オフサイト・エアギャップデータセンター戦略について その2
皆様、こんにちは。
株式会社カチカのオフサイト&コールドバックアップ業務担当の村島です!
ようやく涼しくなってきたように思います。秋と言えばサンマも食べたいしサケも食べたいですね。サケのハラスは私の大好物です。あとナスも美味しい季節になりますね。大好きな季節です。
いつもならここで軽いパラドックスのお話を申し上げるところですが、ちょっと気になったニュースがあったのでお知らせします。
Windows11が発表直後から不評だったのは皆様ご存じかと思われますが、その頃から話は出ていたWindows12についてです。これまでWindowsのカーネルを作っていたエンジニアがMicrosoftを退社したようです。なんかAmazonに再就職したとかいう話ですがそれはさておき。あ、念のためですがカーネルというのはOSの一番核心部分という風にご理解ください。ほぼOSとしてLinuxという言葉を使ってしまっていますが本来Linuxというのはリナスさんが作ったカーネルのことです。というわけで、Windowsの次のバージョンに関しては、カーネル部分から抜本的に見直されたものになる可能性が高いです。これがWindows11のマイナーバージョンアップになるのか、Windows12になるのかはMicrosoft自体まだ決めかねている様子があります。IntelのCPUにもバグがありましたし、いままで鉄壁と思われていたWintelがちょっと揺らいでいる感があります。こういうものを見ると、新しいPCの購入はやはりしばらく控えた方がいいかなと思われます。以上です。
さて、前回はオフサイト・エアギャップのバックアップについて4つの方法をご説明申し上げました。
リムーバブルメディア(LTOテープ、HDD)の活用
データダイオードを用いた一方向通信
クラウド環境における論理的隔離
専用ソフトウェアおよびハードウェアによる仮想隔離
です。1と2が物理的エアギャップ、3と4が論理的エアギャップということになります。ここで、各アプローチの長所と短所を考えておきましょう。何度も申し上げるようですが、バックアップ方法にはそれぞれに脆弱性があり、複数を利用することによってそこに相互補完性が出てきます。
各アプローチの長所と短所
各オフサイト・エアギャップのアプローチは、一長一短があり、それぞれの特性を深く理解することが、適切な戦略選択の鍵となります。以下では、セキュリティ、復旧時間、コスト、および運用負荷という観点から、それぞれの長所と短所を詳細に分析します。
セキュリティと堅牢性
まずは長所を見ていきましょう。
長所
物理的エアギャップ:ネットワークベースの攻撃に対する絶対的な防御力を誇ります。ネットワーク接続がないため、ハッカーがリモートから侵入してデータを改ざんすることは極めて困難であり、ランサムウェアの拡散を防ぐための非常に有効な策となります。データダイオードを用いたアプローチは、ファイアウォールとは異なり、ソフトウェアの脆弱性や設定ミスに依存しないため、物理的な遮断による堅牢なセキュリティを提供します。
論理的エアギャップ:ネットワークを分離することで、マルウェア、データ侵害、不正アクセスといったサイバー脅威のリスクを軽減します。特に不変ストレージを組み合わせることで、バックアップデータが変更や削除から保護され、ランサムウェア攻撃に対する強力な防御層を形成します。また、厳格なアクセス制御(多要素認証など)を組み合わせることで、セキュリティをさらに強化できます。
次に短所を見ていきましょう。
短所
物理的エアギャップの脆弱性:リモートからのサイバー攻撃に対しては極めて強固である一方、物理的アクセスを伴う運用上のリスクを内在します。バックアップメディアの持ち運びや交換には人的な介入が必要であり、このプロセスは人為的なミス、メディアの盗難・破壊・改ざん、あるいは物理的なデバイスを介したマルウェア感染といったリスクをもたらします。
論理的エアギャップの脆弱性:物理的な切断がないため、認証情報の侵害や設定ミス、内部の不正アクセスといった人的・プロセス的な脆弱性が残り、不正アクセスを許す可能性があります。このため、論理的な分離を維持するためには、厳格なアクセス制御と継続的な監視が不可欠となります。
復旧時間(RTO)と運用負荷
こちらも長所から見ていきましょう。
長所
論理的エアギャップ:最大のメリットは、ネットワーク経由でデータにアクセスし、復旧できる点にあります。物理的なメディアの搬送や接続といった手作業が不要なため、大規模な災害やサイバー攻撃からの復旧時間を大幅に短縮し、ダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。
