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バックアップ担当者のための戦略的作業手順 その4

皆様、こんにちは。
株式会社カチカのオフサイト&コールドバックアップ業務担当の村島です!
まだまだ暑いとはいえ、最盛期よりは少しマシになってきましたね。よく眠れるのは幸せなことです。
では、いつものやつやっておきましょうか。

実証理論の有名なパラドックスは、多くのものがある時点で色を変えるという事実に基づいています。緑色のリンゴは熟れて赤くなります。髪は年を取るにつれて白くなります。銀は曇ってきます。
ネルソン・グッドマンは次のふたつの条件を満足するものを"グルー(grue)"と呼ぶことにしました。まず、それは今世紀の終わりまではグリーン(緑)であること、そしてそれ以降はブルー(青)であること。グリーンとブルーでグルーというわけです。
さて、次のふたつの仮説を考えます。"すべてのエメラルドはグリーンである"と"すべてのエメラルドはグルーである"のふたつです。どっちの仮説の実証の程度が強いでしょうか?
不思議なことに両方同じなのです!いままでエメラルドを観察した限りではどちらの仮説にも反例はひとつもありません。一方の仮説だけをとり、片方を棄てる根拠を正確に示すのは易しくないのです。

では、本題に入ってまいりましょう

バックアップ戦略の評価指標と意思決定フレームワーク

バックアップ戦略を策定する上で、技術的な側面だけでなく、ビジネス要件とコスト、セキュリティリスクを総合的に評価するフレームワークが不可欠です。これにより、企業は最適な投資を行い、データ保護の費用対効果を最大化できます。

目標復旧時間(RTO)と目標復旧時点(RPO)の最適化

何かのトラブルを予め見越して、目標復旧時間と目標復旧時点を定めておくのは極力ダウンタイムを短くすることにおいて非常に重要です。IT関連に限らず、トラブルの種類によって定めておくとよいでしょう。

RTOとRPOの定義とビジネスへの影響

バックアップ戦略を設計する上で最も重要な指標は、目標復旧時間(RTO)と目標復旧時点(RPO)です。これらは、データ損失とダウンタイムがビジネスに与える影響を数値化し、許容範囲を定義するために用いられます 。

  • RTO(Recovery Time Objective - 目標復旧時間):災害や障害が発生した後、システムや業務を許容されるダウンタイム内に復旧させ、正常な運用に戻すまでの目標時間を示します。この目標は、ビジネスへの影響を最小限に抑えるために、業務再開までの時間目標として設定されます。例えば、ミッションクリティカルなシステムではRTOが数秒から数分と極めて短く設定される一方、重要度の低いシステムでは数時間から24時間、あるいはそれ以上と設定されることもあります。

  • RPO(Recovery Point Objective - 目標復旧時点):災害や障害が発生した際に、どの時点までのデータ損失を許容するかを示す目標です。RPOが短いほど、バックアップの頻度を高める必要があり、データ損失を最小限に抑えられます。RPOゼロはリアルタイム復旧を意味し、データ損失をほぼゼロに抑えられますが、システム構築・運用コストは最も高くなります。

RTOとRPOは、数値が小さいほどダウンタイムとデータ損失が少なく、ビジネスへの影響が小さいことを意味します。しかし、その分、リソースへの支出と運用の複雑さという点でコストが高くなるというトレードオフの関係にあります。したがって、すべてのデータに対して同じRTO/RPO目標を設定することは非効率的であり、不要なコスト増につながります。

各バックアップ手法がRTO/RPOに与える影響

各バックアップ手法は、RTOとRPOの達成能力において異なる特性を持ちます。

  • オンプレミスバックアップ:バックアップデータがローカルストレージに存在するため、復旧プロセスは非常に高速です。RTOは数分から数時間と非常に短く設定可能であり、ミッションクリティカルなシステムや、マイクロ秒単位での処理速度が求められる金融・証券システムなど、インターネット回線による遅延が許されない環境に適しています。RPOはバックアップ頻度によりますが、リアルタイムに近い同期も技術的に可能です。

