クローン・バックアップ・同期──似ているようで、まったく違う3つの仕組み
前回の記事では「クローンとバックアップは同じではない」というお話をしました。
記事の最後で少し触れましたが、データを守る仕組みは大きく分けて次の3つがあります。
クローン
バックアップ
同期
どれも「データを失わないための仕組み」として使われますが、それぞれ役割は大きく異なります。
今回は、この3つの違いについて考えてみたいと思います。
クローンは「今の状態を丸ごと複製する」
クローンは、ストレージ全体をそのまま複製する仕組みです。OS、アプリケーション、設定、データなど、現在の状態を丸ごとコピーします。
そのため、ストレージが故障した際には、クローン先へ切り替えることで比較的短時間で業務を再開できる可能性があります。
クローンは「現在」を複製する仕組みです。誤って削除したファイルや、マルウェアに感染した状態も、そのまま複製されてしまう可能性があります。
バックアップは「過去へ戻るための仕組み」
バックアップの目的は、過去の状態へ戻れるようにすることです。
昨日、先週、先月など、複数の時点のデータを保存しておくことで、必要なタイミングへ遡ることができます。誤削除やランサムウェア被害への対策として有効なのは、このためです。
ただし、データだけを保護する仕組みの場合、復旧には時間がかかることがあります。OSやアプリケーションの再構築が必要になるケースも少なくありません。
同期は「複数の場所を同じ状態に保つ仕組み」
同期は、複数の機器やストレージを常に同じ状態に保つ仕組みです。クラウドストレージを利用している方には、なじみのある仕組みかもしれません。
パソコンで編集したファイルが、自動的にクラウドへ反映される。
スマートフォンで撮影した写真が、自動的にパソコンへ保存される。
こうした機能の多くは、同期によって実現されています。
便利な仕組みですが、注意点もあります。
ファイルを誤って削除した場合、その削除も同期されます。
ランサムウェアに感染したファイルがあれば、その状態も同期される可能性があります。
つまり、同期はバックアップではありません。
なぜ混同されやすいのか
「データを別の場所へコピーしている」という点では、クローンもバックアップも同期も共通しています。
しかし、目的はまったく異なります。
クローン:素早く復旧する
バックアップ:過去へ戻る
同期:複数の場所を同じ状態に保つ
この違いを理解していないと、
「クラウドに同期しているから安心」
「クローンを取っているから大丈夫」
と考えてしまい、本当に必要な対策が抜け落ちてしまうことがあります。
私が現場で感じること
データ復旧のご相談を受ける中で、
「同期していたのでバックアップは不要だと思っていた」
というお話を伺うことがあります。
しかし、同期だけでは過去へ戻れません。
また、クローンだけでは誤削除やランサムウェアへの対策として不十分な場合があります。
大切なのは、どれか一つを選ぶことではありません。
何を守りたいのか。
どれくらいの時間で復旧したいのか。
その目的に合わせて、クローン、バックアップ、同期を適切に組み合わせることです。
まずは自社の環境を確認してみませんか
「バックアップは取っている」
そう思っていても、実際には同期しか行っていなかったというケースは少なくありません。
今使っている仕組みが、
クローンなのか
バックアップなのか
同期なのか
一度確認してみることをおすすめします。
5分で完了するDR/BCP体制のセルフチェックもご用意しています。
現在の対策状況を確認したい方は、ぜひご活用ください。
また、個別のご相談も承っています。
「自社の運用は本当にこれで大丈夫なのか」
そんな疑問をお持ちでしたら、お気軽にお問い合わせください。
LinkedInなんかもぼちぼちやっております。
https://www.linkedin.com/in/tadaomurashima/
時々ご覧いただければ幸いです。
ちょっと余談になりますが
毎度のことながら私の個人用PCについてどのようにしているかをお伝え致します。
まず、システムドライブはクローンをお勧め致します。
バックアップは基本的にデータのみの扱いになるのに対し、クローンは「同じものをもうひとつ作る」ための仕組みですので、システムドライブに障害が発生したら、載せ替えるだけで普通に起動します。
ただし、クローンはあくまでも「全く同じものをもうひとつ作る」ための操作ですので、たとえば「起動ドライブを容量の大きいものに取り替えよう」というときにはクローンだけでは成立しません。
たとえば512MBのドライブを1テラにクローンすると、クローンは半分が「未使用」の状態になります。
パーティションを広げてやる操作が必要です。
完全にデータのみしか保存されていないドライブは、バックアップが向いていると言えるでしょう。
バックアップの特徴は、データ全体をひとつの大きなファイルにまとめるというところにあります。
だから、ひとつのメディアに(十分な容量さえあれば)2回分、3回分、それ以上のバックアップを保存することも可能です。
バックアップソフトの仕様にもよるのですが、過去のバックアップから必要なファイルだけ取り出すということも可能です。
同期というのは、あんまり手がけていらっしゃる会社様がいないように思うんですが、同期元のドライブに何か変更が加わったら、同期先のドライブも自動で変更を反映する仕組みですね。
で、私の場合なんですが
あくまでも個人用PCの話ですが…。
起動ドライブはクローンを使っています。主に個人が使うバックアップソフトがいくつかありますが、そういったものはバージョンが新しくなるたびに無料で使える範囲が限定される傾向があります。
なので、セキュリティ的にはリスクなんですが、個人用PCだしまあいいか、という考え方でちょっと古いバージョンを使っています。
そしてデータ用のドライブなんですが、これを使っています。
もちろん無料版を使っています。
これは面白いソフトで、一方的同期、相互的同期、ミラー同期、移動同期、更新同期、累加同期、増分バックアップ、完全バックアップが行えます。
私は、データドライブに関しては、この中の「一方的同期」を手動で月に1回行っているという形です。
何が面白いかと言いますと、このソフト、同期元ドライブのファイルと同期先ドライブのファイルを比較して、新規作成されたデータはコピーし、更新があったデータは更新し、削除されたデータは同期先からも削除する、という仕組みなんです。
つまり、何があろうとまるっきり同期するわけではないんですね。一個一個のファイルを突き合せて比較して、新規だからコピー、更新されたから上書き、削除されたから同期先からも削除、という極めて人間くさい操作を自動化したものなんです。
だから、このソフトを走らせるとあっという間にゴミ箱が一杯になります。
個人で使う分には、ここまでやれていれば十分だと私は考えます。
さて、長くなってしまいましたがここまでとします。目次を貼っておきますので過去記事もご覧下さい。
では今日はこの辺で。
