バックアップはどこに保管すればいいのか?
― バックアップは「離して保管する」ことにも意味がある ―
前回は、
「バックアップは何世代残せばいいのか?」
というテーマで、バックアップは「取ること」ではなく、「戻れること」が大切であるというお話をしました。
今回は、その続きです。
では、その大切なバックアップは、
どこに保管すればよいのでしょうか。
バックアップがあるのに復旧できない?
「毎日バックアップを取っています」
これは安心できる言葉のように聞こえます。
しかし実際には、
バックアップが存在していても復旧できない
というケースは決して珍しくありません。
その理由の一つが、
バックアップの保管場所です。
例えば、
パソコンのデータをUSBハードディスクへバックアップしている
そのUSBハードディスクをパソコンに接続したままにしている
このような運用をされている方は意外と多いのではないでしょうか。
もちろん、何もない時であれば問題ありません。
しかし、障害というものは「何もない時」に起こるわけではありません。
同時に失われるというリスク
例えば、ランサムウェアに感染したとします。
最近のランサムウェアには、本番データだけでなく、接続されている外付けストレージや共有フォルダまで暗号化してしまうものがあります。
つまり、
本番データも、
バックアップも、
同時に使えなくなってしまう可能性があるのです。
また、
落雷による電気的な障害
火災
水害
盗難
誤操作
なども同じです。
バックアップが本番データのすぐ隣にあれば、一緒に失われる可能性があります。
「バックアップは取っていた」
でも、
「バックアップも壊れていた」
これでは意味がありません。
「離して保管する」という考え方
そこで重要になるのが、
バックアップは本番データから離して保管する
という考え方です。
バックアップの世界には「3-2-1バックアップルール」という有名な考え方があります。
内容はとてもシンプルです。
データは3つ持つ
2種類以上の媒体に保存する
1つは別の場所に保管する
というものです。
もちろん、すべての企業がこのとおりに運用する必要があるわけではありません。
しかし、
「同時に失われないようにする」
という考え方は、とても重要です。
クラウドだけで安心でしょうか?
最近はクラウドストレージを利用する企業様も増えています。
確かに、
災害対策という意味では非常に有効です。
しかし、
クラウドへ同期しているだけでは安心とは言えないケースもあります。
例えば、
誤って削除したファイルがそのまま同期されてしまったり、ランサムウェアによる変更内容まで同期されたりすることがあります。
つまり、
クラウドも便利ですが、
「同期」と「バックアップ」は同じではない
ということです。
この違いについては、また別の機会に詳しくお話ししたいと思います。
私自身の考え方
以前にも少し触れましたが、私の個人用PCでは、バックアップ用のストレージは普段接続していません。
必要な時だけ接続してバックアップを取り、終わったら取り外して保管しています。
少々手間はかかるのは確かです。
しかし、
その一手間によって、本番環境とバックアップが同時に失われるリスクを減らせます。
もちろん、企業では自動バックアップが必要になることも多いでしょう。
それでも「最後の砦」となるバックアップだけは、別の場所に保管するという考え方は十分検討する価値があります。
バックアップは「保管場所」も設計の一部
バックアップというと、
どんなソフトを使うか
どれくらいの容量が必要か
何世代保存するか
そんな話になりがちです。
もちろん、それらも大切です。
しかし、
「どこに保管するか」
も同じくらい重要です。
保管場所が適切でなければ、せっかく時間をかけて取得したバックアップも、いざという時には役に立たないかもしれません。
まとめ
バックアップは、
「取っているから安心」
ではありません。
本当に大切なのは、
必要な時に、確実に戻せること。
そして、そのためには
本番データと同時に失われない場所へ保管すること
も欠かせません。
バックアップとは、データを保存する作業ではなく、業務を再開するための準備です。
どんなに優れたバックアップでも、同じ場所で一緒に失われてしまえば意味がありません。
だからこそ「何を」「何世代」だけでなく、
「どこへ保管するか」
まで考えておきたいものです。
次回予告
次回は、
「バックアップは取っただけでは終わらない ― なぜ復旧テストが必要なのか?」
について考えてみたいと思います。
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目次を貼っておきますので、他の記事もご覧になってください。
では今日はこの辺で。
