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作業療法を知らない私が学会へ行くと、初めて気づくことの連続だった

こんにちは。本日よりcarewillのライターとしてデビューします、冬野暖子です。

今回は、carewill代表の笈沼さんにお誘いいただき、作業療法学会の展示会にお邪魔しました。

ただ、作業療法についてはなんとなく聞いたことはあるけど、具体的に何をするのかまったく知らない私……。

「私が行って本当に大丈夫?」
「専門的な方しかいないのでは?」
「作業療法の基礎知識が何もない状態で理解できるの?」

学会なんて、人生初です。

不安な気持ちに襲われ、緊張とともに、すこし重い足取りで現場へ向かいました。

おそるおそる会場へ。carewillでブースを出展していた笈沼さんを見つけました。

冬野「笈沼さん、今回は貴重な機会をありがとうございます。ただその…私、作業療法のことよく知らなくて…。私がここにいるのは場違いなのではないかと思うのですが」

笈沼さん「いいえ、そんなことありません。作業療法の世界は思っているより身近なものですよ。」

冬野「え、そうなんですか?」

笈沼さん「そうです。だからこそ、私は作業療法のことを知らない方々に作業療法について知ってほしいんです。そのために作業療法を知らない冬野さんの目で、見たもの感じたものを記事にしてほしい!」

冬野「なるほど…!」

笈沼さん「だから、気を張らなくて大丈夫ですよ。」

笈沼さんの優しい言葉に救われました。それと同時に、重要な任務を任されたことに気づいたのでした。

carewill製品で作業療法を知る

冬野「初歩的な質問で恐縮ですが、作業療法ってなんですか?」

笈沼さん「作業療法っていうのは一言でいうと、障害やご病気のある方が日常生活を思うように過ごしていくためのリハビリテーションのことです。」

冬野「理学療法士とは何が違うのでしょうか…?」

笈沼さん「理学療法士は、『立つ』『座る』『歩く』など基本的な運動機能の回復を目指すものです。作業療法士の場合は、その先をサポートしています。」

冬野「運動機能の回復の先……ですか。」

笈沼さん「はい、身体だけでなく精神的なケアも含んでいます。日常生活をより自分の力だけで過ごせるようにすることで、精神的なケアを図るんです。『服を着る』『爪を切る』など、一緒に試行錯誤しながらサポートします。」

冬野「たしかに『服を着る』ことを普段当たり前のようにしているから気づかなかったけど、もしそれができなくなった場合、精神的にすごくストレスですね。」

笈沼さん「そうでしょう。その精神面をケアする意味で、私たちは製品開発に取り組んでいるんです。」

①誰が使っても便利!洗濯ネットバッグ

冬野「あ!これは話にお伺いしておりました!今爆売れ中の洗濯ネットバッグですね!」

笈沼さん「そうなんです。ショップチャンネルに出演した際、30分で3,000個売れました。」

冬野「30分で3,000個…!?それはすごい!実際に見ると思ったより大きいですね!」

笈沼さん「一つのバッグに大人約2人分の衣類が入ります。介護施設や病院などにもそのまま持っていけますよ」

冬野「あ、バッグに衣類を入れて持っていって、着替えたものをバッグごと洗濯機に入れられるってことですか!」

笈沼さん「そうです。それに構造上バッグ内の洗濯物は絡まりにくいので、するする取り出せます。ファスナーも片手で滑らせられるよう、引っかかりにくい構造なんです。できるだけ片手が使えない方でも洗濯ができるように作っています」

冬野「コレ、正直、私からしても便利です。」

笈沼さん「そう言ってもらえると嬉しいです。誰が使っても便利なんです。」

冬野「洗濯時に袖の部分とかがよく絡まるから嫌だったんですよ。しかも細かい洗濯物は回収するのが面倒なんですよね。」

笈沼さん「洗濯後はバックごと出して干し場まで運べるし、乾燥機にも対応しているのでそのまま乾燥機にかけちゃえば大幅に手間が省けます!」

冬野「洗濯時のストレスが少なくていいですね!タイムパフォーマンスを重視する現代人が待っていたアイテムといえそう。作業療法って、こんなアプローチもできるんですね。」

②服の選択肢を増やす!アームスリングケープ®️

笈沼さん「これは『アームスリングケープ®️』といって、片方の腕を固定できる衣類です」

冬野「腕を固定できるんですか!」

笈沼さん「そうです。試しに着てみてもいいですよ。」

冬野「簡単に着られました…!腕が固定されて安心だし、一部の場所に腕の重さが偏ってる感じもしなくて楽ですね」

笈沼さん「腕の重さを全体に分散する構造なので、首の負担は少ないです」

冬野「それに見た目もシンプルだし、色んなお洋服に合わせやすそうですね!」

笈沼さん「そうなんです。例えば腕を固定する三角巾って、無機質で『ザ・ケガ人』って感じでしょ」

冬野「はい。見ただけで『ケガしてるんだな』ってわかっちゃいますね」

笈沼さん「でもそう思われたくない方もいるんです。あとは、腕を固定している状態でもオシャレしたいとか。」

冬野「ただでさえ身体の自由が一部奪われているのに、加えて衣類の自由度や選択肢が極端に少なくなるのは、辛いです。オシャレできなくなる不安で、モヤモヤしちゃいます。」

