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バックアップは「保険」ではない──復旧できない会社が意外と多い理由

「バックアップは毎日取っています。」

ITの仕事をしていると、この言葉を本当によく耳にします。

しかし、そのバックアップから実際に復旧できるかどうかを確認したことがある会社は、意外なほど少ないのです。

1.復旧テストをしたことがない

根本的な原因はこれです。

バックアップというのは、バックアップソフトが「正常に終了しました」というメッセージを出力しただけで安心してしまいがちです。

以前、Windows95時代のバックアップソフトについてお話ししたことがあります。当時のソフトは、Windows95が論理的にクラッシュしたときに、元の構成へ戻すことを目的としたものでした。

言い換えれば、たとえばハードディスクがお亡くなりになったというようなときに、ハードディスクを交換してリストアしたいというようなときには、大抵失敗したのです。

ハードウェアもソフトウェアも、あの頃から比べると信じられないぐらい進歩しました。

しかし、バックアップを取った際には、すぐにリストアテストを行っておいた方が安心であることに違いはありません。

何せ、自分(自社)にとって全部のデータが失われるかどうかの瀬戸際なのです。やや面倒くさい作業ですが、これを怠るといざというときに全部のデータが失われてしまうことになります。

では、バックアップがあってもリストアできない理由を細かく見ていきましょう。

2.遠隔地(オフサイト)バックアップがない

以前にも書きましたが、バックアップの3-2-1ルールというのがあります。
同じデータを3つ作り、そのうちの2つは違う媒体に保存し、1つは遠隔地に保存するという対策ですね。

ところがですね。これって、1回作ったらもうそれはいじらないデジタルデータのための方法なのですよ。

これを提唱したのはITの専門家ではなく、ピーター・クローグさんという写真家です。デジカメで撮影した写真を失わない方法として提唱しました。

ところが、ビジネスで使うデータって、常に動いてますでしょう?だから、3-2-1ルールではちょっと心許ないという感じなのです。

ですので弊社では「4-2-1ルール」というのを提唱しています。

クラウドというのは、何かと便利です。ネット接続環境さえあれば、どこからでも使うことができます。

だから、バックアップのつもりで使い始めても、結局は本番環境と同じ形で利用するように変わっていってしまうのも多いわけです。

「4-2-1ルール」というのは何かというと、本番環境として使うクラウドをひとつ利用し、バックアップ専用のクラウドをもうひとつ用意し、あとは一緒ですね。2種類の媒体に保存しておき、そのうち2つは遠隔地に逃がしてPC等には接続しないということですね。

こうしておけば、突然あらゆるインフラが落ちたというようなときにも、最低限のバックアップは残っていることになります。

インフラが復旧したら1から作り直しということにはならないわけです。

バックアップの3-2-1-1-0ルールというのをVeeam社というのが提唱していますが、これは中小企業にとっては負担が大きすぎると思うのでここでは説明しません。

3.パスワードがわからない

他にもあるあるなのがこれです。

これは、バックアップ/リストア担当が属人化しているときに起こりがちです。

かと言って、マニュアルに堂々とパスワードを書いてしまうのも、セキュリティ上問題があると言えるでしょう。

ですので(バックアップソフトの機能にもよるでしょうが)USBメモリをキーにできるタイプのバックアップソフトなら、リストアするときにはそれを挿すだけで簡単にリストアできます。

魅力的な選択肢と言えるでしょうね。

実際には、パスワードそのものよりも「担当者しか復旧方法を知らない」という属人化の方が深刻です。いざというときに担当者が不在では、バックアップが残っていても復旧できません。

4.バックアップソフトのライセンスが切れていた

意外と見落としがちなのがこの部分です。

バックアップソフトにはサブスクリプション型も多く、ライセンス切れによって復元機能が利用できないケースもあります。

ただ、Windowsは基本的にソフトウェアは有料ですからねえ。Windowsを使い続ける限り、必要不可欠なソフトはちゃんと有効期限内になっているかどうかを確認しておいた方がいいでしょう。

もしライセンスが切れていたら、安全のためにもすぐに新しいのを用意しましょうね。

5.NASが壊れて一緒にバックアップも消えた

今日日、バックアップというと「クラウド!」と返ってくるぐらいクラウドの利用が進んでいますが、これまでも何度か述べてきたとおり、クラウドは非常に信頼性が高い仕組みですが、誤操作やアカウント侵害、設定ミスなどに備えるためにも、クラウドだけに依存しないことが重要です。

クラウド以外のバックアップ先を用意しておくべきなんでしょうが、そうなると一番に挙がるのがNASということになると思います。

ところが、NASというのも、やっぱり絶対の信頼が置けるものではないんです。所詮機械ですから、壊れることというのも十分にあり得ます。

こういうときには、逆の発想になるんですよ。NASが壊れたからこそ、クラウドの利用を考えるべき時なんです。NASとクラウドが同時にダメになるというようなことはまずないでしょう。

いろいろな媒体にバックアップを保存しておくのは、そういう意味での安全性を担保するために使うものなんです。

言い換えれば「ここにバックアップしてあるから何があっても大丈夫」というようなバックアップメディアはありません。

相当頑丈なバックアップメディアに保存してあっても、これまでお話ししてきたような大規模な自然災害があっては手の打ちようがありません。

だから、いろいろな「困った事態」を想定して、いろいろな方法でバックアップを取っておく必要があるわけです。

本当に必要なのは「復旧できること」の確認です

バックアップって、取っただけで何となく安心しているものではあるのですが、実は「動かなくなったときに、復旧できるかどうか」というところが一番大きな意味を持ちます。

ですので「バックアップが取れただけで安心」と考えてしまうのは完全に片手落ちなんです。

バックアップは「復旧のための準備」です。取っただけでは意味がありません。

そこで一手間かけて、復旧テストを行っておくか否か、そこでトラブルの際にどのぐらいの時間で復旧できるのかが大きく異なってきます。

だからこそ、バックアップは「保険」ではなく「復旧のための準備」である

これを念頭に置いて、日々の業務を回してください。
普段は面倒に感じるかもしれません。しかし、いざというときには「やっておいて良かった」と必ず思えるはずです。

では、今日はこの辺で失礼いたします。

現場からの一言

私はこれまで「バックアップはあるのに復旧できない」という相談を何度も受けてきました。だからこそ、バックアップが終わったときよりも、復旧テストが成功したときに初めて安心できます。

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では今日はこの辺で。


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