  • クラウドバックアップ:インターネット経由のデータ転送が必要なため、オンプレミスよりRTOは長くなる傾向があります。しかし、どこからでも復旧に着手でき、自動バックアップや連続バックアップを使用することで、RPOを数分間に短縮することも可能です。クラウド上の仮想サーバーで業務継続が可能になるソリューションもあり、BCP/DRを強化できます。

  • 物理的エアギャップ&オフサイトバックアップ:物理的なメディアの移送や手動プロセスを伴うため、RTOは最も長くなる傾向があります。オフラインであるため即時アクセスはできず、復旧には時間と労力を要します。RPOはバックアップ頻度によりますが、通常は日次や週次など、比較的長い間隔で設定されます。これは、ランサムウェアや大規模災害に対する最終防衛線としての役割が主であり、迅速な日常復旧には不向きです。

データ特性に応じたRTO/RPO設定の重要性

すべてのデータに対して同じRTO/RPO目標を設定することは、リソースの非効率な配分と不要なコスト増につながります。企業は、データの重要度(ミッションクリティカル、準クリティカル、アーカイブなど)、アクセス頻度、機密性、および法的・規制要件に基づいてデータを分類し、それぞれのデータカテゴリについて許容できるRTOとRPOを明確に定義することが重要です。

このデータ分類に基づき、異なるRTO/RPO目標に合わせたバックアップ戦略を選択することで、リソースを最も効率的に配分し、ビジネスへの影響を最小限に抑えつつ、コストを最適化することが可能になります。例えば、RPOが短いほどバックアップの頻度を高める必要があり、それに応じてコストも増加するため、RPOゼロのリアルタイム復旧は最も高コストなアプローチとなります。したがって、バックアップ戦略は単なる技術的な選択ではなく、ビジネスの許容できるダウンタイムとデータ損失のバランスを考慮した経営判断が不可欠です。このアプローチは、バックアップ戦略の「費用対効果」を最大化する上で不可欠であり、過剰な投資を避けるための重要な意思決定ポイントとなります。特に、ハイブリッド戦略においては、異なるRTO/RPO要件を持つデータを各バックアップ手法に適切にマッピングすることが、コスト最適化とレジリエンス向上の鍵となります。

RTO/RPO目標と推奨されるバックアップ戦略の対応
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この表は、異なるRTOおよびRPOの目標値に対して、どのバックアップ戦略が最も適しているかを示しており、組織がビジネス要件に基づいて具体的な技術的選択を行う際の指針として役立つかと思います。これにより、理論的なRTO/RPOの概念が、実践的なバックアップソリューションの選択に直結します。

総保有コスト(TCO)の分析

バックアップソリューションの選択において、単に初期費用だけでなく、総保有コスト(TCO)を包括的に評価することが不可欠です。TCOは「目に見える、わかりやすい費用」(初期導入費用)と「日頃意識しづらい、目には見えづらいランニングコスト」(運用、保守、トラブル対応、人材、電力、スペース、減価償却など)の総額が含まれます。この多角的な視点からコストを評価することで、真にコスト効率の良いバックアップ戦略を見極めることができます。

初期費用、運用費用、隠れたコストの比較

各バックアップ手法は、TCOの構成要素において異なる特性を持ちます。

  • クラウドバックアップ:初期費用は最も低い傾向にあります。物理的なハードウェアの購入が不要であり、サービス契約費用のみで導入が可能です。しかし、データ量やアクセス頻度に応じた従量課金制のため、長期的な運用コストは予測が難しく、データ量が増加すると予想外に高額になる可能性があります。特に、リストア時のアウトバウンドデータ転送費用は、見落とされがちな隠れたコストとなり得ます。

