羊を数える(ショート・ショート)
羊が1匹。
羊が2匹。
羊が3匹。
私は羊を数える。
羊が4匹。
羊が5匹。
人は退屈に耐えられない。
羊が6匹。
羊が7匹。
退屈は人を殺す。
先の見えない退屈は、さらに耐え難い。
羊が8匹。
羊が9匹。
その一方で、人は安定を求める。
羊が10匹。
羊が11匹。
安定の中で、人は刺激を求める。
でも、どうか
「矛盾している」とは言わないで。
羊が12匹。
羊が13匹。
起承転結、序破急、三幕構成、エトセトラ。
人は物語を想像する。
羊が14匹。
羊が15匹。
日常から非日常へ。
安定の中に「転」という刺激を求める。
狼が16匹。
狼が17匹。
「驚き」に血湧き肉躍る。
ドーパミンとアドレナリンが溢れ出す。
三毛猫が18匹。
トリケラトプスが19匹。
でも緊張は一時的。
人にとって刺激はストレスだから。
山羊(ヤギ)が20匹。
山羊(ヤギ)が21匹。
人は最後に安定を求める。
ジェットコースターは速度を緩め、
振り出しに戻る。
羊が22匹。
羊が23匹。
徐々に緊張が緩和される。
その中で人はリラックスしながら、余韻を楽しむ。
羊が24匹。
羊が25匹。
人は安定の中で、
過去を懐かしみ、未来を思い描く。
羊が26匹。
羊が27匹。
そして人は次の刺激を求めつつ、
日常を生きる。
子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥。
甲乙丙丁戊己庚辛壬癸。
乙巳(きのとみ)から
丙午(ひのえうま)へ。
丙午から丁未(ひのとひつじ)へ。
親から子へ。
子から孫へ。
らせん状の輪舞曲(ロンド)は続いていく。
羊が28匹。
羊が29匹。
私たちは日常の中で羊を数える。
次の狼を求めて。
羊が30匹。
羊が31匹。
羊が……
A Happy New Year !
新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
年末年始はゴロゴロしつつも、
狼を求め、羊を数えておりました。
少し話は脱線しますが、
映画、小説だけでなく、
国宝の脚本を読みたいという方は、
以下の本をおすすめします。
29ページの中に国宝が凝縮されています。
(他の映画の脚本も複数掲載)
また脚本家の奥寺佐渡子さんの
インタビューが3ページ分ついていました。
字がやや小さいのが難点ですが、
文庫の文字サイズが苦にならないのなら
問題ないと思います。
なお、小説ではなく、脚本(シナリオ)です。
映像を作るための材料ですので、
表現が具体的で、
小説に慣れている方は
少しとっつきにくいかもしれません。
ただし、読めば、
国宝全編の映像が頭に浮かぶはずです。
雪のシーンで始まり、
雪のシーンで終わる。
物語の円環構造、らせん構造、
私、大好きなんですよね。
いいなと思ったら応援しよう!
チップをいただけるような素敵な雑記が書けたらなぁ~(遠い目)。