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映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』を見てオタクが感じ取った人間讃歌


オタク早口な前置き

この世に存在する漫画の中で1番好きな漫画がジョジョであり、さらにその中で1番魅力的なキャラクターは岸辺露伴先生だと強く確信している女オタク、カロリー子です(早口)
さらにこの世の俳優の中で1番好きな俳優が高橋一生なので、そもそもNHKでの実写ドラマ化が発表された時には推しと推しのコラボ!?!?とたまげたのですが、
出来上がったドラマが高橋一生の演技力だけでなく、その他のキャスティング、音楽、演出、オリジナル脚本部分など含め本当に素晴らしく、原作へのリスペクトも感じられ、オタクの私は涙を流した。
そもそもこの「岸辺露伴は動かない」シリーズは漫画の実写化という、本来ならば大博打のプロジェクトを大成功に収めたという稀有な作品として、オタクだけではなく大衆からの評価もとても高い作品と認識しています。
ドラマ化だけでなく映画化もされ、本作品はその2作目。1作目となる『岸辺露伴は動かない ルーヴルへ行く』では岸辺露伴先生の少年時代をなにわ男子の長尾謙杜くんが演じており、当時なにわ男子にどハマりして長尾担をしていた私は、推し×推し×推しの3連コンボに泡を吹いて倒れ、そのまま帰らぬ人となった(え、死んだ?)

前段が長くなりましたが、見てきました。
今回は池袋のTOHOシネマズへ。
鑑賞のお供として、シネマイクポップコーンのトリュフソルト&バター味を購入。
懺悔室といえばポップコーン、ポップコーンといえば懺悔室。
てかトリュフソルト初めて食べたけどうますぎる…口に広がるトリュフの風味…しかも今TOHOシネマズでは無料のバターオイルをポップコーンにかけ放題とのことで、ジャバジャバかけてきた…背徳感の味がする…うま…

このままだとポップコーンレポになってしまいそうなので本編の感想に移っていきます(たぶん本編でもめちゃくちゃポップコーンの話します)

↓ここから本編のネタバレ含みます


再現度の高いポップコーンバトル

原作の『懺悔室』は、整形して入れ替わるくだりや井浦新の役は出てこず、玉城ティナの役も出てこず、男が罪を告白して露伴先生が扉を開けると死んで血まみれになった男が喋っている、というところで終わるホラーな回。
設定の面白さと馬鹿馬鹿しさ、それにもがく人間の描写がめちゃくちゃ素晴らしく、個人的に本当に大好きなストーリーなのですが、
映画の前半パートにあたるこの部分の、原作再現度が本当の本当に素晴らしかった!!!

まず大東俊介、本当にジョジョ。

迫真の演技すぎる
どうやったらこの顔できるん?

2枚目の顔とかなに?歌舞伎?国宝ってこと?(怒られろ)
もう本当に彼の演技、特にポップコーンバトルでの暴れっぷりが素晴らしすぎた。まさに怪演。もはや主演男優賞。

恐怖でおののく顔、相手を出し抜き二チャリと笑う顔、苦し紛れにポップコーンを投げる顔、死にものぐるいでポップコーンをキャッチする顔、そして罰を受けて絶望する顔…
その表情、声の出し方、身振り手振り、全てが絶望の淵に立たされた人間そのものであり、驚くほど「リアル」であり、ジョジョの人物だった…

ちなみに髪型の再現度もすごいと公開前から話題になっていましたね。

これが映画
これが原作のありえん髪型

露伴先生のキャラデザもだけど、原作に似せつつも、絶妙に存在しててもおかしくないラインの塩梅が上手すぎる。

ちなみにポップコーンを3回投げるシーンだけで丸2日間使い、150カットも撮影したらしい。しかもほぼ一人芝居。本気出しすぎだろ。

そして大東俊介の演技だけでなく、ポップコーンバトル全体の演出も本当に素晴らしかった。
たしかに、「ポップコーンを3回投げるだけ」ではあるんですが、陽の光が差したり、ハトが来たり、燃やしたり、一つ一つの描写を原作に忠実に映像化しており、臨場感がビシビシ伝わってきて結末を知っていてもハラハラさせられました。