  • オンプレミスバックアップ:サーバーやストレージ、ネットワーク機器の購入、データセンター構築など、初期投資が最も高額です。加えて、24時間体制の保守・運用、専門人材の確保、電力、冷却、物理的スペースの維持、定期的なクリーニング(テープライブラリの場合)など、継続的に高額な運用費用が発生します。さらに、リース手数料、途中解約リスク、サーバーを固定資産として計上することによるROAへの影響など、会計上の複雑さや隠れたコストも考慮すべきです。

  • 物理的エアギャップ&オフサイトバックアップ:磁気テープなどのメディア自体の初期費用は比較的低額です。しかし、メディアの移送、オフサイト保管場所の確保、手動での管理作業、専用の人件費など、運用管理に手間とコストがかかります。特に、データ量が増加するにつれて、メディアの物理的な管理と維持が煩雑になり、それに伴う人件費やスペース費用が増加する可能性があります。

長期的な視点でのコスト評価

短期的なコスト削減だけでなく、5年、10年といった長期的な視点でTCOを評価することで、真にコスト効率の良いバックアップ戦略を見極めることができます。例えば、クラウドは初期投資が低い一方で、データ増加に伴うランニングコストの増大に注意が必要です。データ量が爆発的に増加する環境では、従量課金が予想以上に高額になり、結果的にオンプレミスよりもTCOが高くなる可能性も否定できません。

一方、オンプレミスは初期投資が高いものの、大規模な環境や、データ量が安定している、あるいは予測可能な環境では、長期的に見てコストメリットが出る可能性もあります。特に、既存のインフラを有効活用できる場合は、新たな設備投資を抑えつつ運用できるため、TCOを低減できる可能性があります。物理的エアギャップは、メディア自体のコストは低いものの、運用管理の手間とそれに伴う人件費が長期的にTCOに影響を与えることを考慮する必要があります。

TCO分析を行うと、バックアップ戦略の選択において、表面的なコスト比較を超えた深い洞察を得ることができます。特に、クラウドの「従量課金」とオンプレミスの「固定資産・運用費」の構造的な違いを理解することは、将来的な予算計画とコスト最適化戦略を策定する上で不可欠です。隠れたコスト、特に人的リソースや管理負担は、見落とされがちですが、TCOに大きな影響を与えます。したがって、企業は、現在のデータ量、将来の成長予測、RTO/RPO要件、そして利用可能なITリソースを総合的に考慮し、最もバランスの取れたバックアップ戦略を選択する必要があります。

総保有コスト(TCO)要素の比較
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この表は、各バックアップ手法におけるTCOの主要な構成要素を明確にすることで、企業がバックアップソリューションの財務的影響をより詳細に理解し、予算計画を立てるのに役立ちます。特に、見落とされがちな隠れたコストを可視化することで、より現実的なコスト評価が可能になります。

セキュリティとコンプライアンス

バックアップ戦略におけるセキュリティは、もはや単なる付加機能ではなく、その設計思想の中核に位置づけられるべき要素です。特に、ランサムウェアの脅威が増大する現代において、バックアップデータそのものを攻撃対象とすることで、従来の「バックアップがあれば大丈夫」という常識は通用しなくなっています。

ランサムウェア対策の多層防御

ランサムウェアはバックアップデータ自体を標的とするため、バックアップ戦略は単なるデータ復旧だけでなく、データ保護の観点から多層防御を考慮する必要があります 。

  • クラウドバックアップ:共有機能のないバックアップ専用クラウドや、不変性ストレージ機能により、ランサムウェアからの感染防御率を高めることができます。クラウドサービスプロバイダは、暗号化通信で複数のデータセンターにバックアップできる堅牢なインフラを提供しており、これもセキュリティ強化に寄与します。

  • オンプレミスバックアップ:閉域網での運用は外部からのネットワーク攻撃に強いという利点があります。しかし、同一LAN内のPCがランサムウェアに感染した場合、バックアップサーバー内のデータも暗号化されるリスクが存在します。このリスクに対処するためには、バックアップ用のNASやHDDを普段はパソコンから読み込みができないように設定する、履歴管理バックアップやスナップショットバックアップを活用して、暗号化される前の正常なバックアップデータの書き換えを防ぐといった対策が重要です。

