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【無駄は必要か⑥】無駄の正体。#42.195

42.195km。

おれの長い戦いが終わった。

今回のテーマは一つだった。

「無駄は必要か。」

その答えを知りたくて、おれは誰にも頼まれていない42.195kmを、一人で走った。

大会でもない。

賞金もない。

記録も残らない。

ただ、自分が知りたかったから走った。

正直、苦しかった。

走ることが好きでもないおれにとって、このチャレンジは苦痛そのものだった。

じゃあ、おれは何を手に入れたんだろう。

達成感。

それは間違いなくある。

「やり切った。」

この感覚は、お金では買えない。

でも、それだけじゃなかった。

家に帰ってテレビをつける。

箱根駅伝が流れていた。

いつもなら何となく見て終わる。

でも、その日は違った。

選手が走る姿を見た瞬間、おれは思った。

「すげぇ。」

心の底から思った。

速い。

本当に速い。

でも、感動したのはスピードじゃない。

その裏側だった。

この一本の襷をつなぐために、彼らはどれだけ走ったんだろう。

どれだけ苦しかったんだろう。

何度やめたいと思ったんだろう。

どれだけ自分を追い込んできたんだろう。

今までの人生で、そんなことを考えたことはなかった。

でも今回は違った。

自然とリスペクトが湧いてきた。

その瞬間、おれは気づいた。

そうか。

これが経験か。

おれが42.195kmを走ったからこそ、見える景色が変わったんだ。

走ったことがない頃のおれには、この感情は一生わからなかった。

本を読んでも。

動画を見ても。

誰かの話を聞いても。

きっと、この感覚だけは手に入らなかった。

経験には、経験した人にしか見えない世界がある。

経験には、経験した人にしか語れない物語がある。

そして、経験には、経験した人にしか持てないリスペクトがある。

おれは思う。

世の中には、すぐにこう言われることがある。

「そんなの無駄じゃん。」

でも、その一言で片づけてしまった瞬間、おれたちは本来手に入れられたはずの感覚を、自分から捨てているのかもしれない。

効率だけを求める。

最短距離だけを歩く。

失敗しない道だけを選ぶ。

もちろん、それも大事だ。

でも、それだけじゃ人生は薄くなる。

遠回りした人にしか見えない景色がある。

苦しんだ人にしかわからない優しさがある。

挑戦した人にしか持てない言葉がある。

だから今、おれは聞かれたら迷わず答える。

「無駄なことって必要ですか?」

必要だ。

いや。

できるだけ、やった方がいい。

無駄なことができる。

それは、時間があるということ。

健康だということ。

挑戦できる環境があるということ。

実は、とても幸せなことなんだ。

今回、おれは42.195kmを走った。

そして手に入れたのは、「走力」じゃない。

人生の解像度だった。

これからも、おれは挑戦する。

きっと周りからは言われる。

「それ、無駄じゃない?」

そのたびに、おれは笑って答える。

「だから、やるんだよ。」


チャレンジは人生最大のエンタメなのだ。

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