子育てにおける「ゲーム」と「脳への影響」|何歳からが適切か考える
ゲームは何歳から?子供の脳への影響を論文で調べた父親の結論
「子供にゲームって、何歳からさせていいんだろう」
うちには4歳の娘がいます。スマホもタブレットも器用に触るのを見ながら、ゲームボーイから始めようか、それともまだ早いのか……と悩んで、文献を調べてみました。
先に結論をお伝えします。「幼児期のゲームが脳の発達に悪影響を与える」という確たる研究データは、実はありません[5]。そのうえで専門家の目安はおおむねこうなっています。
年齢 目安 0〜2歳 スクリーンタイム全般を避ける(米国小児科学会の提言)[6] 3〜6歳 親と一緒に、簡単なゲームを1日30分程度まで[7] 6歳以上 発達に応じて時間・内容を段階的に広げる[7]
この記事では、この目安の根拠になっている脳科学の研究と、メリット・リスク・家庭でのルール作りまで、順番に見ていきます。
「ゲームは脳に悪い」は本当か
脳科学の研究では、ゲーム中に視覚野・運動野[1]、前頭前皮質[2]、海馬[3]といった部位が活性化することがわかっています。
有名なのは東北大学・川島隆太教授の研究で、ゲーム中の脳活動(特に前頭葉)が予想より少なかったという報告があります[4]。一方でドイツの研究では、スーパーマリオ64をプレイすることで海馬や前頭前野の働きが活発になり、記憶力や計画性が高まる効果が示されました[4]。
つまり「ゲーム=脳に悪い」でも「脳に良い」でもなく、ゲームの種類と遊び方しだいで影響が変わる、というのが研究の実像です。
お茶の水女子大学の坂元章教授も「個人的には小学校以降がベターだが、幼児期のゲーム利用が心や脳の発達に悪影響を与えるという確たる研究データはない」と述べています[5]。
何歳から始めるかの根拠
幼児期(0〜6歳)は脳の発達が著しく、特に3歳までは実際の体験を通じた学習が不可欠です[8]。この時期は積み木やパズルなど実物の遊びを中心にして、ゲームは補助的な位置づけにするのが望ましいとされています。
「4歳の息子に簡単な知育アプリから始めて、親子で一緒に楽しむルールを作りました。結果的に集中力が高まり、ルールを守る意識も芽生えたように思います」という体験談もあります[9]。
大事なのは「◯歳になったら解禁」という線引きよりも、その子の発達に合わせて、親と一緒に段階的に始めることのようです。
科学が示すゲームのメリット
適切に管理されたゲームには、良い影響を示す研究もあります。
認知能力の向上: アクションゲームで注意力・視覚認知・空間認知・マルチタスク能力が向上[10]。15年間の長期研究では1日1時間程度のプレイで数ヶ月後のテスト結果向上が確認されています[11]
空間認知の強化: 3Dゲームやオープンワールドゲームは、地図の読み取りやスポーツでの空間把握にもつながる空間認知能力を伸ばします[12][13]
創造力: 2011年ミシガン大学の研究で、ゲームをする子供は創造力が高いことが示されました[14]。マインクラフトなど自由度の高いゲームが特に効果的です[12]
金銭教育: すごろくや人生ゲームなどを通じてお金の使い方を学べます[15][16]
気をつけたいリスクと対策
メリットの一方で、WHOは2019年に「ゲーム障害」を国際疾病分類に追加しました[17]。次のようなサインが続くときは注意が必要です。
ゲーム以外のことに関心がなくなる[18]
睡眠時間の減少や昼夜逆転、家族との会話の減少[19]
ゲームを制限されると激しく抵抗する[20]
対策はシンプルで、時間制限の設定[21]、CEROレーティングの遵守[22]、リビングなど目の届く場所での利用、課金制限、そしてゲームの内容について子供と話すこと[23]。ある家庭では「子どもが得するルール」を一緒に作ることで、自主的に時間管理できるようになったそうです[24]。
年齢別・ゲームとの付き合い方
3〜6歳:知育アプリや、マリオ・ポケモンなど簡単な操作のゲームを、保護者と一緒に1日30分程度[25]。
6〜9歳:マインクラフトやスプラトゥーンなど、戦略性やチームワークのあるゲームへ。1日1時間を目安に、友達との協力プレイでコミュニケーション力も育ちます[25]。
9〜12歳:ゼルダの伝説のようなストーリー性のあるゲームで、論理的思考や多様な価値観に触れる時期。1日1〜2時間を目安に、内容について話し合う時間を持ちましょう[25][26]。
家庭ルールは「子供と一緒に」作る
研究によれば、子供自身がルール作りに参加すると、守る意識が高まります[27]。
「息子自身にルール案を考えてもらったところ、自分から『平日は30分、休日は1時間』と提案してきました。自分で決めたルールだからか、以前よりも守るようになりました」(小学3年生の保護者)[31]
ポイントは3つです。
明確で一貫性のあるルールにする(曖昧さは不満のもと)[28]
ポジティブな仕組みを入れる(読書30分=ゲーム15分などのポイント制[29]、親子の共同プレイ時間[30])
成長に合わせて見直す(半年に一度の家族会議で調整した家庭の例[36])
時間より「質」——最新研究の視点
オックスフォード大学の研究チームは、「ゲームのプレイ時間よりも、プレイ体験の質や満足感のほうが心理的健康に強く関連している」ことを明らかにしています[49]。
「何時間やったか」より「どんな体験をしたか」。親子で『あつまれ どうぶつの森』を一緒にプレイして、島づくりのアイデアを出し合う——そんな使い方なら、ゲームはコミュニケーションの道具になります[52]。
あわせて、脳の休息も忘れずに。ゲームの合間に5〜10分の休憩を入れる、就寝前1時間はスクリーンから離れる、といった工夫が推奨されています[55][56]。そして親自身のスマホの使い方も、子供のモデルになります[58]。
まとめ:完璧なルールより、一緒に探すプロセスを
「幼児期のゲームが脳に悪い」という確たるデータはない[5]
