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宙組公演『黒蜥蜴』観劇感想

初回観たのはもう1ヶ月ほど前になるのですが、あれこれ分からないところを考えてから書こう…書こうと思っているうちにもう5回観たので、やっと書こうと思います。

本当に素晴らしかったです。

生田先生はボー・ブランメルの時はあれれと感じたのですが、今回はほんっとうに素晴らしかった!
生田先生が何より黒蜥蜴を江戸川乱歩を、三島由紀夫を、そして、春乃さくらちゃんを大好きなんだなと感じました。

乱歩の原作は読みました。初回は原作だけ読んで観劇しました。
原作を知らなくても楽しめる作品だと思います。
早苗と葉子の入れ替わりだけちょっとややこしいかな…?
ちなみに複数回観ても未だに明確な答えは分かりませんでした。
三島の戯曲は、観劇後に購入。
読んでみたら、ほぼほぼ戯曲のセリフと一緒なんですね??
劇中は詩的なセリフが多く、意味を理解しきれない部分もありました。観劇後に改めてテキストとして読み返して意味をちゃんと理解できたので、購入して良かったです(ルサンクの脚本でも十分だったかも)。

舞台美術も素晴らしくて、
東京タワーが出てきたかと思えば(セリをエレベーターに使うのすごい!)、ヒッチコックのめまいを思わせるうずまきの背景、夜光虫を表現した背景や、年代物の車のセット。
そして盆が回る回る。
これぞ宝塚の芝居!と思わせる場面転換。
む、無駄が一切ない…!
例えば明智と黒蜥蜴でアメリカンピノックル(トランプ)をする場面で、銀橋でトランプしながら本舞台では雨宮の移動が進んでいて、やっぱり宝塚といえばこの盆を最大限活用しなきゃね…と空間の使い方の無駄の無さに、惚れ惚れしました。
ボー・ブランメルを浅く感じてしまったのは、こういう使い方が無かったからかもしれない。なぜか全然盆が回らなかった…

明智と黒蜥蜴の攻防がテンポよく描かれていて、ラブシーンがあるわけじゃないのに(宝塚ではかなり珍しい)、本能で惹かれ合っている(気になっている)のが分かる台詞の数々。そして雨宮の存在で三角関係になっているのも非常によい(ここ最近の作品は三角関係全然無いから…)。

本来『黒蜥蜴』という作品は、明智小五郎という主人公をいわゆる宝塚のセンターに相応しい人物像に描き変えないと、宝塚での上演は適さないと思っていました。 しかし、生田先生はそこを素晴らしい形で裏切ってくれました。

明智のキャラクターは言葉少なで、ユーモアも少なめのクールな造形、そしてちょっと皮肉屋。原作の明智をそのままにタイトルロールの黒蜥蜴を立てるような抑えた桜木さんのお芝居は、さくらちゃんの美しさを一層際立たせており、私はとても好感を抱きました。桜木さんのファンの視点からはどう映っているのか分かりませんが、作品として非常に魅力的なバランスだったと思います。
セリフはもう少しユーモアさがあってもいいのではと思いましたが。
というのも明智の部下が数名いて、路線メンバーが占めているのですが、台詞が無さすぎて可哀想…
後半はほとんど船のシーンで明智の部下達は登場せず…
これなら人間彫刻の一員や、黒蜥蜴の僕の方が美味しかったかも。

逆に黒蜥蜴の手下や僕は後半ずっと出番あるし、良かったかもしれないですね。
泉堂成さんとか奈央麗斗さんとかお顔の綺麗な人たちが小汚い格好でオラついてるのが意外すぎて、新境地でしたね。
うわーん、これりせさんも観たかったーとちょっと思いました。
なんせ台詞少なすぎますから…!
次はがっつりセリフあるお芝居してほしいな。

とはいえ、主要な役の少ない中でも、下級生まで端役を細かに割り振ってあり、そこは生田先生の愛を感じました。

第一、第二、第三の女の演出は非常に良かったです。
私が個人的に第三の女の二葉ゆゆちゃんが好きというのもあって、お気に入りの場面でした。
ただ、毎回なんで第三の女が犯罪の資格があるんだろうと歌の意味を理解するのに時間がかかってしまい、観劇した時はよく分かりませんでしたが、戯曲を読んでやっと理解しました。

