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メディア記事騒動記 「うんこ」と呼ばれた男


メディア記事を書く理由

 プロフィールに記載しているが、わたしは数多くのオンラインメディアに中学受験や国語教育、中高一貫校への取材記事などを寄稿している。わたし個人へのインタビュー、対談・鼎談といった別のライターさんが執筆した記事や拙著の切り出し記事(プロモーションでよく使われる手法)を含まず、わたしがイチから執筆した記事は約350本。よくもまあ、こんなにたくさん書いてきたものである。
 ただ、今年に入ってからはほとんどこの手の記事を執筆していない。2月・4月・7月・10月と4冊の書籍刊行があり、手が回らなかったからだ。
 ようやく今年分の書籍執筆を終えたいま、オンラインメデイアの寄稿を再開しようと考えている。
 いままで寄稿したメディア媒体は、朝日新聞EduA・プレジデントOnline・AERA dot.・東洋経済オンライン・文春オンライン・新潮社Foresight・ダイヤモンドオンライン・旺文社中高バスナビ・Business Journalなど……。
 これらの記事の多くは、その媒体の発信に留まることはなく、Yahoo!ニュースやNewsPics、スマートニュースなどのキュレーションサイトに転載され、拡散される。同時に、XなどのSNSでも引用されやすい性質を持つ。
 ここが面白い。
 なぜなら、自分の執筆した記事に対する「読者」の直截的な反応が観察できるのだから。まあ半数以上は読むに値しないのだけれど、中には本当に勉強になる「玉」のコメントに出あえることだってあるのだ。
 こう口にすると、「でも、辛辣なコメントが大量に寄せられるとキツくないか?」と言われることがある。
 実際、こういうコメントに精神を蝕まれ、この手の記事執筆をやめてしまった知り合いだっている。
 でも、わたしはいたって平気なのだ。
「どんなに論難されようが皮肉を言われようが、記事を執筆して金を得られるのは自分だけである」という謎の上から目線の持ち主ということがあるかもしれない。
 そして、わたしは比較的鈍感なタイプである。これが大きい。
 加えて、過去この手の記事の反響でとんでもない出来事に遭遇して、完全に麻痺してしまっている側面がある。
 その「とんでもない出来事」とは何か。それを思い出して書いてみたい。

「うんこ漢字ドリル」騒動

 いまから8年前。2017年6月16日。わたしはプレジデントOnlineで「人気「うんこ漢字ドリル」の"致命的欠陥"」という記事を執筆して公開した。この手の記事執筆を始めて間もないときである。
 記事をご一読されると理解できるだろうが、わたしは『うんこ漢字ドリル』に対しては好意的である。ただ、その例文があまりに短いため、これで学習する子どもたちに保護者が長文にアレンジして漢字の意味を理解させてやる工夫をしてほしいと提案している。
 なお、この手の記事のタイトリングに著者は基本的にかかわることはできない。「致命的欠陥」などと名付けたのは、プレジデントOnlineの担当編集者(O氏)である。わたしは難色を示したが、O氏は「大丈夫ですよ。致命的欠陥に二重引用符(")を付けたので、それが本意でないことは読者に伝わるはずですから」と言い放った。

 ところが、この記事がキュレーションサイトに拡散されると、この記事を指して某インフルエンサーが「こんな記事を書くヤツがうんこ」とコメントした。それに呼応するように、ヤフコメ、NewsPics、X(当時はTwitter)などで「お前がうんこ」の大合唱が始まった。
 そう、わたしは大勢の人たちから「うんこ」と呼ばれた男なのである。
 そんな反響の中、落ち込むわたしにO氏から連絡が入った。「PVが凄いことになっています。素晴らしい!」と大喜びしている。
 いいか、あなたの喜びと引き換えにこっちは「うんこ」呼ばわりされてんだよ、と毒づこうかと思ったが、そこは大人げないのでやめておいた。

「自制」を効かせること

 これらのコメントに戦々恐々としていたわたしであったが、その数日後に今度は別のメディア媒体に中学受験についての記事を掲載した。
 こちらも大勢の人に読まれたのだが、「うんこ漢字ドリル」のときとは一変し、好意的なコメントばかりが寄せられた。おいおい、この記事は「うんこ男」が執筆したんだぜ。
 ここでわたしは悟った。
 オンラインメディアの記事など、それを誰が書いたなんて気にしている読者はいない、ということに。
 こう考えると気持ちがだいぶラクになった。
 ただ、だからといって、話題作り、PV稼ぎのために自制が効かなくなるような状態に陥ってはダメだなとも考えた。
 いまやオンラインメディアは乱立しているが、執筆者の「自制」の効かなくなった記事を実際よく目にする。そこに巻き込まれてはならない……と自戒の念を込めて。
 明日は木曜日。(経営者ゆえ定義上は存在しないが)一応わたしの週休日。
 わたしは社会人院生として博士課程に在籍しているのだが、そのゼミが木曜日におこなわれるため、今年は木曜日を空けているという次第。
 とはいえ、大学院の秋学期はまだ開講されておらず、明日はフリー。
 メディア記事を2本くらい執筆しようかな。

 メディア記事執筆のメリット・デメリットについてもっと詳しく書こうかとも思ったが、長くなりそうなのでこのへんで。

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