目安は「0〜2歳は避ける/3〜6歳は親と一緒に30分/6歳以上は段階的に」[6][7]
影響を決めるのはゲームの種類・遊び方・体験の質[4][49]
ルールは子供と一緒に作り、成長に合わせて見直す[27]
ここまで読んでくださったあなたは、きっと「ゲームを与えて大丈夫かな」と真剣に考えている親御さんだと思います。その悩むこと自体が、もう子供への十分な愛情です。
完璧なルールを最初から作る必要はありません。ときには失敗しながら、子供と一緒に「うちの家のバランス」を探していくプロセスを、どうか楽しんでください[70]。私も4歳の娘と、まずは一緒に遊ぶところから始めてみます。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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参考文献
[1] 技術評論社. "ゲームは脳にどのような影響を与えるのか", 2022. https://www.techno-edge.net/article/2022/10/26/421.html
[2] 秋広智子. "子どもの脳とゲームの関係性", 2022. https://akihiro-chiro-child.com/blog/1679
[3] 秋広智子. "子どもの脳とゲームの関係性", 2022. https://akihiro-chiro-child.com/blog/1679
[4] 川島隆太. "ゲームと脳の関係に関する研究", 東北大学加齢医学研究所, 2023. https://www.idac.tohoku.ac.jp/dep/fbi/
[5] ベネッセ教育総合研究所. "子どものゲーム利用と脳の発達", 2021. https://benesse.jp/kosodate/201602/20160205-2.html
[6] アメリカ小児科学会. "スクリーンタイムに関するガイドライン", 2020. https://www.aap.org/en-us/about-the-aap/aap-press-room/news-features-and-safety-tips/Pages/Children-and-Media-Tips.aspx
[7] 子育て速報. "子どものゲーム利用に関する専門家の見解", 2023. https://www.kosodate-sokuhou.com/?p=133
[8] 発達心理学研究会. "幼児期の脳の発達とメディア利用", 発達心理学ジャーナル, 2022. https://www.jsdp.jp/
[9] プログラムクラウド. "子どもとゲームの関係性", 2023. https://www.programming-cloud.com/column/children/2025-03-07/
[10] No-Mark. "ゲームと認知能力の関係", 2022. https://no-mark.jp/liveescape/brainpower/game.html
[11] No-Mark. "ゲームと認知能力の関係", 2022. https://no-mark.jp/liveescape/brainpower/game.html
[12] Qureo. "子どもの脳の発達とゲーム", 2023. https://qureo.jp/class/blog/blog-39423
[13] STEMON. "空間認知能力とは", 2022. https://www.stemon.net/blog/kuukanninshikinouryoku/
[14] Digitane. "ゲームと創造性の関係", 2022. https://digitane.jp/online/topics/guardian/13524/
[15] コノバス. "お金の教育に役立つゲーム", 2023. https://conobas.net/blog/toy/21986/
[16] 全国小学校教員連合会. "ゲームと教育についての調査", 2023. https://www.zenkokyo.or.jp/
[17] ASK. "WHOのゲーム障害に関する見解", 2021. https://www.ask.or.jp/article/351
[18] 伊藤塾. "ゲーム依存の特徴", 2023. https://www.ito-juku.jp/column/game-addiction-features
[19] ベネッセ. "子供のゲーム依存対策", 2022. https://39mag.benesse.ne.jp/lifestyle/content/?id=74266
[20] 東京都障害者福祉. "ゲーム依存に関する調査", 2021. https://www.syougai.metro.tokyo.lg.jp/image/mishou13702-07.pdf
[21] Digitane. "子供のゲーム利用に関するガイドライン", 2022. https://digitane.jp/online/topics/guardian/13524/
[22] コンピュータエンターテインメントレーティング機構. "年齢区分制度", 2023. https://www.cero.gr.jp/rating_guide/
[23] 子育て速報. "子どものゲーム利用に関する専門家の見解", 2023. https://www.kosodate-sokuhou.com/?p=133
[24] すらら. "ほめビリティを活用したゲーム時間管理", 2023. https://surala.jp/column/homebility/22925/
[25] 子育て速報. "子どものゲーム利用に関する専門家の見解", 2023. https://www.kosodate-sokuhou.com/?p=133
