花守〜高齢者とボランティア
駅から職場への遊歩道は、たくさんの木が植えられていて、四季折々の移り変わりを楽しませてもらっている。そして、木の周りのスペースには、いつも小さな花が咲いていた。水仙、チューリップ、クリスマスローズ、スズランなどなど。笑顔で眺める人、スマホで撮影する人、道行く人の癒しや憩いの場になっていた。花を植え育てていたのは初老の女性だった。花をほめられると、はにかんだような微笑みを浮かべるだけの寡黙な人だった。
その女性の姿が、2、3年前から見えなくなった。世話する人がいなくなった花たちは、それでも毎年開花の時期には、雑草の中から顔を出してくれた。
今朝も職場に向かういつもの道を、スズランもそろそろ終わりかなと思いながら歩いていると、少し小さくなった彼女の姿が。体調を崩していたのだろうか。そういえば背中が丸くなって腰も曲がっている。でも、土の上にしっかと立って慣れた手つきで草を引いている。
黙々と草引きを続ける彼女の背に、おかえりなさい、花守さんと、心の中で声をかけた。