笈沼さん「そんなモヤモヤを抱えられた方の衣類の選択肢を少しでも増やしたくて、『アームスリングケープ』を作りました」

冬野「素敵な商品ですね!」

笈沼さん「それだけではありません。この『アームスリングケープ®️』で一番重要なことは、『1人でも着られる』ということです」

冬野「たしかに片方の腕が使えない状態では衣類全般1人で着脱するのは厳しそう…」

笈沼さん「対象者は基本1人でできる範囲が限られています。その中で衣類は腕を通さなきゃならないので、片方でも腕が使えないと1人で着脱するのは結構難しいんです。」

冬野「たしかに。難しそう。」

笈沼さん「でも、想像してみてください。自分が対象者になったとして、毎回着脱を人に手伝ってもらう姿を」

冬野「うーん……。毎回手伝ってもらうことを、申し訳なく思うかも」

笈沼さん「そうですよね」

冬野「あとは、今まで自分でできていたことができない事実に、悔しさというか自分への苛立ちというか、そんな感情を覚えそうです」

笈沼さん「その通り。対象者の方は、複雑な思いを抱えているのです。だから『1人で着られる』って実はとっても大切なことなんです」

③車椅子ユーザーが使える!多機能レインウェア(晴雨兼用)

笈沼さんのお話を聞いていたらどんどん人が集まってきました。

男性「今福祉関係で働いていて、こちらの商品も気になってるんですよね…」

レインウェアについて聞かれていたので、私も一緒に聞いてみます。

笈沼さん「こちらは『多機能レインウェア』といって、車椅子の方専用のレインウェアです。」

冬野「車椅子の方って普段雨の日はどうされてるんですか?」

笈沼さん「車椅子の方は雨の日は外に出かけない方が多いんです。傘だと車椅子を操作できないし、普通のレインウェアは着脱が難しい。だから雨の日の外出は諦めてる人が多いんです」

冬野「諦めちゃうんですね…。雨の日にやむを得ず外出しなきゃならないときとかは、大変ですね。足元とか濡れちゃいそう…」

笈沼さん「そうです。でもこの多機能レインウェアは上下が分かれていて、できるだけ1人で簡単に着脱できる設計にしてます。ひざ掛けのほうは、つま先に先端を引っ掛けて上に引っ張ると、下半身全体をカバーできます」

冬野「簡単そう…!」

笈沼さん「雨の日だけじゃなく寒い日にも使えます。普通のひざ掛けは、下にずれ落ちたり車輪にひざ掛けが巻き込まれちゃったりと、気にかけないといけないことが増えるのでストレスもかかります」

男性「たしかにそうですね」

笈沼さん「でもこの『多機能レインウェア』のひざ掛けは、ひじ置きや首、後ろのハンドルにも引っ掛けられるのでずれ落ちる心配もありません。形状的に、布端は足と車椅子の間に挟めるので車輪に巻き込まれることも防げます」

冬野「その設計はほんの小さな心遣いのようで、だいぶストレスを軽減しますね…!『これが欲しかった!』みたいな方多そう!」

笈沼さん「そうなんです。あとはこの製品でも大切にしている観点が『1人でできる』ということ。着脱が1人でできるのもそうなんですけど、脱いだあともくるくる巻いてしまえばコンパクトに収納できます。『最後まで1人でできる』という点をできるだけ大事にして作りました。」

対象者の気持ちに寄り添う笈沼さんの想いが製品に表れていて、思わず感動してしまいました。多くの車椅子利用者の方々に、使ってほしいアイテムだと思いました。

「なんだこれ!」が連続な自助具の世界

続いて他のブースを回ります。

こちらは、3Dプリンターで片手生活者専用の自助具を作っているisotopeさんのブースです。自助具とは、身体の動作が困難な状況にある方の日常生活を補助するための道具のことです。

カラフルな自助具たちは、すべて3Dプリンターで作られたもの。3Dプリンターにこんな活用法があるなんて。

「これらがどのように使われるのか」と、私にとっては不思議な世界でした。

会場では、3Dプリンターで自助具が作る実演が行われていました。

作られていたのは「片手で開けられるペットボトルオープナー」です。片手が不自由な状況であっても、簡単にペットボトルが開けられる優れものです。

冬野「あ、爪切りだ!これ、片手で爪が切れます!すごい!」

爪を切るほうの手だけで爪切りが完結してしまうなんて、しかもそんなに力も使わずにできてしまう…!「あったらいいな」を形にしているなと思いました。

今度はこのオレンジ色の筒状の自助具。

これは一体何に使うんだろう…?

