本の建築の柱と柱の間の距離が一間という単位です。現代人では畳の長手方向の寸法だと言えば分かりよいかと思います。

そして、この1間×1間が、1坪という「面積の単位」(これは次回説明)になります。畳で言うと2帖となります。この間の半分が半間。畳の短い方の長さとなります。
私たちが1mと言う感覚がこの半間、つまり一間の半分で、三尺です。
半間(約0.9m)・一間(約1.8m)、割と現代のメートルと近い単位を持っていたことになります。
カヨの茶屋は大雲寺の山門のすぐ傍にあった。岩倉川に沿って、みやこから来る参拝客が山門を潜るとすぐにある茶店だ。参拝のための、六間道の角に面している。
小説の中に出て来る「六間道」。主人公の家である曾良屋の前にある参拝道です。六間道というと、江戸時代の人は大体の長さが感覚で分かります。畳六枚を縦に並べた長さだからです。現代で言うと10.872mの幅員の道となります。
また、これ以外にも、普段使っている部屋である8帖間は、縦×横が、2間×2間の寸法。6帖間は、2間×1間半の寸法となります。現代でも同じ言い方をしますね。わたし達は、今でもこのように江戸時代まで長さ単位を使っています。
さて、尺貫法というからには、長さの基本単位は尺です。現代の単位でいうと30.303cm(30.303 cm)となります。先ほどまで説明していた一間はこの六倍の長さ。半間はこの三倍の長さとなります。
次に尺の1/10の長さが寸(すん)(3.0303 cm)となります。そして、さらにその1/10が分(ぶ)(3.0303mm)です。まあ、単純に尺が30cm、寸が3cm、分が3mmと思えばよいでしょう。小説では下記のように寸の単位が出てきます。
これより伝授致すのは、相手が発した後に勝ちをとる後の手でござる。相手の剣線を見切ることが出来れば、後に発した剣でも相手を斬ることが出来まする。拙者は先程より一寸深く航殿を斬り付けます。それ故、拙者が抜刀するやいなや航殿は刃筋を予測して、切先を一寸だけ見切って躱して下され。
長い単位は、間より長いものがあります。町(ちょう)で60間(109.09
m)にあたります。これもざっくり100mと思えばよいでしょう。しかし、ここから先の単位は随分長くなります。1kmや2kmを表す単位はなく、いっきに約4㎞の単位である里(り)があります。正確には3.9273kmとなります。よく一里塚とかいいますが、一里は約4㎞と思えばいいです。下の小説で言うと岩倉から小浜までは二十里(約80km)となっています。
この長さの単位をまとめると次のような関係になります。
小浜城下まで二十里。先ずは八瀬を抜け大原へ行く。大原はかつて実相院と同じく門跡梶井宮があった処だ。
この長さの単位をまとめると次のような関係になります。
1里=36町=3.9273km
1町=60間=109.09 m
1間=6尺=1.8182m
1尺=10寸=30.303cm
1寸=10分=3.0303cm
1分=3.0303mm
