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1)いもは なぜすぐに芽を出さないのか

ジャガイモの一生は
少し不思議な時間から始まります

種いもは
すぐに芽は出ません

土の中でも 倉庫の中でも
動いていない 変わっていない
何も起きていないように見えます

この時間を
休眠(きゅうみん)といいます


でも 休眠は
「何もしていない時間」ではありません

ジャガイモはこの間ずっと
「今、芽を出すのは危ない」
「まだ動く時期ではない」
と 自分で判断しているのです

寒い中や乾いた状態で芽を出すと
芽はすぐに弱ってしまいます

だからジャガイモは
あえて動かず
待つという選択をします

この時間があるからこそ
条件が整ったときに
元気よく成長できるのです


休眠には2つの種類がある

ジャガイモの休眠は
「なぜ芽が出ないのか」という理由で
2つに分けられます

ジャガイモの中の理由で止まっている休眠
外の環境が悪くて止まっている休眠

この違いを知ると
「どうして芽が出ないのか」が
分かりやすくなります


① 内生休眠(ないせいきゅうみん)

内生休眠は
ジャガイモの中の仕組みが原因で
起こる休眠です

たとえば
暖かくて 水もあって
芽が出てもよさそうなのに――
それでも芽が出ないことがあります

これは
ジャガイモ自身が
「今は動かない」と決めている状態です

人でいえば
目覚ましが鳴っても
「まだ寝る」と思う感じ

条件がそろっても
体のスイッチが入らないのです

この内生休眠には
さらに2つの段階があります


内生休眠・前期

ジャガイモがまだ畑で育っていて
地上の葉や茎と
つながっている時期の休眠です

この時期は
暑さなどの変化が
葉や茎を通して伝わると
休眠が終わることがあります

つまり
外の様子を感じながら
「動くか まだ待つか」を
決めている段階です

そのため
環境の影響を受けやすい休眠です


内生休眠・後期

収穫され
保存されている間の休眠です

この時期になると
いもの中の細胞の動きはほとんど止まり
外の環境の影響を受けにくくなります

たとえるなら
扉を閉めた静かな部屋で
じっと時間が過ぎるのを
待っている状態です

とても安定した休眠といえます


② 外生休眠(がいせいきゅうみん)

外生休眠は
外の環境が原因で芽が出ない状態です

たとえば
気温が低すぎる
乾燥している
発芽に向かない条件がそろっていない

この場合
ジャガイモの中では
芽を出す準備ができています

条件がよくなれば
すぐに芽を出し始めます


休眠中  いもの中では何が起きているか

内生休眠のあいだ
ジャガイモの中では
静かな調整が行われています

成長を進めるはたらきは弱め
休眠を保つはたらきは強め

そのため
呼吸や代謝などの活動は
最低限に抑えられます

これは
成長に使うエネルギー(でんぷん)を
むだに使わないためです

休んでいるように見えて
とても合理的な状態なのです


休眠が終わるとき――休眠打破

時間がたつと
休眠は自然に終わります
これを
「休眠打破(きゅうみんだは)」といいます

ジャガイモの中で
休眠を保つはたらきが弱まり
成長を進めるはたらきが強くなります

すると
静かにスイッチが入るように
芽が動き始めます

ここから
発芽し 成長していく
ジャガイモの次の物語が始まるのです



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