【ローカルAIの定番】RTX5060ti 16GBのAI力を紹介する話②【LLM力】
はじめに
前回のつづきです。
本記事では、RTX5060ti 16GBで、どの程度ローカルLLMが利用できるか紹介したいと思います。
LM Studio
筆者は主にollama(+ Open WebUI)を利用していますが、LM Studioも利用しています。LM StudioはUIにクセがある反面、通常のWindowsアプリとして導入・利用できるため、はじめてローカルLLMを利用する場合はおすすめです。
Gemma4 12B
gemma4-12b-qatを利用します。QAT版は、Google謹製の高度な量子化モデルで、定番と言えるほど現在ミドルクラスのゲーミングPCで最も良く利用されているモデルです。16GB VRAMであれば、オフロード無しのフルスペック256kのコンテキストサイズで利用可能です。



(Gemma4-12b-qat 256k)
画像を扱うVLM機能もあるため、難しい事は考えずにとりあえずローカルLLMを活用したいという用途であれば、最もおすすめで無難なモデルです。
Gemma4 26B A4B (MoE)
16GB VRAMであれば、より上位の26Bモデルも実用的(快適)に利用できます。実は設定を調整すれば、12Bよりも高速に動作します。

KVキャッシュの量子化(Q8_0)の有効化と

※ KVキャッシュ量子化を利用すると、コンテキストに必要なVRAMが半減しますが、若干の性能低下をひきおこします
MoEアーキテクチャ専用のエキスパートモデルのオフロード設定をします。選択的に利用する層をCPU側へ送る事によってVRAM削減を行います。エキスパートモデルは常に利用するわけではないので、CPU利用がボトルネックになりにくくなります。


Gemma4 12Bよりも高速に生成できます。実際にアクティブになるパラメータが4Bなので、12Bよりも軽いからです。

(Gemma4-26B-A4B-qat 256k)
Ornith-1.0 35B(Qwen3.6 35B A3Bベース)
最近人気のAIエージェント&コーダー専用のモデルOrnith-1.0の35B版です。
しかし、本家モデルではなく、16GB VRAM用に縮小(Q4_K_M)し、VLM(画像対応)とMTP(高速化)をあらかじめマージしてくれている有志(SC117氏)のコミュニティーモデルを利用します。





MTP効果もあるので、88.00 token/s と非常に高速です
一回目の生成ではバグがあるので、画像をはりつけて修正させます。VLMが利用可能です。


※ RTX5060ti 16GB×2枚にすると大きく化ける
ゲーミングPCではあまり一般的な構成ではありませんが、マルチGPUにするとLLMが一気に快適になります。
※ ハイエンド二枚なら電源的に難しいのですが、ミドルレンジGPU×2は比較的簡単にできます。ATXマザーボードであれば、追加するだけで終了です。昔のNVLinkのようなものは必要ありません。
LM Studio(実際はエンジン側のllama-server)では、並列演算の手法、
①レイヤー分割(均等に分割)
②tensor parallelism
を選べます。デフォルトの①レイヤー分割の場合は、前の層の演算が終わらなければ次の層の演算ができず、構造的に真の並列演算とは言えません。しかし、メモリが二倍になるという恩恵があります。
②テンソル分割並列は、密な粒度の並列化なので、演算速度向上の恩恵を受けられますが、密であるため、オーバーヘッドが大きくなります。
基本は、正味演算の軽いモデル(もしくは高演算性能GPU)は①レイヤー分割が適切で、重いモデルは②tensor parallelism(もしくは低演算性能GPU)が適しています。
※ 業務等でマルチGPUを利用する人々は、高性能な装置を利用している事が多いので、この理屈が逆に見える事がありますが、家庭用の『性能の悪い』デバイスほど、並列効率が良くなる傾向にあります。ボトルネックがどこに存在するのか(演算か?通信か?)が重要になります

たとえば、Gemma4 26B A4Bは4Bという「軽い」モデルなので、①と②の手法であまり差が出ません。

※ 並列して演算していないのにスコアが2倍近くなっています。理由は32GBになり、すべてメモリに乗っているからです。1枚の時の52.22 token/sは、CPUとのハイブリッド演算です。

しかし、Gemma4-31B-qat(Dense)等の正味の演算自体が重いモデルの場合は、ボトルネックが「正味演算」に移動するので並列効率が向上します。


※ LM Studioでは未対応ですが、自ビルドllama-serverで直接「tensor parallelism + MTP」を利用すると、不安定ですが、さらに3倍の100 token/s近い値を得ます
まとめ
以前は、コンシューマー向けGPUでLLMを利用すると、(CPUメモリがAI演算に意味をなさないので)VRAMの少なさが問題になりましたが、MoEの登場によって改善されています。16GBのVRAMでも、26Bや35Bのモデルかつ128k程度のコンテキストでも、50 token/s以上の高速生成が可能になっています。
計算機思想的にも、あまり利用しない層は遅いCPUメモリへ、良く利用する層は高速なGPUメモリというハイブリッド利用は、MoEアーキテクチャと非常に相性が良いと思います。
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