アームスリングを買う前に!作業療法士が解説する目的に応じた選び方
こんにちは!carewillの作業療法士ハルです。
脳血管障害により腕に麻痺がある方や、腕を骨折した方が使う「アームスリング」。はじめてこの単語を聞いた方は「一体どんなもの?」と思うことでしょう。

ひとまずインターネットで「アームスリング」と調べてみると、2000円前後の似たような黒い製品がずらり…。

「どれも同じに見えるけど何か違うの?」
「これ自分にも使えるの?」
「とりあえず、評判良いのを買ってみる…?」
そんな悩みが新たに浮かんでくるのではないでしょうか?
・・・実は、ネットショッピングに出てくる似たような製品、大きな違いはありません!!
この記事では、そんな「アームスリング」という言葉をはじめて知った方へ、アームスリングの選び方のポイントや知っておきたい情報をお伝えします。
1,「アームスリング」って何するもの?
アームスリングは、使う人の状態によって使用目的が異なります。そのため選ぶ前に、”何のために装着するのか”を明確にしましょう。
①アームスリングをつける目的
アームスリングの目的は「肩関節の固定および安静」です。同じ目的のものに「三角巾」と呼ばれるものがあります。
腕に麻痺のある方や、腕を骨折した方が使用する”上肢装具”と呼ばれるもののひとつです。

骨折や麻痺が生じると、腕を支える筋肉が十分に働かなくなります。腕の重みは、体重の約6%といわれています。つまり、 体重が60㎏の人では、片腕だけでなんと約4㎏も…!!

そのため、腕の骨折の場合は”骨折部の安静のため”に、腕に麻痺がある方の場合は”腕の重さによって肩関節周囲の組織を傷めないため”に、アームスリングを使用します。

②三角巾との違い
三角巾は、直角二等辺三角形の布で応急処置に用いられる包帯の一種です。

アームスリングよりも安価なため、洗い替えが用意しやすい利点もあります。異なる点は、「1人でつけ外しできない」ことです。三角巾は首にかけるために布を結ぶ必要があり、この工程は片手では困難です。
また結んだままにしておくと、徐々に布がよれて腕がずれやすくなる、首で腕の重みを支えるため、首や肩に痛みが生じるといった状況が起こります。

そのため、一人暮らしの方や、洗濯の都度結びなおすのが面倒だという方にはアームスリングがおすすめです。
③正しい位置
アームスリングの正しい位置は、アームスリングをつけたときに「肘の角度が90度になる」位置です。

腕の位置が高すぎる/低すぎる、使っている間にずれてしまうと、保護するべき肩関節が守れなかったり、腕の重みによって体のほかの場所に痛みが出てしまうことも…。
着けている最中も、時折肘が90度の位置になっているか確認しましょう。
2,アームスリングを選ぶときのポイント
では具体的に、数あるアームスリングの中から選ぶポイントをお伝えします。
①自分の体に合ったサイズを選ぶ
先ほどお伝えしたように、アームスリングの目的は「固定と安静」です。加えて、”正しい位置で行われているか"ということが重要になります。そのためには、必ず自分の体の大きさに合ったものを選びましょう。

サイズは「身長」や「前腕(肘~手首)の長さ」から決めていきます。あとから長さ調整ができるものがおすすめです。

ほとんどの製品は左右兼用ですが、使う手と向きがあっているかは念のため確認しましょう。また使っているうちに、ストラップがゆるんで腕が下がってきたり、手がスリングから出てきてしまうことがあります。腕がずり落ちないよう、親指をかける部分がついているとより安定性が高まります。

②どのくらいの時間つけるか(首・肩への負担)
アームスリングや三角巾は、腕の重みを首で支える構造になっています。過去に弊社・東京都産業技術研究センター・堀江病院で行った研究でも、三角巾では、頸部(首の周辺)と手部への負荷が高いことがわかっています。
そのため一日中装着すると、首に負担がかかり、肩こりや痛みを生じる方も…。
重みがかかる肩の部分にパットがついているものや、痛みに配慮したつくりのものを選ぶとよいでしょう。

③付け外ししやすいか
付け外しのしやすさは、主に麻痺のある方が使用する場合に気を付けたいポイントです。
麻痺がある場合、アームスリングを常に着けていると、関節が固くなったり麻痺手の使用頻度の低下を招く可能性があります。
そのため、肩関節への負荷や麻痺した手の怪我のリスクがある、歩行訓練時や車いすの乗り移り・移動時など、必要な時のみ使用することが一般的です。

着脱頻度が高いため、簡単に付け外しできるタイプを選ぶと良いでしょう。
「アームスリング」と検索して出てくる製品は、主に次のようなタイプに分けられます。どのタイプも一人で着けられるようになっていますが、装着のしやすさは、次のようになっています。