第一の女 薔薇と虫どちらも暖炉に投げる
第二の女 虫だけ暖炉に投げ入れる
第三の女 薔薇も虫も焼かずに、花束をくれた男の顔を暖炉で焼く

第三の女は世間の秩序と道徳を根こそぎひっくり返し、三人のうちでは一等残酷さが少ない。

1番残酷では!!?と初めは思ったのですが、行動ではなく、「精神的な意味」で残酷さが少ないということなんですよね。第一、第二の女は虫や花っていう、自分より弱くて無抵抗なものに当たっている(=卑屈な残酷さ)。
それに引き換え、第三の女は花や虫にやさしい心で接するあまり、世間の秩序と道徳を根こそぎひっくり返す行動に出る(男の顔を暖炉で焼く)。世間の常識を超越してひっくり返す大胆さを持つこと、それが「犯罪の資格」。
有資格者がまさに黒蜥蜴ということですね。

あとは黒蜥蜴の僕と明智の影の使い方は良かったですね。
娘役と男役の役も増えるし、両者とも怪しい雰囲気を醸し出していて、黒蜥蜴の耽美で残酷で仄暗い東京の世界観にぴったりでした。

黒蜥蜴の僕の虚、風羽咲季さん、プリレジェの新公で観てから、可愛い方だな~と思って見ているのですが、可愛い雰囲気とは打って変わってバチバチの黒いメイクをしていて、意外でした!新公で黒蜥蜴を演じている梨恋あやめさんも、遠くから観ても分かるくらいの華やかさで目立っていました。新人公演の映像早く観たいな。

明智の影は波輝瑛斗さんと風翔夕さんがいつも良い位置で踊っていらして、目に入ってきました。波輝さんはビジュアルがちなつさん(鳳月杏さん)に似ていて、かっこいい!!お芝居も観てみたいな。
風翔さんはプリレジェの新人公演で久遠誠一郎役だった方。お芝居も歌も上手い!明智の影ながら、運転手役でセリフもあり。なんでもこなすオールマイティーなスターさんなんですよね~。第三の女に暖炉で顔を焼かれるのも風翔さんです、可哀想笑
明智の影はトレンチコートを着用しているのですが、後ろがひらひらする軽い素材になっていて、妖しい雰囲気を醸し出しています。ここも生田先生のこだわりなのかな。ボーブランメルのコロスを思い出す。

その他、人間彫刻の方たちは、本当に人形のようなリアルさ!
ここの場面、原作だと全員裸の設定だったので、どうするんだろう??と気になっていたのですが、肌の質感が陶器のようで、本当に人形に見える不思議…
いつも二葉ゆゆちゃんを注目して観ているのですが、金髪のかつらもお似合いだし、絵画の中の人みたいで美しい。

キャスト別の感想↓

  • 桜木みなと(明智小五郎)

原作に忠実な明智という感じで、良かったです。
トップスターがあまりに若くてキラキラしていたら絶対回ってこなかった役でしょうね。ずんちゃんがキラキラしていないとかそういう意味では無く、男役17年の経験が無ければあの渋みは出せないでしょう。
黒蜥蜴に好意を寄せながらも、それはあくまで探偵としての好奇心であり、恋心では無いのだけれど、”この上もなく清潔”な黒蜥蜴との関係が良い意味で宝塚らしからぬ雰囲気で、大好きでした。たまには、純粋なラブストーリーじゃなくてもいいよね。
明智先生はどうやら女性が苦手な雰囲気というか、女性に慣れていない感じがしていて…女性からは好意を持たれないわけではないんだけど、明智先生の方は女心は全く分からない感じがしますよね。
東京タワーの場面も、まああれはお芝居なんだけど、おはねちゃんに何言っていいか分からない感じですし笑
ラストだって別に黒蜥蜴を不必要に触ったりしないのが、この上もなく清潔な関係で、最後まで世界観が徹底されているなと感心しました。

  • 春乃さくら(黒蜥蜴/緑川夫人)

上級生の峰里ちゃんに「おば様」と言われても全く違和感のない年増の女性を意識した役作りで、貫禄が凄かったです。
映画『黒蜥蜴』の美輪さんとも違うのですが、どこか中性的な感じがしなくもない…
さくらちゃんは元々お上手な人だなあと思ってはいましたが、あまりの上手さに度肝を抜かれました。
歌が上手いのは言わずもがなですが、ドスの効いた歌唱は日に日に迫力を増している気がします。特に序盤の宝石商の場面。あの場面、東京の夜の妖しさが出ていていいですよね。「私の中に入ってこないで」のところ、日に日に「入ってこないでえ゛え゛え゛~」とすごいドスの効かせよう笑
普通にやってますけど、あれをできる人なかなかいないでしょうね。
終始『春乃さくらワールド』が展開されておりました。