  • 物理的エアギャップ&オフサイトバックアップ:ネットワークから完全に隔離されるため、ランサムウェアやマルウェアがバックアップに到達するのが極めて困難になります。これは、ランサムウェア攻撃に対する「最後の砦」となり得る、最も堅牢な防御層の一つです。攻撃者が物理的にアクセスし、適切な認証情報を持たない限り、データを削除・暗号化することは困難です。

  • 不変性ストレージ:エアギャップとは異なり、データそのものの改ざんを防ぐ技術です。一度書き込まれたデータは、たとえ攻撃者がアクセス権限を奪取したとしても、一定期間変更や削除が不可能になります。これにより、ランサムウェアがバックアップデータを暗号化しても、元のクリーンなデータを取り戻すことが可能となり、ランサムウェア対策として非常に効果的です。エアギャップと不変性バックアップを組み合わせることで、物理的な分離による深い保護と、改ざん防止による迅速な復旧オプションの両方を実現し、サイバーレジリエンスを大幅に強化できます。

データ主権と規制要件への対応

特定の業界(金融、医療、政府機関など)では、データ主権や厳格な規制要件(GDPR, HIPAA, PCI DSSなど)が存在し、データの保管場所、アクセス制御、暗号化レベル、データ保持期間などが厳しく定められています。

  • オンプレミス:企業がデータとインフラを完全に制御できるため、これらの厳格な要件に柔軟に対応しやすいという大きな利点があります。自社で全てのセキュリティポリシーを設計・実装できるため、監査対応も容易です。

  • クラウド:事業者の仕様に左右される側面がありますが 、多くの主要なクラウドプロバイダは、様々な業界標準やコンプライアンス規制への準拠を保証しています。しかし、利用者側は、選定するクラウドサービスが自社の規制要件を満たしているかを詳細に評価し、総務省が挙げる「クラウドサービス事業者が行うべき主要な情報セキュリティ対策」などを参考に、利用者側でできる具体的なセキュリティ対策を確認・実施する必要があります。

暗号化、アクセス制御、MFAの重要性

どのバックアップ手法を選択するにしても、データの暗号化はデータ保護の基本であり、必須の対策です。転送中(in-transit)および保管先(at-rest)の両方で強力な暗号化を適用することで、不正アクセスやデータ漏洩からデータを保護します。

さらに、バックアップシステムへのアクセスは厳格に管理されるべきです。ロールベースアクセス制御(RBAC)を導入し、ユーザーに必要最小限の権限のみを割り当てることで、権限の乱用や内部脅威のリスクを軽減します。多要素認証(MFA)を導入することは、認証情報の漏洩による不正アクセスを防ぐ上で極めて有効です。VPN機器等の脆弱性を塞ぎ、認証パスワードを推測されにくい複雑なものに設定し、他のサービスと使い回さないことも重要です。

セキュリティは、もはやバックアップの付加機能ではなく、その設計思想の中核に位置づけられるべきです。特にランサムウェアは、バックアップデータそのものを攻撃対象とすることで、従来の「バックアップがあれば大丈夫」という常識を覆しました。このため、バックアップデータに対する「不変性」や「物理的/論理的エアギャップ」の確保は、単なる推奨事項ではなく、現代のデータ保護戦略における必須要件へと昇格しています。また、技術的な対策だけでなく、従業員へのセキュリティ教育、不審なメールやリンクへの警戒、OSやソフトウェア、Webブラウザ、プラグインの常に最新の状態への維持、そして適切な認証管理といった人的・運用的な側面も、多層防御の一部として不可欠です。

