「恋する不確実性<アンサータンティ>」第3話
■第三話
本多は彩花に微笑みかけた。
本多「とりあえずうちおいで」
彩花に向かって手を差し伸べる本多。
見知らぬ男性からの声掛けに、どう答えるべきか迷う彩花。
彩花「……っ」
本多「うち、喫茶店なんだ。あったかいコーヒーでも飲めば、何かいい考えが浮かぶかもしれないよ」
柔らかな本多の雰囲気に、張りつめていた気持ちがほどけていく彩花。
本多の手に、自分の手を重ねていた。
//時間経過
○喫茶店「perch」
本多は彩花を「perch」と書かれた、小鳥が止まった図柄の看板のかかった店へ連れてきた。
ドアを開けると、カラン、とベルの音が響く。
菜々美「まったく、帰ってくるの遅いですよマスター!」
本多への文句を言いながら出迎えたのは、ウェイトレス姿の横間菜々美。
菜々美は彩花に気づくと、
菜々美「ちょっ、どうしたんですかその子!?」
本多「ああ菜々美くん。ちょっと路地裏で拾って――」
菜々美「猫じゃないんですよ!?(怒)」
菜々美の勢いに気圧されている彩花。
菜々美は彩花に向き直ると、
菜々美「とにかくシャワー浴びておいで! そんなに濡れてたら風邪引いちゃう!」
彩花「は……はい」
菜々美、彩花の背を押し、風呂場へ案内してくれる。
戸惑いつつ、なすがままになる彩花。
//時間経過
○喫茶店「perch」店内
シャワーを浴び温まった彩花、着替えも貸してもらい、首からタオルを下げている。
彩花(あったかい……)
ボックス席を借りている彩花のもとへ、カフェオレの入ったマグを運んでくる菜々美。
本多は離れたカウンターでコップを拭いている。
彩花「ありがとうございます……」
菜々美「気にしないで」
菜々美、彩花とおなじボックス席に座り、優しく問う。
菜々美「で、どうしてこんな時間に一人でいたの?」
彩花「えっと……」
彩花(未来から来たなんて言っても信じてもらえないよね……)
彩花はマグを手で包むようにして持ち、
彩花「ちょっと家出しちゃって……それで、仕事を探してたんです」
苦しい言い訳かもしれないと緊張する彩花だが、菜々美は納得したように、
菜々美「ふーん、ワケありか……ま、人生色々あるもんね」
彩花「え……」
受け入れてくれるんですか、と彩花が声を上げるより早く、
菜々美「マスター、この子宿探してるんだそうです」
マスター「おーおーそりゃ大変だ。心当たり探してみるか」
彩花「あっ、いえそんな! これ以上ご迷惑はかけられません!」
思わず椅子から立ち上がって否定する彩花。
しかし本多はニヤリとして、
本多「それがご迷惑でもないかもしれないんだよね」
彩花「?」
本多、彩花らのボックス席に近づき、
本多「もし君が宿の世話を焼かれるだけが嫌っていうならさ、うちで住み込みで働くっていうのはどう?」
彩花「え……」
//(イメージ)喫茶店営業中の様子
コーヒーを淹れている本多。
その様子をうっとりと眺めている小野寺瑠璃子。
談笑している菊池謙二と加治谷修一。
酒井恵凜衣に元気よく話しかけられ、おぼんに乗せた水をこぼしそうになっている安達佑真。
客たちの合間を縫って注文をとっている菜々美。
ほか、店内は多くの客でにぎわっている。
あたたかな雰囲気。
本多の声「こんなしがない喫茶店だけどね、愉快なお客たちが入れ替わりやってくるから、朝から夜まで開けてるんだ」
本多の声「そのわりに従業員は僕入れて三人しかいないからさ、もし君が手伝ってくれるなら、むしろ助かっちゃうんだなぁこれが」
//イメージ終了。
彩花、本多の提案に感極まって涙ぐむ。
彩花「……っ、ご厄介になる以上、絶対損はさせません! 高城彩花、全力でお仕事させていただきますっ」
本多「お~、こりゃ心強い」
本多と菜々美、彩花の様子を見て笑顔。
つられて彩花も笑顔になる。
//翌日。
ウェイトレス用のメイド服で店に出てくる彩花。
彩花「よろしくお願いします!」
ぺこっと頭を下げる。
さっそく仕事だと、机を拭き始める彩花。
その時、カランとドアベルの音。
彩花「いらっしゃいませ!」
店に入ってきたのは、大学生くらいの男性(加治谷修一)。
見慣れない店員(彩花)を見て、一瞬戸惑う。
加治谷「お……」
その様子を見た本多、二人の方へやってきて、
本多「いらっしゃい。この子、うちの新入りの彩花くん」
本多、彩花を手で示すと、次に加治谷を指し示し、
本多「こっちはうちの常連さんの『加治谷修一』くん」
彩花「――!!」
その名前に、彩花が目を見開く。
彩花(この人が『加治谷修一』……!?)
