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スティーブ・バノンとは何者か?文化人類学的考察

スティーブ・バノンというおっさんがいます。いや、もう爺さんか。最初にドナルド・トランプを大統領にした影の黒幕らしいです。先日、ニューヨーク・タイムズの保守ライターがやってるポッドキャストで初めて声を聴きまして、中々キャラの立った爺さんだな、と感心しました。

スティーブ・バノンが出てくる番組なんか聴いてるんですか???って友人一同にドン引きされそうだわね。これはですね、大学時代に「絶対洗脳されない自信がある」と言い切った大竹君が、宗教の勧誘の人にお茶を出して話を聞いてやったようなものですから、どうぞご心配なく。文化人類学者は、人を選ばずに参与観察と聞き取り調査をするんですよ…。

バノンを一言でいうと「陰謀+ポピュリズム+軍オタ+宗教くさい政治思想」をブレンドしたような人。若い頃は海軍からゴールドマンサックスへ、エリート街道ど真ん中を歩いていたらしい。その後なんか急に映画の世界に転向し、保守系メディアで大活躍。極右思想を大流行させ、2016年にはトランプのブレインとして政界入り、でもすぐに政権をクビに。性格がキョーレツすぎてチームワークには向かなかったみたいです。

現在は War Room というポッドキャストで世界中の極右と連合し、国際陰謀プロデューサーを生業としているようです。共和党なんてぬるい。腐ってる。俺がぶっ壊して作り直す!!って吠えまくってて、共和党内でもめっさ嫌われているけど熱狂的トランプ支持層には大受けしているという、なかなか厄介な人気者。

トランプ政権をクビになった、というところが面白いね。政治の中枢に入り込んだのにうまく立ち回ろうともせず追い出されるって、実際の統治には興味がないのかも。為政者ではなく民衆を自由に導くヒーローというポジションが心地よいのでしょう。ドラクロワの有名な乳出し自由の女神を「パトリオット」のメル・ギブソンに差し替えたようなイメージね。政府が嫌いなんだから政府になるわけにはいかないという、筋が通ったリバタリアンではあります。

バノンのセルフイメージ?

事実よりも物語!記録よりも演出!なんかもう映画監督みたいな陰謀プロデューサーのバノン、実はガチなローマ・カトリックで「アメリカは神に選ばれた国」だと信じていて、自分はサタンの勢力と戦う十字軍で殉教者だと思っているらしい。学術的な標本として面白すぎるわこの人。熱心なカトリックだったラカン先生あたりが、精神分析してみたい!!と職業意識に火をつけられるタイプ。

文化人類学的に見ても、この人は構造的にどのへんにいる人なのか、分析のしがいがありそうです。カオスすぎて「もはやお笑い?」と思わせるキャラは、秩序を破壊して新しい神話を作るトリックスターのようでもあります。笑っていいのか真顔で向き合うべきか判断を狂わせ、混沌の中から「意味らしきもの」を立ち上げる存在。それを信じてしまう人がいる時点で、そこに文化が生まれているのです。

バノンの話を聴いてて浮かんだ形容詞は unapologetic というやつ。「謝らない」「反省しない」という意味の英語ですが、「いけしゃあしゃあ」なんて素敵な日本語で訳されることもあるようですね。

わかった、こいつは文化人類学的に言うと「イケシャーシャーマン」だ。絶対に告解とか行きそうにないキャラのくせに「いけしゃあしゃあ」とカトリックを名乗るところ、それに群衆の怒りをチャネリングしてトランス状態に導く「シャーマン」を足して「イケシャーシャーマン」。完璧なネーミングだ…!!

(続く)

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