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好きなはずの満月が、すこしだけ苦手だ。

満月の夜は、
すこしだけ苦手だ。

好きなのに、
なぜか悲しくなる。



明るすぎる光は、
見なくてもいいものまで
照らしてしまう気がする。

沖縄で見た月だったのか、
それよりずっと前の、
どこかの夜だったのか。

はっきりとは思い出せないのに、
そのときの空気だけが、
静かに戻ってくる。


海の近くで、
風にあたりながら、
だまって見上げていた夜があった気もする。

ただひとり、
部屋の窓から、
ぼんやりと月を眺めていた夜だった気もする。

どちらとも言えないまま、
ただ、

すこしだけ、
心細かった気がする。


満月を見ると、
『すこしだけ』が、
いまに重なってくる。


理由はわからない。


思い出そうとすると、
遠ざかる。


夜の湿度や、
風の重さや、
言葉にしなかった気持ちごと、

どこかの時間にいた自分が、
静かに戻ってきているだけだと思う。


月は、
いまを照らしているようで、


ほんとうは、
いくつか前の弱い自分を連れてくる。


見られているのは、

きっと、

いまの私だけじゃない。





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noteには、
余白のカケラを。

音で残しています。

手にふれる、かたち。

もうひとつの、時間。