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ハリポタ原書探究vol.56

小説「ハリー・ポッターと賢者の石」の原書(英語版)を読み、日本語訳と比べていきます。
個人的な解釈やネタバレ等を含みます。あらかじめご了承ください。

三頭犬から命からがら逃げきったハリーとその仲間たち。
あの怪物の下にあった隠し扉には、何があったんだろう?ハリーはそのことが気になっていました。
今回はこの翌日の様子から。第10章「ハロウィーン」の始まりです。


絶対にバレるやつ

真夜中にトロフィー室に呼び出して痛い目に合わせてくれたマルフォイに、どう仕返しをするか。ハリーとロンがそんなことを考えていた、ある日の朝食でのことでした。
ふくろう便がいつものように大広間にやってきて、生徒たちに届け物を落としていきます。
そんな中、6羽のふくろうが抱えた大きな何かが、ハリーの目の前に!そして別のふくろうが手紙を置いていったので、ハリーは手紙を読んでみることにしました。

DO NOT OPEN THE PARCEL AT THE TABLE.
It contains your new Nimbus Two Thousand, but I don’t want everybody knowing you’ve got a broomstick or they’ll all want one.

Harry Potter and the Philosopher’s Stone ILLUSTRATED EDITION by JIM KAY, p135,
j.k.Roling, BLOOMSBURY(2015)

包みをここで開けないように。
中身は新品のニンバス2000です。
あなたが箒を持ったことがわかると、みんなが欲しがるので、気づかれないようにしなければなりません。

J.K.ローリング「ハリー・ポッターと賢者の石 20周年記念版」(2018) 263頁、静山社

箒、しかも最新モデルのニンバス2000とは、すばらしい贈り物……
いやいやちょっとまった!
ふくろうが6羽いないと運べない重量、そして細長い形状。これはどう考えても箒しかありません。それを、みんながいる大広間に運んできて、「みんなが欲しがるから開けるな」なんて、無理ゲーすぎません?すぐに人だかりができてしまいそう。
この手紙の差出人は、マクゴナガル先生です。賢い彼女であれば、人のいない教室にハリーを呼び出して、普通に手渡しでもよかったのでは?と考えてしまいます。

ちなみに原文では、箒のことを
"I don't want~"「気づかれたくない」
なのに対し、日本語訳では、
「気づかれないようにしなければなりません」
と、禁止のニュアンスが強くなっています。
厳格な魔女マクゴナガルの人となりがよくわかる訳し方になっているんですね。


マルフォイ語録

手紙を読んでうれしすぎたハリーは、ロンと一緒に急いで大広間を離れ、寮の談話室に向かいます。
が、階段を上ろうとしたとき、そこにクラッブとゴイルが立ちふさがっていました。
そして当然マルフォイ。ハリーが箒を持っていることが分かり、「校則違反だ」と詰め寄ってきます。
そこでロンが応戦。「お前の家にある箒とは格が違うんだ」と言ってのけました。
それに対するマルフォイの言葉がこちら。

'What would you know about it, Weasley, you couldn’t afford half the handle,' Malfoy snapped back. 'I suppose you and your brothers have to save up, twig by twig.'

Harry Potter and the Philosopher’s Stone ILLUSTRATED EDITION by JIM KAY, p135,
j.k.Roling, BLOOMSBURY(2015)

「君に何がわかる、ウィーズリー。柄の半分も買えないくせに。兄貴たちと一緒に小枝を1本ずつ貯めなきゃならないくせに」
マルフォイがかみついてきた。

J.K.ローリング「ハリー・ポッターと賢者の石 20周年記念版」(2018) 265頁、静山社

でました、マルフォイの口の悪さ。
彼がロンをバカにするときはきまって、ウィーズリー家が子だくさんで一人ひとりに使えるお金があまりないことに終始します。
でも"twig by twig"は語呂が良くて、ちょっと気に入ってしまいました。

また、箒の柄のことを"handle"というのはマグルの世界でもそうですが、普段箒を使わない人間からすると新鮮味がありました。「箒にハンドルなんてなくね?」と。でもよくよく考えてみると、箒で飛ぶときは柄の部分で操縦するわけですもんね。ハンドルとは車についているあの形状のものだけではないんだな、ということが理解できました。


いちばんハリーっぽい動詞?

マルフォイに足止めされるかと思いきや、突然そこにフリットウィック先生が出現。先生がハリーの箒のことを知っていたおかげで、ハリーとロンは寮に帰ることができました。
しかしまだ朝食が終わったばかりで、これから授業が始まるところ。ハリーは包みから箒を出さず、ベッドの下に置いたまま教室へ向かいます。
その日は箒のことしか考えられなかったハリー。やっとすべての授業が終わると、このようになりました。

He bolted his dinner that evening without noticing what he was eating and then rushed upstairs with Ron to unwrap the Nimbus Two Thousand at last.

Harry Potter and the Philosopher’s Stone ILLUSTRATED EDITION by JIM KAY, p137,
j.k.Roling, BLOOMSBURY(2015)

夕食は何を食べたのかもわからないまま飲み込んで、ロンと一緒に寮にかけ戻り、ようやくニンバス2000の包みを解いた。

J.K.ローリング「ハリー・ポッターと賢者の石 20周年記念版」(2018) 266頁、静山社

そりゃそうなるよね!待ちどおしかった気持ちがよく伝わってきます。
ここで注目してほしいのが、最初の"bolted"(bolt)という部分。動詞としては「急いで~する」みたいなことなので、夕食を「飲み込む」となっています。
一見なんでもないような言葉ですが、これを見たときに僕が真っ先に連想したのは、
サンダーボルト(thunderbolt)という単語。
僕が昔やっていた某有名カードゲームに、そういう名前のカードがあったのです。
そしてこの単語は、「落雷」を表します。雷といえば、ハリーの額にある傷跡も、稲妻の形をしていますよね!
つまり、"bolt"はハリーと相性ピッタリの単語だったというわけです。


まとめ

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

ハリーが人生で初めて相棒にする箒が、いきなり最新型のものなんて…羨ましすぎる。マクゴナガルがいかに彼に期待しているか、またクィディッチ杯で優勝したがっているかということが、よくわかります。

今回お伝えできた言葉は、物語のほんの一部でしかありません。
ここまで読んでくださったあなたも、日本語版のものでいいのでぜひ一度、原作にふれてみてください。

それではまた次回お会いしましょう!


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