ナフサ供給危機に係る政府の虚偽説明、政策不作為、及び情報隠蔽に関する抗議
以下の文書を官邸及び高市早苗氏の公式ホームページに送信しました。
抗議文書
ナフサ供給危機に係る政府の虚偽説明、政策不作為、及び情報隠蔽に関する抗議
2026年5月12日
内閣総理大臣 高市早苗 殿
経済産業大臣 赤澤亮正 殿
我々は、ホルムズ海峡封鎖以降のナフサ供給危機に関し、政府が「全体量は足りている」「目詰まりが原因」との虚偽説明を継続し、必要な政策をことごとく放棄している事実に対し、厳重に抗議する。
第1 政府発表と客観的データの乖離
(1) ナフサ輸入の激減
財務省貿易統計によれば、3月の中東産ナフサ輸入量は前年同月比約40%減。4月以降、ホルムズ封鎖の影響はさらに深刻化し、中東産の到着は事実上壊滅している。
これは物流の「目詰まり」ではなく、物理的な供給の遮断である。
(2) 生産・出荷の大幅減少
石油化学工業協会(4月23日公表)によれば、3月のエチレン生産量は前年同月比38.8%減、実質稼働率は68.6%と統計開始以来最低。
トルエン出荷数量は約21%減、キシレンは約12%減であり、赤沢大臣の「前年実績並みに継続」との発言は明確に虚偽である。
(3) 備蓄の「虚像」
政府が「国内需要4ヶ月分確保」と称する数字には三重の粉飾がある。第一に、ナフサ単体の民間在庫は平時から約半月分に過ぎず、川中製品在庫を合算した水増し計算である。
第二に、タンク底スラッジ等の利用不能分約2割が控除されていない。第三に、政府は1日あたり消費量を実際の約半分(177万バレル)で計算し、備蓄日数を過大に見せかけている。
第2 「目詰まり」説明の欺瞞と「デマ認定」の実態
政府は一貫して「目詰まり」と説明してきたが、ナフサそのものの絶対量が物理的に不足している以上、国内物流の改善では供給量は増えない。
これは「蛇口が閉じているのにパイプを掃除している」に等しい。
さらに深刻なのは、政府発表を唯一の根拠として現場の悲鳴や警鐘派のデータを「デマ」「危機煽り」と断じる風潮がSNS上で蔓延したことである。
しかし現実は、コカ・コーラボトラーズジャパンの出荷停止、花王の一部製品出荷調整、コープデリの「1人1点」数量制限という形で、「デマ」とされた警鐘の正しさを次々と証明している。
第3 全国4万6741社に及ぶ調達リスクと、すでに始まった倒産
帝国データバンクの最新調査(5月9日公表)によれば、国内製造業の約3割にあたる全国4万6741社がナフサ不足に伴う「調達リスク」に直面している。
実際に、奈良県の地場プラスチック製品メーカー「柏井産業」(業歴50年超)は3月31日、約14億円の負債を抱えて自己破産申請の準備に入った。
埼玉土建一般労働組合(5月8日記者会見)は、建設資材が手に入らず「従業員に給料を払えない」「首をつることも考えている」と窮状を訴えている。
政府の「目詰まり」説明に守りはなく、中小企業は静かに死につつある。
第4 政策不作為——雇調金とゼロゼロ融資の空白
COVID-19時の危機対応として速やかに実施された「雇用調整助成金の緊急拡充」および「ゼロゼロ融資の再起動」が、今回の危機ではまったく発表されていない。
全国の自動車整備工場では99.3%が塗料・シンナーの仕入れ制限を受け、建設現場では銅管不足でエアコンが設置できない「工事難民」が発生しつつあるにもかかわらず、政府は「出口政策」を完全に空白にしたまま夏を迎えようとしている。
これはもはや「失策」ではなく、意図的な「政策の放棄」である。
第5 要求事項
政府が「全体量は足りている」との虚構を維持し続けることは、現場の事業者・労働者に対する背信であるのみならず、倒産や失業といった不可逆的な被害を拡大させている。
よって、下記事項を強く要求する。
虚偽の公式説明を撤回し、実際のナフサ在庫量(利用不能分を除外した実質数量)、エチレン稼働率の実績値、消費量の実勢値(国際統計ベース)を開示すること
「目詰まり」フレームを破棄し、現状をホルムズ海峡封鎖による「絶対的供給不足」と認定すること
雇用調整助成金の緊急拡充およびゼロゼロ融資の再起動を速やかに実施すること
本抗議に対し、5月15日までに文書による回答を行うこと
衆参の経済産業委員会において集中審議を速やかに開催すること
引用文献一覧
財務省貿易統計(確速値)2026年3月分
石油化学工業協会「2026年3月度エチレン生産実績」2026年4月23日公表
帝国データバンク「ナフサ不足に伴う『調達リスク』実態調査」2026年5月9日公表
Diamond Online「『ナフサショック』で今夏にも倒産急増か…4万6741社を襲う『調達危機』の深刻度」2026年5月9日
JCRA「緊急アンケート」2026年4月16日〜19日実施
埼玉土建一般労働組合 記者会見 2026年5月8日
TBS NEWS DIG「報道特集」2026年5月10日
抗議提出者一同