[26] 東京大学大学院教育学研究科. "子どもの発達とゲーム", 2022. https://www.p.u-tokyo.ac.jp/
[27] のびる. "ゲームが勉強に与える影響", 2022. https://www.nobiru.jp/column/motivate/effects-games-studying.php
[28] Digitane. "子供のゲーム利用に関するガイドライン", 2022. https://digitane.jp/online/topics/guardian/13524/
[29] 子育てマップ. "ゲーム時間の管理方法", 2023. https://kosodatemap.gakken.jp/life/trouble/56177/
[30] コエテコ. "親子で楽しむゲームの効果", 2022. https://coeteco.jp/articles/12493
[31] ファミリーゲームジャパン. "親子のゲーム体験", 2023. https://family-game.jp/
[32] タブレット教育研究所. "デジタルデバイスの家庭での管理", 2022. https://tablet-edu.jp/
[33] バランスホイール研究会. "子どもの活動バランス", 2023. https://balance-wheel.org/
[34] 川島隆太. "脳科学から見たゲームの影響", 2023. https://www.idac.tohoku.ac.jp/dep/fbi/
[35] 日本小児科学会. "子どものメディア接触に関する提言", 2022. https://www.jpeds.or.jp/
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[38] スマートニュースメディア研究所. "メディアリテラシー教育の実践", 2022. https://smartnews-smri.com/literacy/literacy-1689/
[39] Be Internet Awesome. "子どものためのデジタルリテラシー教育", 2023. https://beinternetawesome.withgoogle.com/ja_jp/教育者向け
[40] 子どものネット研究会. "小学生のインターネット利用実態", 2022. https://www.child-internet.jp/
[41] 総務省. "青少年のインターネット・リテラシー指標", 2023. https://www.soumu.go.jp/
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[46] 総務省. "青少年のインターネット・リテラシー指標", 2023. https://www.soumu.go.jp/
[47] 総務省. "青少年のインターネット・リテラシー指標", 2023. https://www.soumu.go.jp/
[48] デジタルウェルビーイング研究所. "子どものデジタルウェルビーイング", 2023. https://digital-wellbeing.jp/
[49] オックスフォード大学. "ゲームと心理的健康に関する研究", 2022. https://www.ox.ac.uk/
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[51] 日本ゲーム学会. "マルチプレイヤーゲームの社会性効果", 2022. https://jasag.org/
[52] ファミリーゲームジャパン. "親子の共同プレイ体験", 2023. https://family-game.jp/
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[54] 日本創造学会. "創造性を育むゲーム", 2023. https://www.japancreativity.jp/
[55] 榎本博明. "脳科学から見た休息の重要性", 2022. https://enomoto-lab.com/
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[60] 日本赤ちゃん学会. "乳幼児期の脳発達", 2023. https://www.babysciencejp.org/
[61] 日本発達心理学会. "幼児期のスクリーンタイム", 2022. https://www.jsdp.jp/
[62] 日本小児科学会. "学童期のメディア利用", 2023. https://www.jpeds.or.jp/
[63] 発達心理学研究会. "個人差に配慮した発達支援", 2022. https://www.jsdp.jp/
[64] 子育て速報. "年齢別ゲームガイド", 2023. https://www.kosodate-sokuhou.com/?p=133
[65] 全国学校体育連盟. "子どもの活動バランス", 2022. https://www.zen-koutairen.com/
[66] 親子コミュニケーション研究会. "前向きな仕組み作り", 2023. https://oyako-communication.jp/
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[68] 日本家族心理学会. "親子のコミュニケーション", 2023. https://www.kazoku-shinri.jp/
[69] 日本発達障害学会. "個性に応じた支援", 2022. https://www.jssdd.jp/
[70] デジタル時代の子育て研究会. "これからの子育て", 2023. https://digital-parenting.jp/