物理的エアギャップ(一部):最新のテープライブラリは、自動的にテープカートリッジをマウント・アンマウントする機能を備えており、手作業による運用負担を軽減し、ある程度の復旧速度を提供します。
次に短所を見ていきます。
短所
物理的エアギャップ: 復旧には物理的なメディアをオフサイトから搬送し、システムに接続するプロセスが必要となります。このプロセスは、特に膨大なデータを復旧する際や、緊急時には著しく時間がかかり、事業継続の取り組みを遅延させる可能性があります。また、LTOテープはランダムアクセスができないため、特定のデータを復旧する場合に時間がかかるという特性も考慮すべきです。
運用上の課題: LTOテープのようなリムーバブルメディアの運用は、テープの交換や保管といった手作業が必要となり、管理が煩雑になりがちです。人為的なミスによるデータの消失や、メディアの物理的な損傷といったリスクも存在し、日々の業務に隠れたコストや負担をかける可能性があります。
コストと拡張性
こちらも長所から見ていきましょう。
長所
LTOテープ(物理的エアギャップ):大規模なデータアーカイブを目的とした場合、LTOテープは極めてコスト効率に優れています。米国の調査機関による分析では、10年間利用した場合の総所有コスト(TCO)は、ディスクと比較して86%、クラウドと比較しても66%低いという結果が示されています。また、読み書き時のみ電力を消費するため、保管コストにおける省エネルギー効果も大きなメリットです。
クラウド(論理的エアギャップ):組織のデータストレージニーズを予測することは困難ですが、クラウドは必要に応じて容量を柔軟に増減できるため、物理的なストレージの拡張性という課題を解決します。初期投資を抑え、運用規模に応じてコストを最適化できる点が強みです。
次に短所を見ていきます。
短所
物理的エアギャップのコスト:物理的なエアギャップ環境の構築には、追加のインフラストラクチャ、専用のサーバールームや金庫、さらには自動化されたテープライブラリといった初期投資が必要となり、全体的なコストが高くなる可能性があります。また、メディアコストだけでなく、手作業にかかる人件費や管理・メンテナンス費用といった、数値化しにくいコストも考慮に入れる必要があります。
論理的エアギャップのコスト:長期保存のコスト効率は、物理メディア、特にLTOテープほどではない可能性があります。クラウドストレージの料金モデルは、データのアクセス頻度や転送量によって変動するため、長期的なコストを正確に予測することが困難な場合もあります。
表にまとめましょう。

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というところなのですが、これらの長所と短所を比較して意思決定をする前に、そもそもなぜデータセンターが必要なのかを考えていきたいと思います。
データセンター設立の戦略的位置づけ
データセンターとは何なのか、何のために設置するべきものなのか、そこをまず明らかにしておきましょう。
ITインフラから経営資産へ
データセンターの設立は、もはや単にIT部門が担う技術的なインフラ構築の範疇を超え、企業の持続的な成長を左右する経営戦略の核心に位置づけられるべき投資です。この認識は、世界的な技術トレンドと大手企業の動向によって明確に示されています。例えば、NTTグループは、新中期経営戦略の柱の一つとして、2027年度末までにデータセンター事業へ1.5兆円以上の大規模投資を行う計画を発表しています。これは、ハイパースケーラーやAIの需要を捉え、EBITDA(税引前・利払い前・償却前利益)を2倍以上に成長させるという明確な財務目標に基づくものです。
このような大規模投資の背景には、単なる設備増強にとどまらない、多角的な戦略的要素が存在します。運用力と技術力の蓄積、顧客との持続的な信頼関係、従業員エンゲージメントの促進、ダイバーシティ&インクルージョンへの積極的な取り組み、そしてサステナビリティへのコミットメントといった要素が、データセンター事業の成長エンジンとして不可欠とされています。企業にとって、データセンターは単なるIT資産ではなく、新たな収益機会を創出し、企業価値を高めるための重要な経営資産と位置づけられているのです。この一連の記事では、このような戦略的視点に基づき、データセンター設立における一連のプロセスと考慮すべき事柄を体系的に解説します。
この文章の目的
この文章は、企業がデータセンターを新たに設立または見直す際の複雑な意思決定プロセスを支援することを目的としています。事業継続性、コスト最適化、セキュリティ、そして最新技術への対応といった多岐にわたる課題に対し、網羅的かつ実践的な指針を提供しようと考えています。以下の事柄は押さえるつもりでおります。
自社構築(オンプレミス)、外部委託(コロケーション)、クラウド利用といった主要な設立モデルの戦略的選定基準を明らかにする。
