キャクヅケ(不動産仲介CRM)を作って分かった運用設計
不動産仲介向けCRM「キャクヅケ」を作って分かった、業務アプリは機能より運用設計が大事な理由
不動産仲介の顧客管理は、顧客名簿を作るだけでは回りません。
反響が入る。担当者が決まる。希望条件を聞く。内見の日程を入れる。追客する。社外に案件を探す。LINEで連絡する。成約後は収益も見る。
この流れのどこかが別の場所にあると、次に誰が何をするかが見えなくなります。
今回、不動産仲介向けの顧客・案件管理ツール「キャクヅケ」を作りました。この記事では、サービスの紹介だけでなく、実装と改善を進める中で見えた「業務アプリを売る前に整えるべきこと」をまとめます。
キャクヅケは、反響から追客までを顧客ごとに見るためのツール
キャクヅケは、不動産仲介の反響対応から追客、成約までを、顧客ごとの画面にまとめて管理するWebアプリです。
中心に置いたのは「顧客一覧」と「顧客詳細」です。
一覧では、担当者、進捗、次回対応を並べて確認できます。詳細では、対応履歴、次回対応、予定、ToDo、希望条件、書類、収益を同じ顧客にひも付けます。
画面を増やして情報を散らすのではなく、担当者が次の電話や内見準備に入る前に必要な情報へたどり着けることを優先しました。
不動産仲介では、顧客情報、進捗、連絡が担当者ごと・媒体ごとに分かれやすいと言われます。業界向けのCRMでも、追客の属人化や顧客情報の分散は代表的な課題として挙げられています。
強みにしたのは「共有する」と「守る」を分けたこと
キャクヅケには共有案件の機能があります。
ただし、共有先に顧客の氏名、電話番号、メールアドレス、対応履歴は出しません。見せるのは、売買・賃貸の種別やエリア、予算、間取りなどの希望条件です。
案件を社外へ探してもらうためには条件を渡す必要があります。一方で、顧客情報まで渡す必要はありません。
この境界を画面上で隠すだけでは足りません。共有用のデータを返す処理そのものを、希望条件だけの許可リストにしました。
業務アプリでは「見えないようにした」ではなく、「そもそも渡していない」を作る方が安全です。
お客様リンクで、聞き取り内容をデータにする
希望条件を口頭やLINEの文章だけでもらうと、後から確認するたびに探す時間がかかります。
そこで、お客様ごとに専用リンクを発行し、希望条件や連絡先をスマホから入力・選択してもらえるようにしました。入力された内容は顧客情報に反映されます。
ここで大事だったのは、入力フォームを増やすことではありません。
「お客様が選ぶ項目」と「社内で補足する項目」を分けることです。お客様に専門用語や細かな社内項目まで入力してもらうと、途中で止まります。最初の入力は、希望エリア、予算、間取り、連絡先のように、提案に必要なものへ絞りました。
不動産仲介でLINEやWebフォームを顧客管理とつなげる狙いは、入力の省力化だけではありません。次の提案に使える情報を、再利用できる形で残すことにあります。
LINE配信は、お客様用とスタッフ用を混ぜない
キャクヅケでは、LINE配信をお客様向けとスタッフ向けに分けました。
お客様向け: 物件案内、予定前日の連絡
スタッフ向け: 担当予定の確認、共有案件の通知
予約送信と自動配信ルールも、誰に・いつ・何を送るかを確認してから設定できます。
ここで学んだのは、「LINE連携があります」だけでは使える状態にならないことです。
送信先が誰か、同一人物に重複送信しないか、予定の何日前なのか、使える差し込み項目は何か。運用中に迷う部分を画面内で説明しないと、機能はあっても使われません。
そのため、配信画面では送信人数だけでなく、実際の送信先を確認できるようにしました。自動配信ルールも、オン・オフ、対象の予定、送信タイミング、本文を後から変更できるようにしています。
制作で一番時間を使ったのは、機能追加より「迷わない配置」だった
最初は、ToDo、次回対応、予定をそれぞれ別の場所に置いていました。
