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オフサイト・エアギャップデータセンター戦略について その3

皆様、こんにちは。
株式会社カチカのオフサイト&コールドバックアップ業務担当の村島です!
いよいよ本格的に夏バテの季節になりました。毎日毎日がしんどいです。
では、パラドックス話に行きましょう。

ゼノンは、物体が運動するためには、時間とともにその場所が変化しなければいけないと主張し、標的に向かって飛ぶ矢を例に挙げました。ある瞬間に標的へと向かう矢は、その現在の空間中の位置に向かって、またはそこから離れて動くことはない、と。もしそのような動きがあるとしたら、進む先の場所が必要になるため、それ自体よりも大きな空間を占めることになってしまいます。さらに、物体がある瞬間に移動するとしたら、その瞬間をいくつかの部分へと分割できるはずですが、定義上、瞬間というものはそれ以上分割できません。従って、あらゆる時点において、矢は動けません。時間は、継続時間がゼロの瞬間の集まりとして全体が構成されており、個々の瞬間において矢は止まっているとのことです。従って、矢は永久に動かない状態にあるということです。矢の運動は不可能であり、それ以外のあらゆるものについても同じであるということです。
・・・は?って感じですよね。どこがおかしいかはお考えになってみてください。

日本のデータセンター市場の現状

日本のデータセンターは、約219拠点(2024年時点)で、米国(5,381拠点)や欧州(2,100拠点)に比べると少数です。また、東京・大阪などの都市部に偏在しており。特に関東圏に約6割が集中しています。災害対策やセキュリティ面では高評価です。アジアの中では安定性が強みではあります。しかし、課題や懸念がないわけではありません。

地震・台風などの自然災害が多く、地理的集中がリスク要因になっています。高性能サーバーの増加により、特別高圧電力の需要が急増しています。インフラ整備が追いついていないと言えます。騒音・排熱・景観への影響から、建設に反対する声もあります。特に駅前など"にぎわい"が求められる場所では顕著です。

今後はこういう動きが起こるだろうということに関してですが、政府は「デジタル田園都市国家構想」に基づき、地方への分散を推進しています。600億円規模の支援もあります。Beyond 5Gと連携し、地方でも高速・低遅延通信が可能になるでしょう。再生可能エネルギーとの連携も期待されています。中国や米国に比べて規模は小さいですが、安定性と信頼性から"アジアのデータハブ"として注目されつつあります。

というところなのですが、地理的分散がなされていないことが気がかりです。おそらく多くのデータセンターは、いわば図書館みたいなものと判断されていて、データにアクセスするにもメンテナンスを行うにも近いに越したことはないという判断が働いていると思われます。

ディザスタリカバリのことを考えても、これからは地理的分散が肝要になってくるでしょう。

バックアップ方法決定のための比較と意思決定のためのフレームワーク

比較のための表を示します。

主要な比較指標
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ユースケース別最適なアプローチの選択

組織の事業特性とセキュリティ要件によって、最適なエアギャップ戦略は異なります。

  • 政府機関、重要インフラ、軍事:最高の機密性と物理的な分離が必須要件となるため、データダイオードを用いたアプローチや、リムーバブルメディアの厳格な物理管理が推奨されます。これらの分野では、コストや復旧速度よりも、データに対する絶対的な防御が最優先されます。  

  • 金融、医療、製造業:厳格なコンプライアンス要件と同時に、迅速な事業復旧が求められる業界です。この場合、物理的なテープバックアップを長期アーカイブとして活用しつつ、クラウド上の論理的な不変バックアップを短期・中期的なリカバリポイントとして併用するハイブリッド戦略が有力な選択肢となります。  

  • 放送局、学術研究、その他非構造化データ管理:膨大な映像データや研究データを長期的にアーカイブすることが主な目的です。このユースケースでは、LTOテープの大容量、低コスト、長寿命という特性が最大限に活かされます。復旧のスピードよりも、データの確実な長期保存が重視されます。

総保有コスト(TCO)の概念と算出方法

コストがどの程度かかるのかというのも重要な点です。データセンターの設立において、総保有コスト(TCO)の概念を理解することは、ほぼ全ての意思決定に影響を与えます。TCOは単なる初期費用や月々の運用費用の合計ではなく、長期的な視点からIT資産のライフサイクル全体で発生する全ての費用を包括的に捉える指標です。TCOの最小化は、コスト削減に留まらず、収益向上や新たなサービス展開の原動力にもなりえます。TCOを正確に算出するためには、以下の3つの主要なコスト要素を考慮する必要があります。

