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No.13 鶯鳴かせたこともある | ミリしら解説 | 短編小説(1,600文字)

No.13 鶯鳴かせたこともある

 とっさに出た嘘が、意外な大成功を収めること

【解説】
女を泣かせたことのあるモテ先輩に対し、
非モテ後輩がとっさに口走ってしまった言葉。
類語:嘘から出たまこと

乃井 万さんの書式を拝借しました!
この帯お洒落すぎる・・・

乃井 万さんの書式が本物のWeb辞書みたいで、
いつきさんの帯も含めて全てが素敵だったもので、
拝借させて頂きました!(元記事メチャメチャ面白いのでぜひ!)


え、でも「非モテ後輩」と「ウグイス」って?

何の関係があるの?

そう思ったそこのあなた!こちらが出典の小説です!🤗
よろしくお納めください!

【注意事項】
主題のことわざの意味を、私は全く存じ上げておりません。
何も知らないのに、物知り顔で知ったかぶった解説を行う
「ミリ知ら解説」に参加させて頂いております。誤用注意…!😂

出典小説(1,600文字)


「今まで散々女を泣かせてきたよ」

まーた先輩の自慢話が始まった。
音大でバイオリンを専攻し、
身長180cm、向井理似の先輩はとにかくモテる。
酔うと饒舌になり、モテ自慢を始めるのが先輩の悪い癖だ。

「ジョー、わかるか?いや、お前にはわからないよな。
モテる男の苦悩ってもんがさ」

僕の本名は竹橋丈吉。先輩から『ジョー』と呼ばれている。
唯一持っている先輩との共通点は『音大所属』という点だけで、
後は何もかもが違う。もちろん僕は女性にモテた試しもない。

いつもなら「はいはい」と流していた話も、
今日はいつもより酒が進んでいたこともあってか、
無性にムカついて思わずこう口走ってしまった。

「僕だって、たくさん泣かせたことありますよ!」

場が凍り付いた。
先輩が持っていたコップをテーブルに叩きつける。

「ほ~ん、だれを?
お前が誰を泣かせたっていうんだ?」

「お、おん…」

女、といおうとして、口ごもってしまう。
自分に女っ気がないことなんて周知の事実だ。
嘘をついたところで散々笑われコケにされて自分がみじめになるだけだ。
僕はとっさに方向転換した。

「お、おん…音楽会!
音楽会でウグイス鳴かせたこともある!」


「うぐいすぅ!?」

先輩の声がひっくり返った。

「ジョー、それ本当かよ!?
それじゃあ、来月の音楽会でウグイス鳴かせてくれ。約束だぞ!」

はっ、とした時にはもう遅かった。
音楽会でどうやってウグイスを鳴かせればいいんだ…
僕は気が遠くなるのを感じた。

そして音楽会の日を迎えた。静寂がホール内に充満する。

指揮者がタクトを胸の前にすっと持ち上げると、
先輩が立ち上がってバイオリンを構えた。
先輩の応援団である女の子たちが固唾を飲んで見守っている。

演者側から見ると客席の表情がよく見える。
今日の僕は一応先輩と同じ『演者側』なのではあるが、
かたや僕はというと、ウグイスが入った鳥カゴを持ってコントラバスの横にある小さな椅子にちょこんと座っているだけだった。

ウグイスはカゴの中で素知らぬ顔でエサをついばんでいる。

演者の出番の際には立ち上がって演奏をするのが掟だが、
今日の僕の楽器がこのウグイスである以上、
自在に鳴かせることなどできるわけがない。楽譜もない。
なぜここに来てしまったのかもよくわかってない。もう手遅れだ。

終わるまで静かに座っていよう。

演奏が始まった。

指揮者のタクトに合わせて、先輩が優雅にバイオリンの音色を奏でる。
トランペットが、ヴィオラが、オーボエが、ハープが、ティンパニが、それぞれの個性を響かせる。寛雅な空間の中に様々な音符が舞い踊り、
その群れはやがて一つの大きなまとまりとなりホールを支配した。

曲調は激しくなったり静かになったりしながら、
やがてクライマックスへ向かう。
徐々に激しくなっていく音楽に驚いたウグイスが、
鳥カゴのドアをくちばしでガタガタと動かし始めている。

先輩のバイオリンにも熱が伝播し、オーケストラは勢いを増してゆく。そんな熱量の中、僕は黙々とそこに鎮座していた。

(早く終わってくれ~)

盛り上がりがピークを迎え、
先輩のバイオリンが楽曲の最後を締めた。

ジャーン!

そして、静寂。



盛大な拍手が鳴り始めると思った瞬間、
カゴの中のウグイスがドアから脱出して羽ばたいた。

おい、どこへ行く!
僕は思わず立ち上がっていた。

ウグイスは指揮者の頭にふわりと着地すると、
静寂を切り裂いて大きな声で一鳴きした。

「ホー、ホケキョ!」


全員が、ぽかんと口を開けている。
演者も、客も。そして僕も。

数秒の空白を置いて、一人の客がおもむろに立ち上がり、
スタンディングオベーションを始めた。

徐々に拍手の音は増えていき、やがて客席の全員が立ち上がった。
拍手喝采。会場が一つになった。先輩も満面の笑顔だ。
僕はいつの間にか演者のみんなから胴上げをされていた。

それから僕はオーケストラでウグイスを鳴かせた男として、
『ウグイスジョー』という通り名がつくことになった。

おしまい


乙川アヤトさんの企画に参加させて頂いております!
よろしくお願いいたします🙇‍♂️

・・・本気で元のことわざの意味、1ミリも知らない😂

そしてトップの画像はウグイスと関係ないのですが、
我が仕事場の相棒の雀ちゃんです。
1年くらい前にセリアで100円で買いました🥰クオリティやばし。

#賑やかし帯 #ミリしら解説 #短編小説 #掌編小説






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