拡張性と柔軟性

現代の企業は、継続的なデータ量の増加に直面しており、バックアップソリューションはこれに柔軟に対応できる拡張性を持つ必要があります。また、ビジネス環境は常に変化するため、バックアップ戦略もそれに合わせて調整できる柔軟性が求められます。

データ量増加への対応能力

  • クラウドバックアップ:ほぼ無限のストレージ容量を提供し、追加のハードウェア投資なしに容易にスケールアップできます。これは、データ量の変動が大きい企業や急速に成長する企業にとって大きなメリットです。クラウドサービスプロバイダは、インフラの拡張を自社で管理するため、企業は容量計画の複雑さから解放されます。

  • オンプレミスバックアップ:ストレージ容量はローカルインフラに限定され、拡張には追加のハードウェア購入や複雑な作業、時間が必要です。事業の成長に伴うデータ増加に即時対応することは難しく、計画的な投資と作業が不可欠です。

  • 物理的エアギャップバックアップ:データ量が増加するにつれて、物理メディアの管理と維持がますます煩雑になり、拡張性が制限されます。メディアの購入、保管場所の確保、移送作業の増加など、スケーリングに伴う運用負担が大きくなります。

ビジネスニーズの変化への適応

  • クラウド:従量課金モデルにより、ビジネスの成長や特定のプロジェクトの要件に合わせてストレージプランを柔軟に調整できます。例えば、一時的に大量のデータをバックアップする必要がある場合でも、必要な期間だけリソースを増強し、その後元に戻すといった柔軟な対応が可能です。リモートワークの増加や多拠点展開など、働き方の変化にも対応しやすい特性を持ちます。

  • オンプレミス:カスタマイズ性が高いため、特定の高性能要件や、既存のレガシーシステムとの高度な連携が必要な場合に柔軟に対応できます。自社の特定のシステムやアプリケーションに最適化されたバックアップ環境を構築できるため、独自のビジネスプロセスに合わせた調整が可能です。

拡張性と柔軟性は、長期的なバックアップ戦略の持続可能性を決定する重要な要素です。データ爆発の時代において、バックアップ容量の計画は常に不確実性を伴うため、オンデマンドでリソースを増減できるクラウドの特性は、運用効率とコスト最適化に大きく貢献します。一方で、オンプレミスのカスタマイズ性は、特定の高性能要件やレガシーシステムとの連携において依然として価値を持ちます。したがって、企業は、現在のデータ量と将来の成長予測、ビジネスの変動性、そして特定のシステム要件を総合的に考慮し、最もバランスの取れた拡張性と柔軟性を持つバックアップ戦略を設計する必要があります。

本日のまとめです

以上、今日は戦略を立てるに当たり評価をするための指標にはどういったものがあるか、最終的に決定するにはどういった作業が必要かという点についてお話し致しました。

さらっとおさらいしますと、まずRTOとRPOを見積もることから始まると言えるかと思います。これは、バックアップ手法によっても影響を受けますし、バックアップするデータの内容も勘案して見積もらなければいけません。

例えばゼロに近ければ近いほどいいというタイプのデータに金融システムというのが含まれていますが、ある大手都市銀行では一般の顧客が使うATMが頻繁に落ちるということでもはや風物詩の域に達しているとすら言われています。これは根本的な原因はほぼ同じ規模の都市銀行が3行合併して成立した銀行という性質上、何事についても誰が責任者として会社を牽引していくのかという意思決定が曖昧になりがちで、ITシステムについては中核となるメインフレームをどこに置くかという意思決定ができず旧3行のメインフレームを通信回線でつないだだけという状態で見切り発車してしまったことによるところが大きいようです。

バックアップというのはそもそもがインシデントやアクシデントに備えて行うものですが、いずれにせよ非常事態ですので関係者それぞれが議論を重ねて話し合った結果、なんていうことをしている悠長な事態ではありません。小さな組織なら責任者、大きな組織なら責任部署を普段から明確にしておくことが必要になってくると思います。

