ファミリーレストランの夜(ショート・ショート)
私は今、ファミリーレストランにいる。
友達のユウコはカルボナーラを、
私はカツカレーを食べている。
店内にはクリスマスでもないのに
マライア・キャリーの
「All I Want For Christmas Is You」が流れている。
「なんかさ、退屈なんだよね。」
「退屈って?」
「いや型にハマっているっていうか。」
「今の仕事?」
「いや、書いている小説が。」
「小説家っていう商売も大変だね。」
「もっとチョロいと思ってた。」
「今も思ってるよね?」
「実はちょっと思ってる。」
「でも退屈とも思っているってこと?」
「御名答。」
「あんた贅沢なんだよ。調子乗ってるでしょ?」
「乗ってる。だってベストセラー作家だもん。」
「愛媛の英雄。」
「愛媛のプリンセスって呼んで。」
「愛媛のプリンセス・プリンセス。」
「意味違っちゃうから。1個でいい。プリンセスは。」
「ドMのプリンセス。」
「Mは好きだけど、せめて『ド』は取って。」
「そのマリアは、愛すべき?」
「それ、別の人だから。」
「愛知のプリンセス。」
「県名、変わってるから。」
ユウコは笑いながらツッコミを入れる。
彼女が作家を引退することを
ネットで発表したのは
3日前のことだった。
プロとして書くことは本当に楽しかった。
読者からの反応も素直に嬉しかった。
でもnoteで自由に書いていたときとは明らかに違う。
お金の取れるものを書かなくてはならない。
バカなこともできない。
そんな理由で作家を辞めるのかって思いますよね。
でも私には自由に書くことが
何よりも大切なことなのです。
だから次の作品を最後に、
作家を引退します。
引退後はまたnoteで自由に書こうと思ってます。
ユウコ・ザ・プリンセス
私は今、ファミリーレストランにいる。
友達のユウコはコーヒーをおかわりし、
私はパフェを食べている。
店内にはクリスマスでもないのに
ワム!の「ラスト・クリスマス」が流れている。
「なんかさ、退屈なんだよね。」
「それさっき聞いた。」
「なんか型にハマっているっていうか。」
「でも最後の仕事でしょ?」
「いや、型にハマりたくない。ぶっ壊したい。」
「小説家っていう商売も大変だね。」
「もっとチョロいと思ってた。」
「今も思ってるよね?」
「実はちょっと思ってる。」
「でも退屈とも思っている。」
「御名答。」
「あんた贅沢なんだよ。絶対調子乗ってるでしょ?」
「乗ってる。だってベストセラー作家だもん。」
「愛媛の英雄。」
「プリンセスって呼んで。」
「ユウコ・ザ・プリンセス。」
「話を聞いてくれてありがとね。」
「ドMのプリンセス。」
「Mは好きだけど、せめて『ド』は取って。」
「そのマリアは、愛すべき?」
「だからそれ、浜崎の方。」
「愛媛のプリンセス。」
「今日はありがとね。」
彼女の引退作品が書店に並んだのは、
それから半年後のことだった。
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チップをいただけるような素敵な雑記が書けたらなぁ~(遠い目)。