  1. 初期導入コスト(CapEx):機器購入費、ソフトウェアライセンス料、建物・設備の建設費や内装工事費など、導入時に一括でかかる費用。

  2. 運用管理コスト(OpEx):電気代、人件費、回線使用料、定期的な保守・メンテナンス費用、ライセンス更新費用など、継続的に発生する費用。

  3. 機会損失コスト:ダウンタイムや障害によって発生する経済的損失。

これらの要素を適切に見積もり、合算することで、長期的な財務的影響を明確に把握し、予期せぬ出費を回避することができます。特に、データセンターの寿命を考慮して5年、10年といった長期的なスパンで試算することが不可欠です。

コスト内訳の詳細分析

総務省の資料によると、日本における一般的なデータセンターのコスト内訳は、以下のようになっています。

  • 機器費:約55%

  • 電気代:約15%

  • 施設費:約15%

  • 人件費:約15%

  • その他運用費:数%

この内訳を見ると、機器費用が全体の半分以上を占めることがわかります。これは、オンプレミス型データセンターが初期投資においていかに高額になるかを物語っています。オンプレミスでは、この機器費と施設費が初期投資として重くのしかかり、運用コストもすべて自社で負担するため、TCOは高くなる傾向があります。

一方、クラウドサービスは、これらの初期費用をサービス利用料として平準化し、従量課金制にすることで、企業の初期投資負担を大幅に軽減できます。これにより、企業は高額な初期費用を支払うことなく、最新のインフラを利用できるようになります。コロケーションは、施設費や一部の電気代を事業者に任せることができるため、オンプレミスとクラウドの中間的なコスト構造と言えるでしょう。

総保有コスト(TCO)の構成要素と試算表

コストの構成要素と試算表を示します。それぞれにどれほどの費用がかかってくるかという点に関しては、場合によって異なりますので具体的な数値は挙げておりません。

コスト構成要素試算表
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堅牢な建物類とインフラの設計

オンプレミスでバックアップを保持する場合には、上記の様々な機器類などに加えて堅牢な建物が必要不可欠になります。コロケーションの提供会社を利用する場合にも、堅牢な建物を持っている業者というのは条件のひとつに上がってくるでしょう。その点について見ていきましょう。

最適な立地の選定

データセンターの立地選定は、その後の運用コストや事業継続性に決定的な影響を与えます。

自然災害リスクの評価:日本は特に地震や水害、土砂災害のリスクが高い国です。このため、データセンターの立地場所は、想定しうる最大の自然災害に見舞われてもサーバーを安全に保持できることが前提となります。具体的には、地震に強い硬い地盤か、津波や土砂災害の心配がない海や川から離れた内陸部か、といった点をハザードマップなどを活用して詳細に調査する必要があります。
地理的分散によるBCP/DR戦略:災害対策という観点から、自社の拠点とデータセンターを地理的に離すことが重要となります。例えば、首都圏に本社がある場合、同エリアにデータセンターを集中させると、首都直下地震のような大規模災害時に両方が同時に被災し、全ての機器やデータが失われるリスクがあります。政府もこのリスクを認識し、地方でのデータセンター建設に補助金を出すなど、日本全体のデータセンターの地方分散を推進しています。
電力インフラと交通の利便性:データセンターの稼働を左右する最も重要な要素の一つが、安定した電力供給です。海外を検討する場合、その地域のインフラ整備状況を十分に確認する必要があります。また、平常時は現地に赴くことは少ないものの、万が一の障害時には直接現地での対応が不可欠となります。そのため、自社拠点から数時間でアクセスできる交通の利便性の高い立地を選定することが望ましい。ただし、コロケーションを利用する場合は、コロケーションの提供会社が常駐しているためある程度広い範囲で分散していることも問題とはなりにくいです。

信頼性と可用性の確保

データセンターの信頼性と可用性を確保するためには、国際的な基準や冗長化の概念に基づいた設計が不可欠です。

ファシリティのティアレベルとJDCC基準:データセンターの信頼性は、Uptime Instituteのティアレベルや、日本の実情に合わせたJDCC(日本データセンター協会)のファシリティスタンダードで評価されます。これらの基準は、可用性や冗長性のレベルを明確にし、想定される稼働信頼性(例:Tier 4は99.99%以上)を示す指標となります。ティアレベルが高くなるほど、より高いレベルの冗長構成や安全対策が求められます。
電力システムの冗長化:データセンターは24時間365日の稼働が求められるため、電源設備(UPSやPDU)は冗長化(N+1または2N構成)が必須です。これにより、機器の故障やメンテナンス時でも、予備機がバックアップとして機能し、サーバーの稼働を継続できます。
ネットワークの冗長構成:サーバーやストレージと同様に、ネットワーク機器や回線も冗長化することで、単一の障害点によるサービス停止を防ぎます。Microsoftのようなグローバルなサービス事業者は、地理的に分散したデータセンターを「リージョン」や「可用性ゾーン」として構成し、専用の大容量ネットワークで相互接続することで、耐障害性を高めています。