しかしコストのことも考えなければいけませんので、重要な問題だからと言って責任者・責任部署にどれだけ予算をつぎ込んでもよいということはあり得ません。データの種類により、このデータにはこういうバックアップ方法がよいというのが決まってくるというのは以前にもお話ししたとおりです。前回にも言葉には出しましたが弊社は「バックアップの4-2-1ルール」というのを提唱したいと考えております。クラウドストレージを別々の会社に2社契約しておき、片方はリアルタイムでデータの作成・改変などを行い、もう片方は論理的エアギャップを行っておいて定期的に更新する以外には使用しないという形です。ミッションクリティカルなデータに関しては前者から、それよりは若干時間の余裕があってもよいものなら後者から復旧することが望ましいでしょう。ただ、そうなりますと費用がかかってくることにもなりますし、ふたつのクラウドを同時に使うということになりますと通信回線の輻輳も気になってくるところです。こういったことも勘案しつつ総保有コストを算出していただきたいと思います。

通信回線が逼迫しているようであれば「バックアップの4-2-1ルール」に則って作成したもうひとつのバックアップであるオンプレミスバックアップのバックアップを使うことが視野に入ってくるかと思います。オンプレミスバックアップに語るときにはどうしてもイニシャルコストの問題がついて回るのですが、確かにそれは否定できないにせよストレージをすべて×2にするという程度でしたら許容できる範囲ではないでしょうか。この×2にしたストレージをミラーリングにして使うのか、あるいは即時に操作を反映せず一定の時間をおいて反映させるのかは戦略次第ですが、人的ミスによるデータ誤消去や誤変更にも対応するのならば一定の時間をおいた方がよいかもわかりません。例えば毎週末に自動でバックアップを作成するといった方法が考えられるかと思います。

遠隔地のデータセンターに置かれ、物理的にエアギャップされたオフサイトバックアップの出番は、ないに越したことはないのですが願望を根拠に省いてしまうわけにも行かないでしょう。リモートバックアップ、遠隔地バックアップなど様々に呼ばれますがそれらはやはり「想像できる限り最大の、あるいは想像を超えた緊急事態」に備えるものです。本文中にも書かせていただきましたが、場所の確保、管理作業の手間、専用の人件費などなどの運用管理費がかかります。損傷したあるいは失われたファイルをリストアするというだけに留まらず、業務システム全体をリカバリすることを考えますと、やはりシステムそのものの全体像をバックアップしておき、たとえ社屋ごと失われてしまっても代替機を用意してバックアップストレージを載せればとりあえず社内ITシステムについては復旧完了、というところまで可能な状態にしておきたいものです。本文中には日時や週次と記していますが、業務の内容によっては3ヶ月に1回、6ヶ月に1回、あるいは1年に1回というようなものでも構わないという性質のものでしょう。

このように、バックアップという行為をするに当たって選択し得る様々な方法は、一長一短といったところですので組み合わせて使うのが最も効果的です。各バックアップ手法はそれぞれが補い合う補完性を持ち、他の手法が持つ脆弱性をカバーし合う性質を持ちます。それこそが、ハイブリッドバックアップ、複合バックアップなどと呼ばれるバックアップ戦略の要諦なのです。

その中において、御社の遠隔地データセンターを実際に持つのではなく、データセンター内で行われるべきメディアの管理などを代行するのが弊社の業務とお考えください。ワインではないのですからデータをただ寝かせておくだけではその価値は半減します。お預かりしている最中に、例えば増分バックアップをリストアしてフルバックアップと同じ状態にしておく(永久増分バックアップ)を行ったり、マルウェアのチェックを行ったりといった作業も可能です。「バックアップをお預かりする」ということが基本ですが弊社はそれ以外にこういうことをするという形で定型で定めている業務はございませんので、逆に言うと柔軟に御社からのリクエストにお応えできます。何なりとご相談くださいませ。

といったところで、今回は長くなってしまいましたがこれで終わりたいと思います。次回はこの続きで使い分けの方法などを深掘りしていきたいと考えています。

というわけでやっぱりやります

AIの実力を試すGeminiさんのお手並み拝見シリーズです。前回はこんな絵を描いてもらったのでした。

これは誰でしょう?