気になったので、isotopeで自助具を開発・制作している川口さんに聞いてみました。

冬野「この筒状のものはどういう用途があるんですか?」

川口さん「これは片手でも傘を上手に巻ける自助具です。」

冬野「傘を巻く…!どのようにして使うのですか?」

川口さん「これを脇に挟んでこの筒の中に傘を入れて回すと、片手でも簡単に留め具の部分を留められるんですよ」

冬野「あ…そっか、傘って片手じゃ巻けないですね…。」

日ごろ意識することがなかった着眼点に、ハッとさせられました。

もしかしたら自分の近くにいるのに自分が気づかないところで、困っている人や助けてほしい人がいたかもしれないなと、反省…。

そして当たり前に使っているこの自分の2本の腕は、当たり前じゃないんだなと気づく瞬間でもありました。

自助具は「なんだこれ!」と不思議に思う分、「何気ない日常が当たり前じゃないことを教えてくれる道具」のように見えました。

自由自在!万能シリコンテープ

今度は株式会社ニッシリさんの、自助具を自分で作れるシリコンテープのブースにやってきました。

テーブルには同じスプーンの自助具でも、さまざまなスタイルの自助具が並べられています。

株式会社ニッシリの岩田さんがいろいろと教えてくださいました。

冬野「同じスプーンですが一つひとつ太さや形、柔らかさが違いますね」

岩田さん「症状の種類や程度は対象者一人ひとりで異なるので、それぞれにぴったりあった加工をしています。」

冬野「え、自分専用の自助具ですか。その場で簡単に作れるのも気軽でいいですね」

岩田さん「そうですね。既成の自助具がちょっと合わない場合にも、身の回りのものとテープで補強して使えますよ」

冬野「この持ち手の部分はS字フックですか?特別なものを使用しているわけではないんですね」

岩田さん「そうなんです。他にはペットボトルのキャップを重ねてテープで固定して持ち手にしたり、平たい持ち手のほうがいい人はフリスクの空箱を持ち手にしたり、いろいろ応用ができます」

冬野「使い手のハードルが低くて、自分に何が合うかを試せるのがいいですね!この模様がついてるのも可愛い」

岩田「お子さんが使う場合、ちょっと模様つけたりカラフルにしたりすると喜ぶんです」

冬野「機能的だけじゃなくデザインも自由自在なんて…、世界に一つだけの自助具が作れそうですね」

岩田「ちょっと実際にテープ巻いてみますか?」

冬野「いいんですか!ぜひ!」

冬野「おお、簡単に巻けますね。テープのベタベタがないのにくっつくのが不思議ですね」

岩田さん「そうなんです。テープのベタベタがない分、外した後もベタベタが残りません。食洗機にもかけられるので食器にもつけられます」

冬野「すごい!これは対象者に限らずさまざまなところで応用できそうですね!」

オシャレを諦めなくていい!ユニバーサルファッションアイテム

ここはMana'olanaさんのアパレルブランドブースです。代表の布施田さんが製品について教えてくださいました。

冬野「見るもの全部可愛いです!一見普通のオシャレなアパレルブランドのようで、あまり特殊な製品のようには見えませんが…」

布施田さん「これ一つひとつがユニバーサルデザインなんですよ。このサンダルは装具をつけたままでも履けるんです。こっちの革靴も。」

冬野「え、それはすごい!一般的に装具をつけてる方は、どんな靴を履いているんですか?」

布施田さん「病院でよく見るようなシンプルな靴とかです。なんか上靴みたいな」

冬野「上靴…、知らなかったです。それだとオシャレは限られそうですね」

布施田さん「そうですよね。私自身も片麻痺なんですけど、関係なくオシャレはしたいと思ってこのブランドを立ち上げました」

冬野「そうだったんですね…!とても素敵です!!このショルダーバッグもめちゃくちゃ可愛い!」

布施田さん「このバッグは底にICカードが入れられるので、そのまま改札を通れるんですよ」

冬野「オシャレで便利。これは欲しくなっちゃいます」

冬野「こちらの靴下は何の変哲もない靴下に見えます。何か仕掛けが?」

布施田さん「この靴下はかかとの部分がないので、どの向きでも履けるんです。ユーザーさんからは『どこからでも履けるから特定の部分が破けにくい』って声もいただいてて」

とても嬉しそうに話してくださる姿を見て、なんだか私まで心がほっこり。

冬野「破けないのは買い換える頻度が減っていいですね!それにデザインも可愛い」

布施田さん「違う色同士で合わせても可愛い組み合わせにしてるんです。」

冬野「違う色?何か理由があるんですか?」

布施田さん「色を揃えて履けない方、間違えちゃう方も中にはいらっしゃいます。そのため、仮にそうなったとしても結果的にオシャレで可愛くなるデザインにしました」

冬野「なんて素敵なデザイン…!!」

常にユーザーファーストで、身体の制限の壁をこえた製品に感動しました。これはいろいろな人に教えたい製品です…!