高効率な冷却システムの導入

データセンターの消費電力のうち、IT機器の熱を排出するための冷却設備が占める割合は大きくなります。このエネルギー効率を評価する指標が、PUE(Power Usage Effectiveness)です。PUEは「データセンター全体の消費電力」を「IT機器の消費電力」で割った値で、理想値は1.0であり、値が小さいほど効率が良いことを示します。日本の目標値は「1.4以下」と設定されています。

冷却方式の比較と選定基準:

  • 空冷:設置コストが安く、メンテナンスが比較的容易であす。しかし、冷却性能は液冷に劣り、特に高発熱のサーバーが多数稼働する環境では、冷却能力の不足や高額な電気代につながる可能性があります。

  • 液冷・液浸冷却:冷却性能が空冷の2〜10倍と非常に高く、高いエネルギー効率を誇る。NTTデータやKDDIの実証では、従来のデータセンターと比較して冷却用電力を最大94%削減し、PUE値1.05という高効率なデータセンターを実現しています。しかし、初期投資が高額であり、運用には専門知識が必要となります。特に液浸冷却は、冷却液のコストや3M社が2025年末に生産を全廃すると決定したことによる供給不安という課題を抱えています。

近年、AIや大規模言語モデルの学習に不可欠なGPUサーバーは、一般的なサーバーに比べて発熱量が非常に高いため、従来の空冷システムでは冷却が追いつかず、液冷や液浸冷却システムへの移行が不可避となっています。この技術的シフトは、データセンターの財務構造と運用戦略に大きな影響を与えます。高性能な冷却設備への初期投資は高額(CapEx)だが、冷却に必要な電力を大幅に削減できるため、長期的な運用コスト(OpEx)を大きく抑制できます。さらに、電力消費の削減はPUEの改善と温室効果ガス排出量の低減に直結し、企業のサステナビリティ目標にも貢献します。したがって、AI時代のデータセンター設立では「高性能な冷却設備への初期投資」を、長期的な運用コスト削減と企業価値向上をもたらす戦略的投資として捉えるべきです。

提案:データセンターのティアレベル比較表
(クリックで拡大)

高度なセキュリティとコンプライアンス

オフサイト・エアギャップバックアップにも、高度なセキュリティとコンプライアンスは絶対に必要となります。ここでは、そのことについて見ていきましょう。

物理的セキュリティ対策

データセンターにおける物理的セキュリティは、顧客データの保護と事業継続性の確保において極めて重要です。この分野では、単一の対策ではなく、境界から内部まで幾重にも対策を講じる「多層防御」の原則が採用されています。

多層防御の概念とアクセス制御:多層防御は、データセンターの敷地境界から始まり、建物入口、データセンター内、そして最終的なサーバーラックに至るまで、複数のセキュリティチェックポイントを設けることを意味します。具体的には、敷地境界フェンス、24時間警備体制、監視カメラによる常時監視、そしてエントランスでの厳格な本人確認が含まれます。建物内部への入室には、IDカードと生体認証(指静脈、顔認証など)による二要素認証が不可欠であり、許可された人物のみが特定のエリアにアクセスできる仕組みが構築されています。
監視と監査:全てのサーバーラックは、監視カメラによって常時監視され、不審な行動や未承認のアクセスが記録されます。また、定期的な監査を通じて、メディアの廃棄状況や監視カメラの録画映像、アクセス制御ログなどが確認され、セキュリティ体制の実効性が維持されます。
消火設備:データセンターの火災対策には、電子機器にダメージを与える水や粉末を使用せず、迅速に消火できる特殊な設備が採用されています。不活性ガス系消火システムは、火災時に窒素やアルゴン、二酸化炭素の混合ガスなどを噴射することで、酸素濃度を下げて消火する仕組みです。消火剤が残留しないため、消火後の復旧作業を迅速に行えるという利点があり、連続稼働が求められるサーバー設備に適している。

情報セキュリティと法規制への対応

物理的セキュリティと並行して、情報セキュリティと法規制への遵守も必須です。

国際認証と国内基準:情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際規格であるISO27001や、システムの可用性とセキュリティを保証するSOC2などの認証を取得することで、セキュリティ体制の信頼性を客観的に証明できます。これらの認証は、第三者機関による厳格な監査を経て付与されるため、顧客やビジネスパートナーからの信頼獲得につながります。

