サクセションプランニングで次世代リーダーを育成する時の「成長経験リスト」
サクセションプランニングの中で、人材育成会議/タレントレビュー等における後継者候補(次世代リーダー候補)の「組織的」な育成加速方法の検討は重要なテーマです。
後継者候補(次世代リーダー候補)の育成加速方法は例えば下図の方法がありますが、中でも「育成加速のために、今後どのような経験を積ませるか」のタフ(ストレッチ)アサインメントのデザインは、異動・配置変更を伴うケースも多いため組織的な検討が重要となります。
また、サクセションプランニングにおいて、目指すポジションへの登用までに後継者候補に与えられた育成期間は長くても3年程度 (最長でも5年程度) のことが多いと思われます。異動・配置変更によって経験を積ませようといっても、3年(or 5年)は非常に短く経験できることには限りがあるため、その後継者候補にとって本当に必要・有効な経験を組織的に見極め、経験プランをデザインすることが重要となります。

後継者候補一人ひとりの育成計画 (IDP or PDP*) の策定の際に、経験プランも検討できるよう、育成計画のテンプレートに「次に経験させたい領域 (Next Role) 」といった項目も入れておきます。
*Individual or Personal Development Plan
タフアサインメントのデザイン(経験デザイン)の方法
後継者として目指すリーダーポジションに必要なスキル・経験を明確にする。
上記1.の中で、各後継者候補が未経験の領域やスキル獲得に有効な経験を検討する。
目指すポジション登用までの限られた期間 (例:3年間) で、各後継者候補が優先的に経験した方が良い領域を設定する。
その経験による育成目的 (獲得して欲しいスキル/形成して欲しい人的ネットワーク 等) も合わせて明確にする。
例えば、国内主体の大規模・成熟事業の経験が長い後継者候補の場合、今後の事業環境変化への対応力の強化のために、新規事業立上げの経験や海外事業の経験を積んだ方がよいのではないか、という議論がなされます。
また、保有能力の再現性・安定性を確認するために、敢えて同様の大規模事業を経験させ検証することもあります。ただその場合でも、新たな経験による成長のために、事業内容や組織特性等はこれまでの経験とは(大きく)変えることがあります。
特に上記3.の検討において、下記の経験種類を参照しながら、人材育成会議/タレントレビュー等で、組織的かつ多面的に検討を行うと効果的です。
以下の(1)〜(7)の経験視点リストは、育成対象社員の成長経験をデザインする時に、以下について関係者間で多面的・俯瞰的な検討のための参考情報となることを想定しています。
・その社員がすでに経験していること (=能力として身についていること)
・その社員がまだ経験したことがないこと
・その社員が今後、優先的に経験すべきこと
(1)経験する事業種類
事業規模別 (大規模↔︎中規模↔︎小規模)
顧客タイプ別 (BtoB↔︎BtoC↔︎BtoG等)
事業ポートフォリオ内ポジション別 (中核↔︎周辺)
事業ライフサイクル別 (事業構想↔︎獲得(M&A)↔︎立上げ↔︎成熟↔︎撤退・売却)
(2)経験する職種
ジョブファミリー別 (各職種)
業務プロセス別 (上流(前工程)↔︎下流(後工程))
本社/事業部門の各職種
(3)経験する組織
組織規模別 (大規模↔︎中規模↔︎小規模)
組織歴史別 (新規↔︎伝統的)
組織ライフサイクル別 (立上げ↔︎成長↔︎成熟↔︎立て直し)
組織特性別 (プロフェッショナルチーム/多様化/M&A後/コンプライアンス等問題対応)
(4)経験する技術
技術タイプ別 (中核↔︎周辺↔︎新規)
(5)経験する地域
日本国内の各拠点
海外の各地域・国
地域・国特性 (新興国↔︎先進国/主力市場↔︎新規市場)
(6)経験する距離 (本社中核からの距離)
本社経営中枢 (経営企画・社長室等)
事業部門運営 (事業企画等)
グループ会社 (経営・管理職等)
社外 (出向)
本社中枢から離れる目的は、越境学習として新たな知見の獲得の他に、会社・本社を俯瞰し客観的に見ることもあります。
(7)経験する役割
組織リーダー/マネジメント
リーダー補佐
組織的な人材開発
スペシャリスト 等
「質」に着目した経験種類
これまでの成功体験・経験が通用しない役割・状況
大きな目標(MTP)やビジョン、戦略を描く必要がある役割・状況
急速な事業環境変化や未知の領域に対応する必要がある役割・状況
自身の判断が経営に直結する役割・状況
社外の重要関係者との関係を構築する必要がある役割・状況
社内外関係者とのハードな交渉・調整が必要な役割・状況
自身で自身の事業運営チーム(リーダーシップチーム)メンバーを選定しまとめる必要がある役割・状況
大人数のメンバーの意欲を高め動かす/組織文化醸成の必要がある役割・状況
難しい状態にある組織や事業を立て直す必要がある役割・状況
(一回、現役割から離れて)全社・事業全体を客観視する必要がある役割・状況
(一定の期間、例えば新規事業の立ち上げや事業の再建など)とにかく目の前の課題に集中して取り組む必要がある役割・状況
異なる価値観や異文化の中で取り組む必要がある役割・状況
大きな障害・困難を乗り越える必要がある役割・状況
必ずしも権限に頼らない調整・遂行が必要となる役割・状況
嫌われることを厭わず実行の徹底が必要な役割・状況
ロールモデルとなる経営者・リーダーの下(補佐等)で働く役割・状況