繰り返し使うと着脱も慣れてきますが、着脱の頻度を踏まえ、ご自身が付け外ししやすいタイプを選ぶとよいでしょう。
④洗濯できるか
毎日使用するため、汗をかいたり汚れがつきやすくなります。清潔を保つためにも、自宅で洗えるかが大切です。洗濯を考えると、洗い替えもあると安心でしょう。
大半の製品は洗濯可能となっていますが、手洗いなのか洗濯機OKなのかなど、自分が楽にできるお手入れの方法か確認しましょう。

⑤アームスリングをつけた生活を想像する
最後に意外と忘れがちなのが「つけた状態の生活を想像すること」です。
まずは「仕事・学校や休日の過ごし方」。アームスリングを付けた状態で、ある人は通勤電車に乗って仕事に行かなければならないかもしれません。またある人は友人とおしゃれなカフェに行く約束をしていたかもしれません。
それから「季節」。使う季節が夏か冬かで、服装も変わります。夏は蒸れや汗をかいて汚れやすかったり、冬はコートや長袖を着るため、装着に時間がかかります。

そして「人から見られる」ことも増えます。なかには”いかにもけが人って感じが嫌” ”着けているのが恥ずかしい”と感じる方もいらっしゃいます。
忘れがちですが「自分がそれを着けて生活できるデザインか」という視点も大切です。
3,アームスリングのつけ方
着け方はさほど難しくありません。ポイントは「スリングの奥まで肘をしっかり入れること」です。
【手順】
①腕をスリング(袋の部分)にいれる
★このとき、肘をしっかりと奥までいれましょう。

②肩ひもを背中に回し、反対側の肩にかける

③バックルを止める

④(あれば)親指用のフックに親指をいれる

⑤ストラップの長さを調整する

外すときはこの逆の手順になります。
座った状態で、アームスリングに入れたい腕を、机や太ももの上に置いて装着するとやりやすくなりますよ。
4,おすすめしたい!ケアウィルの「アームスリングシリーズ」
最後に、「アームスリングだと人の目が気になる」「もっと楽に付け外しができるといいな」という方に、『ケアウィルのアームスリングシリーズ』をご紹介します。
それがこちら「アームスリングケープ®️」と「アームスリングシャツ®️」です!

このシリーズは、脳卒中や腱板断裂等で上肢に不自由を伴う方々に向け、腕をホールドする機能性を持ちつつ、日常でも着用しやすいデザイン性を兼ね備えた服になっています。
共通する特徴は次の3つです。

一方で、違いはというと「腕のホールド力」。アームスリングシャツ®️は「しっかり」、アームスリングケープ®️は「ゆったり」と覚えてください!
①ゆったりホールド:「アームスリングケープ®️」

2021年に発売されたアームスリングケープ®️は、2021年のグッドデザイン賞も受賞しています。一人で簡単に着脱でき、腕の重みを背中に分散することで首・肩への負担を減らしています。またケープ式にしたことで、カーディガンと同等の保温性を保ちながら、冷えやすい首・肩まわりを温めてくれます。そして服にみえるそのデザイン性に「出かけるときの着るものに困らなくなった」という着用者の声もいただいています。

もっとくわしく知りたい!という方は、こちらの記事で紹介しています。
※2026年7月26更新:
より日常になじむ【デイリーユース ブラック】が登場!
通気がよく乾きやすい素材なので一年を通して着用可。軽量240g。
(※機能・デザインは現行品と同じです)
②しっかりホールド:「アームスリングシャツ®️」

2025年4月中旬に発売予定の新製品! →アームスリングシャツ®️は、現在販売が開始されています!(2025.9.17更新)
脳卒中や腱板断裂等で上肢に不自由を伴う方々向けのアームスリングケープ®️の新モデルとして開発されました。性別や季節を問わず日常で着用でき、腕のホールド感を更に高めています。

この製品は、大阪公立大学の作業療法士・竹林崇教授×都内公的機関×ケアウィルの共同研究として開発されました。
アームスリングシャツ®️開発にまつわる記事は、以下からご覧いただけます。「製品についてもっとくわしく知りたい」という方は、今後の製品情報の記事をぜひチェックしてください!
5,少しでも不安が取り除かれますように
いかがでしたか?「アームスリング」という聞いたことのないものをいきなり使う中でいろんな不安があると思います。その不安が少しでも取り除かれたら嬉しいです。
carewillは、これからも当事者の方々の声に寄り添った製品づくりを続けていきます。そして、今の状況を”あきらめる”のではなく、必要とする方への選択肢をお届けできるよう、あなたの「できる」を応援します!
