金融新聞: 「ギッフェン財の「所得効果」と「代替効果」?」
今回は「ギッフェン財の「所得効果」と「代替効果」?」について見ていきましょう。
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ギッフェン財を理解する最大の鍵は、価格が変化したときに私たちの心の中で起こる「2つの心理的変化」のバランスにあります。
通常の商品ではこの2つが協力して「安ければ買う、高ければ控える」という動きを作りますが、ギッフェン財ではこれらが激しくケンカをします。
1. 2つの効果とは?
ある商品の価格が上がったときの反応で考えてみましょう。
代替効果(「高いから他にする」)
その商品が相対的に高くなったので、より安い「別の商品」に乗り換えようとする心理です。これは常に需要を減らす方向に働きます。
所得効果(「お財布が苦しい」)
値段が上がったことで、実質的にお小遣いが減った(貧乏になった)と感じる心理です。
普通の商品: 貧乏になると、買う量を減らします。
劣等財(ギッフェン財): 貧乏になると、贅沢品が買えない分、かえってその安い商品を増やします。
2. ギッフェン財が生まれる「逆転」のメカニズム
ギッフェン財とは、所得効果が代替効果を飲み込んでしまうほど強力な状態を指します。
価格上昇: ジャガイモの値段が上がる。
代替効果: 「高いからパンにしようかな」と少し思う(需要マイナス)。
所得効果: 「ジャガイモが値上がりして、もう肉を買うお金が全くない!お腹を満たすには、高くてもジャガイモを大量に買うしかない!」という強烈な反応(需要プラス)。
結果: 所得効果(プラス) > 代替効果(マイナス) となり、トータルで「価格が上がったのに、買う量が増えた」という現象が完成します。
3. スルツキー分解(図解のイメージ)
経済学ではこれをグラフ(無差別曲線)で説明します。価格の変化による需要の変化(全効果)を、以下のように分解します。
ステップ動きの内容効果の名前①同じ満足度を保ちつつ、高いものを避けて安いものへ移る代替効果②購買力が落ちたことで、さらに消費行動が変わる所得効果合計①と②を足した結果、最終的な消費量が決まる全効果(価格効果)
ポイント: ギッフェン財の場合、この「②」の矢印が「①」の戻りよりも遥かに大きく、スタート地点を通り越して右側(需要増)へ突き抜けてしまうのです。
まとめ:なぜギッフェン財は珍しいのか?
ギッフェン財が成立するには、以下の3つの条件が同時に揃わなければなりません。
その商品が「劣等財(貧乏になると増えるもの)」であること。
他に適切な代わりの品がないこと。
家計の支出の中で、その商品が圧倒的なシェアを占めていること。
この「極限状態」は滅多にないため、ギッフェン財は理論上の存在に近いと言われています。
