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その一言、もう戻せない

20年来の仲良しグループには、なんでも言い合える空気がある。

先日、久しぶりにランチをした。
そこで、なぜか老人ホームの話になった。
他人事でもなく、みんな真剣に話した。
私たちは、いつもこうやって、誰の話も自分ごとのように聞き合う。

数日後、一人が地元の老人ホームの入居資格が出ていた記事を、LINEグループに送ってきた。
案外早い年齢から入居できることに驚いた。そこに、
「Toffeeさん、適齢期だね」
とあった。

私は、
「適齢期だなんて失礼ね😡」
と返した。
すると、笑いの絵文字がきた。

さらに、
「でも精神年齢は若いから大丈夫~」
と軽く返ってきた。

彼女に悪意がないことは分かっている。
だから、冗談なのも分かる。
それでも、今回はちょっと笑い飛ばせなかった。

「老人ホーム」という言葉には、自分の中ではどうしても、人生の終盤を迎える場所というイメージがある。
しかも、ちょうど自分自身がこれからの人生について考えている時期だった。
仕事で少し疲れていて、頭も少し痛かった。
そんなものが重なって、いつもなら流せたかもしれない一言が、ちょっとひっかかった。

「適齢期」って、本来、結婚や出産など、何かにちょうどよい時期を表す言葉らしい。
今はまだ健康だし、人の手を借りる段階ではない。
私の人生を、勝手に決めないでほしいわ、まったく。

でも、老人ホームに「適齢期」って。
ちょっと、無理があるんじゃないかな。

ただ、私はそこを笑いにする感覚が、どうしても分からなかった。
人には、それぞれ受け取り方がある。

同じ言葉でも、言う人にとっては軽い冗談でも、言われた人にはそうではないことがある。

親しい間柄だからこそ、どこまで言っていいのか。
気の置けない仲だからこそ、余計に難しい。
そんなことを思った。

言った本人は、たいてい、こう思ってる。
冗談のつもり。
親しいからこそ。
悪気なんてない。

でも、受け取るのは自分じゃない。

「親しき中にも礼儀あり」って、こういうことか。
今さらながら、自分でもちょっと反省した。

言った側には、
「そんなつもりじゃなかった」
ということがある。
今回だって、彼女に悪意はなかったのは分かっている。
たぶん、もう忘れている。

でも、言った側が忘れても、受け取った側には残ることがある。

LINEの画面を、私はもう一度見返した。
彼女の言葉の後に、笑いの絵文字が一つ。
それだけ。
彼女はもう、次の話題に移っている。

だから、
言葉を発する前に、ほんの一瞬だけ立ち止まる。
それくらいは、していたい。

言葉は難しい。
ときには、人を傷つける。
でも、言葉はそれだけじゃない。

励ますこともできる。
安心させることもできる。
誰かの背中をそっと押すこともできる。

「精神年齢は若いから大丈夫」
あの一言も、たぶん彼女なりの、フォローのつもりだったのだと思う。

だから、
どうせなら、相手の心に残るのは、少しでもあたたかい言葉がいい。
発した言葉は、元には戻せないのだから。

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