このたくさんのボタン、実はマウスだった!

今度は機械が並べられたブースにやってきました。

ここはテクノツール株式会社さんの、一般的な市販品では操作が困難な状況にある方が使うIT機器のブースです。

代表の島田さんにお話を伺います。

冬野「ボタンがたくさんありますね!これって何に使うものなんですか?」

島田さん「これ実はマウスなんです」

冬野「え!これマウスなんですか!」

島田さん「そうです。筋肉をうまく動かせない方などが、手を滑らせてカーソルを動かしたりクリックしたりできるものです。」

冬野「あ、本当だ。手の重さというか、重力に任せるだけでボタンが押せます。力を入れる必要がないですね!」

島田さん「そうなんです。『力を入れなくても操作ができる』ことがポイントです」

冬野「この小さなボタンもマウスですか?」

島田さん「そうです。その横の大きなボタンも同じです」

冬野「え、これも?すごい、同じく軽い力で押せますね。作業療法を必要とされる方でも、結構パソコンを使われる方は多いんですか?」

島田さん「もちろん。今はスマホが当たり前に使われているように、パソコンも当たり前に使いますよね。そこは変わりません」

そりゃそうか……。勝手に『できない』『しない』と決めつけていたのかもしれません。自分の想像力の無さを反省しました。

マンガでスラスラ読める!作業療法専門書

最後は「作業療法の曖昧さを引き受けるということ」という書籍を出版している、医学書院さんのブースでした。

作業療法の曖昧さ…、作業療法士も作業療法は曖昧って思っているってこと?

気になった私は、ブースにいた医学書院の小段さんに許可を取ってパラパラとページをめくってみました。

本の中を覗くとマンガでストーリーが書かれているところもあり、専門書でありながらハードルの低さを感じます。

作業療法士の登場人物が、曖昧な業務に悩んでは一つひとつに向き合っている印象が伺えました。

このとき、少しホッとしました。なぜなら、私はまだまだ作業療法については、ぼんやりとしか理解できない状態だったからです。この本の登場人物も同じく、作業療法の曖昧さに悩んでいました。

「あ、作業療法って曖昧なんだ。作業療法士さんも悩んでるんだ」

「作業療法士さんが悩んでるなら、私がすぐつかめないのも当たり前か」

小段さん「実は僕、作業療法士の免許をもっているんです」

冬野「ええ、そうなんですか!なぜこの出版業界に?」

小段さん「『作業療法はこういうものです』と言える確固たる自信がなく、そのまま臨床現場に出るのがどうしてもイメージがつかなくて。また、当時はZoomなどが普及していなかったので、地域や学校によって教わる内容がバラバラでした」

冬野「そうだったんですね…」

小段さん「自分自身勉強をしながら、素晴らしい先生方の思いや考え、実践をより多くの人に届ける側に回りたいと思ったんです」

冬野「なるほど…!この本で小段さんの思いも多くの方に伝わると思います!」

はじめて「作業療法」に触れてみて

今回学会にお邪魔させてもらい、みなさんのお話を聞いて学んだことは、対象者に関わらず「1人でできる」ことの大切さです。

笈沼さんの開発製品に一貫しているのは、対象者が「1人でもできる」という観点で開発されているということでした。

笈沼さんのお話を私自身の言葉で噛み砕くと「自分でできることを自分ですることが人間の尊厳」と解釈しました。

作業療法とは、その人間の尊厳を大切にするためのお仕事なのではないかと思います。

「私の当たり前は当たり前ではない」
「私が当たり前と意識すらしてない状況がどれだけありがたいか」
「誰かのできそう、できなさそうを勝手に決めるべきじゃない」

そんな想いや考えが、今もなお、私のまわりをぐるぐると渦巻いています。今日の学びはまだ、作業療法のほんの一部に過ぎません。一日展示会を見て回っただけで、現場を見たわけではないのです。

こんなテーマを今、考えることができて、よかったです。この日は、忘れたくない一日になりました。

これからも、carewillのプロダクトやミッションに触れながら、もっと「作業療法」に対する理解を深めていきたいと思います。今後の記事にも、ぜひ注目してくださいね。

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