ていうか、ハトがめっちゃ良かった。
大東俊介が主演男優賞だとしたら作中のハトが助演男優賞。
まるで人間かのようにポップコーンを狙い、気味悪く動くその様子がリアルで、ハトたちが一斉にこちらを見てくるシーンは思わずぞわっとした!
映画における動物の撮影に力を入れているという意味で、撮影前にかなりの期間で訓練を受けたという、『チャーリーとチョコレート工場』に出てくるリスたちを思い出しました。


脇を固めるキャストたちの凄み

ポップコーン一人芝居主演男優賞・大東俊介の他、高橋一生や飯豊まりえが素晴らしいのはもちろんのこと、玉城ティナや井浦新もすごく良かったです!
井浦新の演技力はもともと知っていたけど、狂気に満ちたダークな演技や表情の作り方が、デフォルト井浦新と比較してジョジョみがあってすごかった!
露伴先生と喋りながら、呆れて口をあんぐりさせるシーンは荒木飛呂彦の作画で脳内補完された。

そして本当にびっくりしたのは、エンドロールの「戸次重幸」の文字。
え、出てた!?どこにいた???と見ていた人は全員思っただろう…
え、もしかしてあの呪いの元凶の浮浪者!?!?

ほんとにこれ戸次重幸?

映画を見た後に画像をググってよくよく顔を見てみたら、たしかにそう見えなくもない…
あたしの知ってる戸次重幸は、キレイで清潔感の塊みたいなイケオジで、誰よりもまじめで常識人で、破天荒な友人とかの尻拭いをしていて、呆れながらもチャーミングな照れ笑いで周囲を和ませる心優しい人物(妄想200%増)なんだよ~

落差がえぐい

特殊メイクであんなに汚くボロボロにしてしまって、戸次重幸の良いとこ全部消してるじゃないかよ~!と一瞬思ったが、
作中では本当におどろおどろしくて、狂気に満ちていてめちゃくちゃ演技上手かったです。
戸次重幸と全然分からないくらい、普段のイメージとは真逆のもの凄い演技でした!これも怪演。


「最大の幸福」という不幸

後半のオリジナル部分のシナリオも、本当に良かったです。
まず、原作にあったポップコーンバトルのエピソードだけで終わらせず、オリジナル要素を加えて映画にした制作チーム、本当にすごい。

顔を変えて召使いに身代わりになってもらうだけでなく、幸福の絶頂にならないような選択を取り続け、娘に対しても「1番」欲しいものは与えない。
ただ、幸福の絶頂から叩き落とされることこそが「絶望」であるから、次々と自分や娘の身には呪いの力で幸福なことが起こり続ける。
これこそがまさに、「幸福が襲いかかる」。
独特で面白い表現だと思いました。

最大の幸福にならないよう、縁起が良くないことをしてみたり、少しの幸せを手放したり、1番欲しいものは選ばなかったり。
1番幸せな瞬間を、1番欲しいものを選択できないという人生は、どんなに苦しいものだろう。
それもこれも「最大の幸福は、最大の絶望を連れてくる」を恐れてのこと。

たしかに、日常会話でも「幸せすぎて怖い!」とかってよく言うよなと思う。
別に呪いに怯えていなかったとしても、誰もが味わったことのある感情かもしれません。
最も幸せな状態になったら、あとは不幸になるだけ。
何かで優勝して一番になったら、あとは順位が下がっていくだけ。
完成した作品や物体は、あとは廃れて朽ちていくだけ。

このような考え方は、古くから日本にある「未完の美」という感性にも通ずるところがあると個人的には思いました。
建築中で未完成の建築物といえばサグラダ・ファミリアが有名ですが、柱を逆さに作ることで「あえて」永遠に未完成なものとし、徳川幕府が永遠に続くようにと願いをこめ建てられたと言われる日光東照宮。
綺麗だけどすぐに散ってしまう、儚い美しさを持った桜。
日本人の慎ましさに通ずる、不完全なものを良しとする「わびさび」の文化。
日本人は昔から、完璧すぎないものをあえて作ってそれを美徳としたり、完璧ではなく控えめなもの、不完全なもの、儚く朽ちていくものに美しさや芸術性を見出してきたような気がします。

