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chikori_88
ホームシックにかかったのは。
一昨年の、まだ暑い七月の末。
夫と長男と東京に来て、二日目の夕方、ホームシックにかかった。
長男ではない。
もちろん私でもない。
そう、夫なのだった…。
夫はワンルームの長男の部屋で、私に背を向けて、膝を抱きながら大きな体を小さく小さく丸めていた…。
「え? なになに? どうしたん?」
夫は、うずくまったまま動かない。
しばらくして、「…沖縄に帰りたい」とボソッと発した。
待て待て待てーい!
これから一人暮らしをする長男の心配に全力投球させてくれ。
なんで、あんたなん?
笑いをこらえながら、おもむろにスマホを取り出して、写真を撮る。
マ・ドンソクを小ぶりにしたような図体の夫が、背中を丸めているのは写真に収めるしかない。シャッターチャンスだ、と言わんばかりに数枚撮った。
そして、聞く。
「まさかのホームシック? え? 長男じゃなくてあなた??」
夫は地元が大好きで、地元を離れることに慣れていない。
さらに、沖縄は車社会であり、本土の電車中心の生活に慣れていなくて、もう地元に戻り、自分の車であちこちに移動したくてたまらない状態に陥っていた…。
しかも、家も実家も吹き抜けの造りで育った夫にとっては、長男の部屋の天井の低さに、まさに圧迫されそうになっていたのだ。
ある意味、うらやましいお悩みね? ふふんだ。
「夫よ、あなたが今ここでホームシックにかかってどうするのさ?」
私はダンボールの箱をたたみながら、とりあえず一喝してみた。
爆笑したくてたまらないのを、必死でこらえながら。
今回のお話は、こちらの番外編です。
よろしかったら、覗いてみてください。