  • 水美舞斗(雨宮/山川健作)

変態なマイティ―が観れます。
大阪でドジを踏んで「あっつかましいいい!!!(厚かましい)」と怒られるマイティ―が観れます笑
私、この役やってるご贔屓を観たいってくらい。マイティ―のファンの方羨ましい。
でも分かるよ、あれだけお美しい黒蜥蜴様だもの。心酔してしまうの分かる。
逐一、明智とか青い亀(ひな)にジェラシーを感じていて、可愛いのよ。
あと、黒蜥蜴から渡されたタバコを愛おしそうにニヤニヤ眺めて、キスする雨宮が最っ高に気持ち悪くて(褒めてます)、いいですよね。

  • 鷹翔千空(真木警部補)

ちょっと短気で、初めは明智にあまり好感を抱いていないようですが、一般市民である明智をちゃんと心配している優しい警部補!
路線メンバーが明智事務所に固まっている中で、こってぃは警察チームだったので、出番も多く、目立ってました。
黒蜥蜴尾行時の場面は日に日にアドリブも増えて楽しい!
無線で連絡を取り合うところは明智からの連絡を今か今かと待っているのが、なんか可愛い!暗闇で壁にもたれて無線を待っているこってぃを観るのが好きです。
そして言及されていないけど、既婚者設定もいいですよね、いつも左手の指輪観てしまう…笑

  • 天彩峰里(岩瀬早苗/桜山葉子)

もう研12くらい??の峰里ちゃんですが、
19くらいの早苗を演じていても全く違和感がない!
そしてもう1人の桜山葉子も見事に演じており、やっぱり上手いな~と感じさせる。
歌も上手いし、この方がトップにならないのは本当にもったいないなと(まだ分からんですけど)。
峰里ちゃんの歌は不安が全くないのよ。
高音が綺麗ですよね。
どこまでが早苗でどこからが葉子問題は結局よく分からず…
でも替え玉(葉子)に変えるタイミングは岩瀬邸しかないだろうから、岩瀬邸で攫われる時はもう葉子な気がしているんですよね。
で、船の上では「私、早苗じゃないのよ!」と雨宮に言ってるから葉子ですよね??
でも疑問なのはラストの場面で堺が早苗に「買われるよりも盗まれたい、あなたの望みは叶ったようですね」って言うんですよ。
買われるよりも盗まれたい、これは序盤に早苗が緑川夫人に言うセリフなので、早苗じゃないとしっくりこない気がする(堺に言っていたわけではないので、別におかしくはないんだけど、観ている方としては)。ってことでラストは早苗なの?と思っていたところ、ラストには早苗の許嫁が登場!(早川くんというらしい)許嫁まで出しておいて、結婚しないのは無いよね?ということでやっぱり、葉子??
これには答えなんかなくて、自由に想像してくださいということなのかしら。
私は岩瀬邸からずっと葉子説を推します!

  • 山吹ひばり(青い亀/ひな)

もう序盤から美しさを発揮しまくっている!
宝石商の場面は黒いダルマがお似合い。スタイルが良いからついつい観てしまう方。松吉殺害未遂の時の黒いコート姿も本当にお似合い!(黒が似合う方ですね)
美しすぎるがゆえ、岩瀬邸での老家政婦は少し無理がありますが、結果的に早くから岩瀬邸に住み込んだ功績が認められて「青い亀」の称号を授かることになります。

黄色い獅子、黄色い獅子、夜の鬣と朝の尻尾の…

細かく言及がないけど、おそらく暗号で黒蜥蜴に電話するひな様、スリリングな場面で大好きです。

その後は、青い亀となり、青いワンピースで登場。
「青い亀様とお呼び!!」と松吉(実は明智)に怒るひな様いいですよね笑
怒るところ、そこ?!って感じですけど。
青い亀は黒蜥蜴が死んだあとはどうするのかな…

ひばりちゃん、歌唱シーンは少なかったけど、向上したような?!高音が綺麗でした。


もっと気づいた点とか言いたいこといっぱいあるのですが、今回はこの辺で…!残りは東京を観て書こうと思います。


宝塚大劇場にて


ソリオの「味処魚しん」にてお刺身定食


パープルスパークリングというスパークリングワインが
美味しかったです!