これは「ヘンリー5世の絵を描いて?」というリクエストに対するGeminiさんの出力です。これはWikipediaに絵がありますので先にそちらをご紹介しましょう。

ヘンリー5世像
(画像はWikipediaより)

この人のことを調べてみて、私は初めて「ああ、イギリスにも内戦状態なんてことがあったんだな」ということを知りました。
私がこの人のことを強く記憶しているのは、大学生のときに受けた英語の授業に原因があります。先生が雑談のひとつとして、こんな話をしてくださったんです。
「ヘンリー5世」っていう映画が1989年に公開されて、映画の賞を受賞したんです。そのプレゼンターはこんなことを言いました。

「ヘンリー5世」が賞を獲得しました。これは大変珍しいことです。なぜなら、これは続編ですから…この映画の中で、ヘンリーはロシア人をぶちのめすのでしょうか?

意味わかりますか?これ。まず「ヘンリー5世」というのを英語で書いたら"Henry V"であるということが前提です。これは「誰々何世」ということを表現するときの普通の言い方なんですが、ヒット映画で続編が作られるとき、タイトルが"○○ Part II"とかではなく"○○ II"と単純に数字だけが振られることって珍しくなくなってるじゃないですか。で、映画という業界では続編っていうのは駄作が多いっていうことはみんな常識として持っているわけですね。
で、この賞が発表されているちょうど同じ頃「ロッキー5/最後のドラマ」という映画が公開されていたんですよ。このタイトルは日本語タイトルであり、原題は"Rocky V"になるわけなんですね。この部分を引っかけた駄洒落、チクッと棘も刺しています。
ちなみに言いますと、ロシア人をぶちのめしたのは"Rocky IV"(日本語で言うと「ロッキー4」です)であり、"Rocky V"でロッキーの対戦相手になったのはロッキーが育てていた若手ボクサーです。この若手ボクサー役はトミー・モリソンという実際のボクサーであり、スタローンの考え方として「ボクサー役を演じさせるなら俳優にボクシングを教えるよりボクサーに演技を教えた方がいい」というのがあったようです。
このモリソンはWBOのヘビー級タイトルを持っていたこともある本当のヘビー級チャンピオンでした。当時ほとんど黒人になってしまっていたヘビー級世界戦線の中に久しぶりに登場した白人ということで人気はそこそこあったんですが、ジョージ・フォアマンとの試合のときにまともに打ち合わず超ダルファイトを演じたチャンピオンというのが私のイメージでしてあまり好ましくは思っていません。
そしてロッキーシリーズなんですが
ロッキー(第1作)→人間ドラマとして一定の評価
ロッキー2→続編としては合格点
ロッキー3→いきなりアメコミのような展開の通俗娯楽作品化
ロッキー4→引き続きアメコミ路線的でも反共の内容であり収益最大
ロッキー5→上記のような内容で評論家も視聴者も酷評
となってますね。他に「ロッキー・ザ・ファイナル」という映画、外伝的な「クリード」という映画も作られてますが、私は見ていません。
さて、では今日もGeminiさんに1枚描いてもらいましょうか。

これは誰でしょう?

ヒント行きましょうか。

  1. 日本映画黎明期のスターです

  2. 14歳でデビューして清純派としてブレイクしますが、年齢を経て演技派になり長く活躍しました

  3. 監督もやっています

映画つながりってところです。
というわけで今日はこれで終わらせていただきたいと思います。また次回もよろしくお願いいたします。
目次へのリンクを張っておきます。

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なお、弊社の業務をご紹介するちゃんとしたWebサイトは現在鋭意作成作業中です。今しばらくお待ちください。

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