込費用と運用費の総保有コスト(TCO)という観点から、モデルごとの財務計画を詳細に分析する。
災害対策を考慮した最適な立地選定から、電力、ネットワーク、冷却システムに至るまで、堅牢なファシリティとインフラの設計要件を提示する。
物理的および論理的セキュリティ、そして業界ごとの法規制やコンプライアンスへの対応策について論じる。
運用管理の最適化と、AI、エッジコンピューティング、サステナビリティといった未来の技術トレンドへの対応方法について考察する。
総合的な分析に基づき、データセンター設立成功のための具体的なアクションプランと提言を行う。
設立モデルの戦略的選定
データセンターというものを設けるに当たり、主要な設立モデルを比較検討することは避けられません。最終的には複数の方法を利用した複合バックアップという形になっても、やはり「典型例」を検討しておくことは必要でしょう。そこで、それらを見ていくことにします。
主要な設立モデルの比較検討
データセンターを設立するにあたり、企業は最初に、自社構築、外部委託、あるいはクラウド利用という主要なモデルの中から、自社のビジネス要件に最適なものを選択する必要があります。それぞれのモデルは、コスト、運用負担、カスタマイズ性、セキュリティ、およびスケーラビリティにおいて異なる特性を持っています。
オンプレミスデータセンター
オンプレミスは、企業が土地や建物、機器、設備をすべて自社で所有し、管理するモデルです。最大の利点は、ハードウェアからソフトウェア、ネットワーク構成に至るまで、完全に自由なカスタマイズが可能である点にあります。特定の業界や業務に合わせた独自の運用方針を適用できるため、高度な要件が求められるシステムに適しています。また、データを自社の物理的境界内に留めるため、外部にデータを持ち出すことができない厳格なセキュリティポリシーを持つ企業にとっては、唯一の選択肢となる場合があります。 しかし、導入時のハードウェアやソフトウェア、その他設備のコストが極めて高額になることが大きな障壁となります。また、構築には長期間を要し、運用開始後も、運用・保守をすべて自社の人員で対応する必要があるため、人的・時間的な負担が非常に大きくなります。地震や火災といった災害対策も自社ビルに依存するため、リスクが分散されないという課題も存在することになります。
コロケーションサービス
コロケーションは、データセンター事業者が提供する堅牢な施設内に、自社のサーバーやネットワーク機器を設置し、運用するモデルです。このモデルの利点は、耐震性・免震性のある建物、非常用電源装置、安定した電力供給、高速かつ大容量の回線、適切な空調といった、プロフェッショナルなデータセンター環境を、自社でゼロから構築するよりも少ない初期投資で利用できることにあります。施設の管理やインフラの保守は事業者が担うため、自社の運用負担は大幅に軽減される。一方で、機器の運用管理は引き続き自社で行う必要があるため、サーバーエンジニア等の専門人員を確保する必要があり、それに伴う人件費等の運用コストは発生します。
クラウドサービス
クラウドは、サービス事業者が提供するITインフラ(サーバー、ストレージ、ネットワークなど)を、インターネット経由で利用するモデルです。このモデルの最大の魅力は、導入時の初期投資を大幅に軽減できることである。ハードウェアの購入が不要で、利用した分だけ支払う従量課金制が一般的であるため、コストを最適化し、無駄なリソースを抱える心配がありません。また、必要に応じてリソースを瞬時に拡張・縮小できるため、ビジネスの成長に合わせて柔軟にスケーリングできます。運用・保守もサービス事業者が担当するため、専門的な知識を持つスタッフを社内で確保する必要がなく、管理負担が最小限に抑えられます。 しかし、カスタマイズの自由度はオンプレミスに比べて低く、サービス事業者が提供する範囲での設定に限られます。また、利用リソースやアクセス量によって料金が変動するため、コスト予測が難しい場合もあり得ます。セキュリティも事業者側の対策に依存する点が考慮すべき事項であると言えるでしょう。
ハイブリッドモデルと戦略的統合
オンプレミス、コロケーション、クラウドはそれぞれ異なる特性を持つため、単一のモデルに固執するのではなく、複数のモデルを組み合わせる「ハイブリッドモデル」が有効な戦略となり得ます。このnoteで繰り返しておりますハイブリッドバックアップです。例えば、高度な機密性を要する基幹システムはオンプレミスに、開発環境や一時的なデータ処理にはクラウドを利用するといった組み合わせが考えられます。