機能としては成立していても、顧客詳細を開いた人が「今日は何をするのか」を把握するまでに視線が動きます。
そこで、顧客名の近くにToDoと予定の追加入口を置き、対応・予定管理を一つのまとまりにしました。直近の次回対応を先に見せ、残りの予定やToDoは同じ場所で確認・編集できる構成に変えています。
このような改善では、ボタンを増やすより、重複した入口を減らす方が効きます。
業務画面で迷う原因は、機能不足よりも「同じ操作が二つある」「今いる場所が分からない」「保存されたか分からない」であることが多いからです。
スマホ対応は、縮小表示では終わらない
仲介の現場では、PCだけでなく移動中にスマホから確認する場面があります。
そのため、単にPC画面を縮めるのではなく、次の点を見直しました。
主要な操作を指が届く位置に置く
横並びの情報を、必要に応じて縦に並べる
予定・ToDoの追加と編集を同じまとまりで扱う
文字が途中で切れないようにする
管理メニューが画面外の操作でも閉じるようにする
デザインを整えるときも、実際の画面をスクリーンショットで撮り直しました。AIで作ったイメージ画像ではなく、現在のプロダクト画面を使うと、できることとLPの説明がずれにくくなります。
課金は、価格表より解約導線を先に確認した
有料サービスでは、月額料金を見せるだけでは不十分です。
キャクヅケでは、料金表、利用規約、特定商取引法に基づく表記、Stripeのカスタマーポータルの内容をそろえました。
確認した条件は次の通りです。
有料プランは申込日(初回決済日)を基準に1か月ごとに自動更新
解約手続きはカスタマーポータルからいつでも可能
解約は期間末で有効になり、支払済み期間の満了日まで利用できる
違約金なし
日割返金なし
実装では、StripeのPriceが月額か、カスタマーポータルが期間末解約になっているかをAPIで確認しました。LPだけに「いつでも解約可能」と書いても、実際の設定が即時解約なら内容が食い違います。
課金まわりは、画面、規約、Stripe設定、Webhookの4つを同じ言葉で確認する必要があります。
セキュリティは「後から付ける機能」ではなく、画面設計の前提
顧客情報を扱う以上、共有案件、書類アップロード、お客様リンク、運営管理はすべて権限の境界になります。
今回、特に意識したのは次の点です。
共有案件では希望条件だけを返す
運営画面は許可した運営アカウントだけに限定する
書類は顧客との関係を確認したうえで扱う
未払い確定時は無料プランに戻さず、利用停止と支払い案内を出す
変更履歴や通知で、誰が何をしたかを追えるようにする
ここはLPでは目立ちません。それでも、顧客に使ってもらう業務アプリでは最初から必要な部分です。
今回の制作から使えるチェックリスト
不動産仲介向けに限らず、顧客情報を扱う業務アプリを作るときは、次を確認すると設計がぶれにくくなります。
1人の顧客について、次にすることを1画面で見つけられるか
社外共有では、必要な情報だけをデータ取得の段階で絞れているか
お客様入力と社内入力の役割が混ざっていないか
お客様向け連絡とスタッフ向け連絡を分けられているか
送信前に送信先と内容を確認できるか
スマホで追加・確認・編集まで完結できるか
未払い、解約、権限外アクセスなどの例外時に何を表示するか決まっているか
料金ページ、規約、決済設定の条件が一致しているか
業務アプリは、機能を増やすほど使いやすくなるわけではありません。
・現場の人が迷わず次の対応に進めること。
・外へ出してよい情報と出してはいけない情報が分かれていること。
・契約後に困る条件が事前に読めること。
この3つをそろえる方が、機能をもう一つ足すより先に効きます。
キャクヅケ
こちらのリンクからキャクヅケをチェックできます。
同じようなものを一緒に作れます
顧客管理、案件共有、入力フォーム、LINE連携、月額課金までを、実際の業務フローに合わせて一緒に設計・実装できます。
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