業界別ガイドライン

  • 金融機関:金融機関がITシステムを構築・運用する際には、FISC(公益財団法人金融情報システムセンター)が発行する「金融機関等コンピューターシステムに関する安全対策基準」への準拠が求められます。

  • 医療機関:医療情報を扱うシステムは、厚生労働省のガイドラインに基づき、データの所在地やリモートアクセスの有無を明示し、ログデータの監視と不正改ざん防止策を講じることが義務付けられています。

個人情報保護法:日本では、個人情報保護法により、企業は個人情報の取得、利用、管理に関する社内規定を策定・遵守し、従業員への定期的な教育を実施することが義務付けられています。これにより、データの漏洩や不正利用のリスクを軽減します。

コンプライアンス違反は、組織にとって許されないコストであり、評判の低下や顧客喪失につながる重大なリスクです。しかし、このコンプライアンスへの厳格な対応は、単なる法的義務の遵守に留まらず、顧客やパートナーからの信頼を獲得するための重要な要素となり、企業の競争優位性となります。例えば、金融や医療といった機密性の高いデータを扱う業界では、データセンターを選定する際にFISCや医療情報システムのガイドラインへの準拠が絶対条件となります。ISO 27001やFISCの認証を持つデータセンターは、これらの業界の企業にとって、リスクを低減し、安心して業務を委託できるパートナーと見なされるため、新規顧客の獲得や既存ビジネスの拡大に直結する戦略的な差別化要因となるのです。

本日はここまでと致します

といったところで、文字数もそれなりになりましたので、今日はここまでとしたいと思います。今回はデータセンターで常にデータが即時利用可能な状態、つまりコンピュータに接続されている状態のお話が多くなってしまいましたが、弊社では物理的エアギャップを採用しておりますため、基本的には発熱は通常はありません。コンピュータに接続していてなおかつ通電していないという状態は考えられませんので。

今回はオンプレミスのバックアップの延長で遠隔地にデータセンターを設けることを前提にしたお話になりました。コロケーションの提供会社である弊社は、御社の手間を大幅に削減することにつながります。弊社でデータをお預かりする場合には定期的にバックアップが失われていないかどうかをチェックするためにコンピュータに接続するとき以外には通電しません。ですので、少なくとも冷却に関してはあまり問題になりません。

弊社のバックアップは基本的にオフラインバックアップです。オンラインバックアップと違い、弊社でお預かりしているシステムやデータに直接アクセスされることは仕組み上あり得ません。その分不便ではありますが、やはり堅牢ということも出てまいります。この辺は次回にまたお話ししたいと思います。

毎度毎度申し上げておりますがバックアップの3-2-1ルールですとか、それを発展させたバックアップの3-2-1-1-0ルール、バックアップの5-2-1ルール、バックアップの4-2-1ルールを実現する場合、静的かつ遠隔地にバックアップを置いておくことが必要となります。これをリモートバックアップ、遠隔地バックアップ、オフサイトバックアップなどと呼びますが、これらにおいては静的かつ遠隔地にバックアップを置いておくことが推奨されております。こういったバックアップはオフラインであるべきです。オンラインですとリストアないしリカバリするときにデータの整合性がとれない可能性があります。弊社でお預かりするエアギャップバックアップはそういった形で管理しております。バックアップ方法の脆弱性を、複数のバックアップ方法を複数利用することによって補完性を生じさせることでカバーするわけです。

その「複数のバックアップ方法」に弊社を加えていただければ幸いでございます。何卒よろしくお願いいたします。

というわけでやっぱりやります

AIの限界を探るGeminiさんのお手並み拝見シリーズですが、やっぱりまだやります。
前回はこんな絵を描いてもらったのでした。

これは誰でしょう?

これは「三遊亭圓朝の絵を描いて?」とGeminiさんにお願いした結果の出力です。初代の方です。「三遊派中興の祖」とか「近代落語の祖」とか言われます。彼の写真はWikipediaにあります。

三遊亭圓朝の写真
(画像はWikipediaより)

幕末から明治初期に活躍した人ですので髷を結っていた可能性はあるかも知れませんが、どっちかというと髷はなかったイメージの方が強いと思うんですが…。

というわけで今回も1枚描いてもらいましょうか。

これは誰でしょう?

ヒント行きましょうか。

  1. 総理大臣を務めた人です

  2. 新聞の記者から政治家に転身しています

  3. 他にも多数の大臣や重要な立場を歴任しています

はっきり言って、残っている写真には似ていません。

といったところで今日はこれで終わりたいと思います。
また次回もよろしくお願い致します。
目次へのリンクを張っておきます。

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なお、弊社の業務をご紹介するちゃんとしたWebサイトは現在鋭意作成作業中です。今しばらくお待ちください。
今日もありがとうございました。

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