「エクスクルーシィヴ」の、その先 ― One Harmony、新設階級の記録
スマートフォンの画面に、見慣れたホテルグループからの通知が届いていた。
「こんにちは、Mr. ―― 」で始まるそのメッセージには、これまでとは違う一文が添えられていた。「会員ステータス:エクスクルーシィヴ プラス」。長年、最上位だと思っていた資格の、さらに上に、新しい階級が生まれていた。

One Harmonyという、静かなネットワーク
One Harmonyは、オークラ ホテルズ & リゾーツ、ニッコー・ホテルズ・インターナショナル、そしてホテルJALシティが共有する会員プログラムだ。入会金も年会費も無料でありながら、国内外の広いネットワークを持つ、控えめだが実力のあるロイヤリティプログラムとして知られている。
このプログラムが、2026年3月23日、大きな改定を迎えた。ロイヤル、エクスクルーシィヴという既存の2階級に加えて、その上に「エクスクルーシィヴ プラス」という新しい最上位資格が設けられたのだ。
エクスクルーシィヴ プラスという、新しい頂点
エクスクルーシィヴ プラスの資格条件は、1月から12月の算定期間で50,000ポイント以上を獲得すること。これは、これまでの最上位資格だったエクスクルーシィヴよりも、明確に高い基準だ。
特典の内容も、一段厚みを増している。朝食無料は、会員本人と同室者2名まで対象。ボーナスポイントは50%増し、エアラインマイルへの交換レートも30%増しになる。ベスト・アベイラブル・レートから15%オフという上位会員料金、記念日の宿泊優待、そして通常より3時間長いレイトチェックアウト。客室のワンランクアップグレードは、回数の制限なく利用できる。さらに、ホテルごとに用意される「プラスワン特典」として、アーリーチェックイン、ウェルカムドリンク、ウェルカムフルーツ、ランドリーサービス、館内のプールやスパ、ジムの利用といった項目が、施設ごとの裁量で加わる。
これらを一つずつ読んでいくと、単なるポイント制度の上乗せというより、「滞在そのものの質を底上げする」ことを狙った設計だと分かる。
センチュリオン会員は、無条件で
この改定にあたり、興味深い一文があった。センチュリオン・カード会員は、ホテルメンバーシップの特典として、このエクスクルーシィヴ プラスへ無条件で登録できる、というものだ。



通常であれば、年間50,000ポイントという基準を、宿泊実績で積み上げなければならない。だが、センチュリオン会員に限っては、その積み上げのプロセスを経ずに、最上位資格へとアップグレードされる。実際にアメリカン・エキスプレスからの案内メールにも、その旨が明記されていた。「エクスクルーシィヴ プラス」に無条件で登録できる、というひと言が、控えめな文面の中に静かに置かれていた。

制度改定という、目に見えない地殻変動
ホテルのロイヤリティプログラムは、数年に一度、こうした地殻変動のような改定を経験する。
これまで「エクスクルーシィヴ」という名前が持っていた「最上位」という響きは、今回の改定で、いったん相対化された。同じ名前を保ちながら、その上に新しい階級が生まれたことで、位置づけそのものが変わったのだ。ホテル業界の再編が、静かに、しかし確実に、会員の手元にあるステータスの意味を書き換えていく。
センチュリオンという一枚のカードを持っていることで、こうした制度改定のたびに、労せず最上位へと引き上げられる。この「労せず」という部分にこそ、カードという存在の本質があるのだと思う。宿泊実績を積み上げる代わりに、カードを持ち続けるという一点だけで、最新の階級に自動的に位置づけられる。
通知一つに、時代の変化が畳み込まれている
一通の通知メッセージ。そこには、ホテル業界の制度改定という大きな出来事と、センチュリオンという一枚のカードが持つ、静かな優位性の両方が、同時に刻まれていた。
「こんにちは、Mr. ――」という定型文の後ろに、こうした変化が積み重なっている。次にホテルへ向かう時、この新しい階級の下で受ける朝食やアップグレードが、どんな体験になるか。それを確かめることも、この記録の続きになるだろう。
制度は変わる。名前も、基準も変わる。それでも、変わらず最上位に位置づけられ続けるという安心感だけは、静かにそこにあり続ける
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