だから最大、完璧、最高、絶頂という言葉に恐怖を覚える気持ちは、何となく分かる気がする。
ただ、ラストの泉くんの「今日が1番幸せだなんて決められない」という台詞はとても素敵な言葉だと感じました。
たしかに今この瞬間の自分の幸せを実感するけれど、これを超える幸せがきっとまたやってくる。
だって、明日はもっと幸せなことが起こるかもしれない。
そうやって未来に期待して生きていくことこそが、この世を健全に生きられる秘訣なのかもれません。

自分の「運」を乗り越え、人生を掴み取れ

作中では、「同じものでも、人によって見え方が違う」というテーマが冒頭で語られます。
仮面そのものが笑っているようにも悲しんでいるようにも見えたり、仮面を被った医者が天使にも悪魔にも見えたりする。
つまり、幸福も人によっては不幸と感じる。
「最大の幸福は、最大の絶望を連れてくる」から。

呪いの力なのか、露伴先生と泉くんがレストランで食事をしているシーンでも、店のオーダーミスでプレートが来たり、電話の相手と喧嘩した客からオペラのチケットをもらったりします。
誰かにとって不幸なことが起きても、それよって誰かが幸せになることもある。
このように「幸福」と「不幸」は隣り合わせにあるものだと考えられます。

同様に、「幸福」を一概に喜ばない人も存在する。
呪いの存在に怯え、「不幸」がやってくるのではと疑ってしまい、幸せになることを極端に恐れる人たちもいれば、
「幸福」というのは比較的「運」の要素が強い神的な要素だからこそ、「未来は自分の手で、実力でこそ掴みたいんだ」と考える人もいるのではないでしょうか。
つまり、岸辺露伴です。
呪いの力で幸福が訪れることによって、自分の漫画がたくさん売れることを極端に嫌っていましたね。(余談だけど、その後ブチ切れながら宝くじの券を足で踏み潰す露伴先生は最高でしたね)

ジョジョの原作で思い出したシーンがあります。たまたまこれも露伴先生のセリフでした。

『ジャンケン小僧』の回の一コマ
ドラマ化もされてますね

作中で玉城ティナが演じるマリアも、呪いの力を跳ね除け、クオリティを永遠に追求できる仮面職人という仕事を自分で選んだし、ラストでは最愛の人と結婚するという道を自ら選びます。

呪いだとか運だとかそんなものを信じて怯えるよりも、自分の意思で、実力で未来を選び取る。
そんな生き方の大切さを教えてくれるような作品でした。

あとは拡大解釈すると、結局は本人の気の持ちようなのかなとも思ったり。
どんなに苦しいことがあっても、絶対に今後いい事がある!と信じて疑わない人もいるだろうし、なにかいい事があっても、日頃の自分の行いがいいからだ!とポジティブに変換できる人もいます。
偽物のお守りだろうと、そのお守りのおかげで幸せになれたんだ!と思えてハッピーな気持ちになれた泉くんが、やっぱり最強の人物ってことですね。

余談

高橋一生と飯豊まりえの結婚発表を聞いてから、何だかもぞもぞする。
高橋一生に対してガチ恋していたわけではないけど、飯豊まりえは私と同い年なので、じゃあ私もイッセイと結婚できる未来があったってこと…?と一瞬思った(そんな未来はない)
今作で2人の掛け合いシーンはそこまで多くなかったけれど、息がぴったりで、もしかしておうちで一緒に練習したりしてたのかな…とか思った。
全く、許せないね(そうだったらかわいい)

あと、作中で露伴先生が着ていたこのコート、ベルトがいっぱい付いててかわい~ね~と思ってたのですが、
どうやら4kgもあるらしい。

涼しい顔で立ってるけどさ

高橋一生、マッチョやん。


とりあえずめちゃくちゃ面白かったので、ヘブンズ・ドアーで記憶消してもう1回見たい!
次回作にも期待してます!

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