5,000円で泊まれる温泉宿に行ったら、想像以上にクセが強かった話
いかにも「呼ばれたな」と思うような外観の宿に出会うと、つい吸い寄せられてしまう。
今回もまさにそんな感じだった。
少し年季の入った建物。遠目からでも伝わるただならぬ雰囲気。
これはもう、行くしかない。
玄関に近づくと、意外にも入口まわりはきれいに整えられていて、外観とのギャップにちょっと拍子抜けする。
「ここだけリフォームしたのかな?」なんて思いながら中へ。

中に入ると、赤いソファが置かれた昔ながらのフロント。いかにも昭和の観光ホテルといった空気感で、これはこれで嫌いじゃない。
チェックインを済ませて部屋へ向かうと、途中で見かけた古めの冷蔵庫に一抹の不安。
でも部屋自体は思っていたよりずっときれいで、ちょっと安心した。

テーブルには温泉まんじゅう。
こういうの、やっぱり嬉しい。
ただ、ベランダは隣と簡単に行き来できそうな構造で、開放的すぎるのは少し気になるところ。
まぁ…気にしすぎなければ大丈夫、たぶん。
休む間もなく向かったのは貸切風呂。
明るいうちに入りたかったから、ほぼ直行だった。
館内は思っていた以上に広く、温泉エリアまでがなかなか遠い。
途中で見つけたゲームコーナーに後ろ髪を引かれつつ、とにかく急ぐ。
貸切風呂は全部で7つ。
今回選んだのは「恵比寿乃湯」。

中に入ると、思った以上に広い空間。
一人で使うには贅沢すぎるくらい。
ただし、ここにはちょっとした落とし穴があった。
眺望はいい。山も街も見える。
でもその分、外からの視線もなかなかにオープン。
さらに仕切りの竹がスカスカで、隣の声も丸聞こえ。
これはちょっと…気を抜けないやつ。
とはいえ、お湯自体はなかなか良くて、しっかり温まる。
源泉掛け流しのナトリウム系で、やわらかい入り心地。
若干気になったのは、ほんのり感じるあの匂い。
塩素っぽいような…気のせいかな、と思いつつも頭の片隅に残る。
お風呂を出た頃には、空腹が限界に近づいていた。
いよいよ夕食バイキングへ。
正直、ここはある意味で一番の見どころだったかもしれない。

まず感じたのは、料理と料理の距離。お皿同士の間隔がやたら広い。妙にスカスカ。
そして補充もほとんどされない。
口コミで見ていた光景が、そのまま目の前に広がっていた。
エビチリは、今まで食べたことのない味。
焼きそばは冷たく、季節を先取りしすぎている感じ。
そして例のタコは…噂通りの弾力。
正直に言えば「美味しい!」とは言えない。
でも、なぜかちょっと面白い。
期待を裏切られているのに、どこか満足してしまうこの感じ。
不思議だ。

翌朝、楽しみにしていた屋上の露天風呂へ。
…のはずが、まさかの入れない。
どうやら季節限定で、まだ利用できないらしい。
これが今回いちばんのダメージだった。
「それ、事前に知りたかったなぁ」と思いつつも、どうにもならない。
朝食会場はほぼ人がおらず、静かな空間。
案内されたのは、エアコン横のちょっと狭めの席。
なんだか最後までらしいなぁ、と思いながら食事をとる。
今回泊まったこの宿、料金は一泊二食付きで約5,000円。
正直に言えば、「お値段以上」とは言いにくい。
不満の声が多いのも、たしかにわかる。
でも、個人的にはそこまで嫌いじゃなかった。
古さもクセも含めて、この宿の個性。
そして何より、この価格だからこそ体験できたことでもある。
一番の目的だった露天風呂に入れなかったのは残念だったけど、
スタッフの対応はとても丁寧で、そこはしっかり救われた気がする。
いつもはなかなか泊まれない温泉宿。
でもこういう価格帯だからこそ、気軽に泊まれる場所もある。
完璧じゃなくてもいい。
ちょっとクセがあるくらいが、ちょうど面白い。
そんなことを思いながら、宿を後にした。
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