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ホームシックにかかったのは。

一昨年の、まだ暑い七月の末。

夫と長男と東京に来て、二日目の夕方、ホームシックにかかった。

長男ではない。

もちろん私でもない。

そう、夫なのだった…。

夫はワンルームの長男の部屋で、私に背を向けて、膝を抱きながら大きな体を小さく小さく丸めていた…。

「え? なになに? どうしたん?」

夫は、うずくまったまま動かない。

しばらくして、「…沖縄に帰りたい」とボソッと発した。

待て待て待てーい!

これから一人暮らしをする長男の心配に全力投球させてくれ。

なんで、あんたなん?

笑いをこらえながら、おもむろにスマホを取り出して、写真を撮る。

マ・ドンソクを小ぶりにしたような図体の夫が、背中を丸めているのは写真に収めるしかない。シャッターチャンスだ、と言わんばかりに数枚撮った。

そして、聞く。

「まさかのホームシック? え? 長男じゃなくてあなた??」

夫は地元が大好きで、地元を離れることに慣れていない。
さらに、沖縄は車社会であり、本土の電車中心の生活に慣れていなくて、もう地元に戻り、自分の車であちこちに移動したくてたまらない状態に陥っていた…。

しかも、家も実家も吹き抜けの造りで育った夫にとっては、長男の部屋の天井の低さに、まさに圧迫されそうになっていたのだ。

ある意味、うらやましいお悩みね? ふふんだ。

「夫よ、あなたが今ここでホームシックにかかってどうするのさ?」

私はダンボールの箱をたたみながら、とりあえず一喝してみた。


爆笑したくてたまらないのを、必死でこらえながら。





今回のお話は、こちらの番外編です。
よろしかったら、覗いてみてください。



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