これらの設立モデルの選択は、コスト(CapEx vs. OpEx)、運用負担、カスタマイズ性、セキュリティ要件、スケーラビリティといった複数の軸で複雑なトレードオフの関係にあります。たとえば、オンプレミスは高いカスタマイズ性と引き換えに、高い導入コストと運用負担を伴います。逆に、クラウドは低い導入コストと運用負担と引き換えに、カスタマイズ性が低くなります。
これらのトレードオフは、企業の「事業継続性計画(BCP)」や「リスク許容度」、そして「長期的な成長戦略」に直接影響してきます。急成長を遂げるスタートアップ企業やデジタルサービス事業の場合、オンプレミスのような初期投資が重く、拡張に時間とコストがかかるモデルは、市場の変化に迅速に対応できず、ビジネスチャンスを逸するリスクにつながりかねません。この場合、クラウドのスケーラビリティが競争優位性となるでしょう。一方で、金融機関や政府機関のように高度な機密性と特定の法規制(FISCなど)への対応が必須であり、急激なリソース変動がない場合、高いセキュリティを自社で完全にコントロールできるオンプレミスが最適解となる場合が多くなってきます。従って、設立モデルの選定は、単なるITインフラの選択ではなく、ビジネスモデルとリスク戦略を決定する重要な経営判断であると言えます。

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今回は前置きだけといった感じになってしまいましたが
前置きだけという状態ですが、今日は文字数の関係もありこれで終わりたいと思います。今後はオンプレミス・コロケーション・クラウドと3種類の主な方法を比較していく予定です。
何度でも申し上げますがバックアップ方法には「これさえやっておけばあらゆる事態に対応可能!」というような「決め手」はなく、情報を性質に従って分類した上で、それぞれの性質にふさわしい方法でバックアップを行うハイブリッドバックアップ戦略を取ることが現状最も良い手段であると言えます。
このnoteでも繰り返し述べておりますバックアップの3-2-1ルールですが、これもこれまで述べてきましたように3-2-1-1-0ルールですとか5-2-1ルールですとか、弊社が提唱しておりますバックアップの4-2-1ルールですとか、そういった形に拡張していっておりますのは、やはりバックアップはたくさん取っておくに越したことはない、ということを如実に示していると言えるでしょう。
この文章で初めて「コロケーション」という言葉を出しましたが、基本的にはバックアップはオンプレミスとクラウドの比較ということになってくると思います。オンプレミスで行こうというバックアップ戦略を立てたときに、自社で抱えきれない部分を外注するということになるかと思われます。弊社もコロケーションの提供会社ですが、特に「遠隔地」という条件を満たすのはすべてオンプレミスでは負担があまりにも大きくなります。遠隔地バックアップ、リモートバックアップ、オフサイトバックアップ等々表現はいろいろありますが、バックアップのためだけに遠隔地に拠点を設けるより、そこを弊社に投げていただければと思います。こういったハイブリッドバックアップで、相互に補完性が生じてそれぞれの方法の脆弱性がカバーされるということになります。
また、バックアップ戦略の策定に当たっては、リストアないしリカバリのときのことも考えておくべきです。このときには、どのような脅威に対してどのバックアップが対応するのか、その点を踏まえて様々な脅威を想定し、可能であればリストアないしリカバリの訓練も定期的に行うことでレジリエンスの高いバックアップ戦略が構築できることは間違いありません。
というわけで、しばらくこの話が続くと思いますが、どうぞお付き合いください。
というわけでやっぱりやります
AIの限界を探るGeminiさんのお手並み拝見シリーズですが、前回はこんな絵を描いてもらったのでした。

これは「和泉式部の絵を描いて?」とGeminiさんにお願いした結果の出力です。百人一首にも入っていますね。「あらざらむ この世のほかの 思ひ出に いまひとたびの 逢ふこともがな」。考えてみれば、かなり情熱的な歌ではありますね。

(画像はWikipediaより)
私には姉がひとりいるのですが、子供のころ特に姉が百人一首が大好きで。子供のころはよくやったものですけどね。もうずいぶんやっていないなあ。
さて、今日も1枚描いてもらいましょうか。

ヒント行きましょうか。
落語中興の祖と言われます
笑わせる目的ではない噺、というのを数多く手がけました
Geminiさんが書いた漢字っぽい字が今回は結構なヒントになってます
ということで今回は終わりたいと思います。
ありがとうございました。
また次回もよろしくお願いいたします。
目次へのリンクを張っておきます。
他の記事もよろしければご覧ください。
なお、弊社の業務をご紹介するちゃんとしたWebサイトは現在鋭意作成作業中です。今しばらくお待ちください。
今日もありがとうございました。
